名古屋市中区の新しい商業施設「HAERA(ハエラ)」が6月11日、オープンした。高層ビル「ザ・ランドマーク名古屋栄」の地下2階〜地上4階に入り、全65店が軒を連ねる。地下2階 / 地下1階 / 2階 / 4階客用WCには、カトレヤトウキョウのクリエイティブディレクターでアーティストの塩内浩二のアートシリーズ「Natural Artifacts」が常設展示されている。
「HAERA」が施設コンセプトとして掲げるのは「PUBLIC MUSEUM」。建築としての機能だけではなく、来場者それぞれの体験や感性を大切にするミュージアムのような施設を目指しているのだという。空間デザインスタジオNOWが、「万物の起源」をテーマとし、空間演出を担当した客用WCには、塩内のサイトスペシフィック・アート(※)作品が溶け込む。
※特定の場所(空間、歴史、文化、自然環境)の特性を最大限に活かし、その場所と不可分の関係で制作される 芸術作品や手法のこと。
塩内浩二
塩内はこれまで10年以上にわたり、集団的創造でファッション、音楽、アート領域でアートディレクション、グラフィックデザイン、映像、プロダクトデザイン、インスタレーションなどをとおして文化醸成に寄与している。
各階客用WCに展示されている「Natural Artifacts」は、地元・名古屋のルーツと東洋の五 行思想に着想を得て、「水、土、雷、宇宙」の要素を、平面 / 立体 / 空間へと再構成した作品群。円と直線というミニマムな幾何学を使い、都市空間のなかでありながら、自然現象を 「知覚」として立ち上げることを試みているのだという。
地下2階客用WCに配置されたのは、水の波動を可視化した『Wave』。透明度の高いアクリル板が反復し、重なり合っている作品だ。それは光によって揺らぎ、静止したかたちでありながら、波のように感じられる。
『Wave』
地下1階客用WCには、愛知県産木材を用いた立体彫刻『Accumulation of history』が鎮座する。愛知県産のヒノキ、スギ、ケヤキの無垢材を用いた作品で、地層のように時間が堆積するさまを表現しているのだという。生成と蓄積の関係そのものをあらわすことで、「土地 の記憶」と「身体」を交差させようという試みだ。
『Accumulation of history』
2階客用WCに展示されているのは『Discharge』。大理石を含む12種類の素材を使い、自然素材の重みと工業製品の技巧を交差させた作品だ。象徴するのは「雷」で、空間を貫くエネルギーを表現している。神域を示し邪気を祓う「紙垂(しで)」から着想を得たのだとい う。
『Discharge』
『Discharge』
4階客用WCには、「宇宙」を象徴する作品『Cryptography』を配置。点と線によって構成されたモールス信号によって、宇宙を情報として再構成した作品だ。宇宙のように光を吸収する、特殊なマットアクリルペイントによって描かれている。その模様は星や光であると同時に、未来へ向けた暗号のようなメッセージとしても機能する。宇宙の無限の広がりを、鑑賞者の知覚と解釈にゆだねるかたちであらわしている。
『Cryptography』
「HAERA」は、大丸松坂屋百貨店とパルコがタッグを組んで展開するショッピングモール。 両社を傘下に持つ J.フロントリテイリンググループが運営する。ラグジュアリーブランドをはじめ、ファッションやライフスタイル、レストランやスイーツなど、多彩なラインナップで来場者を迎える。
- プロフィール
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- 塩内浩二|Koji Shiouchi
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1985年愛知県生まれ。英国留学後、京都精華大学デザイン学部ビジュアルデザイン学科 卒。クリエイティブディレクター/アーティスト。株式会社カトレヤトウキョウ代表。
2013 年、クリエイティブコレクティブ「Cattleyatokyo™」を設立。アート、デザイン、フ ァッション、音楽、食、教育を横断し、アートディレクション、グラフィック、映像、プロ ダクト、インスタレーションなどを通して、集団的創造による文化活動を展開している。
コレクティブとしての活動に加え、個展を「OIL by 美術手帖」にて発表するなど、アーテ ィストとしても作品制作を行う。2024年6月よりハナマルキ株式会社CCO、2024年12月 より学校法人京都精華大学 評議員に就任。
2026年、名古屋・栄の商業施設「HAERA」にて、常設作品シリーズ Site-specific Art Series “Natural Artifacts” を発表。自然、思想、都市の記憶を結び、商業空間に新たな知覚 体験を生み出している。
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