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なぜ花澤香菜は、歌い手として一流の音楽家から愛されるのか?

なぜ花澤香菜は、歌い手として一流の音楽家から愛されるのか?

花澤香菜『Opportunity』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:森山将人 編集:山元翔一

花澤香菜が2013年に発表した1stアルバム『claire』は、2010年代のジャパニーズポップスの最重要作のひとつに数えられる作品である。トータルプロデューサーを務めたROUND TABLEの北川勝利をはじめ、沖井礼二(TWEEDEES / ex.Cymbals)、矢野博康(ex.Cymbals)、ミト(クラムボン)といった「ポスト渋谷系」と呼ばれる世代が集結し、渋谷系とアニソン / ニコ動文化をつなぐ、新たなポップスのスタンダードを提示。渋谷系の先輩たちとは違う道を模索しながら、それぞれキャリアを積み重ねてきた音楽家たちが「アニメ」を軸に邂逅を果たし、それを実現させたのが花澤の唯一無二の歌声だった。

「ニューヨーク」がテーマの前作『Blue Avenue』に続き、新作『Opportunity』のテーマは「イギリス」。花澤作品ではお馴染みの顔触れに加え、今回初めて作家として参加したのが、kz(livetune)とSpangle call Lilli lineであり、それぞれが持ち味を存分に発揮した楽曲で、アルバムのUK色に大きく貢献している。

そこで今回は花澤と北川に加え、kz(livetune)とSpangle call Lilli lineから藤枝憲を迎えての座談会を実施。『claire』の再検証から『Opportunity』の制作秘話、花澤の歌声の魅力まで、四人に幅広く語り合ってもらった。

キャラクターソングで、甘いものも辛いものもたくさん歌ってきたので、「花澤香菜として歌う」となるとどうなるかなって思ったところはあった。(花澤)

―まずは1stアルバムの『claire』について振り返っていただきたいと思います。北川さんをはじめとした「ポスト渋谷系」と呼ばれる世代の音楽家が集まって、渋谷系とアニソン / ニコ動の文脈をつなぎ、新たなポップスのスタンダードを提示したアルバムと言えるように思うのですが、実際北川さんはあの作品をどう捉えていらっしゃいますか?

北川:……いいアルバムでした(笑)。

花澤:いいアルバムでしたねえ。

左から:藤枝憲、kz(livetune)、北川勝利、花澤香菜
左から:藤枝憲、kz(livetune)、北川勝利、花澤香菜

北川:まあ、そういう分析ももっともだなとは思うんですけど、そもそも花澤香菜プロジェクトが立ち上がるまでには1年間の準備期間があったんです。それまでもずっとキャラクターソングは歌っていましたけど、「花澤香菜」の名義で作品を出すにあたって、どういう歌い方や曲調がいいのかということを、チームで1年間ずっと探っていて。

『claire』は、最初の1年で出した4枚のシングルの集大成だったんです。だからあの作品を作るにあたっては、贅沢な準備期間を経て「最高のものを作りましょう」って考えていただけで。自分も含めて作曲陣に「ポスト渋谷系」と呼ばれる人脈の人が多かったから、結果的にはそういう切り口もできると思います。でも別にそういった狙いがあったわけではなく、自分たちのベストを尽くしただけですね。

花澤:歌い方に関して言うと、キャラクターソングでは「そのキャラクターが歌っている」っていう考えでやってきたんです。そうやってすごく甘いものも辛いものもたくさんやったので、「花澤香菜として歌う」となるとどうなるかなって思ったところはあって。『claire』に関しては、自分的にはちょっと甘めなんです。でも、そこから作品を重ねるうちに、どんどん等身大に近づいて、今はとっても心地いい場所にいる感じですね。

花澤香菜

ここに参加できると、一人のミュージシャンとして認められた気がするんです。(kz)

―kzさんは花澤さんのこれまでの活動に対してどんな印象をお持ちですか?

kz:一般的に「声優さんのアルバム」っていうと、アニメの延長線上にあることも多いじゃないですか? でも、花澤さんのアルバムはそういう作品ではなくて、シンプルに「花澤香菜」というボーカリストをどう料理するのが最善なのかを考えて作られたアルバムだと思うんです。

なので、音楽をやっている人に対してわざわざ言うのも変な話ですけど、「真面目に、真摯に作品を作ろうとしている」という熱意をすごく感じていました。だから今回参加することができてすごく嬉しかったですし、ここに参加できると、一人のミュージシャンとして認められた気がするんですよね(笑)。

kz(livetune)

―藤枝さんは、花澤さんの活動をどう見ていらっしゃいましたか?

藤枝:参加するにあたって、僕は花澤さんに声優さんとしてのイメージがまったくない状態だったんです。やくしまるえつこさん(相対性理論)とか空気公団の山崎(ゆかり)さんが曲を書いてたので、お名前は知っていたんですけどね。まさか自分たちが曲を書くとは思ってなかったです。僕はそもそも、他の人に曲を書くことがほとんどないんで(笑)。

藤枝憲

―花澤さんには書いたのは、まず北川さんとの関係性があったから?

藤枝:いや、北川さんとも今回初めてお会いしました。

北川:Spangle call Lilli line(以下、スパングル)の笹原(清明)くんには1990年代から何度もアーティスト写真を撮ってもらったりしていたので、スパングルのことは、「カメラマンの笹原くんがやってるバンド」っていうイメージだったんです。でも、実は2枚目の『25』(2014年)のときに、すでにスパングルにお願いしたいと考えていたんですよね。そのときはタイミングが合わなかったんですけど、今回はテーマが「イギリス」ということもあって、絶対参加してもらいたいなって思ったんです。

―『Opportunity』のテーマが「イギリス」なのは、前作『Blue Avenue』(2015年)のテーマが「ニューヨーク」だったことの延長線上にあるわけですよね?

花澤:『Blue Avenue』を作っているときに、すでに「次はロンドンだね」っていう提案があって、その段階でもう決まっていたというか。ロンドンに行く支度も始めていたくらいで(笑)。

北川:もともと、『25』のときにギターポップ / ネオアコ的なものもやっていて、全然ない切り口ではなかったんですよね。前回はニューヨークセッション的な、ジャジーなものに絞ったこともあり、次の切り口はイギリスっていうのが面白いんじゃないかって、チーム内で盛り上がったんです。

北川勝利

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リリース情報

花澤香菜『Opportunity』初回生産限定盤
花澤香菜
『Opportunity』初回生産限定盤(CD+Blu-ray)

2017年2月22日(水)発売
価格:4,104円(税込)
SVWC-70251/2

[CD]
1. スウィンギング・ガール
2. あたらしいうた
3. FRIENDS FOREVER
4. 星結ぶとき
5. 滞空時間
6. カレイドスコープ
7. 透明な女の子
8. Marmalade Jam
9. Opportunity
10. ざらざら
11. 雲に歌えば
12. FLOWER MARKET
13. brilliant
14. Seasons always change
15. Blue Water
[Blu-ray]
・ロンドンで撮影された特典映像を収録

花澤香菜『Opportunity』通常盤
花澤香菜
『Opportunity』通常盤(CD)

2017年2月22日(水)発売
価格:3,240円(税込)
SVWC-70253

1. スウィンギング・ガール
2. あたらしいうた
3. FRIENDS FOREVER
4. 星結ぶとき
5. 滞空時間
6. カレイドスコープ
7. 透明な女の子
8. Marmalade Jam
9. Opportunity
10. ざらざら
11. 雲に歌えば
12. FLOWER MARKET
13. brilliant
14. Seasons always change
15. Blue Water

イベント情報

『花澤香菜 live 2017“Opportunity”』

2017年4月15日(土)
会場:東京都 オリンパスホール八王子

2017年5月6日(土)
会場:愛知県 名古屋 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

2017年5月13日(土)
会場:宮城県 仙台電力ホール

2017年5月21日(日)
会場:大阪府 オリックス劇場

2017年6月4日(日)
会場:千葉県 市川市文化会館 大ホール

プロフィール

花澤香菜
花澤香菜(はなざわ かな)

声優として2004年に声優活動を開始。アニメ・ゲームなどを含む150を超える作品に出演し、その演技力の高さと声質の良さでファンから絶大な支持を受けている花澤香菜。音楽活動は、2012年4月にシングル『星空☆ディスティネーション』でソロデビュー、オリコン7位を記録。以降のシングルも上位にランクインし、声優としては史上初となるソロデビュー以来4作連続でのオリコントップ10入りを果たした。2013年2月リリースの1stフルアルバム『claire』は同6位を獲得。2013年12月には音楽活動の2ndシーズンを始動し、5thシングル『恋する惑星』をリリース。2014年2月に25曲入りの2ndアルバム『25』を発売し、オリコン8位を獲得した。2015年4月22日には3rdアルバム『Blue Avenue』を発売し、さらに本アルバムを引っさげてのライヴツアー『花澤香菜 live 2015“Blue Avenue”』を開催した。ツアー初日に武道館公演を実施、花澤自身目標にしてきたという、初の武道館公演を経てさらなる成長を遂げた。2017年2月22日、音楽活動4thシーズンを締めくくる4作目となるアルバム『Opportunity』をリリースする。

北川勝利(きたがわ かつとし)

大学のJAZZ研究会でROUND TABLEを結成。1997年、高橋幸宏の主宰する「コンシピオレコード」よりミニアルバム『WORLD'S END』を発表。 その後マーキュリーより1stアルバム『DOMINO』をリリースするなど、これまでミニアルバム、マキシシングル含め18枚の作品を発表している。現在はリリース、ライブの他に、楽曲提供、編曲、プロデュースの活動も並行して活発に行っている。

kz(けーぜっと)

ClariS、Tokyo 7th Sistersの楽曲を始め、アニソン、ゲーム、J-POPなどを手掛ける音楽プロデューサー。またDJとしても『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』『COUNTDOWN JAPAN』『ULTRA JAPAN』『ニコニコ超会議』などジャンルの垣根を越えて数多くのフェス、イベントに出演。2016年からは中田ヤスタカ、tofubeats、banvoxらと新たなイベント『YYY』を始動。またlivetune名義では「Google Chrome - 初音ミク篇 -」のCM曲“Tell Your World”、マジカルミライ2015のテーマソング“Hand in Hand”を始め、数多くの初音ミク作品を生み出す一方、SEKAI NO OWARIのFukase、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔など豪華リアルボーカリストを迎えた楽曲もリリースしている。

藤枝憲(ふじえだ けん)

1998年、大坪加奈、笹原清明とともにSpangle call Lilli lineを結成。今までに10枚のオリジナルアルバムなど数々の作品を発表し、2015年11月には5年半ぶりとなるフルアルバム『ghost is dead』をリリースした。CDジャケット、本の装丁、舞台の宣伝美術など様々な分野でのデザイン、アートディレクションを手掛けるデザイン事務所「Coa Graphics」の代表も務める。

関連チケット情報

2017年4月15日(土)〜6月4日(日)
花澤香菜
会場:オリンパスホール八王子(東京都)
2017年5月13日(土)
花澤香菜
会場:電力ホール(宮城県)
2017年5月21日(日)
花澤香菜
会場:オリックス劇場(大阪府)

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