『COFFEE COUNTY Fukuoka』久留米の名コーヒー店がとうとう福岡市に出店

福岡のコーヒーシーンは活発だ。それもそのはず、実はコーヒーにおける全国大会でチャンピオンに輝き、世界大会に臨むようなコーヒーマイスターを続々と輩出しているのがここ福岡なのである。そんな福岡で今年、大きな話題となったのが、福岡県久留米市が誇る『COFFEE COUNTY(コーヒーカウンティ)』の福岡市への進出だ。新しく誕生した『COFFEE COUNTY Fukuoka』を舞台に、ちょっぴりディープなコーヒーコラムをお届けします。

本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

コーヒー一杯であなたを震わせたい

「VIBRANT FLOW IN YOU」とは、代表をつとめる森崇顕さんがこの『COFFEE COUNTY』に設けたテーマである。直訳すると、「あなたを震わせたいというような意味合いですね」と教えてくれた。

言葉のニュアンスをじっくり噛み締めてみると、なかなか興味深い。例えば感動させたい、喜ばせたい、幸せにしたい、そのような直接的な感情というよりも、どこか間接的な印象を受ける。そこが気になって仕方なかった。

「人によっては、え!? と驚くことになるかもしれないし、わあっ! と心が騒つくかもしれない。おっ! と気付きを得ることもあれば、ガツン! と刺激を受けることもある。表面的でストレートなものではなく、もっと奥底に響くような、そんな体験を提供したいと思っているんです」

『COFFEE COUNTY』は2013年に福岡県の南にある久留米市で産声を上げた。店内にはドイツ製の大きな焙煎機があり、それが森さんにとって不可欠な光景だった。元々自家焙煎のコーヒーショップを開きたいという想いがあり、その夢を形にしたのが久留米の店だった。

森さんは久留米の店がオープンする前におよそ3ヶ月もの時間をかけ、中米のコーヒー生産地を巡った。コーヒーづくりを表面的なものにしたくない。そんな気持ちが森さんの背中を押した。現地では住み込みで働き、コーヒーそのもののことだけでなく、どんな人が、どのように働いているのか、そして風土や文化を文字通り肌で感じてきた。滞在中は数多くの生産者の元を意欲的に回り、そうやって築いてきた信頼関係が今の仕入れにも生きているのだという。

森さんにとって、コーヒー生産者は顔がわからないどこかの国の他人ではなく、実際に会い、言葉を交わし、思いを伝えた仲間である。そのため、コーヒー豆、ひいては作り手そのものの「個性」を大切にする。店に置かれているコーヒー豆はブレンドではなくシングルオリジン。これは豆を農場単位で管理・分別することを意味する。例えば、同じホンジュラスという国の同一な品種であっても、生産者が違えば混ぜないということだ。これが森さんのいう「個性」である。そんな真摯な姿勢が評判を呼び、開店から着実に評判が広がり、多くのファンを獲得していった。

なぜ、「カフェ」ではなく「Coffee Bar」なのか?

2016年9月、福岡市内の中央区高砂に姉妹店『COFFEE COUNTY Fukuoka』がオープンした。これを機に、久留米にある『COFFEE COUNTY Kurume』に明確な位置づけがなされた。Kurumeは「Roastery(焙煎所)」、そしてFukuokaは「Coffee Bar & Shop」と表現されることになる。

「久留米の店はあくまで焙煎所なんです。そのために作った空間ですから当然ですよね。久留米の店でもコーヒーは飲めるんですが、“コーヒーを飲む”という部分において、ぼくたちなりの表現は十分にできていませんでした。この福岡の新店は、自分たちが作ったコーヒーを、自分たちのやり方、感覚で楽しんでもらえる念願の場所です」

『COFFEE COUNTY Fukuoka』を「Coffee Bar」と定義した理由について、森さんは少し補足してくれた。「カフェ」という言葉はカレー、パスタ、スイーツといった様々な要素を想起させ、それがふさわしくないと考えたのだという。そのため、まるで一杯のお酒と真正面から向き合うかのようにコーヒーに接してほしいという考えから「Bar」という言葉を選んだ。

この新たな「Bar」には森さん流の様々な遊び心が施してある。店内に入って真っ先に目を引くのが足元に広がるパープル色。この時点で、ちょっと普通とは違うような、 嬉しい違和感を覚える。実はこのパープル、床だけでなく、色目を表現できにくい陶器やエスプレッソマシンにも用いてあり、空間のアクセントとして十分な存在感を発揮している。

卓上におかれた陶器のコーヒーカップは、ロサンゼルス在住のNobu Nishigawara氏にコンタクトをとり、特別に紫の釉薬を作ってもらい、完成させた自信作。また、コーヒーを提供する際に使うグラスは長野県の吹きガラス工房・studio prepaによるもの。コーヒーを飲むためのグラスができないか、という森さんの思いが形になったオリジナル作品となっている。

気持ちが贅沢に満たされていく空間

コーヒーのメニューは基本のドリップコーヒーが450円から。普段使いに嬉しい価格設定となっている。

ちなみに、コーヒーもワインのように作り手や土地が表現されるべきという思想をそのまま形にしたボトルタイプのコーヒー「cafevino.(カフェヴィノ)」も森さんの閃きから生まれた名作だ。

森さんの仕事を通じて感じるのは、自由で、創造性に溢れる世界観。実は、この新しく生まれた『COFFEE COUNTY Fukuoka』には、そんな森さんの発想を軽やかに表現するキーマンがいる。それが久留米在住のデザイナー・長尾修平さんだ。

「長尾さんは内にあるものを浮かび上がらせられる人物。今回、福岡店を開くにあたり、大きく力になっていただきました。お願いしたのは、COFFEE COUNTYとは、という先入観を取っ払ってもらうこと。その上で、コーヒーの味を絵として表現してもらったんです」

酸味、苦味、深み、軽やかさ、そんなコーヒーにまつわるエトセトラを、長尾さんは抽象画に落とし込んだ。その絵はコーヒー豆のパッケージに用いるほか、店内の壁にも点々と飾ってある。よくよく見れば酸味のあるものはどこかトロピカルな色合いで、深みのあるものはダーク寄りの色目で表現されていて、本当に、味が絵になっていた。

コーヒーを注文し、椅子に座る。ぐるりと店内を見渡すと、まるで枝のような形状の照明が淡い光を放ち、自然光がほどよく差し込む開放的でゆるやかな空間だと改めて実感する。

そこでふと、広々とした空間に対して、客席が極端に少ないことに気がつく。ガヤガヤと賑やかなわけでもなく、それでいてシンと静まりかえるような風でもない。なんだかとても気持ちが贅沢に満たされていく空間。それが『COFFEE COUNTY Fukuoka』なのだ。

COFFEE COUNTY Fukuoka
住所 : 福岡県福岡市中央区高砂1-21-21
営業時間 : 11:00~19:30
定休日 : 水曜日
電話番号 : 092-753-8321
Webサイト : http://coffeecounty.cc/
Instagram : https://www.instagram.com/coffeecounty/


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