Czecho No Republicが語る、メンバー脱退を乗り越え4人で進む未来

それはあまりにも突然の出来事だった。4月9日に発表された、メンバーの脱退。2013年のタカハシマイと砂川一黄の加入から5年目を迎え、3月にはニューアルバム『旅に出る準備』を発表した矢先だっただけに、ショックを受けたファンも多かったに違いない。

しかし、すでに4人のメンバーは視線を未来へと切り替えている。5月からの2マンツアーに続いて、7月8日には主催イベント『ドリームシャワー2018』を成功させ、延期となっていたワンマンツアーも9月から振替公演が開催決定。8月1日に配信されるシングル『Baby Baby Baby Baby』は、4ピースバンドとしての可能性を感じさせるに十分な一曲だ。「始まり」と「終わり」が表裏一体であるように、「ピンチ」と「チャンス」も表裏一体。Czecho No Republicの新たな旅は、ここから始まる。

物事がよくなっていくときって、なにかを手放したり、いろんな変化が必ずあると思うんです。(武井)

—突然の脱退発表から約3か月半が経過しました。まずは現在の率直な心境を話していただけますか?

武井(Vo,Ba):俺としては、今、とてもよいです。Czecho No Republic(以下、チェコ)を組んでから一番ポジティブな期間に突入した感じがしてます。

—『ドリームシャワー』でのライブも手応えがあった?

武井:超自然に楽しめました。俺らの前にSUPER BEAVERが半端ないライブをしていて、前だったら「あんなの観ちゃったら、ステージに出られないよ」ってなってたかもしれないけど、今は「誰かと比べてもしょうがないし、自分たちには自分たちの素晴らしさがある」と思えるようになった。だからポジティブなエネルギーだけをもらって、楽しくライブができましたね。

左から:砂川一黄、タカハシマイ、武井優心、山崎正太郎
左から:砂川一黄、タカハシマイ、武井優心、山崎正太郎

—もちろん、脱退の影響は少なくなかっただろうけど……。

武井:まあ、物事がよくなっていくときって、なにかを手放したり、いろんな変化が必ずあると思うんです。だから八木が離れたことも、今は全然ネガティブに捉えてない。八木は八木で自分のやりたい音楽が見つかって、俺らはそれを応援したいし、俺らも俺らの音楽を突き通そうって。なので、精神的にはとてもいい状態ですね。

—タカハシさんはいかがですか?

タカハシ(Cho,Syn,Per):4人になって、最初はとにかくがむしゃらに「やってやるぞ!」という気持ちしかなかったんですけど、それによってメンバーの気持ちがよりひとつになれた気がします。5人のチェコとはまた違うけど、「4人のチェコもすごくいいよ」って言いたい。

タカハシマイ
タカハシマイ

—『ドリームシャワー』のライブは、まだ「がむしゃら」って感じでしたか? それとも、楽しめました?

タカハシ:自分たちのイベントって気持ちが入りすぎちゃうんですけど、今回は最初から最後まで楽しめました。私はSUPER BEAVERを観てちょっとビビっちゃいましたけど(笑)、でも4人のチェコに自信を持つことができたので、すごくよかったです。

砂川(Gt):5人から4人になって、一人ひとりの役割とか立ち位置が明確になったんですよね。ライブでも一人ひとりがなにをやるのかが鮮明になったし、責任感もより強くなったことが、一音一音に出てる気がする。すごくやりがいがあるし、気持ちもひとつになって、前向きな状態ですね。

山崎(Dr):最初に八木さんから話を聞いたときは、正直「なに言ってんだ?」って思ったんですけど、でも本人のやりたいことをやるのが一番だと思うんです。なにが正解だったのかはわからないけど、今は4人が一丸となってやれてるし、時が経つにつれて、お互いにとっていい選択だったと思えるようになりましたね。

山崎正太郎
山崎正太郎

—計画していたツアーをやり切ってから脱退という選択肢もあったわけですよね?

武井:もちろん、そのほうがストーリー的には一番美しかったと思うんですけど……そこまで利口になれなかったというか。お客さんからは「最後に八木さんに会いたかった」という声もいっぱいもらったし、そこを飲み込めなかった自分の情けなさも感じるんですけど、なにより4人での未来にスポットを当てるほうに目がいっちゃって。

こんなこと言うと不謹慎かもしれないけど、4人のチェコの未来にめっちゃワクワクしちゃってる自分もいたんです。脱退の話し合いをしてる最中から、頭のなかで次にやりたい音が鳴り始めて、タカハシがエレキギターを弾いてる画とかが浮かんできたんですよ。

武井優心
武井優心

一瞬だけ、バンド名を変えることも考えたんですけどね。(武井)

—「ツアーをやり切るかどうか」という決断は大きなものだったと思うので、他のメンバーにもお伺いしたいのですが、砂川さんはどんなことを考えましたか?

砂川:いろんなことを考えましたね……お客さんには申し訳ないことをしたと思ったし……今はもう4人のモードになってるので、思い出すのも難しいんですけど……とにかく、「どうしよう?」って言っててもしょうがないし、「切り替えるしかない」という感じだったんですよね。

武井:砂川さんのほうが俺より優しいところがあるので、八木の気持ちと、気づいたら気持ちを切り替えてワクワクしてる俺の間で、大変だったと思います。俺ももちろん最初は困惑したんですけど、でも、「もっといろいろできるんじゃないか」って気持ちのほうが大きくて。

砂川一黄
砂川一黄

—武井さんは脱退発表時に「ライブという空間で嘘は通用しないという事を僕ら去年たくさんライブをして心から分かったつもりだし、バンドが大好きなみんなもきっと同じ認識だと思います」とコメントしていて、その気持ちも大きかったですか?

武井:八木の気持ちを知りつつお客さんに黙ってライブをするっていうのは気が引けるし、お客さんに嘘はつきたくなかったんです。そうやってる自分たちに冷めちゃうとも思ったので。

—だからこそ、すぐに切り替えて、4人での未来を見つめることにしたと。

武井:一瞬だけ、バンド名を変えることも考えたんですけどね。でもバンド名を変えたら、チェコの曲はやりたくないというか、4人で新しい曲を作るのが筋だと思うんです。そうなると、アルバムツアーを楽しみにしてくれていた人に申し訳ないし、もちろん、俺だってこれからもチェコの曲をやりたいし、だったらこのまま存続だろうって。まあ、『旅に出る準備』は5人で作ったアルバムで、4人でやろうとすると音が足りない部分もあるので、タカハシにめっちゃ負担かけちゃっていて……最近怒られましたけど(笑)。

タカハシ:ストレスがたまってたのか、この前スタジオでキレました(笑)。でも、やるからには「5人のほうがよかった」とは言われたくないので、いろんなモヤモヤした気持ちもがむしゃらに音にぶつけて、ここまで頑張って来れたというか。

タカハシマイ
タカハシマイ

—そういった苦労の末に、徐々に4ピースとしてのチェコの姿が見えてきたと。それにしても、決して茶化すわけではないですけど、『旅に出る準備』というアルバムタイトルが結果的にいろんな意味を持っちゃいましたよね。

武井:全部繋がってるんでしょうね、結局。自然と予言みたいなことになってたのかもしれない。だから、きっと必然の別れだったんだと思うし、今となってはバンドが変わるいいきっかけになったと思います。八木も今自分がやりたいことを準備してるだろうし、お互いにとって、いい未来に向かってるんじゃないかなって。

砂川:ワンマンツアーも延期しちゃったし、まだ4人のステージを観てない人も多いと思うんですよね。口でああだこうだ言ってもしょうがないので、まずは今の4人で説得力のあるライブをすることが一番かなって思います。

 

昔は「楽しければいい」って感じだったけど、今はもっと成長して、「よりいい楽曲にするには」を考えるようになった。(山崎)

—4人になっての初音源が、配信シングルの“Baby Baby Baby Baby”ですね。

武井:これ、どう思いました? 今までとは違う感じですか? それとも、チェコっぽいですか?

—最初に聴いた感じは、初期のチェコっぽいと思いました。アディムさん(2010年4月~2012年8月に在籍。ギター担当)がいた時代は、チェコは4人組バンドだったわけで。ただ、プロダクションは明確に更新されてるし、リズムのアプローチも違うし、そういう意味では、過去のチェコと今のチェコの新しい折衷点というか。

武井:なるほど……よかった。

山崎:確かに、「初期っぽい」という感想もあるかもしれないけど、作り方は似て非なるものなんですよね。当時はあんまりなにも考えずに、「楽しければいい」って感じだったと思うけど、今はもっと成長して、「よりいい楽曲にするには」を考えて作れるようになったので。

左から:山崎正太郎、タカハシマイ、武井優心、砂川一黄
左から:山崎正太郎、タカハシマイ、武井優心、砂川一黄

「マイちゃん、かっこいい!」ってめっちゃ言われてて、確かにかっこいいけど……なんか悔しい。(砂川)

—武井さんとしては、どういうイメージだったんですか?

武井:いわゆるドリームポップみたいなのをもう一度追求してみようかなって思ったんですよね。しかも、それをギターで。ALVVAYS(2011年結成、カナダ出身のインディーポップバンド)のライブをYouTubeで見て、美しいなと思って。砂川さんの意見も超取り入れて、タカハシはギターを持って、アームを使って演奏したりカポをつけたり……あれなんていうの?

砂川:解放弦を多く鳴らしてます。

—シューゲイザーっぽいアプローチですよね。

武井:こういうコードがガンガン鳴ってる曲って、初めてなんですよね。最初はシンセも入ってたんですけど、「これいらないな」ってくらいふくよかになって。これで成り立つなら、今後のアレンジも楽しそうだなって思う。緻密に作っていくのも好きなんですけど、これはこれですごくいい答えが出たと思うんですよね。

砂川:いい意味で、肩の力が抜けてるというか、ナチュラルに音を鳴らしてる感じがすごくする。抜け感もあるし、気持ちいい音にできたんじゃないかなって思いますね。

砂川一黄
砂川一黄

—タカハシさんにとって、エレキギターは新たなチャレンジだったわけですよね?

タカハシ:砂川さんが教えてくれるんですけど……これまでずっと「タカハシさん」って呼んでたのに、急に「タカハシ」って呼び始めて、先生気取りされてます(笑)。

砂川:え、それ言われて初めて気づいた。

タカハシ:全然いいんですけどね(笑)。

砂川:タカハシはギターを弾く右手のタッチがすごく繊細で、鳴りがふくよかで、それはいい発見でしたね。僕はかっちりしがちなんですけど、タカハシはいい意味でルーズなので、いいバランスができたなって。あとは単純に見た目がかっこよくて……むかつきますね(笑)。急にエレキを持ったから、「マイちゃん、かっこいい!」ってめっちゃ言われてて、確かにかっこいいけど……なんか悔しい。

タカハシ:だから呼び方が変わったのか(笑)。

—(笑)。正太郎さんとしては、4人になっての変化をどう感じていますか?

山崎:1人減ったことによって、それぞれが出す音の比重というか、重みが増したと思います。ドラムでいうと、基本的に僕はサビでドカーンとやりたいタイプなんですけど、「この楽曲をよりよくするには」を考えて、今回はサビでライドにいっていて。勢いはあるけど、ドカドカしすぎず、でも疾走感を出すというのは上手くやれたかなって。

山崎正太郎
山崎正太郎

—歌詞に関しては、ZIMAのキャンペーンソングであることも意識しつつ、「夏」や「ラブソング」といったテーマで書いていったわけですか?

武井:「夜っぽい感じ」というリクエストはあったんですけど、そこまで狙ってはないです。ZIMAの曲を書くと決まったときに、昔だったら「乾杯!」みたいな、お祭りっぽい歌詞を書いてたと思うんですけど、今は歌詞も肩の力が抜けた感じがいいなと思って。すごく気に入ってますね。

—少しメランコリックなのも武井さんらしさだとは思うのですが、タイミングがタイミングなので、<本当の事は毎回 言葉なんかじゃ足りない もどかしくて痛い 溢れ出た涙>とか、いつも以上にメランコリーが強いようにも感じてしまいます。

武井:うーん……まあ、そういうタイミング的なこともあるんじゃないですかね。脱退のこととかも無視はしてないですけど、かといって、そこにスポットを当てるような曲でもないし、自然に出てきたという感じです。

—そうですよね。でも、曲タイトルが「Baby」4つなのは、意識したんじゃないですか?

武井:それ、お客さんにも言われたんですけど、なににも考えてない(笑)。いつも偶然にそういうエピソードがついて回るんで……ラッキーだなって(笑)。

—『旅に出る準備』というタイトルもそうだし、自然と紐づくのかもしれないですね。

武井:面白いですよね。不思議な感じがします。

Czecho No Republic『Baby Baby Baby Baby』ジャケット
Czecho No Republic『Baby Baby Baby Baby』ジャケット

—ワンマンツアーの振り替え日程も発表されてますし、今後もまずは4人でできることを追求していこうというモードでしょうか?

武井:ライブに関してはそうですね。曲に関しては、もともとあんまり人数を考えて作ってなかったんですけど、5人のときより音を減らしたいです。無理やり5人で鳴らしてたような曲もあって、Aメロとかで「これ、音鳴らしすぎだな」と思うことは前からあったんですよ。“Baby Baby Baby Baby”の2Aは歌とベースとドラムだけで、ベースにエフェクターかけて、メロディックに聴かせたりもしてるんで、そういう遊びは今後増えていく気がします。

—4人になってスペースが増えた分、遊びもし甲斐があると。

武井:あとはタカハシの歌を増やしたいなって。ライブの1曲目がタカハシのメインボーカルでもいいと思うし、そういうこともしていきたいですね。

「それでもやっぱり音楽って楽しい」ということは伝えたいですね。(タカハシ)

—最後に、現在チェコが所属する「murffin discs」のレーベルオーディションがスタートしています。今日話をしてもらったように、バンドは必ずしも楽しいことばかりではない。それでも、バンドをやろうと思っているこれからの人たちへ、チェコから一言もらえますでしょうか?

武井:自分の信じた音楽を、誰かの意見に左右されずにやれたもん勝ちだと思います。狙って作ると面白くなくなっていく気がするし、自分の感性で、自分のオリジナリティーで勝負しなきゃ、飛び抜けることはできないのかなって。

砂川:僕たちもまだまだこれからだと思ってやっているので、先輩面はできないですけど……武井さんの言う通り、自由にやるのがいいとも思いつつ、僕は逆に、緻密に、計算高く、言い方は悪いかもしれないけど、あざとく作られたものも嫌いじゃなくて。それはそれで個性だと思うんですよね。大事なのは、自分が楽しいと思えているかどうかだと思う。

山崎:murffin discsにいるバンドって、どれもジャンルがバラバラだけど、かっこいいバンドばっかりなんですよ(SUPER BEAVER、sumika、SAKANAMONなどが所属)。だから、オーディションで勝って入ってくるバンドには、下から突き上げてもらいたいですね。

タカハシ:どのバンドも、裏側ではいろんなことがあるし、すごく頑張ってると思うんです。「それでもやっぱり音楽って楽しい」ということは伝えたいですね。

 

『murffin discs audition 2018』
『murffin discs audition 2018』(サイトを見る

プロジェクト情報
『murffin discs audition 2018』

murffin discsが2年ぶりとなる『murffin discs audition 2018』を開催。応募者の国籍、年齢、性別、演奏形態、ジャンル、個人、グループは不問。グランプリ獲得アーティストには、murffin discsから音源をリリースする権利と、副賞として賞金50万円が贈られる。メインエントリーはEggsから。さらに推薦枠が用意され、推薦したアーティストがファイナリストに残った場合は推薦者にiTuneカード1万円分をプレゼント。

リリース情報
Czecho No Republic
『Baby Baby Baby Baby』

2018年8月1日(水)配信リリース

ウェブサイト情報
『Czecho No Republic「Baby Baby Baby Baby」リリース記念 ZIMA”もっとサマーを!”BARから生配信!』

8月1日(水)19:00より、LINE LIVEにて配信
番組ハッシュタグ:#チェコZIMA

イベント情報
Czecho No Republic
『「旅に出る準備」リリースツアー』

2018年9月14日(金)
会場:福岡県 天神 the voodoo lounge

2018年9月16日(日)
会場:大阪府 梅田 バナナホール

2018年9月21日(金)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'

2018年9月28日(金)
会場:宮城県 仙台 CLUB JUNK BOX

2018年10月2日(火)
会場:東京都 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE

プロフィール
Czecho No Republic
Czecho No Republic (ちぇこ のー りぱぶりっく)

メンバーは、武井優心(Vo,Ba)、タカハシマイ(Cho,Syn,Per)、砂川一黄(Gt)、山崎正太郎(Dr)。2010年結成。2013年に日本コロムビアよりメジャーデビュー。カラフルでポップでファンタジックなサウンドに、男女のボーカル、多重コーラスが織り成す多幸感溢れる楽曲・ステージは必聴必見。



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