COUNTRY YARDが貫く孤高。少年期の願いをメロディに託す

言い切るが、本当の意味で唯一無二のバンドである。

2008年に結成されたCOUNTRY YARDの音楽は、パンクロックをベースにしながらも、同時に、その定型を突き破る要素にも溢れている。1990年代のムーブメントから脈々と連なってきた日本のメロディックパンクの系譜が右肩下がりだった2008年当時の状況下で、オルタナティブロックやブルース、当時の海外インディーロックの音響面における実験性を飲み込み、アート性すら感じる楽曲を聴かせることで日本のパンクのフォーマットを更新し続けてきた。そんな彼らが10月16日にリリースしたのが、ベストアルバム『Greatest Not Hits』だ。

一見、自嘲が過ぎるタイトルである。しかしヒットがなくとも、上記した音楽を貫くことで、シーンの一端に属すこともなく、誰かの作ったブームに乗っかることもなく、ただ孤高のまま歩み続けた歴史への誇りを掲げたタイトルでもある。Sitが放つメロディ、それをさらに彩り豊かなものへ昇華するリズムアレンジ。他に一切見当たらないソングライティングを持って、PIZZA OF DEATHへの移籍を果たし、パンクバンドとして新たなステップを踏む瞬間。その道のりを振り返りながら、徹底的にその音楽の核心を掘った。

「みんなが好きなもの」を好きになれなかった4人が集まったバンドだから。(Sit)

―『Greatest Not Hits』という、聞いたことのないタイトルが付いている作品がリリースされるんですが。

Sit(Vo,Ba):ははははは。そうっすね。

―とはいえ、ライブの中軸を担ってきた楽曲をコンパイルした上に新曲2つという、まさにベストな内容なんですが。10周年を経たこのタイミングでベストアルバムを作ったのは、どういう気持ちからだったんですか。

Sit:去年がバンド10周年だったので、『10 Years Made Our Now』っていうアニバーサリーのワンマンツアーをやってたんですよ。それも自分たちとしてはベスト盤と同じような気持ちでやってたんですけど、今回からタッグを組むPIZZA OF DEATHのほうから「ベストアルバムはどう?」って提案してくれたんですね。俺たちも面白いと思って、提案に乗ってみたっていう感じですね。

COUNTRY YARD(かんとりー やーど)
左から:Hayato Mochizuki(Gt,Cho)、Keisaku “Sit” Matsu-ura(Ba,Vo)、Yu-ki Miyamoto(Gt,Cho)、Shunichi Asanuma(Dr)。2008年に東京にて結成。バンド名をThe Vinesの“Country Yard” から引用している通り、インディロック、オルタナティブロックからも強く影響を受けた音楽性を拡張し続けている。ここまでに3枚のフルアルバム、2枚のミニアルバムをリリースし、2019年10月にはPIZZA OF DEATH RECORDS移籍第一弾となる『Greatest Not Hits』をリリース。

―こうしてベストアルバムを作ってみて、COUNTRY YARDはどんなバンドだと振り返れましたか。

Sit:そうだな……友達のバンドはもちろん多いけど、なんか島国みたいなバンドだと思いましたね。孤立って言ったらまた違うんだけど、一匹狼みたいな感じ(笑)。

―その一匹狼感は、音楽的なポイントが大きいんですか。

Sit:そうっすね、いわゆるジャンル的なものでも一匹狼っぽいし、同時に、メンバーそれぞれキャラもアクも強いから。バンドとして放ってるもの自体が一匹狼っぽいな、と(笑)。

Miyamoto(Gt,Cho):そうだね。音楽的には「メロディックパンク」って言われることが多いけど、それとも違う独特なものがあるんだなって改めて思えたよね。

―まさにCOUNTRY YARDというバンドの音楽には、日本的なメロディックパンクとは違う要素のほうがむしろ多いですよね。今おっしゃった独特さって、ご自身で言葉にするとどういうものだと思うんですか。

Miyamoto:うーん……やっぱりSitの作る曲、メロディだと思いますね。それに、俺らって4人とも好きな音楽が本当に違うんですよ。不思議なくらい、好きなものの円が重ならない(笑)。それぞれから全然違うものが出てくる中で、Sitのメロディがまとめてくれてる感覚が強いんです。その混ざり方が独特さになってるのかなあ。

Sit:そうかもしれないね。今の4人の中で最初から一緒にやってるのはHayatoだけど、「メロディックパンクやろうぜ」なんて最初から言ってないんですよ。もっと漠然としてたし。巷の人は「新世代のメロディックハードコアだ」とか言ったりしてたけど、俺らにとってはそうじゃなかったんですよ。いわゆるメロディックパンクのバンドって、全員が「Hi-STANDARD大好きです!」「NOFXが好きです!」みたいな共通項があって結成してることが多いと思うけど、むしろそれとは逆で、みんなが好きなものを好きになれなかったメンバーが集ったバンドだと思ってて。

Keisaku “Sit” Matsu-ura(Vo,Ba)
COUNTRY YARD『Greatest Not Hits』を聴く(Apple Musicはこちら

―セオリーとはどうしても違うものになるっていう。

Miyamoto:そうそう。日本自体がセオリーに従うことを美徳とするような考え方が根強いじゃないですか。ルールとか刷り込みばっかりを大事にして、はみ出した人をすぐ叩く、みたいな。それは今さらに強まってる感じがするけど、俺たちの場合は、はみ出すことを目的にしてるつもりもないし、それが特別なことだって言うつもりもなくて。自然と、「いわゆる」みたいなところからはみ出ちゃってるだけ(笑)。

―先ほどおっしゃったように、確かにパンクロックを鳴らされてはいるけど、この国でメロディックパンクと呼ばれてきた音楽とはまったく違うミクスチャー性を持っていると思うんです。日本でのメロディックパンクというと、どうしても「メロコア」と呼ばれて、1990年代にハイスタが作った音楽に帰結していくことが多かったと思うんですよ。それとは違って、パンクロックをベースに、オルタナティブロック、2000年代のインディーロック、ブルースが溶け合ったものを鳴らされていると思って。

Sit:確かに、そうですね。

Hayato(Gt,Cho):このバンドを始めた最初の頃からそうかもね。初めてSitが曲を持ってきた時点で、音楽ジャンルとしてのパンクロックっぽさってほぼなかったんですよ。2ビートで、Aメロはミュートでズクズクいく、みたいなところも一切なかったから。

COUNTRY YARD『Modern Sounds』を聴く(Apple Musicはこちら

Asanuma(Dr):僕は途中加入だからサポートを含めて2年しかCOUNTRY YARDにいないですけど、初めて見た時から独特さは感じてきて。いい意味でどこにも属してないっていう感じが伝わってきてたんですよね。パンクロックの要素はもちろん色濃いんだけど、なんか全然違うっていうか。

Shunichi Asanuma(Dr)

―「独特」という言葉が何度も出てきますけど、そういうメロディとアレンジを生み出すSitさんのソングライティングは、どういうところから生まれてきてるんだと思います?

Sit:うーん……まずメロディに関して言うと、明らかに自分の少年時代からきてると思うんですよね。

合唱コンクールで歌わされる「みんなの歌」みたいなのは嫌いだった。自分が好きなものは「みんな」を前提にしたものじゃないんですよね。(Sit)

―Sitさんの少年時代には、どういうものがあるんですか。

Sit:これはまさに“Seven Years Made My Now”でダイレクトに歌ってることなんですけど、俺は幼少期から中学生の真ん中くらいまで、家の教育方針で、親元を離れて寮みたいなところで育ったんです。で、人って、小さい頃のコンプレックスを必ずどこかで引きずってるものだと思うんですよ。それが自分の場合は、親元を離れてひとりになった頃に生まれたというか――その7年間が俺を歌わせてるっていう感覚があるんです。……「少年時代、こうだったらよかったのに」っていう願いみたいなものが俺の中にドーンとあって。

Sit:「みんなと同じだったらよかったのにな」とか、「いわゆる普通だったらよかったのにな」とか、自分の中の幼少期の記憶から生まれる願いがメロディになるっていうか。そこからどうしてこういう音楽を鳴らしてくようになったか、って言ったら自然なことだったとしか言えないんですけど。音楽を聴けば不思議と寂しくなかったし、楽しい気持ちにもなれたから。だから小学校6年生くらいから俺はアコギで曲を作って遊んでたんですけど、メロディが生まれる時の感動の原風景は、未だにそこにあるんですよね。

―先ほどもオルタナティブロックやブルース、パンクっていう言葉を挙げさせていただきましたが、COUNTRY YARDの音楽に入っている要素を紐解いていくと、どれもが、その時代時代でメインストリームや「普通」の中に入れなかった人が、もうひとつの選択肢として鳴らした音楽だったりしますよね。ご自身の背景に、そういう部分が共鳴したところがあるんですか。

Sit:ああ、なるほどな……! 実際、歌を作るのも好きだし歌を歌うのも好きだったけど、合唱コンクールで歌わされる「みんなの歌」みたいなのは超嫌いだったんですよ。しかも、ああいう合唱って必ず「ハッピーなもの」っていう前提で歌わされるじゃないですか。それが嫌で仕方がなかった。だからきっと、自分が好きなものは「みんな」を前提にしたものじゃなくて、その本人しか理解し得ない「哀愁」みたいな部分にあるんでしょうね。自分が聴いてきた音楽に共通するのは、自分の寂しさの琴線に触れるものだった。パンクも俺にとってそういうものだったんですよ。

―それを自分のメロディにして歌うことで、寂しさとか孤独を昇華していたということですか。

Sit:そうかもしれないですね。だからNOFXとかももちろん大好きだったけど、それをそのままやろうっていう感覚にもならなかったんですよ。出てくるメロディに対して、どうするか。その自然な動きの中で、COUNTRY YARDでしかないものが生まれてきたっていうことなんでしょうね。

―ギターのサウンドにしろ、その上を泳いでいくメロディの動きにしろ、そしてサウンドのキメ細やかさにしろ、メロコアと呼ばれるものとは種類の違う構築美を感じさせるんですね。このアート性を感じる音は、自分たちのどういうフェチズムなんですか。

Sit:変な言い方になりますけど……たとえば俺が日本のメロディックとかに対して「いわゆるパンクロック」を感じるのって、サビの裏に、サビを支えるギターのメロディがないとか、そういうところなんですよ。コードを弾いてるだけ。だけど俺は、歌の裏にもうひとつのメロディをつけることが好きで。じゃあそれってどこからきてんのかな? って考えたら、それは割とJ-POPから学んだことだったりとかして。

Sit:そういう意味では、むしろ日本のバンドとしてのセオリー通りに曲を作っているところもあるんだと思うし、そうやって咀嚼してきた知識とか技術を積み重ねていくことが結果としてのオルタナティブになるだけなのかもしれない。常に後ろに他のメロディが鳴ってる、みたいなところはずっとあるし、他のバンドの曲を聴いた時でも、コードとコーラスだけだと「もったいねえな」って思っちゃう。もっと自由に歌えばいいのに、俺ならもっと歌を飛ばせるのにって思っちゃうんですよね。

―たとえばCOUNTRY YARDが登場した2008年って、日本のメロディックパンクのシーンは完全に右肩下がりでしたよね。でも世界を見渡せば、たとえばTitle Fightのようにインディーロックもサイケデリックなものも飲み込んでパンクを刷新していくバンドもいた。そういう流れにもピタリと共鳴してきたのがCOUNTRY YARDというバンドだと思うし、歌心の捉え方がとても自由ですよね。

Sit:Title Fightはまさに影響を受けたと思いますね。で、それこそ自分自身が「パンクと言われるけど、実際はどうなんだろう」みたいなモヤモヤを抱えてる頃に登場したのがTitle Fightだったんですよ。一緒にツアーを回った時にも「もっとやっちゃっていいんだ!」って、音楽の天井を外してくれた感じがした。自分たちの持ってるバックグラウンドも丸ごと表現していいんだって教えてくれた気がしましたね。そこから、どんどん自由になっていった結果として、他にないものになったというか。

COUNTRY YARD アーティスト写真

どこにもフィットできないものが自分たちの場所を作っていくっていうことのほうが「当たり前」だと思うんですよ。(Miyamoto)

―端から王道に対するカウンターを狙うとか、オルタナティブであることを目的にするとかじゃない、通ってきたものを一つひとつ消化していくことが、結果として他とは違うものになるっていう。それも、ご自身のメロディへの執着が生んでるものなんですか。

Sit:うん、コーラスの後ろにもうひとつ欲しくなるっていうのは、そういうことかもしれないですね。俺はOASISもThe Beatlesも大好きでロックバンドに心惹かれてきたけど、感覚的には、「バンドとして」というよりも、その曲ごとに消化してきた気がしてて。バンドのパーソナリティと曲が直結して物語になっていくこともあるけど、俺の場合は、やっぱりメロディや曲のよさそのものに音楽の魅力を感じてきたんでしょうね。

COUNTRY YARD『QUARK』を聴く(Apple Musicはこちら

―じゃあ逆に言うと、こうしてロックバンドをやり続けるのはどうしてなんだと思います?

Sit:うーん……「ロックバンドだから」好きなんじゃなくて、少年だった時の自分に近いものを歌っている人たちがロックバンドだったんですよ。生活に何かを抱えてたり、恋人に問題があったり、親に問題があったり……そういう人も世の中にはたくさんいるけど、でもそれぞれが強く立っていて。そういう人たちが歌うことで、周りの人も奮い立たされていく。そういう部分に魅せられてきてたんだと思いますね。だから、「これなら自分にもできそうだし、やってみたい」って思えたんですよね。

Sit:ただ、俺には強烈な孤独の背景があったからわかりやすい話になりますけど、だけど、MiyamotoにもHayatoにもShunちゃんにも同じ匂いは感じるんですよ。ひとりでも強く生きていく覚悟っていうか。それが、彼らにパンクを感じるところでもあるし、きっとそういう孤独感は、みんなが持っているものなんじゃないかなって思うし。それは誰もが持っている琴線だと思うんですよ。

Hayato:そうかもしれないね。ガーッとライブをやってはいるけど、根っこには暗いものがある感じがするし。

Hayato Mochizuki(Gt,Cho)

Sit:だからきっと、出してる音の型がパンクかどうかって、俺らにとってはもうどうでもいいことになってきた気もするんです。そういう型とは違うところにパンクがあるっていうか。「パンクだぜ」っていう音楽よりも前に、自分自身がパンクであればいいだけだから。

―先ほどの話にもありましたけど、つまりご自身にとってのパンクって、ひとりでも強く立てる生き方のことなんですか。

Sit:パンクっていうのは、自分自身であることだと思う。自分が好きなように想いを話して、なんとなく刷り込まれたルールとか定義に流されないこと。それが俺にとってのパンクです。……元々は、「あんなのパンクじゃない」みたいな言葉を吐いてた時期もあったんですよ。だけど、パンクって簡単に定義づけられるものでもないんだってだんだん気づいてきた。昔は、学校行くのにも髪の毛をバキバキに立てていくことですら自分の「パンク」にとって大事なことだったんですけど(笑)。

でも、そういうことじゃないんですよね。どれだけ真っ新な自分で生きていけるか。そこでしかないと思うようになった。

『COUNTRY YARD』(2017)収録

―そうなってきたのは、どうしてだったんだと思います?

Sit:大きかったと思うのは――ちょっと前に、喉のポリープの手術をしたことがあったんですよ。それで5日間くらい声が出なかった時に考え方がガラリと変わって。がむしゃらにやったり、汗かいてぐちゃぐちゃになったり、っていうことがベストだと思ってたけど、声が出なくなったことで、自分がどれだけ無理をしていたのかっていうことに気付かされたんですね。

そこで、もっと素直に、もっと自分のありのままでやることが大事なんじゃないかなって気づいたんです。で、そうやって素直になることこそが「自分は自分でいい」っていう歌を歌ってくれていたパンクそのものじゃないかって。そうやって自分の素直さを見つめることで、メンバーとこのバンドをやっていることの有り難みも強まった気がするし。

―そこが肝ですよね。従来の価値観とか刷り込みに流されないのが大事なのはなぜかって、人を枠組みで見るんじゃなく、個々がそれぞれの個性を持って生きているっていうことに対して寛容でありたいからだと思うし。それがパンクの一番の精神性であり優しさだと思うんですよ。

Sit:少年期の俺は、寂しいからこそ、そう歌ってくれるパンクを好きになったんだと思うんですよ。最初は、人に迷惑をかけてもいいってことの言い訳みたいにしてパンクに憧れたところもあったんです。だけどそうじゃなくて。自分のままでいたい、っていうのが結局のところ一番大事なんだろうなって今思えてるんですよ。

俺は本当の孤独を知ってるし、自分自身であるっていうことの真実は、ひとりの時間にある。(Sit)

―それは、ずっと歌い続けられていることですよね。お前もひとりだし、俺もひとりだっていうことを認め合う歌。ドライな意味じゃなく、受け入れ合うことへの願いとして出てきているからCOUNTRY YARDの歌は温かいと思うんですよ。

Sit:……結局、全部が自分のChildhoodからきてるんだろうなって改めて思いますね。だって俺が暮らしていたところには、自分の友達しかいなかったんですよ。親元を離れて、寂しくて孤独を感じてるヤツしか周りにはいなかった。今日起こったことを話す相手も、親じゃなくて友達だけだった。だから、それが自分の歌になってるのかもしれないんですけど。友達に対して優しくしようっていう歌でもないし、パンクは優しいだけじゃなくて厳しさも持ってる音楽だと思うけど……でも、お互いに寂しさを持って同じ境遇で生きてるっていうことを受け入れ合うことしかできなかったんですよね。

―歌っている時って、自分の心には何が生まれていきますか。

Sit:歌ってる時に俺はよく目を瞑るんですけど。その時って、めちゃくちゃ「ひとり」を感じられるんですよ。歌詞とは別の、メロディが生まれてきた時の気持ちに還っていける感じがする。それに、俺は本当の孤独を知ってるし、自分自身であるっていうことの真実って、結局はひとりになる時間にあると思うから。それはまさに“Quark”でも歌ってることなんですけど。寂しいよね、みんなで孤独を埋め合おうね、って歌うんじゃなくて、ひとりになること、本当の自分自身になることをそのまま歌にしてるだけっていう感覚が強いんですよね。

―今の時代って、いつでも人と繋がっていると思えてしまう時間が多くなっていく反面、同時に寂しさも深まっているところがあると思うんですね。ひとりになる時間じゃなく、誰かと文字だけで連絡を取れたり、四六時中何かを発信できたり、っていうことは簡単になったけど、だけどそれが途切れた瞬間に、ひとりであることに耐えられなくて寂しさが膨張したり。その中にあって、孤独でもいいし、それこそが自分自身であるっていうことを歌い続ける音楽の意味はとても大きいと思うんですよ。

Sit:ああ……そういう意味では、孤独を知っている4人で音楽を鳴らせていることはラッキーだなって思いますよね。ここがそれぞれの居場所だと思うし、すごく素直な形で自分自身になれる場所だとも思うし。なんなら、そうやって集まった4人だからこそ、1990年代から辿っていっても、どのシーンにもフィットできない感覚があるんですよ(笑)。

Miyamoto:でもさ、たとえば『AIR JAM ‘98』を思い返してみたら、あれも今じゃパンクフェスとして伝説になってるけど、実は一切同じ音楽性のバンドがいないイベントだったよね。そこから21年経って、パンクの系譜にある音楽がメジャーなフェスにも登場するようになって、音楽シーンもガラリと変わってきたわけじゃないですか。やっぱり「なんか違うな」っていうものが徐々に時代を変えていったり、時代に侵食していったりするもので。むしろ、どこにもフィットできないものが自分たちの場所を作っていくっていうことのほうが当たり前のことだと思うんですよ。

Yu-ki Miyamoto(Gt,Cho)

Miyamoto:そういう意味では、「今こういうことが正しいとされてるけど、俺は違和感を持ってるよ」みたいなことを表現し続けた結果としてどこにも混ざれないっていうのが、一番セオリー通りなのかもしれないなって思うこともあって。

―今回の新曲の“Smiles For Miles”ではまさに「居場所がなくても、進んでいく」ということが歌われていますよね。

Sit:そう、俺たちはきっとそうやって進んできたんですよ。ステージがないならフロアでライブをやってきたし。ここまで来たんなら、やっぱり自分の思うままに進んでいくしかないんですよ。そういうことを歌いたかった。結局はこの4人で幸せになれればいいよねっていうことしかないし、その理想に向かってどうするか。大人になってきた自分たちにとって大事なのって、それしかないと思うんですよね。

―<若さを語ることは捨てて>(和訳)っていうラインがありますけど、大人になっていくって、現実を知って諦めていくこととは真逆なんじゃないかと思うこともあって。きっと大人になるって、理想に対してシンプルになって、そこに真っ直ぐ向かっていけるようになることですよね。

Sit:そうですね。知らなかったことを知る――それが大人になっていくってことだとは思うんですよ。で、情報を入れれば入れるほど、今の自分にとって要らないものがわかってくる。そこで達観するんじゃなくて、どんな理想を持って生きていくかに対してシンプルになっていくことが大事だと俺も思うんですよ。

それに、PIZZAに移籍したことで、いろんなことを考えるきっかけをもらえてるんです。たとえば健さん(Ken Yokoyama)と一緒にツアーを回れば、今まで聞いたことのないハードな言葉が刺さることも増える。そういうふうにして、また新しいものが自分たちから生まれてくるんじゃないかなって。今は、その予感にワクワクできてますね。

リリース情報
COUNTRY YARD
『Greatest Not Hits』

2019年10月16日(水)発売
価格:2,200円(税込)
PZCA-87

1.Don’t Worry, We Can Recover
2.I’ll Be With You
3.Far Flower
4.Turn Up The Sun
5.Seven Years Made My Now
6.Starry Night
7.Quark
8.I’m Alright, You’re Alright
9.In Your Room
10.Alternative Hearts
11.Bed
12.Orb
13.Beforre I Crack
14.Smiles For Miles

イベント情報
『GREATEST NOT VACATION TOUR』

10月20日(日)
会場:福岡県 天神graf

10月22日(火)
会場:大阪府 心斎橋Pangea

10月23日(水)
会場:愛知県 名古屋APOLLO BASE

11月4日(月・祝)
会場:宮城県 仙台enn2nd

11月10日(日)
会場:東京都 新代田FEVER

プロフィール
COUNTRY YARD
COUNTRY YARD (かんとりー やーど)

2008年に東京にて結成。バンド名をThe Vinesの“Country Yard” から引用している通り、インディロック、オルタナティブロックからも強く影響を受けた音楽性を拡張し続けている。ここまでに3枚のフルアルバム、2枚のミニアルバムをリリースし、2019年10月にはPIZZA OF DEATH RECORDS移籍第一弾となる『Greatest Not Hits』をリリース。



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