現代美術家としても活躍するタナカカツキの処女単行本『逆光の頃』が、新装版として太田出版から刊行された。
『逆光の頃』は、1988年から『コミックモーニング』および『モーニングOPEN』(現在の『モーニング』)で連載されたタナカカツキのマンガ家デビュー作品。京都を舞台に「中学生」という不安定な時期を巧妙に描写しており、現在のナンセンスな作風とは異なる繊細な世界観が魅力だ。大胆に使用されたベタや余白と、巧みに用いられているスクリーントーンが作り出すビジュアルセンスは、読む者の記憶に深い印象を残してくれる。
巻末にはタナカカツキとポータルサイト「webDICE」にてマンガコラム「マンガ漂流者(ドリフター)」を連載中の吉田アミ、マンガ読み・石原進吾による座談会も収録。『逆光の頃』がメジャー青年誌に連載された理由、京都取材時のエピソードなど、作品をより深くを楽しむことができる内容となっている。