くるり・岸田繁と君島大空の共鳴するところ 歌と言葉とギターの話

2021年、新型コロナウイルスの感染対策を徹底した音楽フェス開催の可能性が探られている。そんななか、5月15、16日に富士山こどもの国(静岡県富士市)で開催が予定されているのが『FUJI & SUN』だ。

2019年の初年度はブラジルのエルメート・パスコアールやChara、クラムボン、cero、セオ・パリッシュらが出演。大きな話題を集めたものの、昨年度は開催直前で中止に。今年度は来場者数を抑えるなどの感染予防対策が取られたうえで、待望の再開となる。

他のフェス同様、今回の『FUJI & SUN』は日本人アーティストのみ出演。林立夫と大貫妙子や折坂悠太、青葉市子、ハンバート ハンバート、マヒトゥ・ザ・ピーポー、カネコアヤノら注目のシンガーソングライターに加え、冥丁や民謡クルセイダーズ、VIDEOTAPEMUSIC、SUGAI KEN、Ramzaといったラインナップからは、都市生活から立ち上る「現代日本のフォークロア」ともいうべき共通性が浮かび上がる。

日本列島に住むなかで感じ取った実感や身体感覚が反映された、新たな「土着」の音。そうした音を富士山の麓で体験できる貴重な機会といえる。

今回はそんな『FUJI & SUN』の出演者のなかから、岸田繁(くるり)と君島大空の対談を企画。初対面となる2人の会話は、歌詞に対する考えやディープなギター談義にまで広がっていったが、そこからも「都市のフォークロア」に関わる両者の考えが透けて見えるだろう。コロナ禍における野外フェスの意義にも触れた岸田と君島の対話をお届けする。

左から:岸田繁(くるり)、君島大空

岸田繁が君島大空の音楽に覚えた感銘。ギター、歌詞のあり方、歌の視点など

―岸田さんは以前から君島さんのことをさまざまなインタビューで話されていましたよね。

岸田:(くるりでサポートドラマーを務めている)石若駿は君島くんのところでも叩いているので、石若から「君島くん、すごいですよ」と聞いていたんです。それをきっかけにちょこちょこっと聴きはじめて。

ぼくは普段あまり音楽を聴かないんですけど、君島くんの前のアルバムを聴いて驚いたんです。手が込んでるというか、エレキ(ギター)もかなり弾いてるよね?

君島:めちゃくちゃ弾いてます。

岸田:今日、新幹線のなかで“向こう髪”を聴いてたんやけど、めっちゃすごいなと思って。

君島:ありがとうございます、嬉しいです。

君島大空『袖の汀』(2021年)収録曲(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら

岸田:これやわ! と。もう宇宙一なんじゃないですかね。ギター上手すぎるし……あれ、どうやって録ったの?

君島:家で録りました。

岸田:マイクは何を使ったの?

君島:現行の87(NEUMANN U87)とNEUMANNのマイクをもう一本、自分の耳のところに立てました。自分で聴こえている音を録りたくて。

岸田:なるほど。位相も素晴らしいですし、歌詞もいい。あとね、勝手ながら共鳴するところがあったんですよ。

―それはどういった部分でしょうか。

岸田:私の場合、普通に生きていて言葉にしにくいことを言葉にしてくれる人の歌詞であるとか、「それが言いたかってん!」みたいな言葉に心を打たれることが多いんですね。

でも、自分ではあまりそういう歌詞を書けなくて、言語にならないタイプの雰囲気とか感覚を言葉にすることが多いんです。君島くんの新しい曲には同じ匂いを感じました。

岸田繁(きしだ しげる)
作曲家 / くるり / 京都精華大学特任准教授。1976年4月27日生まれ。1996年9月頃、立命館大学(京都市北区)の音楽サークル「ロック・コミューン」にてくるりを結成。古今東西さまざまな音楽に影響されながら、旅を続けるロックバンドとして活動する。2021年4月28日、ニューアルバム『天才の愛』をリリース。

君島:生活のなかで考えていることって、継ぎ接ぎだらけだと思うんですよ。今日のメシのことを考えていたかと思えば、中学校の友達のことを考えていたり。頭のなかでは時間軸がぐちゃぐちゃなんですが、それが自然だと思うんですね。

ぼくは歌詞を書くときも、時間軸を無視して、思ったことや見たい景色をどんどん継ぎ接ぎで書いていて。

岸田:たしかに、主語が入れ替わったりするもんね。

君島:「私」が「ぼく」になったり、「あなた」と言っていたものが別の存在になったり、1人に対して歌ってたものが2人になったり。そういう書き方が自分にとっては自然なんですよね。

君島大空(きみしま おおぞら)
1995年生まれ日本の音楽家。ギタリスト。2014年から活動をはじめる。同年からSoundCloudに自身で作詞 / 作曲 / 編曲 / 演奏 / 歌唱をし多重録音で制作した音源の公開をはじめる。2021年4月21日、3rd EP『袖の汀』を発表。

―たしかに誰もが脳内ではあらゆることが整理整頓されず、ぐちゃぐちゃになってますよね。それを歌詞に落とし込む際、必ずしも「私」に一本化する必要もないはずだ、と。

君島:ぼくの場合はそうですね。

岸田:普段考えていることもレイヤーになっているからね。君島くんはすごいギタリストやから、たぶんギターでつくってる曲も多いやろうけど……。

君島:そうですね。

岸田:メロディーがすごく自由ですね。どの道を通っても絵になるというか。“向こう髪”も「複雑な迷路みたいな曲だけど、行き方知っとんねんな」と思って。

君島:ありがとうございます。

岸田:感覚で掴んだものと、それを実現できる技術がある。前の作品よりもどんどん歌が歌になってるし……「ゆっくりやって」という感じ。ぼくらが追いつけんようになるから(笑)。

くるりの歌詞の「静かさ」から君島大空が受け取ったもの

―君島さんは、くるりについてどういう印象を持っていますか。

君島:初めて聴いたときのことをよく覚えていて。地元の図書館でくるりの『ワルツを踊れ Tanz Walzer』(2007年)を借りて、2曲目の“ブレーメン”で号泣したのを覚えています。

―そこで湧き上がってきたのはどういう感情だったんでしょうか。

君島:さっき岸田さんもおっしゃっていましたけど、ぼくも言いづらいことを歌の中で言ってもらえていると安心するんですよ。“ブレーメン”には「日本語でこんなふうに歌ってくれる人がいるんだ」という感覚があって、すごく救われました。

あのアルバムはいまもずっと聴いていて、そこから出られなくなっている感じなんですよ。“ジュビリー”のアウトロのコードやばいなとか(笑)。

岸田:嬉しいですね。

くるり『ワルツを踊れ Tanz Walzer』を聴く(Spotifyを開く

君島:ぼくは自分の歌詞を「うるさい」というか、情報が多いと思っていて。どんどんイメージを投げつけていって、「そのなかで印象に残ったものだけを見てください」という書き方をしている。

言いたいことを言って、あとから見て「こういう景色になったんだな」という作り方だけど、岸田さんの歌詞はもっと静かで、生活に近い感じがする。静物画のようにイメージが置かれてゆく感じ。ぼくにはできないし、大きい音楽だなといつも思います。

―なるほど。

君島:昨日も『ソングライン』(2018年)をずっと聴いてたんですけど、“Tokyo OP”という曲を聴いて「岸田さん、めちゃくちゃギター好きなんだな」と思いました。

岸田:わかるやろ?(笑)

君島:はい(笑)。

2人の書く楽曲に独自の響きがある背景。ギター好きの両者の共鳴するところ

岸田:あれはもともと練習用のフレーズやってん。DADGADで……(註:DADGADとは、ギターの変則チューニングの一種。通常ギターは6弦からEADGBEと調弦するところ、DADGADでは6弦と1~2弦を1音分低くチューニングする。ブールスやカントリーなどで好んで使用される)。

君島:DADGADなんですか!

岸田:コードを押さえるのが邪魔くさいから、変則チューニングが好きで。The Beatles風のポップソングじゃなかったら、3度をオミットしたいんですよ(註:コードにおけるメジャー / マイナーを決定づける3度の音を省略するということ。それにより明暗どちらともつかない響きが得られる)。

君島:なるほど、おもしろいです。

岸田:でね……ちょっとマニアックな話ですけど、大丈夫ですか(笑)。

―はい、いまのところギリギリ大丈夫です(笑)。

岸田:私は4度積みが好きなんですよ(註:4度堆積コードとも呼ばれ、濁りや緊張感、浮遊感など幽玄な響きが得られる)。

君島:ぼくも好きです(笑)。

岸田:好きですよね? それは聴いていてわかる。ぼくも音として好きなんですよ。ギターもDADGADで弾いているときが一番指が楽しい。レギュラーチューニングのギター、いまは手元に1本ぐらいしか用意してないかもしれない。指で遊んでる感じでつくっていったら、それにつられてか拍子もよくわからんことになってたりしておもしろいんです(笑)。

2人はなぜ、「レギュラー(正式・正規のもの)」に縛られない姿勢でギターを扱い、歌を書くのか?

編集部:岸田さんの歌には、自分の心の奥底に触れるような郷愁を感じさせるところがあると思うんですけど、そういったソングライティングと、変則チューニングのようにギターを脱臼させて使うことは何か関係があるんでしょうか。DADGADもブルースやカントリーのようなルーツミュージックのなかで好んで使われますけど、岸田さんがレギュラーチューニングではないギターを使って曲を書かれる意図をお聞きしたいです。

岸田:楽器ってそれぞれに身体の動きとつながった固有の響きがあるんですよね。ドラムであれば右足でキックを踏み、左手でスネアを叩く。ギターもしかり。たとえばギターでピアノみたいな響きを出そうと思ったらすごく指を動かさなくちゃいけない。

ギターのレギュラーチューニングにおいて、2弦と3弦って謎の存在なんですよ。他の弦は4度でチューニングされているのに、2弦と3弦の間だけそれより半音ずれた音程になってる。

レギュラーチューニングを発明した人の癖か、もしくは茶目っ気かわからないんですけど、その人以降、ぼくも含めてそのチューニングを「レギュラー」として受け入れていることになるわけですよね。

君島:めちゃくちゃおもしろい話ですね(笑)。

岸田:でも、マンドリンみたいに完全5度でチューニングされた楽器を何も押さえずに弾くと、それだけで透き通るような響きがあるんです。その響きをどこかで覚えているんでしょうね。ギターでその音を表現しようと思うと、自然と変則チューニングになるんです。

あとね、(天井を指差しながら)こういう空調の音とか、MRIのバババババという音がすごく好きなんです(笑)。そういう音の感覚を、どこも押さえないでも鳴るようにチューニングしたくて。レギュラーチューニングに出せないものを出したいんです、ぼくは。

―そもそも「レギュラー(正式・正規のもの)」とは何なのかということでもありますよね。ポピュラーミュージックにおいて特定の型を踏襲することは一定の意義があるものの、ギターのようにすぐチューニングを変えられる楽器でそれを頑なに守る必然性がどこにあるのか。

君島:レギュラーチューニングがなぜ「レギュラー」とされているのか、ぼくも違和感を覚えた時期があったんですよ。みんな同じチューニングでやるのはつまらないというか、意味がわからないと思ったんです。

それでオープンチューニングでやってるギタリストの作品を聴くようになったんです(註:弦を押さえずに弾いた際に特定のコードが鳴るように調整されたチューニングのこと)。

DADGADってほぼAとDの音なんですよね。でも、同じAとDでも弦によって響きが違うし、その倍音もすごく綺麗で。だからぼくもDADGADが好きだし、ギターという楽器の好きなところでもありますね。6本しか弦がないのに、多様な響きがある。ただ自分が癒されたくてDADGADを弾くこともあります。

岸田:ああ、わかる(笑)。

君島:曲に活かされることはないんですけど、家でひとりDADGADを開放弦で弾いて「これです!」とひとり納得してます(笑)。12弦ギターで弾くとさらに気持ちいいんですよね。

岸田:そうそう、たまらんね(笑)。音響装置としてのギター。

君島:そうですね。オルゴールみたいな感じというか。

岸田:レギュラーチューニングって曲をつくるうえでは便利なんですよ、たしかに。でも、いわゆるJ-POP的な展開をしない曲の場合、変則チューニングだとおもしろい響きが生まれる。むしろこっちのチューニングのほうが正しいんじゃないかとさえ思うし、じつはレギュラーチューニングのほうが「脱臼」させてるともいえるんですよ。

―レギュラーチューニングのほうが不自然でもあるということですよね。何が自然で、何が不自然なのかという点は、先ほどの歌詞のつくり方にも共通する話ですよね。

君島:そうですね。

「最近、あらためてギターで曲をつくりたいなと。ムダ毛処理をしないつくり方というかね」(岸田)

君島:あと、岸田さんのギターは、本当にギターが好きな人のギターだなと感じます。しかもギタリストっぽくないギターで、そこがすごく好きです。

―ギタリストっぽいギターというのは、どういうものなんでしょうか。

君島:技術的にこなれたプレイというか、技巧的というか、そこを突き詰めていったいわゆるフュージョンみたいな音楽も僕は好きなんですけど、歌のある音楽のなかでそういうギターが入ると、浮いて聴こえることもある。でも、岸田さんのギターは、歌を歌っている人のギターなんですよね。歌とギターがつながって聴こえる。

―顔が見えるというか?

君島:そうそう。こなれたプレイだと、見えてこないこともあるんです。

岸田:ぼく、バンドをはじめたころは歌ってなくて、もっとギタリストっぽいギターだったかもしれない。真面目にコピーもしてたし。でも、歌うようになったらそんなん弾かれへんやん? でも、君島くんはすごく丁寧に弾いている。ちょっと(パット・)メセニーっぽいというか。

君島:大好きです。初めて言われたかもしれない。

岸田:そうやんな。メセニーになれるもんならなってみたい(笑)。

君島大空『袖の汀』収録曲(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら

―君島さんの作品は「DAW以降の音楽」と評されることもありますが、そこにブレスみたいな身体感覚を常に入れ込もうとしていますよね。「顔が見えるギター」といういまの話は、そこにつながることでもあるのかなと。

岸田:実際、身体の感覚というのは演奏している以上、入ってきますよね。

つい最近までは人間性を消すような作曲をしていたんですね。全部を楽譜で書いていく「THE DAW」なつくり方。そういう作曲の仕方も好きなんですけど、最近、あらためてギターを弾きながら曲をつくりたいなと思うようになっていて。ムダ毛処理をしないつくり方というかね。

―くるりの今回のアルバム『天才の愛』にもそういうつくり方は反映されているんでしょうか。

岸田:今回はね、進化しすぎて、自分の排泄物だけを食べて生きていけるようになった人間というか。そういう永久機関を思い描いてつくりました(笑)。

―えっ、それはどういうことなんでしょうか。

岸田:すいません、ちょっと適当なこと言いました(笑)。バンドの作品なので演奏からつくっていった要素もありますけど、基本はかなり細かく楽譜に書いていて、さらに私とベースの佐藤(征史)でレコーディング後にかなり編集してます。

いままではリズムを編集することが多かったんですけど、今回は歌のピッチもめっちゃ動かしてる。だから、自分で楽器を弾いているけど、音としては自分の脳内だけでできているというか、ある意味マッドサイエンティスト的なつくり方になっているんです。

君島:“I Love You”にはそういう感覚を持ちましたね。体温を排除しているというか。

岸田:たしかにあの曲はそういう曲やね。

くるり『天才の愛』収録曲(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら

目の前に観客のいるライブの現場から、遠ざかることになってしまった2020年を経て

―コロナ禍で野外フェスが軒並み中止になり、くるりが京都で開催している『京都音楽博覧会』(以下、『音博』)は先ごろオンラインで開催されました。やってみていかがでしたか。

岸田:こういうときだからこそいつもと違うことをやろうと思って、すごく身になったこともありました。ただ、普通にやりたいけどね(笑)。知恵を振り絞ってやっていくしかないですよね。

―君島さんも配信ライブを何度もやってますね。

君島:そうですね。でも、ぼくはめちゃくちゃ苦手です。どうにか自分を騙してやってる感じ。お客さんがいないのは、ちょっと嘘をついてる感じがしちゃうんです。

岸田:魂のやりとりがないからね。

君島:そうですね。行き場がないものをずっと暗闇に投げ続けている感じというか。

岸田:キャッチャーがいない感じなんよね。ナックルボールとか投げているのに、そのまま誰にもキャッチされずにボールが転がっていく感じ。5Gの電波の向こう側にまで届く腕力が欲しい(笑)。

―そうやってひたすらボールを投げていくなかで、腕力が上がったような感覚もあるんでしょうか。

岸田:いやー、まったくないですね。基本、演奏って誰かに観てもらうためのものであって、配信のライブと通常のライブはやっぱり別ものなんですよ。むしろレコーディングに近いというか。

君島:そうですよね。

君島大空のバンドセットである「合奏形態」で2020年12月に実施した配信ライブの映像。バンドメンバーは石若駿(Dr)、新井和輝(Ba)、西田修大(Gt)。

―観る側もコロナ以前と以降でフェスに対する感覚が大きく違うと思うんですよ。ひとつの場所に集まること自体に喜びがあるわけで、いまフェスに行けたら、会場に到着しただけで泣いてしまいそうな気もする(笑)。

君島:お客さんを入れたライブもちょこちょこできるようになってきてますけど、そのたびに思うのは、自分でもライブの感覚を忘れているということなんです。

以前は無意識に反応できていた身体や心の、ほんの小さな挙動を忘れている。そういうものを使ってお客さんとのやりとりをもっと意識の深いところでやれていたと思う。通常のライブでさえそんな感覚だから、フェスとなったらよりそういう感覚が強くなるんじゃないかなと思います。

岸田:「この感覚、忘れている」ってときって、あとから身体が痛くなったりせえへん?

君島:しますね。普段痛くならないところが痛くなったり。神経痛みたいな感覚。

岸田:ぼくはもう2年近くお客さんを入れてライブをやってないんですよね。お客さんから最初にレスポンスがあったとき、どんな感じやった?

君島:没入感があんまり感じられなかったかもしれない。バンドで演奏するのはめちゃくちゃ楽しいんですけど、どこかに俯瞰している自分がいて、映画を見ているような感じ。

岸田:なるほどね。自分はまだやってないから想像つかないところもあるんやけど……こんなに人前で演奏していない時期が続くのは初めてのことやし、お客さんの前でどうやって演奏していたのか、完全に忘れていますね。突然やってできるのかどうかわからへんけど……変な球を投げそう(笑)。

―じゃあ、お客さんの前でやるのは『FUJI & SUN』が最初?

岸田:そうですね。いままでだったらライブの期間が空いてもたかだか数か月。久々だから緊張するようなことはあっても、これだけ期間が空くことはないですからね。初めてライブをやるくらいの感覚ですよ。

「君島くんの音楽は、移動する景色と不思議と合うところがあって」(岸田)

―『FUJI & SUN』では開催地、静岡の地域性が意識されていますよね。地元の祭りのお囃子チームが出演したり、ローカルなクラブシーンを紹介するトークセッションが行われる予定です。『音博』ではそうした地域性についてどう意識されているのでしょうか。

岸田:場所を借りている以上、できるだけ地元の人たちに迷惑をかけないようにしようとは考えています。

『音博』は町おこしみたいなこととはあまり関係がないんだけど、続けているうちに、会場の周囲に水族館ができたり鉄道博物館ができたり、すごく賑わいのあるエリアになったんですよ。街の発展と一緒にいさせてもらっているような、そんな感覚があります。

―町が発展していく際、音楽が重要な要素になっているのは大切なことだと思うんですよね。

岸田:そうですね。こちらとしては「やかましくてすいません」という感覚ではあるんですけどね。

―今回はいろんなアーティストが出ますが、気になる方はいますか。

君島:気になる方ばっかりなんですよ(笑)。ぼくが音楽をはじめる前から聴いてきた人がいっぱい出るわけで、高校生の自分に教えてあげたいです。「お前、くるりと一緒にやる日が来るんだぞ」って(笑)。ちょっと不思議な感覚です。

岸田:ここにアル・ディ・メオラがいたら完璧だったのに(笑)(註:超絶技巧で知られるジャズ~フュージョンのギタリスト)。

君島:そうですね、渡辺香津美さんとのデュオで(笑)。くるりのライブでは(石若)駿さんも叩きますよね?

岸田:うん、叩く。

君島:他のバンドで叩いている駿さんを、ジャズ以外のライブであまり観たことがないんですよ。それが楽しみですね。

ドラムを石若駿が務めた、くるりのライブ映像

―先日、民謡クルセイダーズのメンバーに取材した際は「君島くんが気になる」と言ってましたね。

君島:民クルは福生(東京都)のバンドなので、地元が近いんですよ。高校生のとき福生のライブハウスのセッションに通っていたんですけど、いままで一緒になったことがないんですよね。

―岸田さんはいかがですか。

岸田:そうですねえ……好きなミュージシャンはいっぱいいるんですけど、リップサービスではなく、君島くんが一番気になってますね。ライブを観たこともないので。

君島:めちゃくちゃ緊張してきました(笑)。

岸田:ギターをどう弾いているのか、間近で観たいと思っています。あとね、さっきも言ったように君島くんの新しい歌を聴きながら新幹線に乗ってきたわけだけど、君島くんの音楽ってインドアな音楽だと思ってたのね。

君島:はい。

岸田:自分のなかの引きこもり成分にいいふりかけをかけてくれる音楽というか。でも、旅の音楽だと思ったんですよ。

音楽的な構造としては、君島くんの音楽は言葉や音が螺旋のようにつながっていると思ってて、それは移動する景色と不思議と合うところがあってね。いい空気のなかで君島くんの音に触れてほしいですよね。

イベント情報
『FUJI & SUN '21』

2021年5月15日(土)、5月16日(日)
会場:静岡県 富士山こどもの国

5月15日出演:
∈Y∋(DJ)
青葉市子
悪魔の沼(DJ)
折坂悠太
君島大空
Kotsu(DJ)
寺尾紗穂
nutsman(DJ)
VIDEOTAPEMUSIC(DJ SET)
Mars89(DJ)
民謡クルセイダーズ
Ramza
吉原祇園太鼓セッションズ
くるり

5月16日出演:
Akie(DJ)
OLAibi+KOM_I
カネコアヤノ
GOMA
COMPUMA(DJ)
SUGAI KEN(DJ)
TENDRE
TOP DOCA(DJ)
ハンバート ハンバート
マヒトゥ・ザ・ピーポー
冥丁
森山直太朗
U-zhaan
林立夫 with 大貫妙子
人力チャレンジ応援部
阿部雅龍
竹内洋岳

出店:
富士市presents 富士市ご当地グルメ
Pizzeria L'alba di Napoli
竹の子
いちご実 加藤農園
PIPS ピップス
らく
藤太郎
東京・下北沢名物!ニックンロール
2-3-4SHOKUDO+オトワファーム
HUG COFFEE

参加:
STARTLE
armadillo leather works
ブンブク屋
Damassy
舎鳥木-yadorigi-

プロフィール
岸田繁 (きしだ しげる)

作曲家 / くるり / 京都精華大学特任准教授。1976年4月27日生まれ。1996年9月頃、立命館大学(京都市北区)の音楽サークル「ロック・コミューン」にてくるりを結成。古今東西さまざまな音楽に影響されながら、旅を続けるロックバンドとして活動する。2021年4月28日、ニューアルバム『天才の愛』をリリース。

君島大空 (きみしま おおぞら)

1995年生まれ日本の音楽家。ギタリスト。2014年から活動をはじめる。同年からSoundCloudに自身で作詞 / 作曲 / 編曲 / 演奏 / 歌唱をし多重録音で制作した音源の公開をはじめる。2019年3月13日、1st EP『午後の反射光』を発表。2019年7月5日、1stシングル『散瞳/花曇』を発表。2019年7月27日『FUJI ROCK FESTIVAL '19 ROOKIE A GO-GO』に合奏形態で出演。11月には合奏形態で初のツアーを敢行。2020年1月、Eテレ NHKドキュメンタリー『no art, no life』の主題曲に起用。同年7月24日、2ndシングル『火傷に雨』を発表。2021年4月21日、3rd EP『袖の汀』を発表。ギタリストとして吉澤嘉代子、高井息吹、鬼束ちひろ、adieu(上白石萌歌)などのアーティストのライブや録音に参加する一方、楽曲提供などさまざまな分野で活動中。



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