イラストレーター・谷小夏と巡る、京都市役所周辺のカフェ感覚で楽しめる酒場 その2

今年、京都精華大学を卒業したばかりのイラストレーター・谷小夏さん。花びらが舞い散る中でキスをする男女や、同じ服装に身を包む女性たちの像など、ポップでドラマチックな人物画が注目を集め、関西圏を中心にファンを増やしています。今回も、そんな谷さんにご登場いただき、カフェに行くような感覚で、お店の雰囲気ごと楽しめる酒場をはしごしてみることに。前回訪れた『Işıl ışıl(ルシュルシュル)』『まつは』に続く3軒目は、美大を卒業した女の子たちが営むお店『みず色クラブ』。谷さん思い出の地である鴨川やレトロな銭湯、散歩の途中で見つけた雑貨店など京都市役所周辺のスポットも一緒に紹介します。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

みず色クラブ

鴨川を東に渡って仁王門通へ進み、一つ目の角を右に曲がると、住宅の間の細い路地奥に怪しげなネオンが光ります。ここは、京都の芸術大学を卒業した女の子たちが運営するバー『みず色クラブ』。

カウンターとテーブルが一つあるだけのこじんまりとしたアットホームなお店。京都の若いアーティストやクリエイターはここに集まり、交流を深めているのだとか。今日のスタッフは、谷さんよりも少し年上の延命光希さん。美大出身同士の二人の間で、どんなトークが繰り広げられるのでしょうか?

店内には、台湾の留学生がデザインした靴下や、お店のスタッフ森田るいさんも参加している漫画同人誌など、様々な雑貨があり、販売もしています。なかでも、コアラをモチーフとした『みず色クラブ』オリジナルグッズは人気で、これを目当てに訪れるお客さんも多いのだとか。谷さんも店内にある雑貨に興味津々で、席に着く前にお店をぐるりと見て回りました。

メニューは、バーといってもお酒だけではなくて、ノンアルコールドリンクや、手作りのフードも充実。谷さんが「チキンカレー」と「自家製ジンジャエール」をオーダーすると、延命さんが「今日は森田が作った苦瓜のピクルスがあるので、それも一緒に」と、付け合わせで提供してくれました。

谷:このカレー、チキンが柔らかくて美味しい! カフェっぽいメニューが味わえるバーっていいですね。

延命:『みず色クラブ』は、女性がひとりでも気軽に来られるようなお店にしたくて。最近は大学生くらいの女の子も来てくれて、年下の子と話すのも楽しいです。

谷:どんなお話をするんですか?

延命:音楽の話かな。会話が弾んで、あれ聞いてこれ聞いて、と盛り上がった日は、お店を閉めるのが遅くなっちゃう(笑)。谷さんは、どんな音楽が好きなの?

そんな問いかけに対して「サザンオールスターズが大好き!!」という谷さんのために、延命さんは桑田佳祐の奥さんである原由子のファーストアルバム“はらゆうこが語るひととき”をセレクト。

谷:大好きな桑田さんの奥さんは、私のライバルなんです! このアルバムは、彼女がいくつのときの曲ですか?

延命:このアルバムは1981年発売で、原さんが25歳の時に出しているから、それより前に作った曲だね。

谷:そんなに若いときの曲なんですね!? 今の私と同じくらいの年齢で、こんな曲が作れるなんて悔しい~! 私が桑田さんの音楽を好きになったのは、歌が私の気持ちを代弁してくれているように聴こえてくるから。私の絵も、見た人に自分の思いや姿を重ね合わせながら見てもらえるようなものにしたい。そんな作品が描けるように、私も頑張らなくちゃ、と思うんです。

『みず色クラブ』は、フードやドリンクの提供だけではなく、レコードとパソコンを駆使して、古い歌謡曲から洋楽まで多ジャンルの音楽を聴かせてくれます。心地よい雰囲気とともにゆっくり時間を過ごし、会話をしたい人に、うってつけのお店です。

みず色クラブ
住所:京都府京都市左京区新丸太町通仁王門下る新丸太町50
電話番号:090-2069-0822
営業時間:17:00~ 食材がなくなり次第終了(土日祝は11:00~)
定休日:なし
URL:https://www.facebook.com/mizuiroclub

合わせて立ち寄りたい、京都市役所周辺スポット

ここまで、『Işıl ışıl』『まつは』『みず色クラブ』を紹介してきましたが、これらのお店がある京都市役所周辺は、いったいどんなエリアなのでしょうか? 移動の途中で見つけた気になるお店や、谷さんの思い出のスポットにも立ち寄ってみました。

京都の市街地のメインストリート、御池通に面した京都市役所。このエリア周辺は、新しいお店と古いお店が混在する繁華街となっています。

京都市役所の北西にある小さなお店『Miisuk』は、カオマンガイなど美味しいタイ料理が食べられると評判で、ランチ時はいつも周辺で働く人たちで賑わっています。古美術や工芸品のお店が立ち並ぶ寺町通には、ボタンがたくさん売っている珍しいお店『エクラン』があり、その近くにあるレトロな銭湯『玉の湯』は、谷さんもお気に入りの銭湯です。

谷:みんなで飲みに行った後に銭湯に行くのが好きで(笑)、ここにも入ったことがあるんですよ。

そして東へと歩いて行くと、鴨川に出ます。繁華街のすぐそばにありながら、雄大なやすらぎを感じられる鴨川。京都で暮らす人ならば誰もがここに、思い入れがある場所です。谷さんも大学在学中、進路に迷った時、鴨川にきて決意を固めたのだとか。

谷:卒業を控えてフリーになろうか就職しようか迷った時、遅い時間まで遊んで、鴨川で朝日を見ながら思ったんです。「好きなことを仕事にしよう」って。

鴨川の橋を渡り、川端通を超えると、ひっそりとした住宅地で、繁華街とは全く違った雰囲気になります。『みず色クラブ』に行く途中で、イラストレーターの100%ORANGEが描く『nowaki』の看板を見つけました。

『nowaki』は作家ものの器や絵本などを取り扱う、町屋のギャラリー&雑貨店。展覧会も定期的に開催していて、この日はたまたま、保護されている迷い猫のゆきちゃんもお店にいました。靴を脱いで店に入り、味のある器や絵画を鑑賞したり、本を手に取ってみるのは和みのひととき。『みず色クラブ』と併せて訪れたいスポットです。

いかがでしたか? 心地よい空気と美味しい料理、そしてお店を営む素敵な人々との出会いは、1日を特別なものにしてくれるかもしれません。京都市役所周辺に行くときは、ぜひ参考にしてみてくださいね。

プロフィール
谷小夏 (たに こなつ)

1993年大阪生まれのイラストレーター、画家。2016 年京都精華大学デザイン学部ビジュアルデザイン学科イラストレーションコース卒業。色鉛筆を使った人物のイラストが、初個展 「MY LIFE」(kara-Sギャラリー、2015年2月24日~3月1日)や「京都精華大学 卒業制作 展」(2016年2月 17日~21日)で話題となる。現在、雑誌等で活躍中。



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