ZZ PRODUCTIONインタビュー

STERUSSとサイプレス上野とロベルト吉野の活躍によってスポットを浴びた横浜のクルー、ZZ PRODUCTION。“横浜のハズレ”をレペゼンするこのクルーの1stアルバム『ZZ』のスリーブには、「これはコンピじゃねえ!ダブルゼータの1stアルバムだ!」というキャッチフレーズが。その言葉の勢い通り、個々の活動では見ることができない、彼らの真実の姿がここに・・・。今回はZZクルーを代表してBELAMA2(STERUSS)、サイプレス上野、三木祐司、DEEPSAWER(STONE DA)、謎・みっちゃん、MIC 大将の6人に話を聞いた。

(インタビュー・テキスト:小宮川りょう

「みんなでやっていこう、一つになろう」っていう気持ちは常にあった

―まずはZZ PRODUCTIONとはどういう集団なんでしょうか?

サイプレス上野(以下、サ上):横浜のポッセです。結成は2004年で、メンバーはSTERUSS(BELAMA2、KAZZ-K、crimesixxx)、サイプレス上野とロベルト吉野、謎みっちゃん、DEEPSAWER (STONE DA、希)と三木佑二、DJ KENTAとBEAT武士、MIC 大将、12人です。横浜のハズレもんたちが集まっている感じですね。

ZZ PRODUCTIONインタビュー
左から:サイプレス上野、STONE DA、三木祐司

―サイプレス上野とロベルト吉野の曲でも歌われている戸塚の団地「ドリームランド」が皆の地元?

STONE DA(以下ST):実は出身はいろいろ。

サ上:ドリーム組は俺と吉野、みっちゃん、武士だけ。祐司は徳島だし。

三木佑二(以下、三木):横浜と言いつつ、もうすでに県が違うっていう(笑)。

ST:ステージでフリースタイルしたらZZ入れてやるって言われたような。

謎みっちゃん(以下、謎み):月三千円、払ったらZZ PRODUCTIONだって言われた。

サ上:パー券みたいだな(笑)。

BELAMA2(以下BE):録音機材のPro Toolsを買おうってことで、みんなで金を集めてたんですよね。

ST:支払いが滞るとフライヤーには名前を載せるな!ってなりましたもんね。

謎み:三ヶ月分一気に払ったりしました。

BE:まぁ、そんなことしなくてもホントはもうクルーなんですけどね(笑)。ZZ(ダブル・ゼータ)って、もともとはSTERUSSのレーベル名だったんですよ。上野がZZから『「横浜ジョーカー」を出させてくれ』って言ったのが始まり。一円もお金を出さないレーベルから上野がCDを出したいって言ってくれて嬉しかったです。

サ上:金をもらうどころか、むしろ逆に機材代として月三千円カンパしてるっていう(笑)。まぁでも、リリースしたら、どんどんクルーが増えてったんですよね。

BE:“みんなでやっていこう、一つになろう”っていう気持ちは常にあったんですよね。



2/4ページ:みんなでオモシロ話を半年に一度更新していくのが目標!

みんなでオモシロ話を半年に一度更新していくのが目標!

―そんなクルーの出会いは?

ST:『建設的』(イベント)ですね。

BE:『建設的』の前からお互いに知ってたでしょ?

サ上:高校三年生の時にラップコンテストがあって、その時にSTERUSSも俺たちも出てて、ちょうどその時、CRIME SIXXXが金髪だったから「なんだあの金髪」とか言って、柱の影で腕くんでジーと睨んでたり(笑)。

BE:はじめはお互いにライバル意識があったよね。普通に挨拶するけど、「俺らの方が絶対にイイべ!」と思ってたし。上野は「ドリームラップス」ってグループをやってて、目立つ存在だったので、意識してたし。

ZZ PRODUCTIONインタビュー
左から:謎・みっちゃん、BELAMA2、DJ KAZZ

サ上:バチバチでしたね。俺たちも人の悪口を言ったりするような陰湿なタイプだったし(笑)。それでもKAZZ-Kさんとは話をするようになったんだよね。ビートを提供してもらったり。

BE:毎週火曜にやってたSTERUSSのイベント『SUMBISSION』に、来てくれたてよね。STERUSSとサ上とロ吉をつなぐ存在だったDJ KENTAがやってたイベント『B-DASH』が水曜だったから、火曜水曜と平日ずっと酒飲んでましたね(笑)。

サ上:超行ってた。客なんか全然いないんだよね。そんなこんなで俺のやってたドリームラップスが解散するわけだけど・・・。

謎み:俺、解散ライブに下駄履きにタンクトップ、髪の毛をツンツンに立てた姿で、単車2ケツしてお疲れ様でしたって言って花束持っていきましたもん。

サ上:暴走族の引退じゃないんだから(笑)。東京シーンに関しては祐司が俺をフックアップしてくれてました。

三木:上野は昔からやんちゃだったんですよ。ブエノスでライブをやった時、曲をやらずにずっと木刀を振り回していたことがあったでしょ? それが面白くて、結構連絡をとるようになったんですよ。

サ上:あった。あった(笑)。

ST:なんで木刀を?

サ上:ヒップホップシーンへの鬱屈が溜まってて。イベント行く前、コンビニでレジ打ちしてたから余計に溜まっちゃって、ビール飲みながら会場に着いて、階段登りながら「やるしかねぇ!」ってなっちゃった(笑)。

三木:ロックウェストの便所に自分の名前をタギングして出禁になるってのもあった。「犯人、俺です!」って言ってるみたいなもんだよね(笑)。

サ上:イベントを乱す奴は除外するって言われたんだけど、祐司がかばってくれて、謹慎とけたときは嬉しかったな。

―それもヒップホップシーンへのフラストレーション?

サ上:イベントをやるにしてもノルマ地獄できつくて、そういうことへのフラストレーションがありました。イベントやるにも金積むか友だち集めるかしなきゃいけなかったんです。どうにか好きなことを好きなようにできないのかと思ってました。DJの内容に関しても、ミックステープと同じ内容でプレイしてるDJばっかで、ツマんないなぁと感じてて、よく「お前、つまんねーよ」って文句言ってたりしてましたね。

BE:そういえば、上野がライブ中にクラブの下の来々軒からオロチョンラーメンを出前してもらって、客に食わせるっていうのもあったよね。

謎み:あった、あった。

サ上:やったらマジギレされたなぁ。山下公園の前の景色が綺麗なクラブでしたけど(笑)。

―オモシロい話が山ほどあるなぁ。

サ上:ZZはどんなクルーなのか? 説明するのはすごく難しいんだけど、一つ言えるのは、みんなでオモシロい話をするクルーですってこと。そのオモシロ話を半年に一度更新していくのが目標!

3/4ページ:グループの枠を外して、12人で好きなことをやった

グループの枠を外して、12人で好きなことをやった

―制作はどのような経緯で?

三木:トラックメイキングをやったKAZZ-Kが中心になって、いい感じで制作できましたね。メーリングリストという新しいテクノロジーが始めて導入されて(笑)、上手にまとめてくれたのがデカイよね。

ST:制作が決まったのは、去年の9月。居酒屋で飲んでたら、決まったからってメール来たよね。あれって、なんで飲んでたんだろ?

サ上:やるから会でしょ? 言わないと曲作んない奴いるから、本当にやるぞってことで。まぁなんだかんだでいつも飲んでるけどね。

ST:アルコールノリのクルーです(笑)。基本みんなお酒好きだし、酒の場が好き。酒があるところって楽しくないですか?

サ上:あの飲み会から三ヶ月くらいでソッコーで作ったね。いつもはラップするのが一人だから、煮詰まっちゃうんだけど、今回はMCがたくさんいて、担当するバースが少ないのもあって、サクサク製作できたし、今回は吉野とも曲はおろか、スクラッチの話を少ししたぐらい。それぐらい楽にレコーディングできたけど、ドリームハイツにある俺たちのヤサで作業できるようになったのがデカイのかな。

ZZ PRODUCTIONインタビュー
左から:DJ KENTA、CRIME6、ビート武士

―ヤサってPVでロベルト吉野がターンテーブルを回している場所?

ST:そう。みなとみらいが見えるんだよね。見ても超ちっちゃいけど(笑 )。あそこがみんなのたまり場であり、ZZというクルーの中心地。

BE:レコーディングは本当に楽だったね。俺ももともと自分たち用に書いてたリリックのストックがあって、その中からZZの雰囲気に合うものをハメていった感じですね。ZZってやっぱり特別なんだよね。普段はそれぞれグループの活動があるわけだけど、ZZ PRODUCTIONだと個々の集まりになってる。うちのcrimesixxxとサイプレス上野が“セックス”したりとか、普通なかなかできないわけですよ(笑)。

サ上:普段の自分たちのグループでなにかやるのとZZでやるのとでは全然違いますね。いつもより個人の色が強く出る。グループの枠を外して、12人で好きなことをやった感はありますね。

―セックスをテーマにした “SEX ON THE BEACH―サイプレス上野&crimesixxx”は一曲だけ四つ打ちの派手なトラックだし、すごい下品なサビ・・・ヒドイ曲ですね。

サ上:ヒドイは最上級の褒め言葉ですね! いろんな人からヒドイってリアクションをもらいまくって「これはキタぞ」と(笑)“ZZはサンプリング好きな奴らの集まり”と思われているだろうから、ドリームトラクタ―ズ名義であえてこういう派手な四つ打ちトラックを作ったんです。前からやりたかったけど、俺たちのアルバムでcrimesixxxを呼んでやるっていうのもちょっとフェアじゃないかなと思って。なんか公開処刑してるみたいになっちゃうでしょ? 仲間は平気なんだけど、リスナーがそう思うよね。

4/4ページ:自分たちのアルバムではちょっと出さない部分をサイプレス上野が引き出してくれたっていう。

自分たちのアルバムではちょっと出さない部分をサイプレス上野が引き出してくれたっていう。

―STERUSSの作品には詩的な部分があるから、リスナーが幻滅しちゃいますもんね。

サ上:そうそう、なぜかcrimesixxxは人生訓を言うような真面目な人だ!ってファンに思われているようだけど、本人それに追われていると思うんだよね。

BE:まぁ本を読んだり、まじめなことを言ったりする一面もあるんだけど、実はそういうしょうもない一面も隠してたっていう。その薄皮が剥がれたんだけど、人間としては厚みが出たんじゃない?

サ上:今回、crimesixxxが最初書いてきたリリックは真面目過ぎてつまらなさ過ぎるので全部却下したんです。俺がその場で30分で書いたやつを渡して「これでラップしてください」って渡して、最後の語りだけは自分でやってもらいました。本当は“SEX ON THE BEACH”をしたい人なんですけど、普段は絶対にそういうのを出さないからね。「こう言ったら良いんじゃないですか?」ってアドバイスだけしましたけど(笑)。自分からそういうキャラを演じるのはやなんだけど・・・やらされてるって言えるくらいがちょうどイイんでしょうね(笑)。

ST:こないだの『建設的』でライブ中、“山小屋DUB”をやるときにcrimesixxx がMCでいきなり「宇宙に連れてくぜ!」って言って、全員苦笑い。

謎み:いかせねえよ!っていう。

ST:お客さんも何言ってんだよっていう。

サ上:そういう茶々入れるのもZZ。UNITでのライブでCrimesixxxがモニタースピーカーに腰掛けてるの見たとき、蹴ろうかと思ったもん(笑)。

BE:基本カッコつけだからなぁ(笑)。そこって、うちの相方のタブー視されている部分だよね。それを出すってのが面白いよ。アーティストだし、かっこつけちゃったりするんだけど、そういう自分たちのアルバムではちょっと出さない部分をサイプレス上野が引き出してくれたっていう。そういうアンチテーゼに対する表現としては最高にかっこいいと思うよ。

サ上:いつもcrimesixxxがライブ前にムムッって念じたりしてるのを見て、みんな指差してゲラゲラ笑ったりするんですよね。近い奴ほど彼の本性を知ってるので、何とか開放してやりたいなぁという気持ちがあるんです。ZZクルーでいるときは、「大丈夫だよ、みんないるし、いつも通りでいいよ」って言ってやりたい気持ちがあります。そう思ったら、“SEX ON THE BEACH”はZZ PRODUCTIONでしかやれない特別な曲なのかも。

ZZ PRODUCTIONインタビュー
左から:MIC大将、ロベルト吉野、希

(マイク大将遅れて登場)

マイク大将(以下、マ大):お疲れ様です!

サ上:遅いよ。早くラップで自己紹介して! みんな一通りフリースタイルかましたところ!

マ大:絶対嘘でしょ!

―じゃぁメンツが揃ったところで横浜フーゾク巡りアンセム “徘徊ブルース PT.2”について聞かせてください。

マ大:あれは日常生活のひとつ・・・ZZを象徴する曲です。

BE:総意かよ!

サ上: crimesixxx はむっつりエロイし、まぁ総意でしょ。生活の糧ですね。あいつら行ったなぁ、みたいなね。

―嬉々としてフーゾクに出かけるっていう内容の良し悪しは賛否両論あるかもしれませんが、町をそぞろ歩きする横浜の街の描写が素晴らしいですよね。

サ上:みなとみらい感はゼロです。あれは伊勢崎町・曙町周りですね。ラーメン二郎の交差点から阪東橋をわたってくかんじ。

マ大:PT.1で赤線がなくなってるんですが、今はアートギャラリーになってたりするんですよ。若手のアーティストに展示用に貸し出していたり、一泊千円の安宿になっていたり。ただ仮設交番があって、警察はいるんですけどね。建物と雰囲気がきれいになって、カフェやバーができたり服屋ができたり。建物のつくりは一緒で、いわゆる飛田新地と同じ。

サ上:この曲は実話ですから! 曲を書いたあと、正月に曙町に行ったらリリックと同じことが起こりました。安くしてくれるっていうから行ったら、本当にハンパじゃないのが来て、「おおおおっっ!」ってなったっていう・・・この曲は予言です。

―半年に一度のオモシロ話、更新しましたね(笑)。

サ上: ZZのアルバムのツアーで地方都市を回ったあと、ZZの子会社「ドリーム開発」からDEEPSAWERとマイク大将もリリースをする予定だし、今年もみんなでオモシロ話更新して行きますよ!

リリース情報
ZZ PRODUCTION
『ZZ』

2010年2月3日発売 2,940円(税込) PCD-28014 / P-VINE

1. INTRO
2. ZZ BBQ
3. NadeL
4. ガイドライツ
5. オコヅカイ
6. 三角の中
7. skit -藤沢千鳥足-
8. SEX ON THE BEACH
9. yamagoyadub
10. HARAHACHIBUN ME
11. BIG BOY -ビートボール mix-
12. 世渡りJAWZZ
13. 逃亡者
14. 鳥の影
15. skit -ダイヤルQ2-
16. 徘徊ブルース pt.2
17. ANTITHESE GARTERBELT
18. PANNOMIMI
19. 184045 -トラトラトラmix-

プロフィール
ZZ PRODUCTION

ウエッサイ、ローライダーなど横浜の主流とされるHIPHOP とは一線を画す184045、通称“非通知045 スタイル”を掲げる横浜のハズレモン集団。STERUSS(DJ KAZZ-K、CRIME6、BELAMA2)、サイプレス上野とロベルト吉野、DEEPSAWER(STONE DA、希)、MIC大将、謎・みっちゃん、ビート武士、DJ KENTA、三木祐司から構成され、横浜、藤沢を拠点に活動する。ハイクオリティなラップ&トラックメイキングスキルとナード過ぎず、自然体でありながらも、HIPHOPへの愛情に満ちたスタイルで、日本全国のリスナーを魅了している。



フィードバック 0

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

Special Feature

Habitable World──これからの「文化的な生活」

気候変動や環境破壊の進行によって、人間の暮らしや生態系が脅威に晒されているなか、これからの「文化的な生活」のあり方とはどういうものなのだろうか?
すでに行動している人々に学びながら、これからの暮らしを考える。

記事一覧へ

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて