平手友梨奈の帰還。アンビバレントで危なっかしい、欅坂46の特異な魅力

(メイン画像:『欅共和国 2018』の様子 撮影:上山陽介)

平手友梨奈が帰ってきた。約半年ぶりの本格復帰。「あれ? 平手……久しぶり!」

7月7日、七夕の夜に日本テレビ系で放送された『THE MUSIC DAY 伝えたい歌』で、昨年末の『NHK紅白歌合戦』以来およそ半年ぶりに平手友梨奈が欅坂46に帰ってきた。

「帰ってきた」と言っても、平手は原田葵や志田愛佳のように公式に活動休止していたわけではなく、グループに不在の間も自身がパーソナリティーを務めるTOKYO FM『平手友梨奈のGIRLS LOCKS!』への出演や、9月14日公開の主演映画『響 -HIBIKI-』の撮影など個人としての活動は続けていた。

平手の復帰は七夕の夜だけの出来事ではなく、翌日8日には神奈川・横浜アリーナで開催された『JUMP MUSIC FESTA』、7月14日にはTBS『音楽の日』に出演し、昨年の10月22日以来の登場となった7月15日放送の『欅って、書けない?』には、司会の澤部佑(ハライチ)の「あれ? 平手……久しぶり!」に対して、平手が笑顔で手を振る様子などが映し出され、SNSや掲示板をざわつかせた。そして7月20日から3日間にわたって山梨・富士急ハイランド コニファーフォレストでは、平手にとって欅坂46の主催イベントとしては昨年8月の『欅坂46 全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」』以来の出演となる、けやき坂46との合同野外イベント『欅共和国2018』が開催された。

平手センターの“ガラスを割れ!”お披露目。新たな演出を模索し続けるスリリングなパフォーマンス

『THE MUSIC DAY』では、3月に発表された6thシングルのタイトル曲“ガラスを割れ!”が披露されたが、PVを除いて平手が同曲のパフォーマンスに参加するのは今回が初となった。

平手不在時の“ガラスを割れ!”については、平手の代わりに小林由依と同番組には欠席だった今泉佑唯がダブルセンターを務め(もしくは小林のみ)、メンバー全員が平手を思わせる真紅のMA-1に身を包んで登場したり、今泉と小林が中盤で黒のMA-1を真紅に裏返したりとその都度若干の変更を加えてパフォーマンスが行なわれてきたが、平手だけが真紅のMA-1を纏って登場した『THE MUSIC DAY』では、終盤で中央の平手が体を捻らせる動きにあわせて平手を囲むメンバーが螺旋状に屈み込むというPVにより近い演出が取り入れられたほか、左右の長濱ねると守屋茜が発射台となって平手が前方にジャンプしたり、PVでは平手が回転しながら倒れ込むところをキャプテンの菅井友香が支えたりといった演出も新たに加えられた。さらに『音楽の日』で披露された“ガラスを割れ!”では、終盤の<歯向かうなら背中を向けるな>のところで新たにモッシュ(?)が発生していることなどが確認できる。

齋藤冬優花は7月16日更新のブログで「前回のTHE MUSIC DAYから変えたところもあって、本当に細かいけど…(笑)」「テレビ披露が続く期間は、毎回改善点が見つかってどんどん変わっていくからとても大事な期間です…!」と述べているが、常に新たな表現を模索し続けるその姿勢は、“ガラスを割れ!”の歌詞<閉じ込められた見えない檻から抜け出せよ><目の前のガラスを割れ!><邪魔するもの ぶち壊せ!><がむしゃらになってどこまでも追い求めるだろう><おまえはもっとおまえらしく 生きろ!>と通ずるところもあり、欅坂46がライブパフォーマンスでこそ最も輝く、ゆえに一瞬たりとも目が離せない「スリリングな」グループであることを強調する。

「誰か、いつも欠けてる」。危なっかしい欅坂46の可能性

欅坂46の総合プロデューサー・秋元康は、5月3日放送のNHK-FM『今日は一日“秋元康ソング”三昧2018』で、小林、菅井、長濱を前に「誰か、いつも欠けてるっていうのも、欅坂のスタイルで」「欅坂は21人揃ってなかなかあわないよね、っていうような感じが、でもそれが魅力なんだと思うよ」と語っている。

欅坂46
欅坂46

『欅共和国』には、原田、志田と同じく活動休止が公式発表されている影山優佳(けやき坂46)に加えて、今泉が「スケジュールの都合により」不在であることが開催数日前に告知された。欅坂46には、常に誰かがいないという不安定な状態が常態化していることに代表されるような「危なっかしさ」がどこか漂うが、その「危なっかしさ」つまり「スリリングさ」は、常に進化し続ける可能性に満ちているという意味で、たしかにひとつの魅力として映る。

統治者のように「欅共和国」に登場。「平手が解放していって最後みんなで爆発して踊る」

『欅共和国 2018』の様子 撮影:上山陽介
『欅共和国 2018』の様子 撮影:上山陽介

月と太陽の紋章をあしらった「欅共和国」の国旗がたなびく炎熱のなか、統治者のごとく黒のベレー帽を被った平手を先頭に白を基調としたミリタリー風の衣装に身を包んだメンバーと黒の衣装を纏ったダンサーによる「集団行動」に続いて、昨年の『欅共和国2017』の最後を飾った欅坂46の“危なっかしい計画”で幕を開けた『欅共和国』は、平手センターによる数々の楽曲の披露、日が暮れて一人スクリーン上に映し出された平手が舞う姿など、平手の表情や仕草のひとつひとつに否が応にも注目が集まり、したがって平手の一挙手一投足が深読みされるような「スリリングな」形で執り行なわれた。

『欅共和国 2018』の様子 撮影:上山陽介
『欅共和国 2018』の様子 撮影:上山陽介

放水銃やバブルマシン、カラーボール、ウォーターショット、「僕らの上空に虹がかかった」と歌う“世界には愛しかない”で実際にかかった虹、「枯葉がひらひら」する代わりに“風に吹かれても”で一面に舞った紙吹雪、打上花火など「夏」と「祝祭」を凝縮したような『欅共和国』は、千秋楽でダブルアンコールとして披露された8月15日リリースの7thシングルのタイトル曲“アンビバレント”で幕を閉じた。

7枚連続で平手がセンターを務めることとなった“アンビバレント”について、菅井は7月26日放送の日本テレビ『Oha!4 NEWS LIVE』で「人間関係で窮屈な思いをしてそれぞれ苦しんでいる。それを平手が解放していって最後みんなで爆発して踊る」と述べている。「ガラスを割って」“アンビバレント”で「爆発」する欅坂46の夏は、まだ始まったばかりだ。



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