2018年8月10日~12日の3日間に渡って行われた「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル(INCHEON Pentaport Rock Festival)」は、計8万5千人の観客が集まる大盛況の内に幕を閉じました。このフェスは、大型フェスティバルにも関わらずソウル市内からのアクセスも良く、韓国国内だけでなく海外アーティストも多数出演するため、海外フェス未経験の人にもオススメ。猛暑に負けない盛り上がりを見せた今年の「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」をレポートします!
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」ってどんなフェス?
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2006年を皮切りに、2018年で13回目を迎える「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」は、13年間で約1,300組の国内外のミュージシャンが出演し、累積観客数100万人を記録している韓国最大級のロック・フェスティバル。過去には、ザ・ストロークス、ブラック・アイド・ピーズ、フランツ・フェルディナンド、ケミカル・ブラザーズ、カサビアン、ミューズなど錚々たる世界のトップアーティストたちが舞台に立ったほか、韓国現地のアーティストも多数出演しており、世界中から音楽ファンが集結するイベントとなっています。
近年、韓国の音楽といえばK-POPの印象が強いかもしれませんが、2017年には韓国のロックバンド、GUKKASTEN(グッカステン)がフジロックに出演、2018年はHYUKOH(ヒョゴ)が日本ツアーを行うなど、徐々に日本でも注目が高まってきているのが韓国のバンドシーン。そんな韓国のバンドシーンが生で味わえるのも、このフェスの醍醐味です。
またソウルからもアクセスの良い仁川での開催なので、ソウルから日帰りで行く人も多く、中でも韓国の20~30代の若者のロックファンに熱い支持を得ています。
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会場は、横幅57m、高さ20m、奥行き20mからなる圧巻の大きさを誇るメインステージを含む、3つのステージ展開。メイン、サブのステージは、ロックを始めとしたバンドサウンドが中心となっており、第3のステージはロックのほか、ヒップホップやEDM、ワールドミュージックなどのDJも展開。多様な見どころを提供しています。
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フェスのコンセプトは、「音楽」「情熱」「環境配慮」「DIY」「友情」の5つで、仁川市の地域活性にも力を入れているのも面白いところ。地元アーティストの出演を始め、会場内で地域通貨を使用できるほか、地元市民の入場料は割引価格、さらには、13歳未満、65歳以上は入場無料というポリシーを貫いています。地元との協力体制と配慮、多くの人が楽しめる工夫が、このフェスの魅力のひとつなのかもしれません。
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韓国ならではの料理も楽しめる! 魅力的なフードゾーン
2018年に、111年ぶりの猛暑を記録した韓国。会場の仁川松島月光祭公園は、日陰の全くない開けた公園であることから、猛暑対策も万全でした。
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日陰に入って休める大型テントや、コンテナボックスにエアコンを稼働したクールゾーンをあちこちに設置。そして舞台周辺では散水車が3日間にわたって水を撒き、入口近くのエリアでも霧吹きが行なわれるなど、猛暑の中でも公演を楽しめるよう様々な設備が導入されていました。
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そして、フェスの大きな楽しみのひとつでもあるのが“フェスごはん”。「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」のフードゾーンでは、様々なフードトラックがずらりと並んでいます。
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毎年大人気なのが「キムチマリグクス」。こちらは冷たいキムチのスープに冷麺が入った料理で、暑い屋外でもさっぱりツルッと食べられる、会場で食べておきたいメニューのひとつです。ほかにもコチュジャンを素麺と和えた「ビビングクス」や「焼きコプチャン(牛の小腸)」など、韓国ならではのメニューもちらほら。
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ちなみに韓国では、チキン(チキン)とビール(メクチュ)をセットにして「チメク」と呼ぶほど、チキンとビールの組み合わせが日常的に食べられています。この日も韓国の人気のチキンチェーン「BBQチキン」がフードトラックを出しており、多くの人がチメクを楽しんでいました。
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マイブラからnever young beach、Suchmosも参加! 多彩なラインナップ
「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」の特徴は、数ある韓国内のロックフェスティバルの中でも特に洋楽アーティストが多く出演すること。今年もナイン・インチ・ネイルズや、リンキンパークのメンバーであるマイク・シノダ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなど、海外アーティストが多数参加。
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その一方で、韓国を代表するロックバンド・紫雨林(ジャウリム)やDAYBREAKに加え、LIFE&TIME、Adoy、O.O.O、Glencheck、SE SO NEON(セソニョン)、HYUKOH(ヒョゴ)など今の韓国のバンドシーンを牽引している、国内の若手バンドも一堂に会し、舞台を彩りました。
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韓国では今、日本のシティポップブームの影響で、日本のバンドに親しみを持っている若者も少なくありません。日本から出演したnever young beachとSuchmosのステージにも多くの人が集まり、熱いライブが披露されました。面白いのが、韓国の熱心なロックファンは様々なフラッグを用意し、音楽にかける思いをそのフラッグで表現するということ。また、日本など海外から参加したバンドの母国語の単語を大声でステージに投げかけては、盛り上がりを見せていました。
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中でも一番の熱狂を見せたと言っても過言ではないのが、3日目のメインアクトを務めたマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。巨大なサークルモッシュができあがるほど会場が一体となり、最終日のハイライトのひとつになりました。
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また会場にはソウルやほかの都市から集まった人たちが、持ち込みのテントで宿泊できるピクニックゾーンも。このゾーンからも一番大きなメインステージが十分に臨めるため、夜になるとゆったりと音楽を楽しみながら休む人も多く見られました。
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その他にも、エアーベットが多数用意されているゾーンがあったりと、手ぶらで来た人たちも、1日遊び疲れた体を休めることができるのも嬉しいポイント。夜遅くまでDJがプレイしている第3のステージでも、ゆっくり休みながら、夜通し音楽を楽しめます。
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海外フェス未経験の人にもオススメできるフェス!?
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都心から電車で行ける距離感であることや、街中にある開けた公園で開催されていること、そして空間がコンパクトにまとめられていることから、フェス初心者でも参加しやすいのが「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」の魅力の1つかもしれません。
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個人的に驚いたのは、会場内でのカード決済について。会場ではKB国民銀行と提携したプリペイド型チャージカード「コナカード」の使用が推奨されており、現金やクレジットカード類は使えず、決済は全てコナカード1枚で解決。賛否はあるかもしれませんが、少しでも身軽に参加したいフェスで、電子カードの推進は面白いな、とも思いました。
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また、セグウェイに乗った販売員が、会場を往来しながら飲み物や光るアクセサリーを販売しているのも、とても便利。次のアクトまで場所をキープしておきたい、疲れたからフードコートまでいちいち移動するのが面倒……と、いった場面が幾度かあると思うのですが、そんな煩わしさも解消されました。
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とはいえ会場全体がコンパクトなので、お目当てのアーティストを見逃すことも、移動で疲労することもなさそう。子どもや大人まで楽しめるように工夫が凝らされているうえ、会場案内やステージなどの位置関係もわかりやすいので、海外からも参加しやすいフェスだと言えるでしょう。フェス独特のパーティーな雰囲気が苦手……という人も、ラフでアットホームに盛り上がれるフェスだと思います。
そして、なにより言えることは、年々注目度が高まっている韓国のロックを体感するには大満足のラインナップだということ。ぜひ、「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」で、そんな韓国ロックシーンの今を目の当たりにしてみてはいかがでしょうか。
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