福岡の「麺ツウ」に聞く、今、食べてほしい麺 第3回:ざいとん

昔から「類は友を呼ぶ」というように、わたくしヌードルライター・山田祐一郎の周りには、いろんな麺好きが集まってきます。そういうわけで、ぼくが信頼を置いている福岡きっての人気ブロガーのみなさんに、極めて個人的なオススメ店を教えてもらいました。今、麺ツウを唸らせるHOTなお店は、このお店です!

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

ブログ「万太郎.net」万太郎(まんたろう)さんレコメンド麺 3.ざいとん / 福岡市東区

万太郎.net

豚骨ラーメンといっても、炊き時間、釜の火力、用いる骨の部位が変われば、スープの濃淡は劇的に変わります。さらにお店の秘伝中の秘伝とされる元ダレ(ラーメンの味を決める醤油ベースのタレ)によっても味わいは劇的に変化します。だからこそ、いろんなお店の豚骨ラーメンを食べ比べ、豚骨ラーメンのディープな側面をとことん満喫してほしいと願ってやみません。

そこで「有名どころの豚骨ラーメンは食べました」という方にぜひ一度、足を運んでいただきたいのが、この『ざいとん』です。

お店があるのはJR香椎駅のほど近く。店主はここに店を構える以前は名古屋でラーメン店を営んでしました。名古屋生まれ、名古屋育ち、そんな経歴を持つ店主が、2015年に福岡へ移住をし、現在の場所でラーメン屋を開業します。

店内はカウンターのみ。店主がラーメンを作っている様子が間近に感じられ、臨場感があります。メニューを見ると、豚骨スープの「らーめん(540円)」を筆頭に、「中華そば(540円)」や「台湾まぜそば(700円)」など、店の規模に反比例するかのような多彩なラインナップ。よく見ると、「台湾らーめん(700円)」には豚骨、醤油の2種があり、店主の創意工夫が感じられます。

注文したのは「らーめん」。万太郎さんのコメントにも“濃厚”とありますが、スープは、まさに期待していたそれ。骨粉感がズドンと突き刺さってくる高濃度なスープで、口当たりは実にマット。ほんのりざらつき感があり、余計な脂に頼らない骨太な味わいを感じます。 余分なものは入れず、豚骨だけでしっかりと出汁がとられたのが伝わってきて、その場で店主の真摯な仕事ぶりに敬礼したい気持ちになりました。

最初のほうはワイルドな印象を受けたスープですが、次第に余計な脂をきっちりカットしている細やかな仕事が功を奏してきて、全然もたれない。最後まで美味しくいただけました。

そして、セットで注文したチャーシュー丼の気前の良さに感服。チャーシューがしっかり盛り付けてあり、これは満足度が高い! 辛子高菜が卓上にあるので、それを合わせても美味。

そして、こちらが中華そば。らーめんと一転、こちらは節系の旨味が生きたシンプルイズベストな味わいです。醤油のまろやかな旨味が口に広がり、日々、味わうにはもってこい。麺もチュルっとした食感で、女性にも評判が良いそう。一つの店で、この振り幅! 恐れ入りました。

ざいとん / 福岡市東区

万太郎さんからのコメント

カウンターのみ7席くらいの小さい店舗で、店主と客との良い距離感が気持ちよい。そんな「コバコ」だからこそ、料理に真面目に取り組む姿勢が出ていて、それが伝わってくる。いつも感心するのが、一人でやっているのにもかかわらず品数が多い点。元々、店主は名古屋で店を営み、福岡へと移ってきた「凱旋」出店だが、博多修行中につくりあげた看板メニューの本格的豚骨ラーメンがクリーミーで濃厚。さらに、福岡では数少ない、名古屋仕込みの台湾ラーメンと台湾まぜそばを提供しており、それらもハイクオリティ。節系の中華そばに取り組んで定番メニューにしたように、店主の新しいものへの取り組む姿勢や意欲にも心を打たれる。数ヶ月に1回、新しい麺の開発をして期間限定麺として発売しているのもその表れ。

ざいとん
住所: 福岡市東区香椎1-17-24 香椎名店街
電話: なし
営業時間: 火曜〜土曜 11:30~21:00
     日曜 11:30〜15:00(無くなり次第終了)
定休日: 月曜+不定休
プロフィール
山田 祐一郎
山田 祐一郎 (やまだ ゆういちろう)

1978年生まれ。2012年8月、【KIJI(キジ)】を設立。以来、日本で唯一(※本人調べ)のヌードルライター(麺の物書き)として活動する。モットーは“1日1麺”。福岡を中心に全国各地の麺を食べ歩き、原稿を執筆する。2015年7月、福岡初のうどんカルチャーブック「うどんのはなし 福岡」を上梓。公式webサイト内で、日々の食べ歩きを綴るwebマガジン「その一杯が食べたくて。」を連載中。



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