「東京だけを見ているわけではない」10,000人を動員するフードフェス、OKINAWA FOOD FLEAが目指す未来。

いま、沖縄で、1日1万人もの集客を誇る野外フードフェスが開催されているのをご存知だろうか。その名は「OKINAWA FOOD FLEA」。2014年夏に第1回目をスタートさせ、過去3回の開催を経て、次回で4回目迎える沖縄発のイベントだ。Facebookとフライヤーだけの告知にも関わらず、初回が2日間で15000人、そして3回目の開催時には沖縄県内外から1日1万人もの人々が集まった。なぜそれほどに人々を引き寄せるのか。このイベントのキーパーソンの2人を迎え、「OKINAWA FOOD FLEA」とはいったい何なのか、その想いを語ってもらった。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

今日は最高の日曜日が過ごせる、そういう場所をつくりたかった

—まず、沖縄に1日で10,000人も動員するフードフェスがあるなんて、ビックリしました。

石井:そうなんですよね。やっている僕もすぐにこんなに規模の大きなイベントになるとは予想外でした。

—「OKINAWA FOOD FLEA」は、スタート1年目にして、沖縄のフードカルチャーの発信地として注目を集めています。実際にこれまで3回開催してきて、これだけの人が注目している理由をどう考えていますか?

石井:やっぱりみんな遊び場を探していたんだと思うんですよ。東京や大阪、九州でもいいんですが、他県は車や電車ですぐに移動して遊びにいけるじゃないですか。でも沖縄は飛行機に乗らないと他の県には行けないんです。 そういう地理的な理由もあって、沖縄県内だけで遊ぶと言っても、大人が遊ぶ場所が少なかったんじゃないかな。それで「じゃあ何をして遊ぶのか?」と考えた時に、食のマーケットが毎週どこかであったらいいなと思ったんです。

—週末に開催されるマルシェのような。

石井:そうですね。新鮮な野菜が置いてあって、美味しいパンがあって、チーズもあって、オリーブオイルもあって、ワインもあって、という。そこでワインとチーズを買って、それがあることで今日は最高の日曜日が過ごせる、みたいな。

—石井さんは20代の頃カナダに住んでいたとのことですが、そこでの体験も影響しているんですか?

石井:まさしくその延長上ですね。僕が住んでいた街にファーマーズマーケットがあって、毎週のように行っていたんです。スタイリッシュでありながら、店舗の人たちと直接会話をするから、それも楽しいんですよ。「今日はこれが美味しいんだよ」と言われると、それを買いに来たつもりなかったのに、思いがけず買って帰ってしまったり。そういうコミュニケーションが生まれるのがすごく良くて、より食材が身近に感じられる。そこで買った食材を家に持って帰って料理をして、家族とともに楽しい時間を過ごす、ということが、また明日への生きる活力になる。

—年中同じ食材が並ぶスーパーや大きなショッピングモールではそのようなコミュニケーションは生まれませんね。

石井:僕は、物事が良くなるのは「サイクル」だと思ってるんですよ。例えば、そうやって野菜を買うことによって人は食材に愛情を持つし、売る人も農家の人も自分たちの仕事に誇りを持つことができる。そして僕ら料理人はそれで料理をして、お客さんに提供し、払ってくれたお金で僕らはまたいい食材を買う。それがサイクルだと思うんです。それが町全体でできたらすごくいいなというイメージはずっとありました。そうすると町が生きてくるし、人々が生きてくると思うんです。

野外という条件で、どれだけ精度の高いものをつくることができるか

—そのファーマーズマーケットのイメージからどのように「OKINAWA FOOD FLEA」をスタートさせたのですか?

石井:とりあえずやってみる、ということしかなくて(笑)。まず窯焼きピッツァの店のオーナーである仲村くんに一番最初に声かけて、「こういうイベントをやりたいんだ」って話をしたんです。こちらが本気で美味しいと思い、食べてもらいたいと思う料理を出すフードフェスをやりたい、と。

仲村:そうだったよね。僕も自分たちで移動式のピッツァ窯やチキンをまわしながら焼く機械をつくったりして野外のイベントに出店していたんです。もともとフードフェスには興味あって、ブルックリンで毎週末開催されているスモーガスバーグ(注:春から秋の間、行われている人気のフードイベント)を見に行ったんですね。そこで感じたのは、出店者たちがみな楽しそうで、店の見せ方もうまいし、センスもいいということ。いつかこういうイベントを沖縄でもできないかなと思って帰ってきたときに、石井くんがその話を持ってきた。タイミングですね。 自分の店ではなく野外でやるんだったら、お客さんに楽しんでもらえるパフォーマンスも大事だし、外という条件の中でどれだけ精度の高いものをつくっていけるかに挑戦したいなと思っていました。であれば、僕はパフォーマンス側に回ってこのイベントを盛り上げようと思ったんです。他の出店者もそういう気持ちだと思いますよ。

—野外だからこその楽しみ方に、出店者の方々も意識的なんですね。

石井:それが面白いんですよね。慣れたキッチンでやるのとは違うので実際のところ難しいことも多いんですけど、出店者側がやる気を出してくれる。逆に言うと、これをやることによって、どういうことになるんだろうということを考えてくれる人しか出店していないんですよね。だから、活力がすごくて、やってる側もすごく楽しそう。

仲村:実際、店舗同士、刺激しあってますよね。向こうはこう来たか! って(笑)。

石井:店舗同士ががセッションしているような状態というか。向こうはあんなことしてるんだ、じゃあ次の回にはこうしようと、毎回、回を重ねるごとにみんなのスタイルが変わっていっているのは面白いです。それぞれのお店が、それぞれの持ち場で、全力で自分たちを表現している感じです。

「ただ、お金を払えば出店できるイベントとは違うんです」

—とはいえ、そこまでのイベントをつくりあげるのは、主宰者側の力量によるところが大きいのでは?

石井:いやいや、そんなことはない。僕らや出店者側だけじゃなくて、会場の熱気もすごいんですよ。

仲村:そうそう。開店前からお客さんが並ぶんです。それがプレッシャーでもあり(笑)。スタート時から人が待っている状態なので、はじまったら、もうてんやわんや。12時のオープンから18時のクローズまで、6時間ずっとピッツァつくりっぱなしで、前回は470枚焼き続けました。さすがに体力の限界を感じましたが(笑)。

—でも、その場で生地を広げ、具を乗せて、窯で焼くというライブ感は魅力ですね。

仲村:自分の店でもピッツァができる工程を見せたいというコンセプトがあるので、パフォーマンスを見せるという意味では店でも野外でも気持ちは同じではあるけれど、外だと「美味しそう」とか「これが食べたい」ということをより瞬時に判断すると思うんです。

—主宰者も、出店者も、お客さんも、一体となっている感じですね。

仲村:出来立てを食べてほしいので、作り置きではなくて、ライブのようにその場でつくっているのを見てもらって、食べてもらうことに意味を強く感じているんです。

石井:でも、ホント、当日は、みんな終わった後は真っ白になってるよね。

—全力を使い切ると(笑)。

仲村:燃え尽きるんですよ。でもそのくらい本気でいかないと、このイベントは盛り上がらないし、お客さんも納得しないような感じがある。でもお客さんはそれにちゃんと答えてくれるんですよね。だから僕らも新しい挑戦ができる。

石井:ただ単に出店して、お金儲けだけして帰るんだったらやる意味はないんです。自分が普段のお店ではできないことやここで挑戦するということができてこそ、やる意味があると思うんですよ。

—お客さんは外国の方も多いですよね。

石井:お客さんもそうだし、外人の方で出店したいと言ってくれる人もいるんです。そういう多文化溢れる沖縄って、やっぱり面白いです。アメリカ人もいれば、フィリピン人もいるし、タイの人もいる。いま、ギリシャの女性がギリシャ料理で出店してくれているのですが、彼女は先月実際に自分のレストランをオープンしたんですよ。僕自身、このイベントで店舗を持たない人を応援したいという気持ちもあるんです。イベントを通して彼らが成長していって、お店を持ちましたというところまでをプロモーションしてあげたいなと。そうすると、来場したお客さんもその後その店に行ってくれるようなサイクルができるし。

働く大人たちが真剣に楽しむ姿を見てもらえたら、何かが変わっていく

—みなさんが楽しそうに働いている姿もそうですが、来場している子どもたちがずっとお店を見ているのも印象的です。

仲村:僕がやっている出店のスタイルは、バスの中を改装してそこで調理をして提供することをやっているのですが、知り合いのお子さんが、「お父さん、どうやったら僕、あの中で働けるの?」って言っていたらしくて、そういうのすごく嬉しいんです。

石井:飲食は大変だというイメージが先行していると思うんですが、飲食店で働く人たちが真剣に楽しむ姿を見てもらえたら、何かが変わると思っているんです。

―いろんな人の熱意が、子どもたちにも伝わっていくんでしょうね。

仲村:それを信じてないとこのイベントはできないです。

石井:やっぱり自分たちの住んでいる街を面白くしたいとか、盛り上げたいという人たちが多いんだと思います。

仲村:このイベントを盛り上げていくことが、沖縄の飲食業界の底上げにもなるし、お客さんの食への意識も高まるだろうし、生きた街づくりにも繋がっていく。そういう想いが共通にありますね。

石井:イベント2回目から、沖縄の野菜の生産者の出店もはじまって、次は八百屋さんにも入ってもらうんです。料理人だけでなく、食材を扱う方々にももっと入ってもらえたらって。できれば、その八百屋さんと出店者が絡みだしたらいいなと思っていて、彼らが想いを持ってつくっている美味しい野菜を出店者に味わってもらって、それが料理となって出てきたら、この野菜がこんなふうに変身したんだということが見せられる。

—イベントの中で「サイクル」を実際につくっていくことができる企画は面白いですね。

石井:そうやって社会全体が循環していって、良くなっていったらいいと思っているんですよね。そのためには、子どもたちが夢をもって大きくなることだと思っていて。僕らが楽しんで働いていたら、あんな大人になりたいなって思ってくれると思う。まずはそういう大人の見本になりたいですね。

仲村:僕らは必ずしも東京だけを見てるわけではないし、いろいろ世界を旅しながら、いろんな料理を味わいながら、いま沖縄でやることの意味を感じているんです。僕は沖縄から東京に一度出て、またここに戻って店をはじめたのですが、沖縄に帰ってきた以上は、このシーンを盛り上げたいという想いは強いですね。県外に出なくても沖縄でもクオリティの高いいいものがあるよということを知ってほしいし、出た時に、「あ、沖縄もすごいじゃん」と思ってもらえる仕事をしていく。

石井:僕は京都からの移住者ですが、僕から見ると、沖縄の人って沖縄のことが大好きなんですよ。アイデンティティが他の県とは違う気がします。日本人は日本の文化を忘れてしまっているところがあるんですが、沖縄には島を愛する気持ちがすごくあって、僕らが忘れたものをまだ持っている。そこに可能性を感じるんです。

—東京だけを向いているわけではない、ということですが、逆に言えば、沖縄は島なので、ここからどこにでも行けるという印象があります。

石井:そうですよね。「OKINAWA FOOD FLEA」は沖縄からどこにでも発信できるイベントになれるということだと思うんです。沖縄から東京、沖縄からニューヨーク、沖縄からパリ、沖縄からアジア、ここから世界に発信できるイベントにしていきたいと思っています。

OKINAWA FOOD FLEA

2014年8月に沖縄・北谷町にある北谷フィッシャリーナでスタートしたフードフェス。沖縄県内の飲食店、雑貨店が約50店舗近く出店し、1日1万人を集める。次回は宜野湾マリーナにて開催される。また、前回のOKINAWA FOOD FLEAを記録したタブロイド誌も発売している。


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