2024年に配信されたSEASON1が、SNS関連動画再生数4,000万回を超えるなど、大きな話題を呼んだドラマ『外道の歌』(DMM TV独占配信)。本作のSEASON2が、4月9日より配信となった。
法では裁けない「外道」たちに、私刑で向き合うカモ(窪塚洋介)とトラ(亀梨和也)。今回、そのダークヒーローを演じた2人にインタビューを実施した。原作漫画の圧倒的なパワー、「正しさ」の不確実さ、そして監督との緊密なやり取りから生み出されたキャラクターへの向き合い方——。
役を通じて、「正しさとは何か」という答えの出ない問いを真正面から受け止めてきた2人に、じっくりと話を聞いた。
〈あらすじ〉小さな街で「カモメ古書店」を営む鴨ノ目武(カモ)と島田虎信(トラ)。その裏の顔は、法では裁けない犯罪者に壮絶な制裁を加える「復讐屋」。SEASON1では、一家殺人事件の生き残りである開成奈々子がカモメ古書店を訪れ、復讐を依頼。やがて復讐屋の仕事を手伝うようになり、カモメ古書店に居候することに。 SEASON2では、カモのもとにかつての親友が現れ、物語は新たな展開を迎える。自らが復讐の対象となり窮地に追い込まれるカモとトラ。謎の組織「朝食会」の全貌も見え始めるなか、殺人鬼・園田や強盗集団「世名汚死」など、さまざまな外道が動き出す。
「死刑にならないなら、無罪にしてほしい」。本作誕生のきっかけ
ーSEASON1に引き続き、正直見ているだけでも辛いシーンが多々ありました。演じるのは大変ではなかったですか?
亀梨(以下、亀梨):今回は大丈夫でしたけど、SEASON1のときは、原作を読んですぐに現場に入ったこともあって、少し人間不信ではないんですけど怖くなりました。誰にでも裏側はあるじゃないですか、いい悪いに関わらず。自分が見ているのはその人の一面でしかないんだとか、そういうことをぐるぐる考えちゃって。
窪塚洋介(以下、窪塚):それだけ原作に人を引き込むパワーがあるってことですよね。渡邊(ダイスケ)先生が『外道の歌』を描いたきっかけについて、ある裁判を見たからと言っていたんですよ。その裁判では子どもを殺された父親が、「犯人を死刑にしてほしい。もし死刑にできないのなら無罪にしてほしい」と言っていたそうです。法で裁けないのなら自分でってことですよね。そのときに雷に打たれたような衝撃があって、すごく共感したと。
みんなにもこういった感情があることを知ってほしい、ということをおっしゃっていましたね。その気持ちを持ってここまで描けるなんて、本当にすごいですよ。
窪塚洋介(くぼづか ようすけ)1979年5月7日生まれ。1995年に俳優デビューし、2017年にマーティン・スコセッシ監督作『Silence-沈黙-』でハリウッドデビュー。国内外の話題作に多数出演するほか、音楽活動、モデル、執筆、陶芸や墨画の創作など多彩な才能を発揮。
ー2024年に配信されたSEASON1が大きな話題になりましたが、これだけ反響があったのはやはり原作のパワーに後押しされたんでしょうか。
亀梨:そうですね。普段はドラマを見ていない友人や知り合いから「見たよ」と声をかけてもらって。いつも以上に幅広い層に届いた実感があるんですけど、それは原作の力が大きいのかなと思います。
窪塚:渡邊先生はご自身の仕事について「すごく恥ずかしい仕事をしている」とおっしゃっていたんです。物語として凄惨な犯罪を描いているけれど、その種みたいなものは自分のなかにある、と思いながら描かれていると。そういう羞恥心がありながらも、相当な熱量で描き切っているからこそ、そのパワーがちゃんと伝わるんだと思います。
亀梨和也(かめなし・かずや)。1986年2月23日生まれ。1999年放送のドラマ『3年B組金八先生 第5シリーズ』で俳優デビュー。2006年にKAT-TUNとしてデビューを果たした。主な出演作に『ごくせん』、『野ブタ。をプロデュース』『俺俺』『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』など。また日本テレビ系スポーツ番組『Going! Sports&News』でスポーツキャスターも長年務める。
「復讐はしないと言い切れない」。出来事によって価値観が変わる
ーカモとトラのやっている「私刑」は一般的には間違ったことであるとは理解しつつ、本作で描かれる遺族たちの無念などを想像すると、一概に悪とは言えないと思いながら作品を拝見しました。お二人は演じるなかで「正しさ」に対する考えに変化はありましたか?
亀梨:正直、トラのバックボーンがハードすぎて、とても想像できないというか、自分とは距離があるんですけど。でも、トラのように自分の母親が不条理に殺されたとなったときに、「復讐はしない」「トラのようにはならない」とは言い切れないです。
出来事によって価値観も考え方も180度変わっていく。演じながらそういうことを、すごく考えさせられました。
窪塚:本当にそうだよね。法で裁けないなら自分が、という感情が「わかる」と感じてしまうこと。そこに向き合うのがこの作品だと思うので。
いま世界で起きている戦争もそうだけど、自分側からみたものが正義になる、というあり方だと思うんです。それくらい不確実なもののはずなのに、「正義」とか「正しさ」って言葉はすごく絶対っぽい雰囲気を醸している。
だからこそ、自分がどういうふうにこの世界を見ているか、自分をどう見せたいのかがすごく大事だと思います。この作品に携わる以前も以後も、この考え方は変わらないけど、この作品に出会ってあらためて確認させてもらった感じです。
正しさに答えがない。だから「誰かに引っかかりさえすればいい」
ーパワーのある原作を映像化するにあたって、演技はどのように組み立てていきましたか?
亀梨:監督・プロデューサーたちの攻め方というか、こういう作品を撮るという指針が明確にあったので、演じる自分たちはそこに全力で向かっていった感じでしたね。
窪塚:方針が明確に言語化されていたというよりは、都度出される演出から感覚的に理解していった感じです。特に白石(晃士)監督が原作の大ファンで、明確なイメージを持っていたので、それを受け取りながら作っていきました。
亀梨:トラは動きまわるキャラクターだからか比較的自由で、例えば演出としてのA地点からB地点までの設計図みたいなものをいただいて、あとは自分で考えて演じる感じでした。やりすぎなときは削っていく、みたいな進め方でしたね。
窪塚:カモは逆で、現場で試したけど通らなかったことが多かったと思います(笑)。でもそれは裏を返すと、監督のイメージを全うすれば、筋が通ったキャラクターが立ち上がるという確信でもあって。
SEASON1のときに監督から「カモはジェイソンなんだよ」って言葉をもらって。そのひと言でアクションのときのイメージがすごくしやすくなったり、佇まいの方向性が決まったりしました。具体的なキーワードで方向性を示してくれる監督なんです。
ー最後に、SEASON2を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。
亀梨:カモとトラ、あと開成奈々子(南沙良)、それぞれが前に進めないくらい辛い過去や思いを持っている人たちなんですけど、一緒にいることで少しずつ前進していくことができている。その変化が、嬉しくもあり寂しくもある、というのがSEASON2です。「外道」たちが描かれると同時に、時間とか人とか大切なものについて考えさせられる作品でもあるので、幅広い方に楽しんでほしいです。
窪塚:渡邊先生の言葉が全部なんですよ、やっぱり。『外道の歌』を描こうと思った覚悟、恥ずかしい仕事だと言いながら描いたエネルギー。それにのっかって僕たちは存在している。だから、見てくれた人に何かひとつでも引っかかるものがあれば、それが正解なんだと思います。正しさに答えがないんだから、引っかかりさえすればいいです。
- プロフィール
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- 窪塚洋介 (くぼづか ようすけ)
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1979年5月7日生まれ。1995年、ドラマ『金田一少年の事件簿』でデビュー。2000年のドラマ『池袋ウエストゲートパーク』で注目を集め、2001年公開の主演映画『GO』で第25回日本アカデミー賞の新人賞と史上最年少で最優秀主演男優賞を受賞。2017年にはマーティン・スコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビューを果たした。主な出演作にドラマ『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』、『ロング・ラブレター〜漂流教室』など。映画に『Laundry』、『ピンポン』、『凶気の桜』、『スイート・マイホーム』、『フロントライン』など。 俳優業以外にも執筆、陶芸や墨画の創作、ゴルフアパレルブランドや日本酒のプロデュースなどにも積極的に取り組んでいる。
- 亀梨和也 (かめなし・かずや)
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1986年2月23日生まれ。1998年から活動を開始。2005 年のドラマ「ごくせん 第 2 シリーズ」「野ブタ。をプロデュース」で注目を集める。キャスターとしては2010年より「Going!Sports&News」に出演。近年の主な作品に、連続ドラマW 東野圭吾『ゲームの名は誘拐』(24)、『北方謙三 水滸伝』、『ストーブリーグ』(ともに26)などがある。また、TVアニメ『神の雫』が放送中。2026年7月より全国7都市を巡るライブツアー「KAZUYA KAMENASHI LIVE TOUR 2026『FROM HERE』」を開催予定。
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