THA BLUE HERBが綴る日々への祈り。「人生のベストはまだ先」

前作『TOTAL』から7年、結成20周年を超えて辿り着いた凄まじい境地だ。THA BLUE HERBの5作目『THA BLUE HERB』は、初のセルフタイトル、初の2枚組、いつも通りフィーチャリングも一切なしの全30曲。ヒップホップシーンの流れを気にしない姿勢は初期から一貫しているが、しかしこれは憤怒に燃えた反逆者の音でも、見て見ぬふりを決め込む享楽者の音でもない。耐え難いほどの現実と対峙しながら、生きろ、胸を張れ、あなた自身の人生を誇れと寄り添ってくる言葉たち。悲しみも痛みも内包しながら最後には愛と祝福が響き渡る。もちろん聴く体力も受け止める勇気もいるが、対峙する価値はあまりに大きいこの傑作について、ILL-BOSSTINOとじっくり語り合う。

俺じゃない人たちの人生がインスピレーションになってきて。子育て、介護、友達、仲間。新聞の投書もニュースもそう。みんなのこと、いろんなものを浴びて書いてる感覚がある。

―まずは、なぜ今作が2枚組なのか、という話から聞かせてください。

ILL-BOSSTINO(以下BOSS):ずっと、今までやってないことをやろうっていうのが俺らのテーマになってて。野音でやったこと(2017年10月29日に結成20周年を記念して日比谷野外大音楽堂で行ったライブ)もそうだし、その前の俺のソロアルバム(ILL-BOSSTINOがtha BOSS名義で2015年に発表した『IN THE NAME OF HIPHOP』)もそう。

2枚組も同じで、1990年代にずっと憧れてた2枚組の作品がたくさんあって、いつかそれに挑戦してみたいと思ってたから。今ならきっとできるんじゃないかっていうのが一番最初の動機だね。

―世界中でアルバムがどんどん短くなっていくこの時代、長いと思われる不安はありませんでしたか。

BOSS:作る前はそういう話にもなって「曲も多いから、すべて3分台とかの曲にして、なるべく早く回していこうか」ってミーティングで言ってたけど。……1曲もないね、そういうの(笑)。やっぱり作り始めると初期衝動っていうか、格好いい曲を作ろうっていうだけなんで。だから何も決めずにそのまま作り始めて。

で、15~16曲できた時に、たとえばヒップホップの話だとか、社会の話、地元の話とか、テーマの振り分けを見て、そこからさらに15曲、どういうバランスで曲があればいいのかを考えて。そこでも「今までやってないもの」「まだ書いてないもの」を探していく作業だった。

THA BLUE HERB(ざ ぶるーはーぶ)
ラッパー:ILL-BOSSTINO、トラックメイカー:O.N.O、ライブDJ:DJ DYEからなる一個小隊。ヒップホップの矜持を保ちながらも、あらゆるジャンルとクロスしていく音楽性・活動を展開する。1997年に北海道・札幌で結成。アルバムはこれまでに『STILLING, STILL DREAMING』『SELL OUR SOUL』『LIFE STORY』『TOTAL』をリリースしており、2017年には結成20周年を記念して日比谷野外大音楽堂にて単独公演を開催した。

―単純な疑問ですけど、BOSSの考える「格好いい曲」の条件って?

BOSS:なんだろうね? 俺がいつも相方(O.N.O)に言うのは「俺が一番好きなのは、寂しくて、あったかくて、でも、なんというか力が出る曲。そんなビートを作ってくれ」ってことで。

―あぁ、まさにTHA BLUE HERBだ。

BOSS:そうそう。もちろんそこだけに固まってしまうとつまんないことは自覚してるし、今回の場合はやっぱり30曲あるからね。音の強さとか音圧も含めて、O.N.Oには聴き手を「疲れさせたくない」って気持ちがあったと思う。だから温かい音もけっこうあるけど。でも俺が1990年代にヒップホップ聴いてたのは、そこが好きだったから。今でもそういうビートを選ぶ傾向にあるね。

―寂しさ、というのは重要なキーワードですか。

BOSS:そうだね、寂しさが一番最初にくる。俺が好きなんだろうね。叙情性とか、ひとりの旅の空とか。まぁ言葉もひとりで書くし、結局は個だよね。そこからは逃れられない。何万人相手にライブやるとかにそれほど興味を持たないのもそういうことだし。あくまで個と個の集合体で、それがリキッドルームぐらいの大きさになってたらちょうどいいって思う。でも結局はみんなバラバラで帰っていくことも常に頭にあるから。結局は個々になってしまうかな、俺の場合。

―ただ、今回は決して個人の話にとどまらないですよね。まず最初に<世界がこの俺から言葉を引き出す>(“WE WANT IT TO BE REAL”)っていうフレーズがあって。自分が言いたいから、というだけではない。

BOSS:その感覚はすごくある。自分の言いたいことって、1MCでここまで表現すれば……言い尽くしてるとまでは思わないけど、もう散々言ってきたことがあるし。1stアルバム(『STILLING, STILL DREAMING』 / 1998年)はほんとに自分のこと、それこそ個の話ばっかりだったけど、でも途中から変わっていった。

俺じゃない人たち、いろんな人の人生がすごくインスピレーションになるようになってきて。子育てもそうだし介護もそう。友達も仲間も、新聞の投書もそうだしニュースもそう。みんなのことを感じながら、いろんなものを浴びて書いてる感覚がすごくあるから。

―そんなふうに考え出したのは、いつぐらいからですか。

BOSS:『LIFE STORY』(3rdアルバム / 2007年)からだね。あの作品から大きく俺の中で変わったと思う。1stなんて、もうただの自分の話。それはそれでとても純粋なんだけど「有名になりたい、自分のことを知って欲しい」っていう気持ちだけで。2ndアルバム(『SELL OUR SOUL』 / 2002年)ではそこからさらに自分の内面をとことん掘り下げて。3rdぐらいから、まぁ俺も結婚したり、周りの友達に子供が生まれたり、そういう出来事に触れた時からなのかもしれない。

THA BLUE HERB『LIFE STORY』を聴く(Apple Musicはこちら

―だからここにはいろんな人生、いろんな生活や感情が詰まっている。それでも<最初に言っとかねぇとダメなやつ>っていう前置きと共に始まる“介錯”は、ヒップホップシーンの話です。

BOSS:そう、最初にそれをやるのが俺らの流儀。THA BLUE HERBとして7年間アルバム出してなかったし、その間にすごくヒップホップも変わったんで。いいこともたくさんあるし、裾野も広がったし、プレイヤーも増えた。でもやっぱり俺の中で「ちょっとそれは違うんじゃねぇか?」って思うこともあって。そこを言っておかないと俺自身が気持ち悪かった。

何も持ってなくても、そこから作っていく。それがヒップホップの一番大事なところで。お金やコネクションありきでブーム作っていくのは、受け入れられないですね。

―今のヒップホップは、BOSSから見て何が違いますか。

BOSS:うーん、まぁ昔からなんだけど、やっぱり自分でやるかやんないかなんだよね。D.I.Y.でやるのか、企業からお金引っ張って、それでブームっぽい雰囲気を作っていろんな人たちを巻き込んでいくのか。やっぱりね、俺、それじゃ花は咲くけど根付きはしないぜって思ってしまう。

BOSS:自分の地元で……まぁ地元に限らず自分の仲間たちのいる場所で、カネや学歴がないならないで、どうにかしなきゃ。俺は携帯も持ってないけど、そんな俺みたいな奴でも一一。

―え、携帯持ってないんですか?

BOSS:持ってないです。

―ははははは。さすが。

BOSS:そういう奴がさ、何も持ってなくても、そこからあるものを作っていく。それがヒップホップの一番大事なところ、俺が一番好きなところで。学歴、あとはお金とかコネクション、そういうのがない中でどうやっていくか。進んでいくとお金も手に入るしコネクションも手に入る。それは後から掴み取るものなんだけど、最初にお金ありき、コネクションありきでブーム作っていくのは、やっぱり受け入れられないですね。

ただ、そこで頑張ってるプレイヤーたちはほんとに20年前の俺と変わらない。「金持ちになりたい、有名になりたい、俺のことを知って欲しい」っていうのは理解できるから。

―ええ、プレイヤーを完全否定はしてないですもんね。

BOSS:うん。そこは立ち入れない。プレイヤーに対する愛は捨てられないのが前半の曲にある複雑な心境で。プレイヤーたちの純粋さを傷つけたくない気持ちはすごく強かったし。ただ「システムの中で戦わされるなよ、自分の戦いたい奴と戦えよ」っていうか。くじ引きとかで対戦相手を決められて、「殺す」「死ね」とか言っちゃうなよって。それは言いたいですね。

―ただ、テレビでラッパーのバトルがあり、憧れる高校生がいっぱい出てきたりする現状もありますよね。それは良いことだと思います?

BOSS:うーん……ま、入り口は広いほうがいいんじゃないですか? っていう感じかな。だから全然いいっす。その20年後に俺らがいるんで。

何が正義で何が悪か、そのふたつで分断するのは難しくて、俺の中にすら相反する想いはある。だけど、そこも表現したかった。

―20年選手のBOSSは、アルバム前半でヒップホップシーンに語りかけて、そのあと“A TRIBE CALLED RAPPER”で<緊張ほぐして話し出す>とテーマを変えますが……それが何の話かって、ほんとにヘヴィな日本の現状について。

BOSS:そう。まずはヒップホップ、次はそこになりますよ、やっぱりね。

―この順番は必然でしたか。

BOSS:そうですね。ヒップホップに対してとか、日本に対してのリリックって痛みが伴うことも多いんで。だけど俺は痛みを与えた状態で作品を終えるのが一番嫌だし、マナーとしてナシだと思ってるんで、その痛みをリカバリーする、そこから上がっていく時間を作りたい。そうなると、このテーマを後ろに持ってはいけない。だから流れとしてこうなります。

―先に一番辛いことを抉っていく。ただ、そこにはほんとに絶望しかないというか……どうしたらいいんだろう、って気分になります(苦笑)。

BOSS:ほんとだよね。そう思うよ。

―それでも言葉は止まらなくて。戦争体験者の話とか、福島や沖縄の現実に踏み込んでいくのは、勇気が要っただろうと思います。

BOSS:そうですね。何が正義で何が悪か、そのふたつで分断するのは難しくて。何事も右と左で分けられないようにね。たとえば“GETAWAY”だけを聴けば左寄り、反権力って思われるだろうけど、“REQUIEM”みたいにあの戦争で兵隊だった人たちに寄せる想いもある。この曲だけなら右寄りと思われるだろうし。だから俺の中にすら相反する想いはあって、国家観の話はもっと複雑で。だけど、そこも表現したかった。2枚じゃなく1枚のアルバムだったらこういう2曲じゃなくて、詰め込んだ1曲で表現しただろうけど。

THA BLUE HERB“HEADS UP”を聴く(Apple Musicはこちら

―それだけ、丁寧に考えて言いたかった?

BOSS:そう思う。それが2枚組にして一番良かったこと。死人に口なしの世界だからさ。戦争を利用する人たちはどんどん別のストーリーを後から作り変えていくわけで。だから、いいんじゃない? ラッパーがそれを語るのは。ラッパーなり映画なり、音楽なり小説なりが、あったことを伝え続けていけば、少しでも繋がっていくのかなって。

<ONE LOVE>も<FUCK YOU>もほんとは同じ意味。ただ、今なら俺は<ONE LOVE>を使う。

―それから“GETAWAY”で刺さったのは<通してくれよ 邪魔だ>のあとに<FUCK YOU>じゃなくて<ONE LOVE>がくるところでした。これだけヘヴィなことを言わせるのは愛なのか、っていう衝撃。

BOSS:そうだね。<ONE LOVE>も<FUCK YOU>も同じ意味なんだけどね、ほんとは。俺の中でも今はもう同じ意味だな。<ONE LOVE>にだって皮肉はたっぷり入ってるし、<ONE LOVE>って言えないから<FUCK YOU>って言っちゃう奴だっているしね。さっき言った相反する価値観と同じこと。ただ、どっちを使うのかって、今なら俺は<ONE LOVE>を使う。

―愛する言葉と、否定する言葉。その裏には何があるんだと思いますか。

BOSS:……たぶん、愛のほうなんだとは思うよ。そこは「たぶん」って付けちゃうけど。俺の深層心理をずっと辿っていくと、ロード・ハヴ・マーシー(=神よ、慈悲の心を)みたいな言葉になる。でも別に特定の神様も宗教も信じてない、法律のすべてを信じてるわけじゃないけど。でもたぶん自分の中にあるのは「より良くなりたい」「良くなっていけばいいな」っていう気持ちだと思う。ただ破壊をしたいわけじゃない。修復したい気持ちのほうがきっと強いんだと思う。

―わかりました。アルバムはこのあと死の痛みに直面し、そこから個々の人生の話、かなり個人的な物語の集合体になっていきます。

BOSS:まぁ、ここまで行けば、次はそこ行けるよね。ここからがたぶん、本当の挑戦が始まる感じ。そこまでの段階は、わりと今までの作品でもずっとやってきたことで、その最新版なんで。ここから先が新基軸って感じですね。

―主に同世代に向けた言葉が続きますね。しかも<吐き出す息を励ましに変えていく>とはっきり明言している。

BOSS:その自覚はあります。アルバムの1枚目はかなりシリアスなものが多いんだけど、ほんとに“TWILIGHT”までは何とか越えてほしいと思う。現実論として、通らなくてはいけないものとして存在してる曲たちなんで。でもそこを乗り越えれば、そこから先は励ましに変わっていく。

―励ましって言葉、時に安っぽくもなりますけど。抵抗はないですか。

BOSS:ないですね。ヒップホップだから。他の音楽ジャンルは知らないけど、やっぱり最後はアゲなきゃダメなんですよ。悲しいこと、辛いことをリリックにしていくし、言葉はメロディに逃げないぶん表現としてエグいんだけどーーでも、最後はアゲる。それがあるかないかってすごく重要で。「辛いし悲しいけど……でもまぁやるか!」っていう最後の一言を引き出せるかどうか。それはヒップホップの俺なりの条件。

それを言い換えるなら「励まし」っていう言葉にもなる。でもさっきからの話のとおり最初から励ましてるわけじゃないし、「いろいろあるけど、今は忘れて楽しもうよ!」っていう表現ではないので。現実があって、それを受け入れてアガっていくのがヒップホップなんで。

―わかりました。アルバム2枚目には子育て世代のリアルな話も出てきますね。男性の曲と、対となる女性の曲。

BOSS:これは2曲欲しかった。じゃないとフェアじゃないし。あとさっきも言ったとおり『LIFE STORY』くらいから子供が生まれた仲間が増えて。でも時間が経つと、たとえば離婚する奴もいる。あと「子供がいるから別れられない」とかね。ウチは子供いないんで、そのぶん余計興味はありますね。人からの相談も含めて、いろんな話を見たり聞いたりして、インスピレーションを得ていたね。

みんな、幸せになろうとしてるけど、なかなか遠回りしたり、答えの出ないことに苦しんだりしてる。だから、何かを肯定したいとも否定したいとも思わないの。嫁に出ていかれた旦那さん、出ていった嫁さんの曲も、わりとそのまま歌ってる。正しさとか善悪のジャッジは俺にはできないよ。でも、それぞれの人生をそのまま歌うことはできる。でもジャッジのボタンは俺にはない。それをどう取るかは聴き手次第なんだよね。

THA BLUE HERB『愛別EP』を聴く(Apple Musicはこちら

みんな頑張ってたり、苦しんでたり。それでも幸せになろうと努力してる姿にインスピレーション受けたことに対しての感謝ですね。聴いてくれてありがとう、とはちょっと種類が違う。

―20代って自分が世界の中心だと思い込めるけど、30過ぎるとそうじゃないと気づく。さらに40代になるといろんなことを知り、現実的な問題に直面したりして。そこで表現がより豊かになる人と、強いことを言えなくなってしまう人がいると思うんです。

BOSS:俺はまったくないね。相変わらず俺の世界は俺が中心だし、俺から世界を眺めてるだけ。それはずーっと同じ。で、怒りは今でも内包してるし持続させてるんだけれども。それと同時に、受け入れたり、許したり、修復したりすることを学んでいってる。その過程に自分を置いてるだけ。だから「俺、知らなかったことたくさんあったよ」って認めちゃってる感じかな。矛盾みたいな感情にぶち当たって、そのたびに答えを出して、作品にして、ここまで来たのかもしれないね。知ることで謙虚さも身に付く。

―“スーパーヒーロー”にも謙虚さや優しさを感じました。これは3.11の震災後にすぐ被災地に動いた人たちの話。

BOSS:そう。ほんとに彼らの行動はすごいし、俺も影響された。残されるべき、歌われるべきことだと思った。それを、彼らは絶対に自分で歌わないから。

―確かに。それに、たとえば後輩のバンドが「ああなりたい、憧れるぜ」って歌っても、こういう響き方の音楽にはならない。

BOSS:そう思う。世代も近いってのもあって、わりと対等に彼らと付き合わせてもらってるからこそ歌えることもあるしね。これは初期衝動のまま、わりとスラッと書いたのかな。あんまり美談にしようという気持ちもなかった。思ったことをそのまま書いたね。彼らに捧げる曲。被災地に対する彼らの活動をちょっと手伝わせてもらった俺が、外から勝手に歌わせてもらったっていう感覚だけど……でもほんとにあの人たちの行動は、3.11後に自分が学んだことの中でも大きい。

いつか死ぬと知ってるから、楽観的なところから出発はしてない。メメント・モリってやつ。そう思えば無駄にできないでしょう。

―そこから最後まで熱をキープしたまま、アルバムは<ありがとう>という言葉で幕を閉じます。

BOSS:やっと出ましたね。自然と出ました。<ありがとう>という言葉を入れようか入れないか、軽く筆が止まったんだけど。でもこれは<世界が俺から言葉を引き出す>っていう意味と同じ。みんな頑張ってたり、苦しんでたり、それでも幸せになろうと努力してる。その姿を見てほんとにインスピレーション受けたんで。それに対しての感謝ですね。聴いてくれてありがとう、とはちょっと種類が違う。

―しいて言うなら「あなたがそこに居てくれてありがとう」みたいな。だから<人の一生そいつの作品なんだよ>とも言える。

BOSS:ほんとにそう思うよ。俺だけじゃなくみんながそう思うべき。全員がそうやって生きるべきだと思う。みんなに価値がある。

―そうやって自分を肯定できない人が、今はとても多いですよね。

BOSS:そう、1年ぐらい前に知り合った同世代の女の子が「何も残んなかった……」って俺に言ったんだよ。それがずーっと残ってて。女性で「私ももうトシだし」みたいなこと言う人が多くて。俺はそれが嫌なの。あと俺と同世代の男が地元で一番年上のポジションになり、なんか大親分みたいに扱われて、自分でもそう思っちゃってる。それもすっごい嫌。その両者に対して「は? まだ折り返しか折り返しじゃないかぐらいの時間でしょ?」って思う。そんな気持ちになってたらもったいないから。

それはずーっと思ってたし、言いたかったこと。「ほんとにみんな、まだこれからっしょ? こっからだよ!」みたいな。一番楽しいのはこっからだし、一番はまだきてないから。ほんとにそう思う。その思想はこのアルバムのすべてに込められてるし。

―もともと楽観的な人間ではないと思うんですけど、BOSSがそう言えるのはなぜなんですか。

BOSS:………死ぬからじゃない? それを知ってるからじゃない? だから、そう思わないともったいないじゃん、って。だから楽観的なところから出発はしてない。メメント・モリってやつ。そう思えば無駄にできないでしょう。むしろ「私もうトシだから」とか言っちゃう奴のほうが楽観的だと思うよ。

―「私ももうトシだから」って、「えー、そんなことないよ!」って一言を待ってる言葉だったりしますよね(笑)。

BOSS:そうそう(笑)。それは楽観だよ。ほんとに死を知ってればさ、一番いいのはまだきてないよ、まだ何かしないと、って絶対思うでしょう。

―わかりました。いや、とにかく凄い作品です。最後にバカみたいな感想になってしまいますが。

BOSS:いや、でも俺もそう思うよ。やっとできたと思う。「やっと完成したな、THA BLUE HERBが」って思った。ね、この年でこんだけ作れたんだから、まだ全然大丈夫ってこと。

THA BLUE HERB“未来は俺等の手の中”を聴く(Apple Musicはこちら
リリース情報
THA BLUE HERB
『THA BLUE HERB』限定生産盤(4CD)

2019年7月3日(水)発売
価格:9,138円(税込)
TBHR-CD-030

[DISC1]
1. RETURNING
2. EASTER
3. WE WANT IT TO BE REAL
4. 介錯
5. AGED BEEF
6. A TRIBE CALLED RAPPER
7. 凶兆序曲
8. THERE'S NO PLACE LIKE JAPAN TODAY
9. REQUIEM
10. GETAWAY
11. SUVARNABHUMI TRANSIT
12. HIGHER ON THE STONE
13. TWILIGHT
14. KEEP ON AND YOU DON'T STOP
15. THE BEST IS YET TO COME

[DISC2]
1. DETERMINATION
2. TRAINING DAYS
3. 阿吽
4. HEARTBREAK TRAIN(PAPA'S BUMP)
5. UP THAT HILL(MAMA'S RUN)
6. COLD CHILLIN'
7. 一切空
8. LOYALTY
9. LIKE THE DEAD END KIDS
10. スーパーヒーロー
11. SMALL TOWN, BIG HEART
12. LOSER AND STILL CHAMPION
13. 今日無事
14. MAKE IT LAST FOR...
15. LANDING
※生産限定盤付属DISC 3、DISC 4
アルバム収録曲のインストゥルメンタルバージョンを収録

THA BLUE HERB
『THA BLUE HERB』通常盤(2CD)

2019年7月3日(水)発売
価格:4,860円(税込)
TBHR-CD-031

DISC 1
1. RETURNING
2. EASTER
3. WE WANT IT TO BE REAL
4. 介錯
5. AGED BEEF
6. A TRIBE CALLED RAPPER
7. 凶兆序曲
8. THERE'S NO PLACE LIKE JAPAN TODAY
9. REQUIEM
10. GETAWAY
11. SUVARNABHUMI TRANSIT
12. HIGHER ON THE STONE
13. TWILIGHT
14. KEEP ON AND YOU DON'T STOP
15. THE BEST IS YET TO COME

DISC 2
1. DETERMINATION
2. TRAINING DAYS
3. 阿吽
4. HEARTBREAK TRAIN(PAPA'S BUMP)
5. UP THAT HILL(MAMA'S RUN)
6. COLD CHILLIN'
7. 一切空
8. LOYALTY
9. LIKE THE DEAD END KIDS
10. スーパーヒーロー
11. SMALL TOWN, BIG HEART
12. LOSER AND STILL CHAMPION
13. 今日無事
14. MAKE IT LAST FOR...
15. LANDING

イベント情報

2019年8月23日(金)
会場:東京都 CLASSIX

2019年8月24日(土)
会場:東京都 中野heavy sick ZERO

2019年8月26日(月)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2019年8月27日(火)
会場:京都府 KYOTO MUSE

2019年8月29日(木)
会場:広島県 CLUB QUATTRO

2019年8月31日(土)
会場:福岡県 DRUM Be-1

2019年9月1日(日)
会場:沖縄県 Output

2019年9月3日(火)
会場:大阪府 梅田CLUB QUATTRO

2019年9月4日(水)
会場:石川県 Kanazawa AZ

2019年9月6日(金)
会場:新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE

2019年9月7日(土)
会場:埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1

2019年9月10日(火)
会場:東京都 LIQUIDROOM

2019年9月13日(金)
会場:福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION

2019年9月14日(土)
会場:茨城県 CLUB MURZ

2019年9月18日(水)
会場:宮城県 enn 2nd

2019年9月20日(金)
会場:山形県 Sandinista

2019年9月22日(日)
会場:栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya 2/3(VJ-4)

2019年9月23日(月)
会場:茨城県 OctBaSS

2019年9月29日(日)
会場:神奈川県 OPPA-LA

2019年10月2日(水)
会場:北海道 KRAPS HALL

2019年10月4日(金)
会場:北海道 UNDERSTAND

プロフィール
THA BLUE HERB (ざ ぶるーはーぶ)

ラッパー:ILL-BOSSTINO、トラックメイカー:O.N.O、ライブDJ:DJ DYEからなる一個小隊。ヒップホップの矜持を保ちながらも、あらゆるジャンルとクロスしていく音楽性・活動を展開する。1997年に北海道・札幌で結成。アルバムはこれまでに『STILLING, STILL DREAMING』『SELL OUR SOUL』『LIFE STORY』『TOTAL』をリリースしており、2017年には結成20周年を記念して日比谷野外大音楽堂にて単独公演を開催した。



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