現役僧侶と行く、四条エリアのとっておきの京都お寺巡り その2

京都のお寺と住職さんを訪ねる、街歩き散歩。 現役の僧侶と仏教ファンが運営している京都生まれの話題のフリーペーパー「フリースタイルな僧侶たち」で『お坊さん日和。』を連載中の漫画家・みつざわひろあきさんと一緒に巡ります。今回は、みつざわさんがオススメする、四条エリアのご飯スポットも合わせて紹介します。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

六角堂(頂法寺)

街中や通りなどで、ショップや町家にお寺が挟まれて並んでいるのも、京都では当たり前の風景。四条烏丸駅から烏丸通りを北に上がって六画通りに入ると、本堂が平面六角形であることから、一般に『六角堂』の通称で知られる、『頂法寺(ちょうほうじ)』が左手に現れます。

ここは聖徳太子が創建した歴史のある寺で、いけばなの発祥の地としても有名です。『六角堂』の一歩境内に入ると周りの喧噪から離れて、静かでどことなく厳かな雰囲気が漂っています。

みつざわ:実は、この『六角堂』、親鸞(しんらん)聖人が夜な夜な比叡山から通っていたというエピソードが残っています。比叡山からこの六角堂まではかなり距離があります。もちろん車なんてない時代です。そうせねばならないほど、若き親鸞聖人は悩んでいました。親鸞聖人は聖徳太子を非常に敬っておりましたので、心から尊敬できる方に道を求めたのだと思います。結果、この場所で見た夢のお告げが、その後、師と仰ぐ法然上人(ほうねんしょうにん)との出会いのきっかけになりました。 現在、この周りにはオフィスなども多く、スーツ姿の人を日中見かけることも多いエリアですが、仕事の途中やちょっとした空き時間に寄ってみると、気持ちが静まってリフレッシュできますよね。劇的な出会いのきっかけとなった場所ですので、今でも人と人を結ぶご縁があるとも言われていますよ。

蛸薬師堂 永福寺

『六角堂』から、さらに東に向かって歩いて10分。映画館や飲食店、カフェや雑貨屋などが立ち並ぶ「新京極通り」は、学生や観光客がひときわ増える繁華街。賑やかな通りのちょうど真ん中あたり、突如現れる赤い仏旗(ぶっき)の並びが現れる場所が『蛸薬師堂 永福寺』です。かつてから庶民の信仰を集めたまちのお堂で、古くは、蛸の絵馬を奉納するならわしもあったそう。

みつざわ:こういう雰囲気のあるお寺が、ふいに街中に現れることが京都の面白さですよね。学生時代にこの近くでバイトをしていたのですが、そのバイトが嫌で嫌で(笑)。当時は思わず手を合わせてから出勤していました。自力でどうしようもないものに出会ったとき、手を合わせることで心が和らぎます。このワンクッションのおかげで、一息ついて、ものごとに前向きに考えられたりしますよ。

頂法寺(六角堂)
住所:京都市中京区六角町東洞院西入堂之前248
蛸薬師堂 永福寺
住所:京都市中京区新京極通蛸薬師上る東側町503

浄慶寺/Bar蔵

『蛸薬師堂 永福寺』から真っすぐ、約15分ほど北上するところにあるのが『浄慶寺』。『浄慶寺』は、本堂でコンサートを行ったり、毎月変わるテーマに合わせてお坊さんや色んな方が集まり意見の交換をする「ぶっちゃけ問答」などの企画を行っていることでも知られるユニークなお寺です。なかでも、お寺の敷地内にある土蔵を改修して、月に3、4回不定期に開催されている『Bar蔵』が、密かに話題沸騰中。元バーテンダーという現役僧侶の中島さんがカウンターに立ち、様々な会話が繰り広げられているそう。

中島住職:もともとこの蔵は、幕末の「蛤御門の変(禁門の変)」で焼失から免がれたものの、開かずの状態が続いていたんです。老朽化が進んできた蔵を壊すにも大金がかかるとわかって、ならば自分の手で修理しよう! とSNSで告知したところ、仲間が数人集まり、手伝ってくれました。蔵の中から江戸時代の骨董品が出てきたので、展示をしていたのですが、この場をもっと活用できればと考え、2015年に思い切ってバーに作り替えたんです。

みつざわ:僕も一度遊びにきたことがあります。たしか、「ロックの会」っていうテーマで、多種多様な職業の方が来られて、盛り上がっていました。バーを始めてみて、どうですか?

中島住職:上下関係を取っ払って、フラットにお客さんと話ができることが楽しいですね。肩書きを取っ払ったフラットな状態なので、お客さんもいろんな相談事をしてくれるし、こちらもゆっくりと聞ける。そういう関係性だからこそ信頼関係が生まれて、結果として、仏教の教えや寺を改めて見直してもらえる機会にも繋がっているのかもしれませんね。バーを始めて、一度来てくれた娘さんが、次はお母さんを連れてくるとか、夫婦やカップルで来てくれるという場面も増えています。

みつざわ:やっぱりいいですね。人間的に繋がるっていう、一番大切なことですよね。

真宗大谷派 小野山 浄慶寺
住所:京都市中京区御幸町通竹屋町下ル松本町563
電話番号:075-211-0442

合わせて巡りたい、四条エリアのグルメスポット

最後に、お寺巡りの途中で立寄った、みつざわさん想い出のお店を2軒ご紹介。

『御多福珈琲』は、寺町通りの藤井大丸の脇、繁華街の脇にひっそりと掲げられた円形の看板が目印の老舗の喫茶店。地下に降りて扉を開けると、木製のどっしりしたカウンターに、赤いカーペット生地のソファ。どこか懐かしい昭和の雰囲気が漂っていて、まるで時空の違う場所に迷い込んだ感覚に。

みつざわ:学生時代、マンガのネタを考えるために散歩がてらよく来ていたのがここです。マスターが一杯ずつ丁寧に淹れてくれる珈琲は、深みがあってまろやか。この空間にマッチして、本当に美味しいんですよね。

御多福珈琲
住所:京都市下京区寺町四条下ル貞安前之町609
営業時間:10:00~21:30
定休日:毎月15日
電話番号:075-256-6788

京都市役所からほど近い『広東料理 鳳泉』も、みつざわさんが学生時代から通っているお気に入りのお店。明るく賑やかな店内は、家族連れや地元の人で賑わっています。常連さんも多く、土日はお店の外に行列ができているのも日常の風景。

みつざわ:是非食べていただきたいのは、お店の看板メニューでもある「椒醤酥鶏(カラシミソ)」です! やみつきになる絶妙な辛味で、ご飯やビールがどんどん進みます。京都には、中華料理が美味しいお店が意外と多いんですよ。

広東料理 鳳泉
住所:京都市中京区河原町二条上ル清水町359 ABビル 1F
営業時間:火~日・祝日 11:30~14:30(L.O.)、17:00~20:00(L.O.)
定休日:月曜日
電話番号:075-241-6288

いつもと異なる京都のお寺と街巡り、いかがでしょうか。ぜひ一度、街歩きと一緒にお寺に足を運んでみてください。

フリースタイルな僧侶たち
これからの仏教のあり方を考える本物の僧侶と仏教ファンによって運営されている、フリーペーパー・WEBマガジン。既成概念に固執することなく、日本仏教のあり方をフリースタイルに見つめ直していくために活動。「お坊さん=お葬式」というイメージを脱却し、仏教の持つ豊かな可能性に出逢っていただくためのきっかけ作りとして発行されている。
プロフィール
みつざわひろあき

1989年新潟県長岡市生まれ。真宗大谷派僧侶/漫画家。「フリースタイルな僧侶たち」のフリーペーパーにて漫画「お坊さん日和。」を連載中。仏教を「表現」することを目的とし、関西を中心に漫画発表・ニガオエ・ライブペイント・法話・お参りなど活動中。



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