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松崎ナオ×行達也 整いすぎた時代に「完璧じゃない作品」を提案

松崎ナオ×行達也 整いすぎた時代に「完璧じゃない作品」を提案

松崎ナオ『39』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望

(NHK『ドキュメント72時間』の)最後に“川べりの家”がかかると、必ず泣けてくるくらい、この曲のパワーはすごい。(行)

―行さんにとって、アルバムの中で特に印象的な曲を挙げるとするとどれでしょう?

:“川べりの家”は、もう神曲だね。

松崎:ホント?

:まずこの曲が使われてるNHKの番組(『ドキュメント72時間』)が超いい番組なんですよ。僕はNHK史上最強だと思ってるくらい。

松崎:って言う人もいるくらい、度肝抜かれますよね。3日間同じ場所を撮り続けて、そこで行き交う人々を映すだけの内容なんですけど、72時間何にもないときもあったりして、でもそれもそのまま流しちゃったりするんです。それがまたいい。

:そういうときでも、最後に“川べりの家”がかかると、必ず泣けてくるくらい、この曲のパワーはすごい。

行達也

―もともとは2006年に作られた曲ですが、当時どんな心境で作った曲なのでしょうか?

松崎:引越ししたくて、川べりに住みたかったんです。でも、お金ないし、川の氾濫とか怖いなと思って、じゃあ曲にしとこうと。ホントそれだけ(笑)。

:じゃあ、神格化したのはNHKの番組のおかげ? 俺、毎回泣けるもん。

松崎:そうなんだ(笑)。嬉しいな。

―今回改めて歌ってみて、どんなことを思いましたか?

松崎:ピアノで作った曲なんですけど、それをギターにする時点で、自分の中にかなり違和感があって、それをどう修正するかばかり考えてました。楽器が変わると歌い方も変わっちゃうので、別の曲を扱ってるような感じになって、自分の中でちょっとパニックが起こるんですよ。ピアノなら淡々と歌えるんですけど、ギターだとちょっと抑揚が出ちゃうので、それをどう抑えるかがすごく難しかったです。

:やっぱり、思った通りだね。何にも考えてなさそうなんだけど、意外と考えてる。

松崎:ちょっと失礼じゃない? いや、大きく失礼!(笑)

デビューしてすぐの頃は、「いつやめようか」としか考えてなかったんですけど、「いつまで続けられるか」に変わったんですよね。(松崎)

―松崎さんは、歳を重ねていく中で、音楽との向き合い方には変化はありましたか?

松崎:デビューしてすぐの頃は、「いつやめようか」としか考えてなかったんですけど、「いつまで続けられるか」に変わったんですよね。それが一番でかいかもしれない。

:辛かったの?

松崎:辛いとかじゃなくて、私、オーディションからデビューしてるんですけど、オーディションに受かって、自分の人生計画がずれちゃったんですよ。記念受験のつもりで応募しただけで、オーディションに落ちて、そのあと何をするかしか考えてなかったから、受かってからどうすればいいかわかんなくて。

松崎ナオ

―でも、その考えが徐々に変わっていったと。

松崎:音楽をやることに興味が湧いてきて、「いつまで続けられるか」と「いつ自分が作りたい音楽を作れるようになるか」を追求していこうと思うようになりました。

:今度はバンドバージョンで、また違うところで録りたいね。

松崎:やりたいなあ。どこで録るかは……最近、味のある音が録れるスタジオって減ってきてるんですよね。晴れ豆で映像を撮ったときに、いいエンジニアさんに来てもらえば、ああいった場所でもそれなりの音で録れるということがわかったから、ちょっと変わったところで録るのもいいかもしれない。古い音源の音がやっぱり好きなんだけど、あの音を今そのまま出しても聴きづらい音になっちゃうだろうし……難しいですね。

―行さんはいろんなアーティストの録音に関わることも多いと思うのですが、今の録音環境に関してどんなことを感じていますか?

:一概にハコだけの問題ではないというか……パソコンで直すのもいいんですけど、「これ整い過ぎなんじゃないか」って思うことも多くて、やっぱりライブに近い感じの方がいいのかなって思ったりもしますね。でも、若いうちは直してもいいかとか、いろいろ考えるんですよ。なので、「condense tune」は、そういうのを超えたところで楽しめるミュージシャンたちに参加してもらうのが一番いいのかなって。

松崎:私くらいの世代の人で、飢えてる人はいっぱいいると思います。若い子はとりあえずいろいろ経験した方がいいと思うけど、私くらいの世代はもういろいろやってきて、一発録りとか余裕でできちゃう人が多いから、そういう人とやってみてほしい。

:そういうCDがもっとあってもいいかなって思いますね。ライブ盤ともまたちょっと違う、一発録りで、その場の空気も音として入ってくるようなものが、もっとあってもいい。

松崎:このレーベルがそういうレーベルだって認識されて、レーベルのファンが付くといいですよね。そうすれば、私のことを知らない人も買ってくれるかもしれない。頑張ってください!

―そのレーベルの第1弾アーティストですから(笑)。では最後に、40代の展望を話していただけますか?

松崎:それはねえ、まだわからないんですよ。ただ、80代で信じられないくらいの爆音でライブをやるっていう理想の映像は頭の中にあります。その頃はもう耳も遠いだろうから、アンプをアホみたいに積んで、全部フルボリュームにして、若い子とやりたい。「ババア、うるせえ!」とか言われて(笑)。それか同世代のジジイババアと一緒にやって、「あのババアには敵わねえ」って言われたい。落ち着きたくはないんです。だからこれからは逆にどんどんエモーショナルになっていくのかもしれないですね(笑)。

左から:松崎ナオ、行達也

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リリース情報

松崎ナオ『39』
松崎ナオ
『39』(CD)

2015年12月9日(水)発売
価格:1,944円(税込)
CTRC-001

1. hello, goodbye
2. フォークソング
3. 美しい
4. 川べりの家
5. あけびの空
6. ひかりのこども
7. ただ残るイメージ

イベント情報

『「39」リリースツアー「サンジュウキュウノタビ」』

2016年2月10日(水)
会場:埼玉県 越谷 EASYGOINGS
出演:
松崎ナオ
マルペジオ(東京ペッパーズアコ)
雲河トオルJr.
小谷野圭
and more

2016年2月23日(火)
会場:福島県 いわき club SONIC iwaki
出演:
松崎ナオ
daisuke wanna go
三ヶ田ケイゾウ
and more

2016年2月27日(土)
会場:山形県 米沢 Dococa Coffee
出演:
松崎ナオ
豊川薫
あべあいこ(時既に遅し)
and more

2016年2月28日(日)
会場:福島県 福島 AS SOON AS
出演:
松崎ナオ
衰退羞恥心
and more

2016年2月29日(月)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
出演:
松崎ナオ
中村マサトシ(THE YOUTH)
三ヶ田ケイゾウ
tiptop(舞&小泉優)

『ヨヲコヲヨ企画「松崎ナオとヨヲコヲヨ」』
2016年1月25日(月)
会場:大阪府 西成 難波屋
出演:
ヨヲコヲヨ
松崎ナオ
料金:投げ銭制

『para-dice presents「Bossa/ Nova vol.6」』
2016年1月26日(火)
会場:大阪府 扇町 para-dice
出演:
雨市
松崎ナオ
Crawl
中井大地
よりえ

『Sakurazaka ASYLUM 2016「前打上げ」』
2016年2月12日(金)
会場:沖縄県 浦添 groove
出演:
羊歯明神(遠藤ミチロウ+石塚俊明+山本久土)
松崎ナオ
大城安志(チッチ&ベター)

『Sakurazaka ASYLUM 2016』
2016年2月13日(土)、2月14日(日)
会場:沖縄県 那覇 桜坂周辺会場

『ドブロク企画「NO MORE おセンチ野郎 vol.9」』
2016年2月19日(金)
会場:東京都 新宿JAM
出演:
ドブロク
DON Matsuo Magic Mountain
松崎ナオ

『はせがわかおり企画「弾き語り一本勝負」』
2016年2月21日(日)
会場:東京都 下北沢 風知空知
出演:
はせがわかおり
松崎ナオ

『TAPESTRY』
2016年3月11日(金)
会場:北海道 札幌 スピリチュアルラウンジ
出演:
松崎ナオ
メシアと人人
ハロット
○△□
喃語
LittleHeather

プロフィール

松崎ナオ
松崎ナオ(まつざき なお)

シンガーソングライター、ロックンローラー。東京生まれ。ギター(曲によって ピアノ)弾き語り、時にはドラムス、ベースとの3ピースバンド。まっすぐに響く言葉を、たおやかな声に乗せて、よく鳴らしたギターと共に歌う。1998年デビュー、これまでに8枚のアルバムを発表。代表曲に、“川べりの家”(NHK総合『ドキュメント72時間』テーマソング)がある。愛ある音楽を目指して、勢力的に活動中!

行達也(ゆき たつや)

東京都下北沢にあるライブスペース「mona records」元店長。現在はTOWER RECORDSレーベル事業部にて、部長を務める。2012年に、自らバンド「ルルルルズ」を始動させ、ギター、キーボードを担当。2015年、脱退。

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