救出した能登瓦をテーマにした展覧会『アウトサイド』が石川・珠洲の銭湯で開催。七尾旅人のライブも

メイン画像:展覧会「アウトサイド」フライヤーイメージ

展覧会『アウトサイド』が11月11日から石川・珠洲の銭湯・海浜あみだ湯で開催される。

同展は、能登半島地震で被災した建物の「能登瓦」を救出・保管してきた一般社団法人瓦バンクが主催し、元国立工芸館特定研究員の石川嵩紘が企画を担当。瓦バンクは、坂茂建築設計および坂が代表を務めるボランタリー・アーキテクツ・ネットワークと協働しながら震災後から約1年5か月の間に2万枚の能登瓦をレスキューしてきた。現在は回収した瓦を新しい建物に再利用するだけでなく、能登の文化や産業の歩みを象徴する素材として位置づけ、その中に新たな価値を見出そうとしている。同展はその活動の一環となる。

展覧会タイトルには複数の意味が込められているという。ひとつは小松市を拠点とする瓦バンクや金沢市に暮らす石川はともに被災者ではなく、あくまで「外部」の立場から震災と向き合っているという点。部外者として何を見つめ、どのように関わるべきか。その問いは被災地で瓦のレスキュー活動を続けてきた瓦バンクにとって重要なテーマとなっている。

次に「アウトサイド」は地理的な意味も持ち、石川県の北端に位置する珠洲市は中心都市から距離を置いた土地であること。その場所で営まれる人々の日常や、地方からの発信に目を向けることも同展の趣旨のひとつとなる。

さらに瓦という素材が屋外に設置され、風雨にさらされながら地域の風景を形づくってきた存在であることも「アウトサイド」という言葉とリンクしている。これらの視点を踏まえ、地域の産業としての能登瓦の歴史に光を当てる。

出品作家は、いずれも被災地を訪れ、それぞれの立場から能登とかかわってきた山本基、七尾旅人、仮( )-かりかっこ-、宮崎竜成、大和楓、池田杏莉の6人。

七尾旅人は同展のために新作の詩を書き下ろし、その詩を能登瓦に焼き付けた作品、宮崎竜成は瓦の素材性に着目した立体作品、大和楓は今年9月に能登を取材し、2021年から発行している『ぽよぽよ新聞』の「瓦版」、池田杏莉は被災した瓦を素材に用いた新作の立体作品を発表することが予定されている。11月24日には七尾旅人のライブが海浜あみだ湯から徒歩10分のガレージで開催。

観覧無料。銭湯の利用には別途入浴料がかかる。

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