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松崎ナオ×行達也 整いすぎた時代に「完璧じゃない作品」を提案

松崎ナオ×行達也 整いすぎた時代に「完璧じゃない作品」を提案

松崎ナオ『39』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望

元モナレコードの店長であり、現在はタワーレコードでレーベル部長を務める行達也が、新レーベル「condense tune(コンデンスチューン)」を設立。「スタジオのクリーンな環境では聴こえてこない場の空気やノイズまでを真空パックした音源をリリースする」というコンセプトを掲げ、デジタルでの修正が一般的になった現代に対し、新たな価値を提示する。

そして、このレーベルからの第1弾作品として昨年末にリリースされたのが、松崎ナオの『39(サンジュウキュウ)』だ。埼玉県にある寺院に機材を持ち込み、弾き語りでの一発録りを敢行。NHK『ドキュメント72時間』のテーマソングとして人気の高い“川べりの家”をはじめとした全7曲は、タイトル通りに39歳の松崎の一日がそのまま切り取られたものとなっている。予想外だったオーディションの合格によるメジャーデビューから約20年。取材日の翌日に40歳の誕生日を迎えた松崎は、自身の音楽人生をどのように捉え、これから先をどう見据えているのか。行と共に語り合ってもらった。

ちょっと「やっちゃった」くらいのものが残っていくのも悪くないなと思う。(松崎)

―まずは「condense tune」設立の経緯を教えてください。

:前に長野県の山奥でフィールドレコーディングをしたことがあって、それが面白かったんです。車もほとんど通らないくらいの田舎で、録ってるとカラスの鳴き声が入っちゃうような感じだったんですけど、それが結構よかったんですよね。いつかまたそういうことをしてみたいと思っていたけど、なかなか機会がなくて。そんな中、松崎さんの音源を聴かせてもらったらすごくよくて、「うちから出そうよ」って話をさせてもらいました。

―行さんは実際の制作には関わらず、できあがったあとに聴かれたわけですね。では、松崎さんはなぜ今回寺院での弾き語りによる録音を行ったのでしょうか?

松崎:普通のスタジオでカッチリ録って、気に入らないところは直して、という作業って、キリがないんですよね。全てがよく聴こえるのも大事だけど、いろんな音が入っちゃってもいいんじゃないかと思っていて。そうしたらちょうどエンジニアが、「窓を全部開いたスタジオで録ったCDがすごくよかった」という話をしてくれて、二人の考えてることが合致したんです。で、「場所どうしようか?」ってなったときに、エンジニアの元同僚が最近お坊さんになったという話を聞いて、「それだ!」って。

松崎ナオ
松崎ナオ

:これまでも結構外で録ってるよね?

松崎:録ってますね。1stシングル(“花びら”。1998年リリース)のPVから、レコーディングした音源を使わずに、生で歌ってるんですよ。それは、CDとPVの音源が一緒じゃなくてもいいんじゃないかって思ってたからなんです。

:普通は嫌がるけどね。

松崎:そうなんですか?

:だって、直せないじゃん。

松崎:まあ、正直直したいとも思うんですけど、ちょっと「やっちゃった」くらいのものが残っていくのも悪くないなと思って。完璧に仕上げるよりも、そのときの実力が出たものを残していく方が、性に合ってたんですよ。聴き返すと「あちゃー」と思うんだけど、そこからまた次に進めるから。

―今はレコーディングの技術が発達して、何でもきれいに直せてしまうけど、そうじゃない音源の魅力を提示しようというのが、まさに「condense tune」なわけですよね。

:そう。あとね、YouTubeで公開されている晴れ豆(晴れたら空に豆まいて。代官山にあるライブハウス)で撮った、お客さんを入れてないライブ映像(2014年6月収録)があるでしょ? 今回のリリースは、あの動画とセットだと勝手に思ってる。CDがアコースティックバージョンで、動画がバンドバージョン、というふうに聴いてもらえるんじゃないかなって。あの動画、すごくいいよね。

松崎:あれで今のマネージャーが引っ掛かったんですよ。「釣った!」って(笑)。

―結果的にはお客さんだけでなく、バンドバージョンでマネージャーさんが釣れて、アコースティックバージョンで行さんが釣れたと(笑)。

松崎:そう。ホントはかわいい女の子が釣れるといいんですけどね(笑)。

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リリース情報

松崎ナオ『39』
松崎ナオ
『39』(CD)

2015年12月9日(水)発売
価格:1,944円(税込)
CTRC-001

1. hello, goodbye
2. フォークソング
3. 美しい
4. 川べりの家
5. あけびの空
6. ひかりのこども
7. ただ残るイメージ

イベント情報

『「39」リリースツアー「サンジュウキュウノタビ」』

2016年2月10日(水)
会場:埼玉県 越谷 EASYGOINGS
出演:
松崎ナオ
マルペジオ(東京ペッパーズアコ)
雲河トオルJr.
小谷野圭
and more

2016年2月23日(火)
会場:福島県 いわき club SONIC iwaki
出演:
松崎ナオ
daisuke wanna go
三ヶ田ケイゾウ
and more

2016年2月27日(土)
会場:山形県 米沢 Dococa Coffee
出演:
松崎ナオ
豊川薫
あべあいこ(時既に遅し)
and more

2016年2月28日(日)
会場:福島県 福島 AS SOON AS
出演:
松崎ナオ
衰退羞恥心
and more

2016年2月29日(月)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
出演:
松崎ナオ
中村マサトシ(THE YOUTH)
三ヶ田ケイゾウ
tiptop(舞&小泉優)

『ヨヲコヲヨ企画「松崎ナオとヨヲコヲヨ」』
2016年1月25日(月)
会場:大阪府 西成 難波屋
出演:
ヨヲコヲヨ
松崎ナオ
料金:投げ銭制

『para-dice presents「Bossa/ Nova vol.6」』
2016年1月26日(火)
会場:大阪府 扇町 para-dice
出演:
雨市
松崎ナオ
Crawl
中井大地
よりえ

『Sakurazaka ASYLUM 2016「前打上げ」』
2016年2月12日(金)
会場:沖縄県 浦添 groove
出演:
羊歯明神(遠藤ミチロウ+石塚俊明+山本久土)
松崎ナオ
大城安志(チッチ&ベター)

『Sakurazaka ASYLUM 2016』
2016年2月13日(土)、2月14日(日)
会場:沖縄県 那覇 桜坂周辺会場

『ドブロク企画「NO MORE おセンチ野郎 vol.9」』
2016年2月19日(金)
会場:東京都 新宿JAM
出演:
ドブロク
DON Matsuo Magic Mountain
松崎ナオ

『はせがわかおり企画「弾き語り一本勝負」』
2016年2月21日(日)
会場:東京都 下北沢 風知空知
出演:
はせがわかおり
松崎ナオ

『TAPESTRY』
2016年3月11日(金)
会場:北海道 札幌 スピリチュアルラウンジ
出演:
松崎ナオ
メシアと人人
ハロット
○△□
喃語
LittleHeather

プロフィール

松崎ナオ
松崎ナオ(まつざき なお)

シンガーソングライター、ロックンローラー。東京生まれ。ギター(曲によって ピアノ)弾き語り、時にはドラムス、ベースとの3ピースバンド。まっすぐに響く言葉を、たおやかな声に乗せて、よく鳴らしたギターと共に歌う。1998年デビュー、これまでに8枚のアルバムを発表。代表曲に、“川べりの家”(NHK総合『ドキュメント72時間』テーマソング)がある。愛ある音楽を目指して、勢力的に活動中!

行達也(ゆき たつや)

東京都下北沢にあるライブスペース「mona records」元店長。現在はTOWER RECORDSレーベル事業部にて、部長を務める。2012年に、自らバンド「ルルルルズ」を始動させ、ギター、キーボードを担当。2015年、脱退。

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RYOHEI KUBOTA “RISING”

ぼくのりりっくのぼうよみ、小山薫堂らからも注目される19歳のハンドパン奏者・久保田リョウヘイの“RISING”のPV。自然に溶け込むような佇まいから生み出される、まるみのある幽玄的なサウンドと情熱的なビートに身をもたげたくなる。演奏はYouTubeを見て独学で学んだらしい。圧巻です。(飯嶋)