特集 PR

伊藤歩が振り返る、『スワロウテイル』とYEN TOWN BANDのいま

伊藤歩が振り返る、『スワロウテイル』とYEN TOWN BANDのいま

インタビュー・テキスト
柴那典

『リリイ・シュシュのすべて』は、岩井さんのためだったらちゃんとやりたいという気持ちがありました。

―そんななか、2001年に『リリイ・シュシュのすべて』に出演されていますが、これはやはり岩井監督からのオファーがあったんでしょうか。

伊藤:ちょうどニューヨークにいたときに連絡をいただきました。語学留学だったし、経済的なことも含めて長くは過ごしていられないと思っていたので、結果的に、このお話が帰国するきっかけになりました。まだ、自分が俳優としてどうするかを決意できていなかったのですが、岩井さんのためだったらちゃんとやりたいとは思っていました。

伊藤歩
伊藤歩

―岩井監督への信頼があった。

伊藤:そうですね。当時は、岩井さんと井筒和幸さんと大林宣彦さんくらいしか監督の方を知らなかったのですが、その三人の方は自分にとって本当に尊敬する父親のような存在で、私で力になれることがあればという気持ちはありました。

―2000年にはCHARAさん、YUKIさん、ちわきまゆみさんと結成したバンド「Mean Machine」で音楽活動もはじめられています。

伊藤:1998年、私がニューヨークに行く前のころでした。CHARAさんから「歌ってほしい」と、カセットテープを渡されて。その後、留学から帰ってきて、レコーディングがはじまりました。

―CHARAさんたちとの共同作業はどんな感じでしたか?

伊藤:「これ、本当にやるのかな」みたいな感じでした。それまで音楽活動をやっていたわけでもなかったし、自分の立場もわかってなかった。ライブハウスを廻ったり人前で歌ったりすることもなく、レコーディングからはじまったので、どんなふうにやるかもよくわかっていなかったけど、とりあえずやるしかないか、って。部活みたいな感じでしたね。

『大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi』ライブ風景
『大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi』ライブ風景

―プレッシャーはなかったんでしょうか。

伊藤:いま考えると、不思議なほどなかったですね。想像力がそこまで達していなかったというか。こんなに大事になると思っていなかったし。それは『スワロウテイル』も同じでした。現場にいることはすごく楽しいし、いろんな人と話して、面白いな、勉強になるなとは思っていましたが、でも、大きな仕事をやっているような意識はなかったです。それがカルチャーとして残っていくということも考えていなかったです。

―なるほど。渦中に巻き込まれるような感じだった。

伊藤:そうかもしれないですね。10代や20代のころは特にそうでした。歌についても、やっぱり自分の努力でなにかを掴んだわけではなかったですから。20代半ばくらいまではそういう感じだったと思います。

女優は好きな人がやる仕事だと思うし、好きだからこそ続けていける仕事だと思うんです。でも、私の場合はそうなるのが遅かった。

―岩井監督だったり、CHARAさんだったり、時代のキーマンになるような方にいつもよきタイミングで声をかけられる、不思議なポジションの立ち位置だったんですね。

伊藤:だから、そのうちに「私、このままじゃロクな人間にならないんじゃないか」と考えるようになって、20代まですごくお世話になっていた最初の事務所を辞めて移籍する決断をしたんです。私を家族のように大切にしてくれて、本当に可愛がってくれた事務所だったんですが、子どものわがままじゃないですけれど、可愛がってもらいすぎて、これ以上甘えるのはよくないと思ったんですね。親が選んでくれた事務所でもあったので、やっぱり自分の力で選んで、仕事している感覚を掴みたかったんです。

『アイノネ』MVより 岩井俊二によるアニメ版『スワロウテイル』

『アイノネ』MVより 岩井俊二によるアニメ版『スワロウテイル』
『アイノネ』MVより 岩井俊二によるアニメ版『スワロウテイル』

―移籍による環境の変化によって、精神面は変わりましたか?

伊藤:男優さんが多く所属している事務所だったので、男っぽいというか、仕事も実力も自分で掴むような考え方のところでハングリーな環境でした。いろんな経験をさせてもらい、精神的にも強くなったと思います。そこからようやくはじめて、自分の意志でなにかを切り開いていこうと考えられるようになった。それが、26、27歳くらいのころでした。

―自分がどういうビジョンを持って、どうなっていきたいかを意識するようになった。

伊藤:それまでの私は、自分がなにをしたいのかがよくわかっていなかったんです。それを探すのに時間がかかりました。そのときの事務所の社長に言われたのが、「1番を決めなきゃダメだ」ということ。たとえば、仕事が1番なのか、家族が1番なのか、それを決めておかないといざというときの判断を間違えてしまう。そのころから海外で仕事がしたいという思いが生まれてきたのですが、菊地凛子さんが当時同じ事務所にいらっしゃって、『バベル』という海外の映画で『アカデミー賞』にノミネートされたり、「すごい先輩がいる!」と、いい意味で悔しさを掻き立てられて、プレッシャーを感じるようにもなったんです。

―それまでは女優という仕事にそこまで意気込みを感じていなかったのが、変わってきたわけですね。

伊藤:そうですね。それまではまったく感じなかった、自分にとって嬉しい感情でした。そういう悔しさを感じられただけでもよかったと思います。海外の作品に参加するということが、自分の目標になった。女優は好きな人がやる仕事だと思うし、好きだからこそ続けていける仕事だと思うんです。でも、私の場合はそうなるのが遅かった。29歳くらいで自分の思いを決めて、どうしていこうかを考えるようになりました。

Page 2
前へ 次へ

リリース情報

YEN TOWN BAND『アイノネ』
YEN TOWN BAND
『アイノネ』初回限定盤(2CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:1,620円(税込)
UMCK-9796/7

[DISC1]
1. アイノネ
2. ainone 2XXX
3. アイノネ(instrumental)
4. ainone 2XXX(instrumental DUB MIX)
[DISC2]
・『大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi』のライブ音源“Gold Rush”“Sunday Park”“上海 ベイベ”“Swallowtail Butterfly ~あいのうた~”計4曲収録

YEN TOWN BAND『アイノネ』通常盤
YEN TOWN BAND
『アイノネ』通常盤(CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:1,080円(税込)
UMCK-5588

1. アイノネ
2. ainone 2XXX
3. アイノネ(instrumental)
4. ainone 2XXX(instrumental DUB MIX)

YEN TOWN BAND『MONTAGE』デジタルリマスター盤 初回限定盤
YEN TOWN BAND 『MONTAGE』デジタルリマスター盤 初回限定盤(CD+DVD)

2015年12月2日(水)発売
価格:6,264円(税込)
UMCK-9798

[CD]
1. Sunday Park
2. Mama's alright
3. She don't care
4. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
5. 上海 ベイベ
6. してよ してよ
7. 小さな手のひら
8. My way
[DVD]
・映画『スワロウテイル』(監督:岩井俊二)

YEN TOWN BAND『MONTAGE』デジタルリマスター盤 通常盤
YEN TOWN BAND
『MONTAGE』デジタルリマスター盤 通常盤(CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:2,160円(税込)
UMCK-1529

1. Sunday Park
2. Mama's alright
3. She don't care
4. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
5. 上海 ベイベ
6. してよ してよ
7. 小さな手のひら
8. My way

YEN TOWN BAND『MONTAGE』デジタルリマスター盤
YEN TOWN BAND
『MONTAGE』デジタルリマスター盤(アナログ12inch)

2015年12月23日(水)発売
価格:3,024円(税込)
UMJK-9060

1. Sunday Park
2. Mama's alright
3. She don't care
4. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
5. 上海 ベイベ
6. してよ してよ
7. 小さな手のひら
8. My way

プロフィール

{アーティスト名など}
伊藤歩(いとう あゆみ)

1980年、東京生まれ。『水の旅人-侍KIDS』(1993年)で映画デビュー。岩井俊二監督『スワロウテイル』で『第20回日本アカデミー賞・優秀助演女優賞』『日本アカデミー賞・新人俳優賞』『第11回高崎映画祭・最優秀新人女優賞』を受賞。2001年には、YUKI、CHARA・YUKARIE、ちわきまゆみの五人で、バンド「Mean Machine」を結成。シングル『スーハー』(2001年)、アルバム『Cream』(2001年)を発表した。現在、映画、ドラマ、CM、舞台と幅広く活躍。2016年1月から放送される連続ドラマ『わたしを離さないで』(TBS系 / 毎週金曜22時)に出演。同じく2016年2月29日から東京、大阪で舞台『ETERNAL CHIKAMATSU』(近松門左衛門『心中天網島』より)に出演する。

YEN TOWN BAND(いぇんたうんばんど)

岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』(1996年)の音楽を担当した小林武史のプロデュースにより、劇中に登場した架空のバンド。ボーカルは、主人公グリコ役を演じたChara。シングル『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』、アルバム『MONTAGE』はオリコンチャートでもシングル / アルバム同時1位となり大ヒットを記録した。9月12日、新潟で開催された『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015』にて、12年ぶりのライブを行い、10月には全国5都市を巡るライブイベント『JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM』に出演した。12月29日には『COUNT DOWN JAPAN15/16』への出演が決定している。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編

映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編。高畑勲の実験精神に敬意を表する監督が「暗号描画」なる手法を使い、全ての作画をたったひとりで手がけたという。透けてしまいそうなキスシーンや、迫り来る波の一瞬一瞬に確かに手をひかれているようで、全貌が気になって仕方ない。オフィシャルサイトには片渕須直、今日マチ子らのコメントも。(井戸沼)

  1. 土屋太鳳と芳根京子がキス寸前 『累-かさね-』場面写真に浅野忠信らの姿も 1

    土屋太鳳と芳根京子がキス寸前 『累-かさね-』場面写真に浅野忠信らの姿も

  2. 「ほぼ日手帳2019」ラインナップに横尾忠則や荒井良二ら、『ドラえもん』も 2

    「ほぼ日手帳2019」ラインナップに横尾忠則や荒井良二ら、『ドラえもん』も

  3. 二階堂ふみ&GACKT『翔んで埼玉』特報&ビジュアル公開 加藤諒の姿も 3

    二階堂ふみ&GACKT『翔んで埼玉』特報&ビジュアル公開 加藤諒の姿も

  4. 石塚運昇が逝去、67歳 『ポケモン』オーキド博士や『ビバップ』ジェット役 4

    石塚運昇が逝去、67歳 『ポケモン』オーキド博士や『ビバップ』ジェット役

  5. 三浦大知が標高2800mの山頂で即興ダンス サントリーPEAKERの新CM公開 5

    三浦大知が標高2800mの山頂で即興ダンス サントリーPEAKERの新CM公開

  6. 木村拓哉&長澤まさみのホテルマン姿 『マスカレード・ホテル』特報公開 6

    木村拓哉&長澤まさみのホテルマン姿 『マスカレード・ホテル』特報公開

  7. サマソニで初来日 チャンズ・ザ・ラッパーのニューチャプターを目撃せよ 7

    サマソニで初来日 チャンズ・ザ・ラッパーのニューチャプターを目撃せよ

  8. 『モンパチフェス』第5弾発表でエゴ、BRAHMAN、LITTLE TEMPO、山嵐ら追加 8

    『モンパチフェス』第5弾発表でエゴ、BRAHMAN、LITTLE TEMPO、山嵐ら追加

  9. 銀座ソニーパークの粋なコンセプトとは?TOKYO FM森田太に取材 9

    銀座ソニーパークの粋なコンセプトとは?TOKYO FM森田太に取材

  10. 岩田剛典と元カノ・大政絢が再会 『パーフェクトワールド』新場面写真 10

    岩田剛典と元カノ・大政絢が再会 『パーフェクトワールド』新場面写真