稲垣吾郎・松雪泰子・藤原竜也・のんの朗読で発見する、湊かなえ作品の魅力。Audibleで4作品を配信

Amazon オーディブルで、湊かなえの小説4作品の配信が始まった。11月14日から4日連続で配信されるこの企画では、稲垣吾郎が『少女』、松雪泰子が『境遇』、藤原竜也が『リバース』、のんが『未来』を朗読。豪華俳優たちによって、作品に新たな息が吹き込まれている。

「読書バリアフリー」という観点からも注目されるオーディオブックの魅力とは何か。稲垣、松雪、藤原、のんのコメントとともにお届けする。

広がる「聴く読書」体験。アクセシビリティの必要性

ここ数年で急速な成長を見せているAmazon オーディブル(以下、Audible)。プロのナレーターや俳優、声優が読み上げる作品を多く配信しており、9月には妻夫木聡が朗読を務める『ノルウェイの森』など村上春樹の著作7作品を配信し、話題を集めた。

7月にはオリジナルのPodcast番組として、佐久間宣行がプロデュースするラジオ『加藤浩次と山口一郎のとんぼとサカナ』も配信。小説に限らずニュースからお笑いまで、幅広い音声コンテンツを提供している。

障害の有無を問わず、すべての人が読書体験にアクセスできることを目指す「読書バリアフリー」という観点からも、オーディオブックは欠かせない存在だ。

第169回芥川賞を受賞した『ハンチバック』の作者・市川沙央は授賞式で、「私が一番訴えたいのは、やはり『読書バリアフリー』が進んでいくことです」とコメントしている。

稲垣吾郎「主人公の『少女』も私が朗読するという新たな経験」

Audibleで今回新たに配信されたのが、日本でも屈指の人気を誇る湊かなえの4作品だ。

稲垣吾郎が朗読する『少女』は、『告白』に次ぐ湊かなえの第2作目。2人の高校2年生の少女が「人が死ぬ瞬間」を見たいという欲望と願望を胸に過ごす衝撃的な夏休みを描いた長編ミステリーだ。

稲垣は2016年の映画版にも出演。本作と「2度目のタッグ」を組んだ稲垣は、「自分が関わった作品の中で異なる役柄を演じることがとても面白かった」とコメントしている。

映画『少女』では高雄孝夫役を演じましたが、今回は主人公の「少女」も私が朗読するという新たな経験で、自分が関わった作品の中で異なる役柄を演じることがとても面白かったです。録音ブースの中で作品を朗読することでその世界に完全に没入できる素晴らしい経験でした。湊かなえ作品は毎回、ぞくぞくするような展開や予測不可能なラストシーン、そして人間の本質を巧みに捉えた心理描写に驚かされます。ぜひAudibleでお楽しみください。

――稲垣吾郎
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松雪泰子「単なるサスペンスではなく『赦し』の物語」

松雪泰子が朗読する『境遇』には、親友で同じ境遇を持つ2人の女性が登場。政治家の妻で息子のために描いた絵本がベストセラーとなった高倉陽子の息子が誘拐され、「息子を返してほしければ、真実を公表しろ」という脅迫状が届く――というあらすじだ。

松雪泰子は『境遇』がドラマ化された際に高倉陽子役を演じた。

今回の朗読で改めて作品が単なるサスペンスではなく「赦し」の物語であるということに感銘を受けました。Audibleの魅力は音声だけで広がるイマジネーションにあります。
俳優の感性を通じて物語を聴くことでは自分で読むのとは異なる新たな魅力を見つけることができると思います。ぜひ俳優の表現も一緒に楽しんでください。

――松雪泰子
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藤原竜也「一言一句間違えることなく伝える、難しい挑戦」

藤原竜也が朗読する『リバース』は、湊かなえの長編小説で初めて男性が主人公となるミステリー小説だ。

平凡なサラリーマンの深瀬和久に人殺しだと糾弾する告発文が送られてきたところから物語が始まる。藤原竜也は同作がドラマ化された際に深瀬役を演じた。

また、この『リバース』、そして湊かなえ先生に一緒に関われるというのが嬉しかったです。一言一句間違えることなく、皆さんに伝えなくてはならない作業というのはここまで大変なんだという感じで、難しい挑戦でした。小説になじみのない方も、寝る前や通勤通学するときに聴いてみると、毎日の新しい楽しみが1つ増えるんじゃないかと思います。

――藤原竜也
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のん「この作品を伝えるという使命を果たさなければならないんだ、と衝撃を受た」

のんが朗読する『未来』は、デビュー作『告白』から10年後の2021年に刊行された長編ミステリー。

ある日少女に未来の自分から一通の手紙が届くことから始まる物語で、家にも学校にも居場所のない追い詰められた子どもたちを待つ未来が描かれる。

湊先生の10周年の作品であり、初めてあとがきを書いた作品だと知りました。
そのあとがきを読んだ時に私はこの作品を伝えるという使命を果たさなければならないんだ、と衝撃を受けました。
作品の中にある問題や希望について、たくさんの人に知ってもらいたいと思いましたし、すでに読んだことのある人にとっても、この朗読がいいものとなるようにしなければならないと思いました。
手を差し伸べてくれる人、自分自身が声を上げなきゃいけない事。この物語に浸れば、見えてくる。
たくさんの方の未来に、
この物語が交わりますように。

――のん

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CINRA編集部でも今回配信された4作品の視聴を体験してみたが、想像以上に聴きやすく、ナレーターの演技力も相まって物語の世界に引き込まれた。「ながら聴き」で作品を楽しむこともできるし、それぞれの俳優たちの個性を感じることができるのも、オーディオブックの魅力の一つだろう。

作品はAudibleで11月14日から順次配信されている。月会費は1,500円(初月無料)で、12万作品以上を聴き放題で視聴できる。

『少女』
配信日:11月14日
著者:湊かなえ
ナレーター:稲垣吾郎
親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く――死の瞬間に立ち合うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。
『境遇』
配信日:11月15日
著者:湊かなえ
ナレーター:松雪泰子
デビュー作の絵本『あおぞらリボン』がベストセラーとなった陽子と、新聞記者の晴美は親友同士。
共に幼いころ親に捨てられ児童養護施設で育った過去を持つ。
ある日、「真実を公表しなければ、息子の命はない」という脅迫状とともに、陽子の息子が誘拐された。「真実」とは一体何なのか。そして犯人は……。
『リバース』
配信日:11月16日
著者:湊かなえ
ナレーター:藤原竜也
深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会ううちに、付き合うようになる。淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。何のことかと詰め寄る美穂子。深瀬には、人には隠していたある“闇”があった。それをついに明かさねばならない時が来てしまったのかと、懊悩する。
『未来』
配信日:11月17日
著者:湊かなえ
ナレーター:のん
「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。あなたはきっと、これはだれかのイタズラではないかと思っているはず。だけど、これは本物の未来からの手紙なのです」ある日突然、少女に届いた一通の手紙。送り主は未来の自分だという──。家にも学校にも居場所のない、追い詰められた子どもたちを待つ未来とは!? デビュー作『告白』から10年、新たなる代表作の誕生!


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