コラム

(メイン画像:『銀魂』 ©空知英秋/集英社 ©2017 映画「銀魂」製作委員会、『るろうに剣心 伝説の最期編』 ©和月伸宏/集英社 ©2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会、『鋼の錬金術師』 ©2017 荒川弘/SQUARE ENIX ©2017 映画「鋼の錬金術師」、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』 ©2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社)

「漫画の実写化」が活発だ。VFXの進歩や映像コンテンツ提供の多チャンネル化もあり、一昔前であれば不可能と判断されていたであろう作品が「実写化」の俎上にのりやすくなった。

たとえば昨年公開された漫画原作の邦画を振り返ってみると、『銀魂』『ジョジョの奇妙な冒険』『亜人』『3月のライオン』『帝一の國』『東京喰種トーキョーグール』『鋼の錬金術師』『無限の住人』『南瓜とマヨネーズ』『咲-Saki-』など枚挙にいとまがない。

漫画の実写化自体は、昔から珍しいものではなかった。古くは1920年代の『ノンキナトウサン』、「もはや戦後ではない」と言われた1956年に初めて実写映画化された『サザエさん』、1970年代以降は『子連れ狼』『女囚さそり』といった劇画をもとにした映画、さらに『釣りバカ日誌』のような国民的な人気シリーズを生み出した。

海外に目を向ければ、マーベル・コミックやDCコミックスの実写版が巨大な成功を収めていることは疑う余地もない。漫画やアニメーションの表現をいかに実写映像に取り込んでいくのか、といった課題が、映像表現を豊かにしてきた側面もあるだろう。そのように「漫画と実写」の蜜月は長期にわたっているが、にもかかわらず、日本では近年ポジティブに語られる機会が多くなかったように思える。

今回、漫画に関わる複数の関係者から、匿名を条件に「漫画の実写化」について話を聞くことができた。現場からの声を紹介したい。

漫画原作の映画は「当たる」のか?

漫画原作映画、とくに人気作品の実写版は、「原作は大人気なのに実写はそうでもなかった」と言われがちだ。実際のところ興行的に失敗した作品ももちろんあるが、成功した作品だって少なくない。たとえば少年漫画の代表格である『週刊少年ジャンプ』連載作品だけを例にとっても、『るろうに剣心』は3作あわせて120億円以上、映画『デスノート』は前後編あわせて80億円、映画『ROOKIES -卒業-』は85.5億円、映画『暗殺教室』2作は計60億超、映画『銀魂』は38.4億円という成績だ。

成功の理由については、少年漫画の作品は主人公の共感性が高く、エンターテイメントとして普遍的なテーマを扱っていることが多い点が挙げられる。ある関係者は、「原作サイドから実写制作サイドに作家の意図やこだわりを伝え、チームとして良いものを作り上げる方法を模索してきたことも大きい」と語る。また原作の知名度の高さも成功の理由の1つに挙げられるだろう。

漫画と映画の違い。漫画は「ゼロから物を作るのに最強のメディア」

自身が携わった作品が実写化されるときは、どんな心境なのだろう。ある関係者は次のようにポジティブに語った。

まだ読んでいない方々に、作品を伝えるチャンスですし、作家さんがペン1本で作り上げてきた世界観が、大勢の協力者たちの手によって現実のものとなるのは感動的です。

また漫画と映画の違いについては、

漫画は作家さんと担当編集者という、たった2人の打ち合わせの中から作品を作ります。スピード感や面白さの純度、自由さなど、あらゆる要素でゼロから物を作るのに最強のメディアだと思っています。対して映画は、スタッフ・キャスト・宣伝と関わる人の数がとにかく多い分、見てくれる人の間口も広い。また音楽、役者さんの演技など、面白さの仕掛けになる要素も多く、うまく作り上げれば原作を踏襲しながらも全く異なった面白さを引き出すこともできます。

「キャストのイメージが違う」「ストーリーの結末が違う」よくある批判だが……

「漫画の実写化」に付きまといがちな批判として、「キャストのイメージが原作に合ってない」というものがある。それが思い入れを集める人気キャラクターであるばあるほど、強い拒絶にあう可能性は高まる。正直なところ、キャストはどのように決まるのだろう? 原作者や編集者の意向はどの程度尊重されているのだろうか? 別の関係者はこう語る。

自分の関わった作品では、必ず意見を聞かれますし、尊重してくれます。ただ、スケジュールや事務所の兼ね合いなど、映画を成立させるには想像以上の様々な要素がある。本当に多くの人間と会社が関わってできているものということを実感します。また作品にとって実写化する最適なタイミングというのもある。全てが理想通りにいかないという前提の中で、最大限尊重してくれているという印象です。

原作とは異なる結末にする場合や、映画の尺に合わせてストーリーを改変する場合、連載中の作品に結末を用意する場合などについては、「私たちの場合は、必ず原作者の意見を伺う」とある関係者は語る。映画化を意識して作ったシーンを原作側で用意する場合もあるという。

原作者が出来上がった実写作品に対して、不本意であるかのような表情を見せるケースがあるのは事実。だが原作サイドと映画製作チームが協力し、1つのプロジェクトを作り上げるという幸福なケースも存在しているようだ。

漫画と実写コンテンツの幸福な未来。成功例の積み重ねが大切

日本を代表するカルチャーの1つである漫画。そして漫画と共に、欧米に範を取りながら独自に発展してきた日本の映画、ドラマ。その未来について、関係者は次のように語ってくれた。

原作には原作の、映画には映画の見どころや面白さがある。自分の好きな作品が全く違う畑の人たちに作り直されることに抵抗があるのは重々承知ですが、たくさんの成功例を出して、漫画の実写化というだけで少し構えてしまう人が多い現状を変えていきたいです。

次はどんな作品が実写化されるのか。漫画家のイマジネーションがいかに具現化されるのか。そしてそれが映像表現をどのように拡張していくのか。失敗もあるだろうが、共に手を取り合える未来であってほしい。

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