「ぷよぷよ」の開発者・米光一成のスマホゲーム進化論

世界初のコンピューターゲーム『Tennis for Two』が1958年にアメリカで誕生してから約60年。その間、ゲームをプレイするための様々なデバイスが開発されてきたが、現代人の生活に最も欠かせない道具のひとつであるスマートフォンが、今もっとも手軽なゲーム機と言えるだろう。

スマートフォン用のゲームアプリの進化は、ここ数年で目に見えて向上した。家庭用ゲーム機を凌駕するハイスペックなゲームが続々リリースされ、ヒットを飛ばしている。そこで、誰もが知るパズルゲームの名作『ぷよぷよ』の生みの親であるゲームデザイナー・米光一成が、ゲームプレイに特化した機能を多数搭載したスマートフォン「Galaxy S7 edge」で実際にゲームを体験。ゲームが好きな人も苦手な人も楽しめるスマホゲームの遊び方から、ゲーム的発想を日常生活に活かす方法まで語ってもらった。

おそらく最近のスマホゲームは、プレイヤーが気持ちよく遊べるよう、ソフトウェア側で補完して動かしていますね。

―米光さんは、1980年代後半からテレビゲームのゲームデザイナーとして活躍されていますが、スマホゲームをどのように見ているのでしょう? かつて、生粋のゲームファンは「スマホのゲームなんかパチンコと同じく射幸性を煽るだけで、本当のゲームじゃない」と言っていましたよね。

米光:ああ、そうですね。「ゲーム原理主義」の方からするとそうかもしれません。

―米光さんは違うんですか?

米光:僕もそうなんですけど、ゲーム原理主義過ぎて、逆に「ゲーム」と名のつくものなら何でも大好きでして(笑)。スマホゲームもめちゃめちゃ好きで、1日1本ずつくらい新しいのをやっています。

―そんなにやってるんですね。

米光:大手メーカーのものすごく作り込んだ大作もあるし、インディペンデントな「なんだこれ?」みたいなものもあって、飽きないんですよ。最近だと、ハップという個人レーベルが出している『ママにゲーム隠された』という4コマ漫画みたいな脱出ゲームが面白かったです。

米光一成
米光一成

―スマホゲームというと、以前はカードバトルやカジュアルなパズルが多かったですが、最近はバリバリのアクションゲームやシューティングゲームも増えましたね。

米光:それには理由があって、以前はスマホというデバイス自体が、アクションゲームに向いてなかったんです。テレビで遊ぶのと違って、スマホゲームは画面を直接触るから画面の一部が隠れてしまったり、タッチしたときのレスポンスや映像の処理能力が低すぎて、操作感が悪くて遊びにくかったりして。

―たしかに。

米光:でも最近は、スマホ自体のスペックが格段に向上して、動きのあるゲームに対応できるようになったし、家庭用ゲーム機に遜色ないグラフィック性能を持つようになりました。さらに、おそらく最近のスマホゲームは、プレイヤーが気持ちよくアクションを遊べるよう、ソフトウェア側で補完して動かしていますね。

―というと?

米光:ファミコンやスーパーファミコン時代は、自分が動かしたとおりにしかキャラクターが動かないから、プレイヤーにも高度な技術が求められていました。でも今のスマホのアクション系ゲームは、キャラクターがワラワラ出てきて適当に武器を振れば当たったり、仲間キャラが助けてくれたりもする。プレイヤーが曖昧な操作をしても、敵のいる方向にちゃんとキャラクターが動いて、AI的な感じで戦いを補完してくれています。極端な例だと、アクションゲームなのに「自動戦闘モード」がついていたりしますし(笑)。

米光一成

―自分で動かさないアクションゲームって、矛盾してますけどね(笑)。

米光:でもその進化ぶりはすごくて、その機能によって、「僕がこう動いてほしいと思ったように動いてくれた」という気分を満たしてくれるし、ゲームが苦手な人もアクションゲームの醍醐味を体感できる。

そのハードルの低さによって、「ついでにやる」とか「~しながらやる」という新しい感覚もゲームに入り込んできています。「自動戦闘モードで放置してたら、敵をいっぱい倒せた」というのは、「遠くに住んでる甥っ子と久々に会ったら、成長していて嬉しい」みたいな感覚に近い。ゲームの楽しみ方が広がっているんですよね。

―昔のゲームはROMカセットやCDで提供されるパッケージ作品でしたが、スマホゲームはネットと繫がっていて、随時アップデートされていく。完結した「モノ」から、終わりのない「コト」へと変わった気がします。

米光:たしかに、家庭用ゲームはエンディングを見るのがクリアの目的でしたけど、今のスマホゲームにエンディングがないものもあって、延々と遊ばせる構造も多いです。しかも途中でゲーム自体がアップデートされるから、ルールや内容が変わっていくものもある。ゲームはもはや決まった時間内で完結するのではなく、僕たちの生活とパラレルな形で並走して変化し続けるものへと、拡張しています。

僕はゲームの楽しみというのはゲームの外にもあると思っていて、コミュニティー感覚というのはまさにその一つですね。

―今回はそんな米光さんに、最新のスマホゲームをゲームプレイに特化した機能を有する「Galaxy S7 edge」で遊んでいただいて、その進化をプロの目で評価していただこうと思いました。

まずは、『ぷよぷよ!!クエスト』。ちなみに、元となる『ぷよぷよ』は米光さんが作られたものですよね。それが1991年のことですから、25年以上遊ばれ続けていることになります。

米光:そうですね。でも、最初の『ぷよぷよ』を作ったとき、かなりゲーム好きだったおふくろにプレイしてもらったら、面白くないって言われたんです。連鎖を組むのが難しいから、もっとわかりやすい『テトリス』みたいなゲームを作んなさいよと文句を言われて(笑)。

米光一成

―たしかに、キャリアの差やアクションの腕の差が如実に表れるゲームでしたよね。だから上手くなりたくてハマるわけですけど。

米光:当時、ネットにゲームが繫がっていれば、すぐルールの追加や変更もできたんでしょうけど、そうもいかず(苦笑)。ただ、難しいゲームなのに、マックスの19連鎖まで組むプレイヤーが登場したりしたのは、想定外でした。

―その反応は予想していなかったんですね。

米光:はい。現在の『ぷよぷよ!!クエスト』は別の方が開発されていますが、『ぷよぷよ』をスマホで遊ぶことを意識しながら、他の人気スマホゲームを参考に、上手にアレンジしているなと思いました。プレイヤーキャラクターをカードに見立てて、合体して強化したり、キャラクターを非同期で貸し借りするという、スマホならではの要素も採り入れられていますし。

米光さんいわく「下半分はパズルのフィールド、上半分には敵が見えて、それを倒して進んでいくという作り込みもよくできている」とのこと / 『ぷよぷよ!!クエスト』©SEGA
米光さんいわく「下半分はパズルのフィールド、上半分には敵が見えて、それを倒して進んでいくという作り込みもよくできている」とのこと / 『ぷよぷよ!!クエスト』©SEGA(公式サイトを見る

―ソーシャル要素を取り入れることで、同じゲームを遊んでいる人同士の共有感が生まれますね。

米光:今のスマホゲームでは当たり前になっていますが、同じゲームを遊んでいる人が周りにもいると、そこにコミュニティーが生まれます。僕はゲームの楽しみというのはゲームの外にもあると思っていて、コミュニティー感覚というのはまさにその一つですね。

スマホによって、いつでもどこでもゲームがプレイできるようになったというのもありますが、そのコミュニティー感覚が長時間のゲームプレイを可能にしているとも言える。

―ただ、長時間遊びたいとはいえ、一方でスマホにはクリアしなければならない課題がありますよね……。

米光:そう、やっぱりバッテリーの減りは一番気になるところですよね。特に位置情報ゲームは減りが速いのですが、今回「Galaxy S7 edge」で長時間プレイをしてみたら、今まで使っていたスマホの2倍くらいは持つ感覚でした。

―「Galaxy S7 edge」は、3600mAhもの大容量バッテリーを積んでいるんですよ。

米光:最近のスマホゲームは、先ほども言ったようにグラフィックが非常にリッチだから、それもまたバッテリーを食う要因なんです。だから僕のように四六時中遊びたい人ほど、大容量バッテリーはありがたいです。

―バッテリーが残り少なくなったときにも、ゲーム中にバッテリーを節約できるモードも搭載しているから、安心ですね。

3600mAh大容量バッテリーを搭載し、急速充電も可能な「Galaxy S7 edge」
3600mAh大容量バッテリーを搭載し、急速充電も可能な「Galaxy S7 edge」

開発者が遊びやすく作れば作るほど、プレイヤーはその心地よさに気づかないもの。

―グラフィックがリッチという意味では、豪華で緻密なビジュアルとスピーディーな動きを実現したアクションRPGの『HIT』は、それこそ家庭用ゲーム機で遊んでいるような感覚になりますね。

簡単なタッチ操作で、プレイヤーキャラクターが自在に動きまわり、派手な攻撃で敵を倒す。これこそ、スマホのグラフィック処理能力の進化なしには、できないゲームです。

『HIT』バトルシーン
『HIT』バトルシーン(公式サイトを見る

米光:まず3Dグラフィックでこんなにワラワラと敵が出てきて、キャラクターも素早く動いているのに、いわゆる「処理落ち」(コンピューター性能の限界を超えた処理要求に対して、通常より表示速度が遅くなりカクカク動く現象)をまったくしないのには驚きますよね。それは、「Galaxy S7 edge」のスペックの高さがあってのことかなと。

―「Galaxy S7 edge」は、ゲームをさらに高速に動かせる次世代グラフィックエンジンAPI「Vulkan」を、初めて標準でサポートしているスマホなんです。『HIT』のように「Vulkan」対応のゲームアプリであれば、さらに快適にサクサクプレイできます。CPUも前モデルの「Galaxy S6 edge」と比べて、約30%高速化していますし。

米光:アクション系のゲームは軽快に動かせることが重要なので、この機種ととても相性がいい。ただ、快適に動くからこそのスピード感や臨場感、心地よさは、他の端末と比較したりしないとなかなか気づかない。だから、僕らゲーム製作者というのは、寂しい職業なんですよ。遊びやすくすればするほど、プレイヤーはその心地よさを当然だと思っちゃう。これだけ表示が込み入っているのに「処理落ち」しないって、実はすごいことなんですよ……!

ゲームに限らず、娯楽には「没入感」が必要不可欠。

―もう1作プレイしていただいた『GUNTAI』も、スマホならではのゲームです。まず1羽の鳥が現れ、プレイヤーはスマホを上下左右に傾けて障害物を避けながら、周囲の鳥たちに近づくことで仲間にする。最大500匹からなる鳥の群れを率いて、より遠くまで到達する新感覚のアクションです。個性的ですね。

米光:鳥の群れの動きをリアルに体験できるのが、めちゃめちゃ気持ちいいゲームなんですよ。ビジュアルもキレイだし、経験したことのない喜びがあり、操作すること自体の気持ちよさがある。ただ……難しい! 制限時間もあるから、けっこうガチゲーなんですよね。イージーモードも欲しい。

中村勇吾が率いるデザインスタジオ「tha ltd.」が初めてリリースしたゲーム『GUNTAI』。空の色が変わる演出も美しい
中村勇吾が率いるデザインスタジオ「tha ltd.」が初めてリリースしたゲーム『GUNTAI』。空の色が変わる演出も美しい

米光:こういうアクションゲームって、作りながらテストプレイをするうちに、どんどん上手くなっちゃうから、そこは少し気をつけたほうがいいんです。でも『GUNTAI』は「ミッションをクリアする」という意味を重視するというよりも、不思議な体験に没入できるという別の新しい体感をもたらしてくれるというか、今話題のバーチャルリアリティ(VR)にも向いてそうですよね。

多様な障害物が行く手を阻む
多様な障害物が行く手を阻む(公式サイトを見る

―「Galaxy Gear VR」というゴーグル型ヘッドマウントディスプレイも発売されていて、それに「Galaxy S7 edge」を装着するとコードレスで高精彩なVR体験が手軽にできますよ。

米光:あるんだ。至れり尽くせりですね(笑)。

―「Galaxy Gear VR」はレンズを大きくして視野角を広げたり、映像のドット感を減らす工夫がなされたりしているので、より映像に没入できるようになっています。

米光:ゲームに限らず、没入感は娯楽には必要不可欠ですもんね。その意味で、この「Galaxy S7 edge」というスマホで目を惹くのは、画面の長辺に枠がないことだと思うんです。

―ディスプレイの両端がカーブしたデュアルエッジスクリーンのデザインですね。

ディスプレイの両端がカーブしたデュアルエッジスクリーンを実現。有機ELディスプレイ搭載で画面も鮮やか
ディスプレイの両端がカーブしたデュアルエッジスクリーンを実現。有機ELディスプレイ搭載で画面も鮮やか

米光:今のゲームはネットと常時接続されていて、そもそも外と繋がっている感覚がありますが、「Galaxy S7 edge」を使うと、ディスプレイの中の世界が外界とシームレスに接続している感覚がより強まりますよね。またディスプレイが綺麗だから、ゲーム映像にも没頭できます。デジタルエンターテイメント端末として、非常に魅力的ですね。

―あと、ゲームに特化した機能として、インストールしたゲームアプリを自動的にまとめ、バッテリー節約や通知機能制限を管理したり、ゲームプレイを録画してくれる「ゲームランチャー」機能も搭載されています。

ゲームランチャー
ゲームランチャー

米光:「ゲームランチャー」で、一括管理できる機能はいいですね。細かいところですが、通知機能を一括制限できるのは、とても便利。ゲームのプレイ動画をスマホで撮影して、すぐ投稿もできるのも楽しいし。

個人的な要望としては今後、ゲームプレイの傾向を自動的に分析して、僕におすすめのゲームを教えてくれる機能がついたらもっといい。もうアプリの種類が多すぎて、選びきれないんですよ。嗜好の似た人のおすすめランキングが表示されるのもいいですね。昨今のテクノロジーをもってすれば、きっとできるはずです(笑)。

ゲームっていうのは、「物事の仕組み」を理解するのに役立つんですよ。

―お話をうかがってみて、スマホによってゲームが生活の中に入り込んでくることで、ゲームがその中だけで完結するのではなく、日常に「拡張」してきているという印象を受けました。

米光:そうですね。近い将来、ゲームアプリと電子書籍の区別がつかなくなる日もくると思います。つまり、試験の問題集も、学習のモチベーションを高めるために、正解・不正解がインタラクティブに反応するゲーム的なものになるだろうし、もはやTwitterだってリツイートの数を意識しながらつぶやいたり、フォロワー数の増減を競うのって、ほぼゲームじゃないですか。

『文化庁メディア芸術祭』の審査員をしていても、ジャンル分けをすること自体が、意味をなさなくなっているんですよ。あらゆるアートやエンターテイメントにゲームの要素は少なからず入り込んでいる。

米光一成

―ゲームがいろんな役割を持つようになったとも言えますね。

米光:そうですね。昔は、ゲームをやること自体が目的化されているものが多かったし、それはゲームが好きじゃない人にとっては「時間の無駄」だし「やらなくていいもの」かもしれません。でも今は、いわゆる「ゲーム好き」じゃない人の欲望にも届くゲームが、どんどん増えていると思います。あとゲームっていうのは、「物事の仕組み」を理解するのに役立つんですよ。

―物事の仕組みを体感できるのがゲームだと。

米光:ゲームとは「ルール」と「インタラクション」で成り立っていますから、それは人間の生活にも応用できるんです。例えば、会社の仕組みの中にいると、平社員ではできることとできないことがあり、できなければ無力感にさいなまれる。

でも、人は楽しいことがしたいから、「こうすれば楽しくなるよ」ってルールを提案していくと、徐々に仕組みが変化して、末端の一人であってもゆっくりと全体を変えることができる。個人の話に置き換えると、勉強したくないときに、「じゃあどうすれば自分が勉強したくなるのか?」のルールを変えることで、できるようになるとかね。「がんばろう」という気持ちだけじゃ、人はなかなか実行できないですから。

米光一成

―やる気や精神論だけじゃ、生きていけないと(笑)。

米光:ゲームがモチベーション高める方法で分かりやすい例としては、毎日プレイすると、日を追うごとにいいアイテムがもらえるようになる、というルールもありますよね。それを現実に応用すると、今日5つ単語を覚えたら何か食べてよし、となる。自分の中にルールを作るほうが、精神論の「がんばろう」よりはよっぽど効果的です。

―ゲーム的な発想が、人生に有効であるということですね。

米光:ゲームはプレイヤーの行動とゲームの反応が相互作用することで進んでいく「インタラクション」です。それは人間のコミュニケーションにも応用できる。お互いにアクションしあって、お互いが変わっていくのは非常にゲーム的ですし、それによって局面の変化が積み重なれば、いろんなことが変わっていきます。

今や、スマホは仕事でも私生活においても、無くてはならないコミュニケーションツールの一つ。今回、Galaxy S7 edgeを使ってみて、改めてスマホがゲームの存在をかつてないほど身近にしたことを再発見しました。また、大容量バッテリーや高いグラフィック性能が搭載されていることは、毎日スマホでゲームに熱中したくなる快適性につながると感じています。こういった日々進化するデバイスによってゲーム的な発想というものが、さらに多くの場面で活かされ、日々の生活を変える可能性が広がっていくんじゃないかと思いますね。

製品情報
Galaxy S7 edge

発売中
価格:オープン価格

プロフィール
米光一成 (よねみつ かずなり)

ゲームデザイナー、ライター。「ぷよぷよ」「バロック」「トレジャーハンターG」「想像と言葉」などを手がける。電書カプセル・電書フリマ監督、「宣伝会議:編集ライター講座」講師、『文化庁メディア芸術祭』審査委員。NHKラジオ『すっぴん』の書籍のコーナー、NHKラジオ『ひらめけゲーム「想像と言葉」』などに出演。

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