CINRAが未来を照らす表現を讃える『CINRA Inspiring Awards』開催。ジャンルレスな受賞9作品を発表

「ソーシャル×カルチャー」をコンセプトに掲げるウェブメディア「CINRA」の運営や企業のブランディングなどを手がけるCINRA, Inc.がアワード『CINRA Inspiring Awards』を開催。特設サイトが公開された。また、7月15日に都内某所で授賞式が行われる。

『CINRA Inspiring Awards』は、ジャンル問わず、これからの時代を照らす作品の創造性や芸術性を讃えるアワード。初回となる今回は、2024年以降に発表された作品を対象に、各界を代表する9人の審査員によって選出された9作品が受賞した。同アワードを通じて次世代の表現者が新たな一歩を踏み出すきっかけとなり、業界全体の活性化につながることを目指す。

審査員はエリイ、金原ひとみ、コムアイ、岨手由貴子、遠山正道(スマイルズ)、穂村弘、真鍋大度、山戸結希、林士平。特設サイトでは、受賞作品関連コンテンツや審査員へのインタビュー記事が公開される予定だ。

メッセージ

CINRAは、創業以来約20年にわたり、芸術文化の領域に根差し、メディアを通じて多くの表現者の作品や声を届けてきました。審査員の皆様のご協力を得て、「これからの時代をかたちづくる」多様で多彩な作品を社会に伝えていくアワードを開催いたします。

わたしたちは、「CINRA Inspiring Awards」を通して、次の時代を予感させる新たな表現がより広く人々に届くことを願っています。

受賞作品一覧

穂村弘賞

作品名
あおむけの踊り場であおむけ

作品ジャンル
歌集

作品クレジット
著者:椛沢知世 装丁:成原亜美 装画:millitsuka 編集:藤枝大

作品説明
『笹井宏之賞』第4回で大賞を受賞した椛沢知世の第一歌集。「犬の骨を犬のようにしゃぶりたいと妹の骨にも思うだろう」などの歌を収録。栞文は大森静佳、染野太朗、永井祐、野口あや子、神野紗希ら歌人・俳人が務める。

審査員・穂村弘のコメント
未知の言語体験によって、生まれた時から見慣れてきたはずの世界がまったく新しい表情を見せてくれる。
日本語検定一級の宇宙人が書いた短歌を連想しました。

真鍋大度賞

作品名
ETERNAL Art Space Exhibition

作品ジャンル
展覧会

作品クレジット
re-assembli, ground / RYOICHI KUROKAWA
HINT / SPIME.IM + AKASHA

作品説明
現実を芸術として見せることで観る者に変容体験をもたらすというテーマのもと、日本を代表するオーディオビジュアルアーティスト・黒川良一による『re-assembli』『ground』、イタリアのアートコレクティブ・SPIME.IM + AKASHAによる『HINT』を展示した『ETERNAL Art Space Exhibition』(2024年11月開催)。AI解析や報道映像を融合し、戦争・資本主義・メディア構造といった現代社会の複雑なテーマを、巨大な3面スクリーンで没入型に提示。視覚と聴覚を通じて現実を再構成し、鑑賞者の視野と意識を拡張する刺激的なオーディオビジュアル・インスタレーション。

審査員・真鍋大度のコメント
自然と人工の境界を揺るがしながら、空間と時間を再構築する力強い作品。対してSPIME.IM + Akashaは、AIと社会批評を融合し、情報と暴力の時代を鋭く映し出している。どちらもテクノロジーがもたらす美と異常性を高次元で表現しており、非常に刺激的な展覧会だと感じる。

林士平賞

作品名
恋とか夢とかてんてんてん

作品ジャンル
漫画

作品クレジット
(C)世良田波波/マガジンハウス「SHURO」

作品説明
『このマンガがすごい!2025』オンナ編2位、『THE BEST MANGAこのマンガを読め!』5位、『CREA 夜ふかしマンガ大賞2024』7位などランキング続々の話題作。やさしくなれない、変われない、でも変わりたい。大阪を舞台に描かれる夢を捨てきれない29歳・カイちゃんの「激痛」青春ストーリー。

審査員・林士平のコメント
主人公・貝塚の不器用だけど走り続ける片思い。
吹き上がる恋愛感情を精緻に描き出す描写力。
初連載作品の瑞々しさも含めて素晴らしいです。

金原ひとみ賞

作品名
SUNG LEGACY

作品ジャンル
音楽

作品クレジット
アーティスト:さよならポエジー
発売日:2024/03/06 (Wed) RELEASE

作品説明
神戸で結成されたスリーピースバンド・さよならポエジーの4thアルバム。前作から3年ぶりとなる2024年にリリースされた。”ボーイング”をはじめとしたアッパーな曲を多数収録。ジャケットのデザインも過去のアルバム3作とは一新され、バンドの新たなモードが垣間見える作品となっている。

審査員・金原ひとみのコメント
TikTokでキャッチーな曲のキャッチーな部分が流行るのと真逆をいく、聴けば聴くほど嵌る新譜です。読み返したくなる歌詞、丁寧に踏まれた韻、直球で滋味深い演奏が、合理を追求する時代への苛立ちを癒してくれました。

遠山正道賞

作品名
集合論

作品ジャンル
音楽

作品クレジット
作詞作曲 .jvkn
プロデュース .jvkn、濱田織人
コーラス 芦那すみれ
ミックス 土岐彩香
マスタリング 山崎翼

作品説明
音楽家・立石従寛のソロプロジェクト「.jvkn」の2ndシングル。数学の集合論をメタファーに「定義しきれない感情とそれを受け入れる心」を描いた作品。愛を変数として分類しながらも「未だ名付けられていない」存在を示唆し、曖昧さにこそ宿る美しさを表現する。展開が読めない不明瞭な構成をシネマティックなコード進行と綿密にデザインされたエレクトロサウンドが説得力を加え、繊細なボーカルが融合する。多文化下で育った.jvknの、ノンジャンルを貫く力強さと儚さが奏でられた1曲。アラビア砂漠を歩くアートワークやバックリードとして参加する芦名すみれが雪山を歩くMVなど、二元性を自由に行き来するクリエイティブにも注目。

審査員・遠山正道のコメント
誰もが人生を自ら生きる今この時、コンテンポラリーアーティストである立石従寛が改めて.jvknとして世に放つ「集合論」は、自ら激しくタタく陣太鼓としてわれわれを優しく鼓舞する。

岨手由貴子賞

作品名
能登デモクラシー

作品ジャンル
映画

作品クレジット
監督:五百旗頭幸男 製作:石川テレビ放送 (C)石川テレビ放送

作品説明
『はりぼて』『裸のムラ』の五百旗頭幸男監督のドキュメンタリー映画。過疎化の進む石川県穴水町。限界集落に妻と7匹の猫と暮らす滝井元之さんは手書き新聞『紡ぐ』を発行し町の未来に警鐘を鳴らしている。監督は、滝井さんの市井からの眼差しにローカルメディアの存在意義を重ね、役場や町議会が抱える問題を浮き彫りにしていく。そこから見えてくるメディアの本当の役割と民主主義の在るべき姿。美しい奥能登の自然とともに、能登半島地震の前後の町の人々の営みや変化の芽吹きをも映し出している。2025年5月劇場公開作。

審査員・岨手由貴子のコメント
いま危機的状況にある民主主義のありようや、大局から見過ごされている人々の尊厳、そしてメディアの役割を生き生きと描いている。さらに、観客にも「あなたは民主主義とどう関わる?」と問いかけ、鼓舞してくれる素晴らしい作品。

コムアイ賞

作品名
HAPPYEND

作品ジャンル
映画

作品クレジット
監督・脚本:空音央
出演:栗原颯人 日高由起刀/佐野史郎
© 2024 Music Research Club LLC

作品説明
ありえるかもしれない未来を舞台に描く青春映画の新たなる金字塔。近い将来の日本のとある都市。幼馴染で大親友のユウタとコウはいつもの仲間たちと音楽や悪ふざけに興じる日々を過ごしている。高校卒業間近のある晩、こっそり忍び込んだ学校でとんでもないいたずらを思いつく。これをきっかけに学校に四六時中生徒を監視するAIシステムが導入され、将来に悩むコウといまが大切なユウタの関係は次第にぎくしゃくしはじめる……。国内外で注目を集める空音央監督の初長編劇映画。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出。栗原颯人、日高由起刀がW主演、本作にて銀幕デビューを果たした。

審査員・コムアイのコメント
アジアの現代映画史の一つのマイルストーンような、時代が前に進むために必要な映画だと思いました。「この世界に翻弄される私たち」を描くだけではなく、「私たちは世界をどうしたいのか?」を問いながら軽快なフィクションを、美しい映像で作っていたことが素晴らしかったです。自分にしか作れない物語に集中することもとても大事なことだと思いました。

山戸結希賞

作品名
《You are Precious to me》

作品ジャンル
作品

作品クレジット
国立西洋美術館 山友会 訪問看護ステーションコスモス 友愛会 きぼうのいえ 山谷のおじさん達

作品説明
2024年に開催された展覧会『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? —— 国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ』の「反幕間劇」セクションにて発表された、絵画や文字の作品群。上野公園には、かつて多くの路上生活者がいた。彼らはどこへ消えたのかーー。作者が本展キュレーター・新藤淳から「西洋美術館初の現代アート展では彼らにもスポットをあてたい」と依頼を受け、制作された。制作するなかでたどり着いた山谷地区について、作者は「その場所は僕の知っている東京の街とは少し違う景色と生活があった」と語る。山谷で見たもの聞いたもの体験したことを描き出した意欲作。

審査員・山戸結希のコメント
弓指氏のまなざしと掌を通して、見るものが感じるものへと変容する。擬似体験と呼ぶには、熱すぎて速すぎる。他者との境界が融和し、燃え上がるような感動が率直にありました。観客を芸術の当事者へと巻き込み、この世界の当事者として解き放つような生の煌めきが。

エリイ賞

COMING SOON
※受賞作品が決まり次第、特設サイトにてお知らせいたします。

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CINRA Inspiring Awardsは、これからの時代を照らす作品の創造性や芸術性を讃えるアワード。芸術文化をルーツとするCINRAが、媒介者として次世代の表現者を応援できたら。そんな思いに力を貸してくださる審査員のかたがたに、作品を選出していただいた。

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