『ダサい曲をかけるパーティー』主宰・諸行亭夢常の京都ディープスポット案内

いま、関西を中心に密かに人気を集めている音楽イベント『ダサい曲をかけるパーティー』。DJやミュージシャンが「ダサい」というコンセプトからインスパイアされた曲をセレクトし、フロアを盛り上げるというものだ。 もちろん「ダサい」の基準は人それぞれなので、フロアで流れる音楽は、昭和歌謡、演歌、ダンスミュージック、CM音楽などなんでもござれ。今回は、そんな話題のイベントのオーガナイザーである諸行亭夢常さんに、『ダサい曲をかけるパーティー』の話をうかがいつつ、京都の行きつけのお店を紹介していただきました。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

京都の音楽好きが信頼するレコード店『VINYL 7(ヴァイナルセブン)』

平日の夕暮れに差し掛かった頃、諸行亭夢常さんが集合場所に指定したのは、地下鉄東西線•京都市役所前駅から南に徒歩3分の『Vinyl7 records』。

ここは、ヒップホップ・R&B・ダンスクラシックを中心に販売する中古レコードショップです。アナログレコードからカセットテープなど、媒体問わず、「これ!」という音が揃っています。

店長の松本さんは、レコードショップ経営歴10数年。信頼の置ける松本さんのセレクションに惹かれて多くの音楽好きが通うお店ですが、諸行亭夢常さんもその一人。このお店に来たときは、いつも音楽談義を交わしているそう。

松本:『ダサい曲をかけるパーティー』ってタイトルが強烈だけど、「ダサい」っていうテーマに解釈の幅があるのがいい。それぞれ表現が違うよね。決してネガティブな意味ではなくて、多面的に捉えられているからおもしろい。

諸行亭:音楽の大喜利みたいなものだと思っています。「ダサい」の基準は自由なので、それぞれのDJが思うダサい曲を洋楽、邦楽、ジャンル問わずかけています。

例えば、昔かけた曲の例を挙げると、「マツケンサンバ」ですかね。普段は聴くことはないし、通常のDJの場ではかけられないけど、潜在的には好きだと感じているものが「ダサい」なのかなって思っていて。

ほかのDJさんだと、たとえばカラオケで自分が歌った曲を録音して、それをつないでいくスタイルの「本人歌唱DJ」とか(笑)。「やましゅた達郎」というDJは、その名のとおり山下達郎さんのライブ版の音源をかけて、かなり忠実なモノマネをしたり。

松本:夢常くんはオーガナイザーだけど、特にコントロールはしていないよね。「この人にこのテーマだったらおもしろくしてくれそう」というDJを呼んでいるので、それぞれのポテンシャルが発揮されて、おもしろさにつながってる。

諸行亭:明確なテーマがあると、DJのほうもいつも以上の気合いが入っている感じが伝わってきますよね。お客さんにもそれが伝わるのかも。

松本:あと、テーマがわかりやすくて強いので、お客さんも「あ、こうきたかー」と楽しめる。まさに音楽の大喜利みたいやね。

『Vinyl7 records』
住所:京都市中京区河原町姉小路西入る下本能寺前町492
電話番号:075-221-3337
営業時間:12:00~21:00
定休日:月曜
URLhttps://vinyl7records.com/

ジャズや落語、DJイベントを開催する老舗銭湯『錦湯』

「じゃあ、次は風呂に行きますか」と、諸行亭さん。

『Vinyl7 records』から、四条烏丸の交差点に向かって南西に12分くらい歩くと、京都の台所『錦市場商店街』のすぐ脇にある『錦湯』にたどり着きます。

建物は昔ながらの京都らしい町家で、風情のある佇まい。脱衣所に置かれた常連さんの衣服をしまう「柳行李(やなぎごうり)」という名前入りの籠も見るべきポイントです。

この銭湯は店主が音楽好きで知られており、脱衣所にはジャズが流れているというスタイル。定期的にライブや古本市なども開催され、毎週月曜には、プロの落語家さんによる本格的な落語を楽しむこともできます。

諸行亭:毎週月曜に行われている落語会に、知り合いの月亭太遊という落語家さんが出ておられたので、たまに来るようになりました。月亭太遊さんは「ネオ落語」という創作落語をやっている方で、ラッパーとのコラボなどもされているんです。こういう、カルチャーと紐づいた銭湯って珍しいですよね。

以前、『月亭太遊×諸行亭夢常2人会』というイベントをさせていただいたことがあります。DJと大喜利が交互に行われるイベントで、大喜利にはお客さんも参加していただくスタイルでした。

『錦湯』
住所:京都市中京区堺町通錦小路下る八百屋町535
電話番号:075-221-6479
営業時間:16:00〜24:00
定休日:月曜
URLhttps://1010.kyoto/spot/nishikiyu/

カウンターのみの知る人ぞ知る名店がそろう『四富会館』

『錦湯』でさっぱりした後は、腹ごしらえに。碁盤の目の京都の街を『錦湯』から東に2ブロック、富小路四条の交差点を北に進んだ細い路地に白く光る看板を見つけたら、そこが『四富会館』です。

カウンターのみの小さな飲み屋が10数店集まっている飲食複合施設で、その建物はまるでいつぞやの時代にタイムスリップしたかのよう。どのお店にも個性的な店主さんがおり、こだわりの料理をつまみに、日夜愉快な話が繰り広げられています。

気になったお店に、その時の気分で訪れるという諸行亭さん。そのなかで今日セレクトしたのは、2019年5月にオープンしたばかりの『日常』さん。京都の百貨店で寿司屋を営んでいた店主のキングさんが、もともとここにあったお店が閉店するタイミングにそのまま居抜きで入ったそう。

諸行亭さんも一押しの鯖寿司は絶品! 大きくふっくらした鯖は新鮮そのもの。キングさんは話しやすい方で、はじめてでもお一人さまでも楽しく過ごせること間違いなしです。

諸行亭:四富会館のお店はだいたい遅くまで開いているので、『METRO』や『Octave』のクラブイベントに行く前に立ち寄ることが多いです。

特に決めているお店はなくて、いつもそのときの感覚で選んで入ります。なかの様子が見えないお店も多いので、最初は勇気がいりますね(笑)。でも一度入ってしまえば、どのお店も楽しいですよ。

諸行亭:よくDJがレコードを「ディグる(掘る)」と言いますが、知らない曲を探す感覚と知らないお店に入る感覚は似ているなと感じます。

僕の場合、ダサい曲を探すときはレコード屋ではなく『ブックオフ』に行くことも多いです。あとitunes storeも使ったりしますね。誰も手をつけていないような音楽があると、探したくなってしまうんです(笑)。

『ブックオフ』の場合、280円コーナーでジャンル関係なく全部見ます。ダサいCDは手付かずなので、僕にとっては宝の山なので、発掘がとても楽しいです。

『日常』
住所:京都市中京区富小路通四条上る西大文字町615四富会館内
電話番号:075-712-0453
営業時間:19:00〜1:00
定休日:日曜
URLhttps://www.instagram.com/nichizyooo/

四条大宮の路地に隠された『寛遊園』で、ローカルな気分を満喫

辺りはすっかり真っ暗に。酔い覚ましに20分ほど錦小路通を西に向かって歩くと、阪急電鉄の大宮駅にたどり着きます。

この辺りは古くからの歓楽街。諸行亭さんはそのなかでも錦小路大宮の交差点すぐ近くの、細い路地にスナックや小料理屋が立ち並ぶエリアに向かっていきました。

この一帯は「寛遊園(かんゆうえん)」と呼ばれるエリアで、路地奥には古くから続く老舗と若い人たちの新しいお店が入り混じり、曲がりくねった細い路地もあいまって、まるでアリの巣に迷い込んでしまったような感覚に。

路地を行き交う人も常連風の中年男性や2人組のサラリーマン、学生カップルなどさまざま。路地の脇には自転車が停まっていたりなど、地域に溶け込んでいる場所であることが感じられます。

今回、諸行亭さんと訪れたのは、店長さんの笑顔に惹かれて入った『タイ屋台 とき』さん。カウンターのみの店内は満席で、常連さんが外で立ち飲みしているという賑わいぶりでした。

諸行亭:『ダサい曲をかけるパーティー』のビジュアルをつくってくれているデザイナーの伊達努くんと寛遊園のどこかのお店でミーティングをすることが多いんです。

こういう独特のムードがあるところで打ち合わせをすると、イメージが湧きやすいんですよね。2人でネタを持ち合って、今回はどんなイラストにしようか、あーだこーだと話すのが楽しい。これまでも、TVドラマの『笑う世間は鬼ばかり』や駄菓子の『タラタラしてんじゃねえよ』のパッケージのパロディなど、様々なデザインを試しています。

タイ料理を満喫して外に出ると、夜もすっかり更けていました。最後に『ダサい曲をかけるパーティー』の今後について伺いました。

諸行亭:「ダサい」っていうテーマは、表面上はとてもポップに見えますが、イベントを重ねるごとに深さを感じています。

「ダサい曲」をテーマにするとDJをする人によって、曲を通して色々な視点が浮かび上がってきます。シリアスに意味を追求してもいいし、音の表面だけを楽しんでもいいし。だから、お客さんもいろんな楽しみ方ができる。何においてもですが、色々な視点を認めることって面白いですよね。

『タイ屋台 とき』
住所:京都府京都市中京区錦大宮町148
営業時間:18:00〜24:00
定休日:日曜
URLhttps://tabelog.com/kyoto/A2601/A260203/26026299/
イベント情報
ダサい曲をかけるパーティー

2016年に諸行亭夢常氏がTwitterで呟いた「ダサい曲をかけるパーティーをやりたい」という一言がきっかけとなりスタートしたパーティー。コンセプトは「洋楽、邦楽関係なし。自分が思うダサい曲をかける」というシンプルなものだが、毎回、音楽オタクたちによる裏をかいた選曲が楽しめるイベントとして人気。関西を中心に、年に3、4回不定期で開催している。ゲストDJも毎回豪華で、近年は音楽とマルシェが一体となったイベント『森・道・市場2019』にチームで参加するなど、活動領域が広がっている。近々「踊ってはいけないパーティ」や「ゆっくりするパーティ」など、スピンオフイベントも開催決定。
プロフィール
諸行亭夢常
諸行亭夢常 (しょぎょうていむじょう)

ジャンルレスDJ、トラックメイカー、パーティーオーガナイザー。主催する『ダサい曲をかけるパーティー』は『日経MJ』でも紹介された。音楽フェス、イベントなどにも出演。CHAN-MIKAのリミックスアルバム『ON TIME』にトラックメイカーとして参加する。



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