あの人の音楽が生まれる部屋

あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.23 アカシック

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あの人の音楽が生まれる部屋 vol.23:アカシック

絶妙なタイミングで再開を果たした三人

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意識的に「音楽」から遠ざかっていたつもりなのに、遊び仲間の1人がたまたまバンドマンだったというから、人生なにがあるかわかりません。ライブに誘われた理姫さんは、「たまにはいいか」と軽い気持ちで足を運びました。2年ぶりのライブハウスです。

理姫:そのバンドがダサ過ぎてびっくりして。「楽しければいい」みたいなヌルさが伝わってきて、「そんな気持ちでやってんじゃねーよ!」って思っちゃったんですよね。それでムカついて、悪態ついて帰った記憶があります。やっぱり音楽を忘れられてなかったんですよね。大事なものだったんだなって。それで、2年ぶりくらいに(奥脇)達也にメールしました。

奥脇:「今なにやってんの? え、バンド解散するの? ちょうどいいや、曲作って」みたいな(笑)。僕も、割と本気で頑張ってたバンドが解散する時期だったんですよ。「どうしよう、小説でも書こうかな」と思ってたところだった。だからほんと、絶妙なタイミングでした。「今さらなんだよ」とか全然思わなくて。やっぱり、才能ある人としかバンドやりたくないから。彼女とまた一緒にやることに対して、違和感とか迷いはなにもなかったです。

黒川:僕もちょうど、自分のバンドが解散することになったときに達也から連絡があったんです。それでまた三人でスタートすることになったんですよね。

破天荒であり、冷静さも持つ理姫が考える
「売れるバンド」とは?

アカシックの機材

紆余曲折を経て、ようやくアカシックが再度スタートを切りました。コンセプトは「とりあえず売れよう」「なんでもいいから売れよう」。理姫さんにとって「売れる曲」とは?

理姫:浜崎あゆみさんです(笑)。やっぱり、「なんだこの人たち」みたいなインパクトが曲にないとダメだろうって思ってた。「そうだ、インディーズにいながら浜崎さんみたいな曲をやれば、目立つしインパクトあるかも!」って。あえてバンドシーンで、西野カナさんとか倖田來未さんみたいにポップな曲をやったらいいんじゃないかなと、最初は思ってました。やっていくうちに色々変わりましたけどね。

破天荒なようで、実は冷静に状況を分析し、ストイックに実践していく理姫さん。ただ、その思考のプロセスを、一切すっ飛ばしていきなり結論から話すので、メンバーはみな戸惑ってしまうのだそうです。

理姫:メンバーとかに相談する時間が嫌いなんですよね。仲よしこよしみたいなチームで活動するのは好きじゃないっていうか。ある程度の距離が欲しいから、自分の心のうちをさらけ出したくないんですよ。それで迷惑かけてることもわかってるんですけど。

奥脇:だからこっちはなるべくそのプロセスを推理して、「ああ、今コイツ『浜崎あゆみさん』とか言ってるけど、こういう思考のプロセスを経て、こういうことが言いたいんだろうな」って思うようにしています(笑)。

メジャーデビューを果たした今は「焦ってる」

黒川(アカシック)

さて、そんなアカシックのメジャーミニアルバム『DANGEROUS くノ一』が、6月3日にリリースされました。収録された9曲は、ギャルやオールドミス、香港ママなど「女」が主人公であり、「女」の生き様について生々しく歌ったもの。全ては理姫さんの実体験や、人から聞いた話、あるいは映画に出てくる女性にインスパイアされて書かれたものであり、どの女性もエキセントリックだけどしなやかさもあって、まるでフランス映画の主人公のよう。しかも独特の言葉遣いや数々の造語が散りばめられ、文学性の高さを感じさせます。

理姫:フランス映画の主人公みたいっていう感想は嬉しいですね。どんなに生々しく女性を描いても、かっこ悪かったりキモかったりするのは嫌なので。「変な奴だな」と思われてもいいから、かっこいい女性でありたい。本は好きだし、映画もよく見ています。映画だと『月曜日のユカ』(1964年公開、中平康監督作品)とか、『Jam Films』(ショートフィルムを集めた日本映画のコンピレーションフィルム)とかが好きでした。映画に出てくる面白いセリフとか、シーンとシーンをつなぐ謎の長い「間」とか、自分が曲を作るときの参考にしています。それについて思いを巡らせてしまうような、なにかこちらが感情移入してしまう余地があるような、そんな映画が好き。

奥脇:曲を作るときは、とにかく自分のハードルを上げまくっています。「なんとなくいい曲」とかじゃなくて、「これは売れる!」って思える曲じゃないと、お茶の間の人はピンとこないじゃないですか。どの曲もちゃんとそこをクリアしたい。たとえアルバムに入る曲でも、それが自分たちのシングル曲として出ることを想像して「嫌だな」って思ったら、その時点でボツ。

メジャーデビューを果たした今の状況も、どこか冷めた客観的な視点で眺めているような三人。この先の展望はどのように考えているのでしょうか。

理姫:焦ってますよ。メジャーにまできて売れなかったら意味ないですよね。やれることをなるべく早くやらなくちゃって思ってます。

黒川:「よっしゃ、メジャーデビューしたぜ!」みたいな気持ちは全然ないですね。単に通過点に過ぎない。日々の達成感はもちろんあるんですけど、心から満足することはないです。みんなとにかくハードルが高いんだと思います。

奥脇:バンドって生ものだしすぐに飽きられるから、いつかは解散するかもしれない。ただ、やれることをやりきらないうちに終わっちゃうのはダサい。このバンドをあと数年やれるとしても、半年の命だったとしても、目指す到達点まで行かなかったら、今まで生きてきた意味がないって思っています。だから「早くなんとかなってくれよ、このバンド」と思いますね(笑)。今の時点では全然満足していない。「俺たち今、いい状態かも」って思ったら解散してもいいかもしれないですね。

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