特集 PR

期待の新鋭・mol-74が語る「音楽のファストフード化は悲しい」

期待の新鋭・mol-74が語る「音楽のファストフード化は悲しい」

mol-74『kanki』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子
2016/08/17
  • 113

京都発の3ピースバンド・mol-74(モルカルマイナスナナジュウヨン)の新曲“%”が素晴らしい。<パッとしないこの世界を変えよう>という歌い出しで始まるこの曲のミュージックビデオでは、大学の教室で突っ伏している生徒たちが、曲と共にクラップを始め、やがて風船で自由に遊びだす。サビでは<二つとない 一つしかない 君にしか見えない、聞こえないもの>と歌われてもいるように、“%”とはつまり「可能性」をテーマにした歌であり、それはmol-74のフロントマンである武市和希がバンドを始めるきっかけとなったASIAN KUNG-FU GENERATIONが、かつて“君という花”に込めたメッセージにも通じると言える。

改めて紹介すると、mol-74は武市のファルセットを生かしたボーカル、アコギやピアノを用いた幻想的なサウンドスケープがいわゆる邦楽のギターロックとは一線を画すバンドであり、その冷たくも暖かな世界観は北欧のバンドに通じるもの。しかし、“%”を収録した新作『kanki』では、いつになく外向きに開かれた表現へと変化しているのがポイントだ。CINRA.NET初登場となる今回のインタビューでは、武市にこれまでの歩みを振り返ってもらうと共に、現在のシーンに対する彼の目線をストレートに語ってもらった。

僕、昔はパティシエになりたかったんですよ。

―武市くんはいつ頃からミュージシャンを志していたのでしょうか?

武市:親が音楽好きで、マドンナとかマイケル・ジャクソン、B'zとかサザンオールスターズをずっと聴いていたので、小さい頃から音楽には親しんでいました。でも僕、昔はパティシエになりたかったんですよ。

―パティシエ? いきなりバンドとはかなり離れた職種が出てきましたね(笑)。

武市:もはやなんでなりたいと思ったのかも覚えてないんですけど、小学生のときにはもう「パティシエになるんだ」と思ってましたね。でも、よくある話ですけど、高校の文化祭で先輩がバンドやってるのを見て、「音楽やったらモテるんじゃないか?」と思ってバンドを始めたんです。ただ、最初はそんなノリだったんですけど、その頃に見たASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)の武道館のライブDVDが衝撃だったんですよね。 それまで大きなライブに行ったこともなかったから、「こういう世界があるんだ」と衝撃を受けて。人の作ったものがこんなに多くの人に受け入れられている、その空間がすごいなと思ったんです。それで、最初はアジカンとかBUMP OF CHICKEN(以下、バンプ)みたいな王道のJ-ROCKのコピーから始めて、高3のときには将来も音楽をやっていきたいと思うようになりました。

武市和希
武市和希

―じゃあ、高校を卒業して本格的にバンド活動を開始したんですか?

武市:いや、とはいえ親には昔から「パティシエになる」って言ってたんで、1年だけ調理専門学校に行って、一回就職もしてるんです。ただ、そのときも音楽は続けようと思っていて、本格的な洋菓子店だと音楽活動ができないから、工場勤務を選んだんですよ。でも、いざ働き始めるとなかなか時間が作れなくて、結局その年の秋にはやめちゃって。そこからですね、腹括って「音楽やるか」と思ったのは。

日本のJ-ROCKシーンって、ずっとギターロックが突っ走ってるイメージで、それがつまんないなと思っちゃったんです。

―音楽性に関しても、その頃から徐々に変わってきたわけですか?

武市:そうですね。学生時代は邦楽しか聴いてなくて、しかも王道のバンドばっかり聴いてたから、自分の作る音楽も全部アジカンみたいだったんです。ライブを観に行って、「バンプと一緒じゃん」みたいなバンドは嫌だなって思ってたのに、自分がそうなっちゃってることに気づいて、洋楽に目覚めました。

入り口はCOLDPLAYで、それまでバンドといったら「ボーカル、ギター、ベース、ドラム」というイメージだったから、ボーカルのクリス・マーティンがアコギもエレキも鍵盤も弾いていたり、ドラムのウィル・チャンピオンがティンパニを叩いたりしているのが、すごくカルチャーショックだったんです。「自分で音楽の幅を狭めちゃってたんだな」と思って、そこからは逆に「洋楽しか聴かない」くらいの感じになりましたね。

―少し硬く言えば、よりオリジナリティーの高いもの、他にはないものを作ろうと思うようになったとも言えそうですね。

武市:日本のJ-ROCKシーンって、ずっとギターロックが突っ走ってるイメージで、それがつまんないなと思っちゃったんです。今の若い子たちは洋楽離れが進んでるっていうけど、それもすごくつまらないなと思うんですよね。

「自分たちにしかできないことをやりたい」というのは前からずっと思っていたことで。たとえば、僕らが解散したとして、取って代わるバンドがいっぱいいたらすごく残念。だから、「この人らじゃないとできない」というものであるために、いろんな部分で他との差異をつけていきたいとはずっと思ってました。

Page 1
次へ

リリース情報

mol-74『kanki』
mol-74
『kanki』(CD)

2016年8月17日(水)発売
価格:2,052円(税込)
LADR-008

1. エイプリル
2. %
3. プラスチックワード
4. ゆらぎ
5. アンチドート
6. pinhole
7. 開花

イベント情報

mol-74
『kanki』release tour

2016年10月27日(木)
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
出演:
mol-74
Ivy to Fraudulent Game

2016年10月28日(金)
会場:大阪府 梅田 Zeela
出演:
mol-74
雨のパレード

2016年11月13日(日)
会場:東京都 六本木 SuperDeluxe
※ワンマンライブ

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume88』

2016年8月25日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
Kidori Kidori
MARQUEE BEACH CLUB
mol-74
あいみょん
and more
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

mol-74
mol-74(もるかるまいなすななじゅうよん)

武市和希(Vo,Gt,Key)、井上雄斗(Gt)、坂東志洋(Dr)。京都にて結成。武市の透き通るようなファルセットボイスを軸に、北欧のバンドにも通じる冷たく透明でありながら、心の奥底に暖かな火を灯すような楽曲を表現している。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

Got a minute ? 動画これだけは

Suchmos“PINKVIBES”

Suchmosがアルバム『THE KIDS』より“PINKVIBES”のPVを公開。山田健人(dutch_tokyo)との久々のタッグとなるこの映像。余裕すら感じるシュアな演奏シーンやふとした表情が絶妙なバランスで映し出される。燃え盛るピンクの炎と、それに向けるメンバーの強い眼差しを見ると、Suchmosがこれからどんな風景を見せてくれるのか期待が高まる。(飯嶋)