Awesome City Club、atagi以外の4人で素直に語る、バンドの状況

ブラックミュージックへのリスペクトを込めて、「ファンクで重要なのは1拍目」というジェームス・ブラウンの言葉をタイトルに冠したAwesome City Clubの1stフルアルバム『Catch The One』は、バンドの抜本的な構造改革の末に生まれた作品である。

「架空の都市」という当初のコンセプトから、サウンド面でも歌詞の面でも、より人間味を感じさせる方向へとシフトチェンジしていくにあたって、やはりそれは決して簡単なことではなかった。しかし、バンドとしての幹を作り上げた前作『TORSO』に続いて、メンバー個々の幹も作り上げられた『Catch The One』の制作を経て、5人は多様性を持った集団のまま、確かにひとつになろうとしている。

オフィシャルサイトではatagiの単独インタビューが掲載されているが、CINRA.NETではPORIN、マツザカタクミ、ユキエ、モリシーの4人へ話を聞くことに。ドラスティックな変化の内幕を語ってもらった。

チームでなにかひとつのことをやるときに、「必要悪」の存在がいないと、事なかれ主義みたいになっちゃうと思うんです。(ユキエ)

―atagiくんがソロインタビューで言っていたのは、「この1年は個々の役割がバンドの内外で明確になった1年で、それによってバンドが改めてひとつになれたんじゃないか」ということでした。4人から見て、この1年はバンドにとってどんな1年だったと思いますか?

PORIN(Vo,Synth):2017年で『Awesome City Tracks』が完結して、新章の幕開けが2018年だったんですけど、3月に『TORSO』を作ったあたりから「Awesome City Club(以下、ACC)らしさ」みたいなものが自分たちでわかり始めたし、ACCの土台ができたと思っていて。そうやってバンド本体がちゃんとしたからこそ、各々が外に目を向けられるようになった感じがします。

―『TORSO』はジャケットでも示されていたように、バンドの幹を作り上げた作品で、あれがあったからこそ、個々でも動けるようになったと。『TORSO』以降、atagiくんが曲作りの軸を担うようになった一方で、モリシーくんはDAOKOや須田景凪のサポート、PORINさんはアパレルブランド「yarden」を始動させるなど、バンド外でも活躍していますね。

モリシー(Gt,Synth):『TORSO』のレコーディングが終わった後の打ち上げで、5人で集まって飲んだんだよね? そのときに「家族みたいになりゃいいんじゃねえ?」みたいな話になった記憶があるんですよ。酔っ払っていたので、誰がどう言ったかまでは記憶にないんですけど(笑)、「それいいな」と思って。そこからバンドの中のことに対して変に気を使わずに考えられるようになったところはあるかもしれないです。

―「家族みたいに」って、誰が言ったのかは覚えてない?

ユキエ(Dr):たぶん、atagiくんかな。あのときわりと彼が話を回していたし、そういうことを伝えたかったんじゃないかなと思います。

Awesome City Club。左から:マツザカタクミ、PORIN、atagi、ユキエ、モリシー
左から:マツザカタクミ、PORIN、モリシー、ユキエ / 初めての4人撮影に、「やっぱり4人だとものたりなさが出る!」と笑いがこぼれる

―ユキエさんは、どんな1年だったと思いますか?

ユキエ:「役割分担をはっきりさせよう」みたいな話が出たとき、私の中では「ご名答」と思ったところがあって、実はめちゃめちゃ意識していました。

私は、バンドの中の「必要悪」になろうと思ったんです。今までだったらディレクターさんとかマネージャーさんが必要悪というか、言わなくてもいいことまで全部言う、周りからしたらちょっと煙たがられる役をやってくれてたと思うんです。でも、「新章にいきます」というタイミングで、マネージャーが前ほどACCに密接には関われなくなって、そうなったときに、誰かがその役をやらないと、いろんなことがうやむやになるなと思って。

PORIN:ユッキー(ユキエ)は本当にすごく変化したというか……進化したなって。この1年で本当にACCになくてはならない存在になりました。

ユキエ:チームでなにかひとつのことをやるときに、「必要悪」の存在がいないと、どんなチームでも事なかれ主義みたいになっちゃうと思うんです。みんなもう大人だからこそ、「まあ、いいか」って受け入れちゃう部分もあるんだけど、でも私は「もう空気は読まない」って決めたんですよね。

ユキエ

―結果的には、それがバンドにとって大きなプラスになったわけですよね。

PORIN:みんなが外に向けば向くほど、そういう存在が一番大事になってくると思うので。

ユキエ:よかった……泣ける(笑)。

30代になったというのもあるんですけど、「自分汁120%」じゃなくてもいいと思えるようになった。(マツザカ)

―主宰のマツザカくんにとっては、どんな1年でしたか?

マツザカ(Ba,Synth,Rap):『TORSO』の前後くらいから、最初に自分の中で考えていたバンド像とは、ずいぶん変わってきたなと思っていて。もちろん、「主宰」とは言いつつも決して僕のバンドということではなくて、昔からみんなのバンドだったんですけど、スタッフの人の意見とかもありつつ、思ってたのとは違う方向にいくこともたくさんあったんです。ベスト盤(2017年8月リリース)が出るまでは、基本的に、リード曲含めて自分が歌詞を書いていたところから、atagiが詞曲をやり出して、自分の中でも変化があって……いろいろ考えましたね。

マツザカタクミ

―きっと、マツザカくんが一番思うところあったんじゃないかと思うんですけど。

マツザカ:今回のアルバムでは2曲の作詞をしていて(“クリエイティブオールナイト”“台湾ロマンス”)、そこには自分がそのまま出たなって思います。

Awesome City Club“台湾ロマンス”

マツザカ:でも、今の気持ちに至るまでのクネクネが、2017年から2018年はずっとありました。その間にみんなは役割を見つけていって、すごく頼もしいなって思ったんですよね。自分が答えを出さなきゃいけないタームもあったけど、そういうことじゃなくてもいいんだなって……長男が末っ子になるみたいな感じというか。

ただ、そうなったときに、今度は自分の存在価値としてここにいることで成し遂げられることとか、自分の理想像、目標はなんなんだろうって……。

―自分がバンドを動かす場面も多かったところから、いい意味で、今は「1/5」になってきた。それは肩の荷が下りたとも言えるだろうけど、その一方ではもちろん葛藤もあったと。

マツザカ:いつの時期にACCと出会ったかによって、僕の印象が全然違うんじゃないかなと思うんですよ。実際初期と今とでは全然キャラクターが違うから、その変遷を見てきた人からは「大丈夫?」って聞かれたりもするし、やっぱりずっと葛藤はありました。今はatagiがやりたいことをサポートする側に回ってるけど、そこに全然折り合いがつかなかった時期もあったし。

ただ、30代になったというのもあるんですけど、「自分汁120%」じゃなくてもいいと思えるようなって、それは自分にとっても発見でした。今まではひとつの物事にフォーカスして見るタイプだったのが、もうちょっとワイドに見られるようになったことで、前は理解できなかったアイデアとか主張も、「なるほどね」って思えるようになって。

マツザカタクミ

―バンドのキャリア的にも、年齢的にも、自分のあり方を改めて見つめ直すタイミングだったんでしょうね。

マツザカ:「主宰」と書いていたのって、「フロントマンと、それ以外」っていう感覚が、自分の中で嫌だったからなんだろうなって。最初はそういうエゴもあったと思うんです。でも、フロントマンがいて、他の演奏者がいてっていうバンドのスタンダードって、やっていくと本当にそうなるものなんだなって、それも発見でしたね。

はっきり言って、2017年と2018年で、atagiくんの目の色が全然違うんです。(ユキエ)

―atagiくんの変化について、4人はどのように見ていたのでしょうか?

PORIN:まず曲の作り方が変わりました。これまではatagiがデモを上げてきて、みんなが詞を書いて、コンペ形式でやってたけど、バンドがまた新しい方向に進むってなったときに、atagiが詞も書きたいって言い始めて。伝えたいことがより明確になってきたんだろうなって。結成当初は「曲にメッセージなんてなくていいじゃん」みたいな感じだったので、すごい変化だと思います。

モリシー、PORIN

―今のatagiくんの歌詞は、1曲ごとに明確なメッセージが盛り込まれていますもんね。

モリシー:アレンジメントもそうかもしれないですね。“Catch The One”は最初にatagiからもらったデータと、最終的な仕上がりがほとんど変わってないんですよ。ストリングスも最初から入れてきていたし、俺がやったのはギターを入れたくらいで。それだけ、最初から曲のイメージがあったんでしょうね。

マツザカ:(atagiは)職人的な部分はずっとあったと思うんです。こだわりがある人だというのは最初から変わってないけど、今までは「これはやりたい、これはやりたくない」っていうのがあっても、「じゃあ、それをどう進めていくか」までは言ってこなかった。そこは責任がついてくる部分で、これまではそれをもうちょっと分散させていたけど、自分のこだわりを通すことで、責任を取って結果を出そうという方向に変化しているのかなと思います。

ユキエ:「責任」というのは私も感じる。これまでatagiくんが歌詞を書かなかったのは、みんなに気を使ってた部分もあったみたいなんです。でも、曲が思うような形に完成しないことが、たぶんストレスだったんじゃないかな。『TORSO』からは自分で作詞作曲をするようになって、時間はかかっても、自分が納得する形にできる環境になったことで、結果的にストレス少なく伸び伸びできてるというか……はっきり言って、2017年と2018年で、atagiくんの目の色が全然違うんです(笑)。

モリシー:そうね、確かに(笑)。

ユキエ、マツザカタクミ

ユキエ:感情がすごいはっきり出るタイプだから、去年までは傍から見ていても辛かったけど、今は「曲できねえ」とか「寝れねえ」とか言いながらも、すごく楽しそうな目をしていて(笑)。そこはメンバーとしてもホッとする。今が彼にとって一番健全で、結果的に、バンドにとっても健全な状態なんじゃないかなって思います。

歌詞うんぬんだけじゃなくて、人間力で持っていってるんだろうなって思うんですよね。(モリシー)

―“Catch The One”について、atagiくんは「メンバーに手紙を書くつもりで書いた」と言っていましたが、この曲をどのように受け取りましたか?

Awesome City Club“Catch The One”

マツザカ:これはアルバムの最後にできた曲で。メジャーデビューしたときに“GOLD”を作って、あれは僕がメンバーに向けて歌詞を書いたんですけど、今回1stフルアルバムだし、最後にそういう1曲ができたらいいなって漠然と思ってて。

メンバーに向けた手紙だというのは、アルバムのプロモーションをしていく中で後から知ったんですけど、改めて歌詞を見直すと「なるほどな」って思いました。この間PORINが違う取材で、「最近メンバーがどんなことを考えてるのか、歌詞で知ることが多い」って話していて、まさにそうなんですよね。

ユキエ:2018年のatagiくんがすごく出てるなって思うのが、「受動」じゃなくて「能動」になってることで。前だったら「連れて行くから」じゃなくて「連れて行って」って言ってるタイプだったと思うんですよ。でも、「連れて行くから」っていう気持ちで日々取り組んでくれているんだろうし、それがちゃんと歌えるような1年を過ごしてきたんだなって。

マツザカタクミ、ユキエ

PORIN:特別フックのある言葉は使わずに、こういうことを書けているのはびっくりしました。歌入れの直前まで歌詞を粘ってる感じも、見ていて頼もしかったです。執念あるなって(笑)。

モリシー:確かに、別にそんな強い言葉は言ってないんですよね。“今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる”とかではないし(笑)。でもなにか染みてくるというのは、みんなの言う「責任感」が滲み出てるからなのかもしれないですね。ライブをしてるときも、頼もしさを感じるんですよ。みんな同じフレーズをずっと弾いてるタイプの曲なので、「大丈夫かな?」ってなりやすい曲ではあるんですけど、その感じが全然なくて。

―曲調としても、ボーカルが引っ張っていくタイプの曲というか。

モリシー:そうそう。それって、歌詞うんぬんだけじゃなくて、人間力で持っていってるんだろうなって思うんですよね。

PORIN、モリシー

みんな5年後とか10年後の話、貯金の話をしてるけど、明日死ぬかもしれないってわかってるのかな?(ユキエ)

―ここまで話してきたように、『Catch The One』はatagiくんが曲作りをリードしつつも、その中で各メンバーも詞曲で個性を発揮しているのがさらなる魅力に繋がっていると思います。“愛とからさわぎ”は、ユキエさんと集団行動の真部脩一さんの共作詞ですね。

ユキエ:これは去年の春くらいから作ってたんですけど、そのきっかけが、バンドを救いたいと思ったからなんです。“ASAYAKE”を録り終わって、「新章ですけど、実際どうするんですか?」ってところで、さんざんいろいろ話したんですけど、誰もなにも掴めてなくて、延々それっぽいことだけを言って終わって、具体的な曲として提案できなくて。これは誰かが0を1にしないと、本当にまずいと思って、モリシーにも手伝ってもらいながら、作り始めたんです。

Awesome City Club“愛とからさわぎ”

―ライナーノーツには「私が幼少期から大好きなとある曲をイメージし、少しオマージュも」とありますね。

ユキエ:サザンオールスターズの“愛の言霊”がめちゃくちゃ好きで。どうせ曲を作るなら、ちゃんと自分が好きなものを伝えないと意味がないと思ったんです。

あと、その頃世間に対してすごく思ってたのが、みんな5年後とか10年後の話、そこに向けた貯金がどうとかって話をしてるけど、明日死ぬかもしれないってわかってるのかな? ということで。そんな先のことばっかり考えて、世の中を憂いてるよりも、まずは目の前のことに120点出せるように頑張りたいし、頑張ってほしいし、楽しまない? みたいなことを書きたくて。

ユキエ

―表向きには男女の話になってるけど、背景にはそういう想いがあったと。

ユキエ:最終的には、真部さんが「それを男女の話に落とし込んだら、ACCっぽくて面白いんじゃない?」って提案してくれて、今の形になったんです。やっぱり、ACCでアウトプットするときはポジティブな形にするのが大事で、その意味は、『Catch The One』の他の曲と並ぶと、よりわかりますね。

―マツザカくん作詞の“クリエイティブオールナイト”はひさびさのラップものですね。

マツザカ:「ラップやったらいいじゃん」って意見があった中で、周りの曲が完成してきて、アルバムにどういう立ち位置の曲が足りてないかを考えたときに、最高の箸休めソングを作ろうぜって話になったんです。昔の自分だったら、わりと熱いことを書いていたと思うんですけど、それこそ自分の立場が変わったのもあって、もうちょっと柔らかい感じの曲にしようかなと。最初は健康について書こうかと思ったり(笑)。

―レイドバックし過ぎ(笑)。

マツザカ:でもそうじゃなくて、これまでなかなか歌詞が書けなかった自分のことを書いてみようと思ったら、その日にバババっとできて。『Catch The One』というアルバムテーマはもう決まってたから、今はまだ結果が出てない、まだ世に知られてない人たちが、夜の間にいろいろ頑張って<明日をクリエーション>という歌詞に繋がっていきました。

ユキエ、マツザカタクミ
Awesome City Club“クリエイティブオールナイト”

―そこはアルバムの全体像も考えた上で書いたと。

マツザカ:“涙の上海ナイト”を作ったときも、そういやこれくらいイージーな感じだったんですよね。そういう曲をまた作りたいと思いつつ、意外と作れてなかったけど、今回できあがってみたら「結構かわいいな」みたいになったので、自分がクリエーションするなら、この方向性が求められてるのかなって思いました。

「ACCの出汁はここにある」って思ったし、大切なことが見つかった感じがしました。(モリシー)

―PORINさんは“ワンシーン”の作詞をしています。

PORIN:究極のデトックスソングです(笑)。ある意味、自己満足でもあるんですけど、たまにこういうのを書きたい衝動に駆られるタームがあって、その機会がたまたまもらえたので書きました。表題曲とか、SNS上の自分とかって、わりとスイッチをONにしてやってる部分があるんですけど、そうじゃない、等身大の自分を出せたらいいなって。

ユキエ:PORINちゃんが一番真面目な子なんだなって、歌詞を見て改めて思いました。「体育会系の真っ直ぐな子」みたいな、その生真面目さが一番出てるなって。

PORIN
Awesome City Club“ワンシーン”

―そして、この曲と“愛とからさわぎ”はモリシーくんの作曲ですね。

モリシー:“愛とからさわぎ”はユキエちゃんの「曲を書きたい!」ってビジョンがあったので、「お、どんどん来い!」って感じだったし、PORINの曲も一緒で、メロディーラインに2人の色がちゃんと出たんじゃないかなと思います。

俺はこういう作業が好きなんですよね。自分の気持ちを曲にしたいとかは全然なくて、「こういう曲にしたい」って言ってくれる人がいると、「頑張るよ!」みたいな。

モリシー

PORIN:でも、“ワンシーン”を作るときは、モリシーのルーツを出してほしいと思って。もともとミスチルとかが好きだから、そういう日本の情緒あふれる感じのメロディーで作ってってリクエストして。

モリシー:思い出した。小林武史さんがピアノを弾きながら、どんな感じで作曲してるんだろうって想像しながら作った気がする(笑)。あの作業は楽しかったな。

“愛とからさわぎ”もそうだけど、atagiがアレンジをやりたいって言って、atagiの意見を聞きながら作業してくと、やっぱりACCっぽくなるんですよね。「ACCの出汁はここにある」というか、atagiのエッセンスが重要なんだなって改めて思ったし、大切なことが見つかった感じがめちゃめちゃしましたね。

 PORIN、モリシー

人間だから、ひとりが調子よくて、ひとりがダメだったりすると、妬んだりとかもするじゃないですか?(PORIN)

―最後に、アルバムを作り終わっての現在の心境をひとりずつお伺いしたいです。

モリシー:なんだろう……軽くなった感じがします。5人の空気もそうだし、演奏してても軽いというか、重圧は感じないんですよ。前は「頑張らなきゃ!」みたいな感じで……いや、むしろ今の方が前以上に頑張ってるんですけど、でも重さはまったくなくて。

PORIN:みんなが健全にやれてる感じがします。それぞれがちょっとした後ろめたさとか、これまでの失敗とかを抱えながらやってたと思うけど、それがだんだん取れてきて、お互いを認め合ってる感じがして。人間だから、ひとりが調子よくて、ひとりがダメだったりすると、妬んだりとかもするじゃないですか? そういう負の感情がなくなって、健全な感じがすごくしますね。

―だから、軽く感じるのかもしれないですね。

モリシー:そうかも。邪気が取れた(笑)。

―ユキエさん、どうですか?

ユキエ:今まではアルバムを作り終わると、「じゃあ、次はどうする?」みたいな、妙な切迫感とか緊張感が走り出してた気がするんです。1枚作り終わると、妙なマイナスオーラが出るというか。でも、今回は実際にもう次の曲を作り始めてるのもあって、変な切迫感なく、いい空気のままいられていて……それこそ、軽い(笑)。

マツザカ:これ最後まで「軽い」に繋げなきゃいけないやつ?(笑)

―気にしなくていいです(笑)。

ユキエ:それこそ、役割がはっきりしたからかもしれない。今まではとにかくアルバムのために一生懸命やって、終わったら、「次どうしよう?」ってなってたけど、今は終わったら、「じゃあ、私はまたこの立ち位置で頑張るね」ってなれる。だから、気持ちが下を向くことがないのかもしれないです。

―マツザカくん、どうでしょう?

マツザカ:このアルバムは2018年の集大成であり、次への伏線なのかなとも思っていて。このアルバムを作ってきた2018年の自分たちが、次になにをキャッチしていくのか。バンドとしても、個人としても、それを感じながら、来年に向かっていくんじゃないかなって。たとえば、そのときにatagiが作った曲がそのときのACCらしさになったりするんだと思うから、なにか違う方向にいきたくなったらそれはそれでいいし……ある種、軽い考えで。

―言ったね(笑)。でも1年の集大成であり、次への布石でもあるっていうのは納得で、その「これで終わりじゃない」っていう感じが、ある種の「軽さ」に繋がってる気がします。ラストに“8月とモラトリー”が収録されているように、この1年はバンドにとってのモラトリアム期で、アルバムの制作によって、その時期を通過した。だからこそ、1年の集大成でありつつ、これから先がより楽しみになる作品でもあるなって。

ユキエ:最後に“8月とモラトリー”を提案したのは私なんですけど、私より上手いことまとめられちゃった(笑)。

―なかなかレアな座組みの取材だったと思うけど、ゆっくり話が聞けてよかったです。貴重な機会になりました。

PORIN:ちゃんとみんなが同じ方向を向いているのがわかりました。

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Awesome City Club
Awesome City Club (おーさむ してぃ くらぶ)

2013年春、それぞれ別のバンドで活動していたatagi、モリシー、マツザカタクミ、ユキエにより結成。2014年4月、サポートメンバーだったPORINが正式加入して現在のメンバーとなる。メンバーそれぞれの多種多様な音楽的ルーツをMIXした、男女ツインヴォーカルの男女混成5人組。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル「CONNECTONE(コネクトーン)」より、第一弾新人としてデビュー。2015年4月8日に1stアルバム『Awesome City Tracks』をリリースし、iTunesロックチャートで1位を獲得するなど話題を呼んだ。デビューから「Awesome City Tracks」シリーズとしてコンスタントに2年間で4枚のアルバムをリリース、2017年にはベストアルバムを発表。2018年3月14日、バンドの新章幕開けとなるEP『TORSO』をリリース。その後立て続けに配信シングル3作を発表し、いよいよ満を持して12月19日に1stフルアルバム『Catch The One』をリリース。様々なジャンルでクリエイターやファッションブランド等とのコラボレーションも積極的に行い、PORINは自身がブランドディレクターを務める「yarden」を立ち上げる等、バンド・個人共にカルチャーとしても注目を集める存在となっており、 2020年にはACC主催のカルチャーフェスの開催を目標に掲げている。



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