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Awesome City Club、「シティポップ」を抜け出して、何を歌う?

Awesome City Club、「シティポップ」を抜け出して、何を歌う?

Awesome City Club『Awesome City Tracks 3』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子
2016/06/21
  • 77

昨年CDデビューを果たしたAwesome City Club(以下、ACC)は、そのバンド名もあって、いわゆる「シティポップブーム」の中で語られることの多いバンドだった。しかし、ブーム再燃のきっかけとなったceroが「シティポップ」という言葉と向き合って素晴らしい作品を作り上げた一方で、新世代の筆頭とも言うべきSuchmosが<cityなんかよりtownだろ>と歌うなど、現在は多くのバンドが「シティポップ」という枠に収まることなく、それぞれの道を歩み始めている。そして、前作のラストを“Lullaby for TOKYO CITY”という曲で締め括ったACCもまた、改めて自分たちの道を歩み、難産の末に新作『Awesome City Tracks 3』を完成させた。

そんな現在のバンドにおいてキーパーソンとなっているのが、ボーカルとシンセサイザー担当のPORINではないかと思う。デビュー時よりそのキュートなビジュアルが注目を集め、ステージでも重要な役割を担っていたが、最近のライブではその存在感が格段に大きなものとなり、「可愛らしさ」以上に「強さ」を感じさせる。今回の取材では、デビュー以降のPORINの変遷を軸に、メンバー三人に話を聞いた。

「周りが作り上げたPORIN像に対して誠実に応える」みたいなことが、虚しいなと思うようになって。(PORIN)

―先日観させてもらった『VIVA LA ROCK』(5月28日、29日にさいたまスーパーアリーナで開催。ACCは28日に出演)でのライブがすごくよくて、特にPORINさんのパフォーマンスが以前より開けていたのが印象的でした。

atagi(Vo,Gt):最近いいライブができるようになっていて、バンドとしても勢いに乗ってきていますね。特に「PORIN覚醒期」みたいな感じはあります(笑)。

マツザカ(Ba,Synth,Rap):PORINはサナギの状態が長かったね(笑)。

PORIN(Vo,Synth):『CONNECTONE NIGHT』(5月6日に渋谷CLUB QUATTROで開催。所属レーベルのイベント)がすごく大きかったんですよね。あそこで気づきがあって、自分もバンドも変わったと思います。

左から:ユキエ、マツザカタクミ、PORIN、atagi、モリシー
左から:ユキエ、マツザカタクミ、PORIN、atagi、モリシー

―その「気づき」というのは?

PORIN:すごくシンプルなんですけど、「どれだけ素の自分で歌を歌えるか」ということだと思います。そこに気づけたのは、今回のアルバムを作ったことともすごく関係しているんです。初めて自分の言葉で自分の気持ちを書いたんですけど、その曲は、やっぱり歌ったときに特別な強さがあるんですよね。

PORIN

作詞:PORIN / 高橋久美子、作曲:atagi

―これまでは「素」とは逆に、「作ろうとしちゃってた」ということでしょうか?

PORIN:そうですね。もともと「周りが作り上げたPORIN像に対して誠実に応える」みたいなことをずっと繰り返しやってきて、昔はそれが楽しかったんですけど、だんだん楽しくなくなってきてたんです。やっぱり、作られた自分は虚しいなと思うようになって。

―そもそも最初の「PORIN像」というのはどんなイメージだったのでしょうか?

マツザカ:“4月のマーチ”(1stアルバムのリード曲)で歌われている女の子のイメージを背負わせちゃってたんだと思います。あの曲は、「ACCのことを女の子にもわかってもらえるように」という思いで言葉を詰め込んでみたんですけど(“4月のマーチ”はマツザカがメインで歌詞を書いている)、男の人が書く女の人の歌詞って、実際女の人が書く歌詞より乙女というか(笑)。もちろん、それは悪いことではなくて、PORINのビジュアルと詞の世界観がマッチしていたから、あの曲はたくさんの人に聴いてもらえたんだと思うんです。ただ、たとえばInstagramをやってるPORINとステージに立ってるPORINが、なんとなく違うように見えて気持ち悪かったんですよね。「違いは何なの?」ってPORINに聞くと「ない」って言うんだけど、他のメンバーから見ると明らかに何かが違ってて。

マツザカ

―ステージ上だと、無意識に作っちゃってたってことなんでしょうね。だとすると、PORINさんとしては結構辛い時期も長かったんじゃないですか?

PORIN:めちゃめちゃしんどかったですね。毎日しんどかったけど、その分『CONNECTONE NIGHT』でいいライブができたときはめちゃめちゃ嬉しくて、「これでいいんだろうな」って思えたんです。あの日は自分だけじゃなくて、バンドの意識もすごく高かったんですよ。「ここで決めなきゃまずいだろ」みたいな、気合いも入っていて。

マツザカ:ぶっちゃけて言うと、ステージに出る前に「この曲のこのタイミングでこっちに動いて」みたいな台本を完璧に作ってた時期もあったんです。でも、やっぱりそういうのって意味なくて、その場の空気を読んで、何を発信できるかが大事なんですよね。

―演じるのが得意なタイプのパフォーマーもいると思うけど、PORINさんはそういうタイプじゃなかったってことかもしれないですね。

PORIN:もともとその人の素が出ているようなアーティストが好きだったし、そういうアーティストになりたいと思ってたんです。私は器用なタイプじゃないので、言われたことを100%やるのは苦手だし、いつも想像の範囲内で終わってたんですよね。それじゃあお客さんにも伝わらないよなって、最近になってやっと気づきました。

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リリース情報

Awesome City Club『Awesome City Tracks 3』
Awesome City Club
『Awesome City Tracks 3』(CD)

2016年6月22日(水)発売
価格:2,160円(税込)
VICL-64572

1.Into The Sound
2.Don't Think, Feel
3.Vampire
4.Moonlight
5.ネオンチェイサー
6.エンドロール
7.Around The World

イベント情報

『Awesome Talks -One Man Show 2016-』

2016年6月25日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:大阪府 心斎橋 JANUS

2016年6月26日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'

2016年7月3日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:福岡県 Drum Be-1

2016年7月8日(金)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

プロフィール

Awesome City Club
Awesome City Club(おーさむ してぃー くらぶ)

2013年春、それぞれ別のバンドで活動していたatagi(Vo,Gt)、モリシー(Gt,Synth)、マツザカタクミ(Ba,Synth,Rap)、ユキエ(Dr)により結成。2014年4月、サポートメンバーだったPORIN(Vo,Syn)が正式加入して現在のメンバーとなる。「架空の街Awesome Cityのサウンドトラック」をテーマに、テン年代のシティポップをRISOKYOからTOKYOに向けて発信する男女混成5人組。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル「CONNECTONE(コネクトーン)」の第一弾新人としてデビュー。2016年6月22日に、3rdアルバム『Awesome City Tracks 3』をリリースし、初夏に全国ワンマンツアーを開催することを発表している。

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