アートキュレーションプロジェクト『歓待としてのキュレーション(第3期)by GAKU』が11月29日〜2027年3月31日に行われる。
2024年から「新しかったり異質だったりするアイディアや存在を迎え入れることで、未来を拓く」という営みを探求し、実践してきた『歓待としてのキュレーション』。2026年も都市を舞台とした、より実践的な取り組みとしての挑戦を進め、美術館やギャラリーだけでなく、ライブハウス、クラブ、ミュージックバーなど、ベニューとも呼ばれる文化的な施設をその現場として設定する。
今回はそのための工夫を「言葉の創出と運用」という観点から探求。具体的には世界的なアートフェアやベニューでみられる、すべての人の安心や安全を目指して設定される約束事でもある「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」をケーススタディにして「歓待としてのキュレーション」のあり様を実践的に考察していく。
詳細はGAKUのオフィシャルサイトを確認しよう。
【池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)のコメント】
私がキュレーションの実践を学んだインドネシアでは、展覧会やプロジェクトの現場を「Common Place(共有地)」や「Social Playground(社会的な遊び場)」と呼ぶことがあります。そこは、ただ作品を置くためだけの場ではなく、アーティスト、来場者、周辺地域の人々など、さまざまな他者が関わる場でもあります。そのことに目を向けながら、他者とどのような関係を結ぶのか。自分自身も含め、誰もが安心して過ごせる共有地や遊び場をどのように設計できるのか。そうした想像力を働かせることも、キュレーションのひとつだと私は考えています。
実際に、私自身、国内外のアートの現場でも、作品をつくることや展示することとともに、人々が集い、学び合い、社会とのかかわり方を問い直す議論や実践に数多く触れてきました。
そこに正解や方程式はありません。ただ、他者を想定した場をつくるために想像を巡らせる基礎体力、そして、場をつくっただけで終わらせず、庭師のように手を加えながら、その場を更新し続ける基礎体力は培えるはずです。こうしたことを、みんなで一緒に考えていけたらと思います。
【熊井晃史(GAKU事務局長)のコメント】
GAKUにいると、「自分で場を主宰してみたい・している」という10代や20代に多く出会います。そして、そのことにインスピレーションをもらっています。このクラスはそのような出会いによって突き動かされて立ち上げたものでもあります。テーマ等について、難解に感じられるむきもあるかもしれませんが、主宰をしている私たちとしても、一連のテーマに関して明解な答えを持っているわけではありません。同時に、答えではなく問いを前にしたときには、講師も受講生もともにフラットな関係性でありうるとも、そうありたいとも考えています。
なお、議論をひろく社会にひらいていくために、クラスのほとんどを一般公開型で進めていきます。ご応募をお待ちしています。
【開催概要】
日程:2026年11月29日(日)〜2027年3月31日(水)のうち全7回
場所:GAKU、PASS、MINA、渋谷WWW
対象:10代(中学生以上)〜20代前半
*ご自身で場を主宰している・してみたい方のご応募を歓迎します
*原則、全日程に参加できることを条件とします
定員:15名程度
参加費:無料
応募締め切り:11月13日(金)23:59
講師:池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)、朱喜哲(哲学者/大阪大学招へい准教授)、太田浩史(建築家/東京ピクニッククラブ共同主宰)、Emma Warren(音楽・カルチャー・ジャーナリスト/編集者/作家)、阿久根聡子(編集者)、大城啓一郎(PASS)、小田桐奨(L PACK./MINA)
聞き手:熊井晃史(GAKU事務局長)
[主宰]GAKU
[共催]東急株式会社
[協力]渋谷ストリーム、渋谷WWW、PASS、MINA
[メディアパートナー]CINRA
【一般公開プログラム】
「歓待としてのキュレーション」では、「一般公開」と表記されたプログラムについては、どなたでもご見学頂けます。お菓子や飲み物の差し入れ、大歓迎です。
対象:どなたでも
定員:各回最大20名程度・先着順
参加費:無料
お申し込みはこちら
【プログラム】
キュレーションという方法を、「新しかったり異質だったりするアイディアや存在を迎え入れることで、未来を拓く」ものとして捉え、実践的に考察していきます。
今回の切り口は、「場を主宰すること」と「言葉の創出と運用」。文化的な実践において、言葉にできないものを大切にするためにも、だからこそのところを探求していきます。
なお、少し長めの時間設定のプログラムになっているのは、受講生が一方向的に話を聞くだけのものではなく、所感や感想を述べたりし、じっくりゆっくり耳を傾け合う機会を大切にしたいと思うからです。休憩をはさみつつ、お菓子や飲み物を持ち寄って、ピクニック気分で進めていきます。
最終回には、渋谷WWWを舞台にした、プロジェクトのクロージング・デイパーティも予定しています。このパーティのあり方も、受講生のみなさんと考えていけたらとも思います。
1:歓待としてのキュレーションとは?
【一般公開】
日程:2026年11月29日(日)16:30〜19:30
会場:GAKU
話し手:池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)、太田浩史(建築家/東京ピクニッククラブ共同主宰)、丹野暁江(東急株式会社/shibuya good stream)
聞き手:朱喜哲(哲学者/大阪大学招へい准教授)、熊井晃史(GAKU事務局長)
歓待としてのキュレーションとはどのようなものか。このプロジェクトで何を考えようとしているのか。これまでの活動や講師の方々の実践を持ち寄りながら、プロジェクトの輪郭と見通しをつけていきます。
ここで少しだけ紹介します。池田さんが森美術館に在籍している際に携われていた「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」では、美術館のなかに「道を育てる」とされていましたが、それは同時にルールのような言葉が育っていくようなものでもありました。太田さんが実践されている東京ピクニッククラブでは、ピクニックという場のありようが、お茶の野点のような歴史や文化の連続性を感じさせる言葉において紹介されています。初回では、これらの実践を手がかりに、歓待としてのキュレーション的に場を主宰し、言葉を創出し運用することについて、考えていきます。
課題|あなたにとっての「歓待としてのキュレーション的な場」を考えたり調べてみる
2:世界の「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」を巡る状況を知る
【一般公開】
日程:2026年12月13日(日)16:30〜19:30
会場:GAKU
話し手:Emma Warren(音楽・カルチャー・ジャーナリスト/編集者/作家)、阿久根聡子(編集者)、松村ひなた(GAKU/Room 303)
聞き手:熊井晃史(GAKU事務局長)
アートフェアやベニューでみられる「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」の事例を広くみていきます。一方で、イギリスを代表する音楽・カルチャー・ジャーナリストであるEmmaさんは、「『コミュニティ・アグリーメント』は、パンデミック以降に浸透した比較的新しい概念」であると言います。また、「パンデミック以前はフロアをつくる人の態度を見て学ぶことができた」「それは、誰の言葉なのか?という視点も大切にしたい」とも。
世界の事例をみていきながら、様々な文化的実践に身を置くEmmaさんの知見を寄せてもらうことで、言葉にできないものをどのように大切にしていくべきか、そして、都市や文化というものが、学びの場としてどのように機能していくのかも考えていきたいと思います。
3:「言葉の創出と運用」を考える
【一般公開】
日程:2027年1月11日(月祝)14:00〜17:00
会場:GAKU
話し手:朱喜哲(哲学者/大阪大学招へい准教授)
聞き手:池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)、熊井晃史(GAKU事務局長)
場と言葉のありようをどう捉えるか。哲学者の喜哲さんに、このプロジェクトのテーマを巡ったお話をお聞きします。
なぜ、哲学か。喜哲さんか。『バラバラな世界で共に生きる』『人類の会話のための哲学』『〈公正〉を乗りこなす』『バザールとクラブ』などの著作を持つ哲学者・朱喜哲氏の見解が、他の講師の方々と同様に、このプロジェクトにたくさんの示唆を与えてくれるように思うからです。例えば、喜哲さんは、リチャード・ローティという人の哲学を受けて、「会話を終わらせないこと」に哲学の真髄をみています。まさに、このプロジェクトがそのような場でありたいとも思います。また、「人間や社会は、受肉したボキャブラリーである」とも言います。とするならば、より良い社会を願うことは、ボキャブラリーが社会的により良く獲得されていくことを想うことと同義になっていきます。
ひょっとすると、喜哲さんの言葉をお借りすれば、歓待としてのキュレーションを考えるということは、『バラバラな世界で共に生きる』ための方法を考えることなのかもしれません。そのところを深堀りしていきます。
課題|自分なりの「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」をつくってみる(「場を主宰し、言葉を運用する」ことに挑戦する)
4:場を味わいながら、自分なりの「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」を持ち寄って話し合う
日程:2027年1月17日(日)14:00〜17:00
会場:PASS
話し手:受講生
聞き手:大城啓一郎(VENT/PASS)、熊井晃史(GAKU事務局長)
まず、この授業では、PASSのサウンドシステムを体感し、場や音楽を味わうところから始めます。次に、これまでを振り返りながら受講生の課題(自分なりの「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」)の発表を行います。PASSオーナーの大城さんにも発表を聞いてもらいつつ、場の主宰者としての想いなどもお尋ねしていきます。
*ご厚意により店舗オープン前の貸し切りとなります
課題|自分なりの「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」をブラッシュアップしてみる(「場を主宰し、言葉を運用する」ことに挑戦する)
5:場を主宰することの奥行きを知る
日程:2027年2月1日(月)17:00〜18:30
会場:MINA(Museum of Imaginary Narrative Arts)
話し手:小田桐奨(L PACK.)
聞き手:熊井晃史(GAKU事務局長)
「展示と飲食の境界をゆらし」と紹介されるように、MINAは、ミュージアムでもカフェでもあるような場です。運営するのは、現代美術ユニットL PACK.(エルパック)。自分や場を表し規定する言葉は必要ではありますが、ときに窮屈にもなります。そして、であるからこそ、腕のみせどころとも考えられます。彼らは、名乗ったり看板に掲げたりする言葉を柔軟に運用しながらも、だからこそ、日常の状況にさまざまな作用を埋め込んでいるように感じます(美味しく食べていたら薬だったというような、薬膳料理のようでもあります)。
なお、MINAの店舗やwebサイトでは、「コミュニティ協定」が掲示されています。実際に、MINAを訪れて、その場づくりの目的と方法についてお話をお伺いします。きっと場を主宰することの奥行きを感じる機会になるはずです。
*ミュージアムの一部であるようなMINAのフード&ドリンクを感じるためにも、一人一品以上の注文をしてもらいます。
課題|自分なりの「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」をブラッシュアップしてみる(「場を主宰し、言葉を運用する」ことに挑戦する)
6:終わらせないために考える、自分にとっての歓待としてのキュレーション
【一般公開】
日程:2027年2月7日(日)14:00〜17:00
会場:GAKU
聞き手・話し手:受講生、池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)、朱喜哲(哲学者/大阪大学招へい准教授)、太田浩史(建築家/東京ピクニッククラブ共同主宰)、丹野暁江(東急株式会社/shibuya good stream)、熊井晃史(GAKU事務局長)など
受講生による、自分なりの「コミュニティ・アグリーメント(コミュニティ協定)」やそれに伴う試行錯誤の結果などを発表してもらいます。そのうえで、講師の方々も交え、一連の活動を振り返り、次につなげていくためのそれぞれのポイントを浮かび上がらせていきます。
7:クロージングパーティ
【一般公開】
日程:2027年3月31日(水)10:00〜12:00
会場:渋谷WWWβ(ラウンジスペース)
一連の取り組みの成果を活かしたデイタイムパーティを開催します。ミュージシャンを招きつつ、プロジェクトの成果をとりまとめたものを広く一般に配布する機会とします。
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