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伊藤歩が振り返る、『スワロウテイル』とYEN TOWN BANDのいま

伊藤歩が振り返る、『スワロウテイル』とYEN TOWN BANDのいま

インタビュー・テキスト
柴那典

架空のバンド、YEN TOWN BANDがデビューするきっかけとなった、岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』(1996年)。そのなかでCHARAが演じる主人公グリコの義娘として、映画のなかでも重要な役割を果たした少女「アゲハ」のことを印象的に覚えている人も多いのではないだろうか。

YEN TOWN BANDのアルバム『MONTAGE』のメインビジュアルとしても、アイコンのように使われていた蝶蝶「アゲハ」。映画の公開から20年経った2015年初秋、新潟で行なわれた『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015』でのYEN TOWN BAND復活ライブ会場には、ボーカルをつとめる「グリコ=CHARA」の姿とともに、客席には当時15歳だった少女「アゲハ=伊藤歩」のいまの姿があった。

約20年ぶりとなる新曲シングル『アイノネ』をリリースするYEN TOWN BAND。その誕生のきっかけとなった映画『スワロウテイル』とは、一体なんだったのか。今回は同じく20年の時を経た、女優・伊藤歩へのインタビューを通して、彼女の歩みを辿りつつ、あらためて振り返ってもらった。

『スワロウテイル』は、大切な記憶ではあるんですが、どこかタイムカプセルに入っているような感じです。

―9月12日に行なわれた『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015』でのYEN TOWN BAND復活ライブを観に行かれたそうですが、どういう印象を持たれましたか?

伊藤:まずびっくりしたのは、虫がすごく多かったことですね(笑)。ちょうどカゲロウが孵化する時期だったようで、沢山のカゲロウが舞い、まるで白い紙吹雪のようでした。幻想的な光景でしたが、演奏する側も観る側も大変でしたね。

『大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi』ライブ風景
『大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi』ライブ風景

―伊藤さんは15歳のときに映画『スワロウテイル』でアゲハという重要な少女役で出演されていましたが、そのときのことを思い出したりもしましたか。

伊藤:20年も昔のことなので、正直あまり憶えてはいないんです。メイキング映像を見ると「ああ、こういうこともあったんだなあ……」と思い出すんですけど、それでも「本当にあった出来事だったんだろうか?」「たしかにあったんだよな?」って思うこともありました。大切な記憶ではあるんですが、どこかタイムカプセルに入っているような感じです。

―そのときの記憶はおぼろげにしか残っていない。

伊藤:高校受験と重なっていたり、忙しい時期だったからかもしれないですね。4、5か月撮影していたなぁ……とか。いろんな国の俳優さんが出演していたので、台詞のためにとにかく英語の勉強をしていたし、現場にずっといたなとか。そんな印象が残っています。

『アイノネ』MVより 岩井俊二によるアニメ版『スワロウテイル』
『アイノネ』MVより 岩井俊二によるアニメ版『スワロウテイル』

―そもそも、伊藤さんが女優を志したきっかけはなんだったんでしょうか。

伊藤:もともとは祖父と母がやりたかった夢だったので、その夢を私に託した感じです。子どものころに受けたオーディションに合格して、それがきっかけでデビューしました。でも、学業もあったので、オーディションを受けた回数はそんなに多くはなかったです。事務所に所属していましたが、機会があるときに声をかけていただくという感じで、当時は自分から積極的に活動していたわけではなかったですね。

―岩井俊二監督から声がかかったきっかけは?

伊藤:以前、どこかのオーディションを受けたときに気に留めていただいたらしく、それで声をかけていただきました。ただ、最初に現場に入ったとき、正直、どこに監督がいらっしゃるのかもわからなかったんです。

―『スワロウテイル』の撮影現場はどんな感じでしたか?

伊藤:一番年下だったこともあって、居場所がないなって思ってました(笑)。疎外感があったわけではないんですが、共演者のみなさんは、それぞれ個性的で自分の世界を持っていらっしゃる方ばかりだったので。その方々のなかにいると、自分の居場所がよくわからなくなるという……、そんな感じだった気がします。

―その後、一緒にバンドを組むことになるCHARAさんや、他の俳優の方とも交流を深めるきっかけになった?

伊藤:撮影現場では、そんなに話した記憶がないんです。とにかくやることがすごく多くて、私はある程度ネイティブに見えるように英語や中国語の勉強をしなければいけなかったし、CHARAさんはYEN TOWN BANDのレコーディングもあったので、みんなでワイワイとしゃべる感じではなかった気がします。

『アイノネ』MVより 岩井俊二によるアニメ版『スワロウテイル』
『アイノネ』MVより 岩井俊二によるアニメ版『スワロウテイル』

―高校を卒業された後は、ニューヨークに語学留学されたんですよね。それは『スワロウテイル』の撮影現場での経験も大きかったんでしょうか。

伊藤:いろんな気持ちがありました。語学をちゃんと勉強したいというのもありましたし、20歳を目前にして「本当にこのまま女優を続けていくのか?」という気持ちになったこともありました。

―この先も女優としてやっていこうかどうかも決めかねていた?

伊藤:正直、一度は辞めようと思いました。実際、その1年くらいは仕事から離れていましたし。そもそもは母や祖父の喜ぶ顔が見たくてはじめたことだ、脚光を浴びたところで、それは自分の実力ではなく、たまたまそういう現場に携わっただけだ、と感じていたんです。自分で決意して行動を起こしたわけではなかったので、やっぱり自分のやりたいことを、自分で努力して成功することのほうが、私にとっては価値があるように思えました。

―ニューヨークに留学したことで、そんな自分を客観的に見るようになった感覚はありますか?

伊藤:どうでしょう……。でも、路上や地下鉄の駅でパフォーマンスする方たちのクオリティーがとても高いことに驚いたのは覚えています。日本だったらトップクラスだと思えるくらいの人が、ストリートに立っている。層の厚さのようなものを感じました。

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リリース情報

YEN TOWN BAND『アイノネ』
YEN TOWN BAND
『アイノネ』初回限定盤(2CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:1,620円(税込)
UMCK-9796/7

[DISC1]
1. アイノネ
2. ainone 2XXX
3. アイノネ(instrumental)
4. ainone 2XXX(instrumental DUB MIX)
[DISC2]
・『大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi』のライブ音源“Gold Rush”“Sunday Park”“上海 ベイベ”“Swallowtail Butterfly ~あいのうた~”計4曲収録

YEN TOWN BAND『アイノネ』通常盤
YEN TOWN BAND
『アイノネ』通常盤(CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:1,080円(税込)
UMCK-5588

1. アイノネ
2. ainone 2XXX
3. アイノネ(instrumental)
4. ainone 2XXX(instrumental DUB MIX)

YEN TOWN BAND『MONTAGE』デジタルリマスター盤 初回限定盤
YEN TOWN BAND 『MONTAGE』デジタルリマスター盤 初回限定盤(CD+DVD)

2015年12月2日(水)発売
価格:6,264円(税込)
UMCK-9798

[CD]
1. Sunday Park
2. Mama's alright
3. She don't care
4. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
5. 上海 ベイベ
6. してよ してよ
7. 小さな手のひら
8. My way
[DVD]
・映画『スワロウテイル』(監督:岩井俊二)

YEN TOWN BAND『MONTAGE』デジタルリマスター盤 通常盤
YEN TOWN BAND
『MONTAGE』デジタルリマスター盤 通常盤(CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:2,160円(税込)
UMCK-1529

1. Sunday Park
2. Mama's alright
3. She don't care
4. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
5. 上海 ベイベ
6. してよ してよ
7. 小さな手のひら
8. My way

YEN TOWN BAND『MONTAGE』デジタルリマスター盤
YEN TOWN BAND
『MONTAGE』デジタルリマスター盤(アナログ12inch)

2015年12月23日(水)発売
価格:3,024円(税込)
UMJK-9060

1. Sunday Park
2. Mama's alright
3. She don't care
4. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
5. 上海 ベイベ
6. してよ してよ
7. 小さな手のひら
8. My way

プロフィール

{アーティスト名など}
伊藤歩(いとう あゆみ)

1980年、東京生まれ。『水の旅人-侍KIDS』(1993年)で映画デビュー。岩井俊二監督『スワロウテイル』で『第20回日本アカデミー賞・優秀助演女優賞』『日本アカデミー賞・新人俳優賞』『第11回高崎映画祭・最優秀新人女優賞』を受賞。2001年には、YUKI、CHARA・YUKARIE、ちわきまゆみの五人で、バンド「Mean Machine」を結成。シングル『スーハー』(2001年)、アルバム『Cream』(2001年)を発表した。現在、映画、ドラマ、CM、舞台と幅広く活躍。2016年1月から放送される連続ドラマ『わたしを離さないで』(TBS系 / 毎週金曜22時)に出演。同じく2016年2月29日から東京、大阪で舞台『ETERNAL CHIKAMATSU』(近松門左衛門『心中天網島』より)に出演する。

YEN TOWN BAND(いぇんたうんばんど)

岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』(1996年)の音楽を担当した小林武史のプロデュースにより、劇中に登場した架空のバンド。ボーカルは、主人公グリコ役を演じたChara。シングル『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』、アルバム『MONTAGE』はオリコンチャートでもシングル / アルバム同時1位となり大ヒットを記録した。9月12日、新潟で開催された『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015』にて、12年ぶりのライブを行い、10月には全国5都市を巡るライブイベント『JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM』に出演した。12月29日には『COUNT DOWN JAPAN15/16』への出演が決定している。

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