コラム

異色のアイドル、リュウ・ユーシンが中国新世代スターになるまで

異色のアイドル、リュウ・ユーシンが中国新世代スターになるまで

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小山ひとみ
リード文・編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)

現在中国でもっとも多忙を極める芸能人の一人だというリュウ・ユーシン。アイドルオーディション番組『青春有你2(Youth With You 2)』に出演し、クールな佇まいとチームでのリーダーシップ、力強いパフォーマンスで、旧来の典型的な「女性アイドル」のイメージを拡張するような鮮烈な印象を残した。

番組では1位に輝き、2020年にガールズグループTHE9の一員としてデビューしたリュウだが、じつはそのキャリアは長い。ダンスに魅了された10代前半のころから夢を掴みたいという強い意思で努力を重ね、いまのポジションを勝ち取った。

その確固たる姿勢や言葉で、中国の同世代から共感を呼んでいるというリュウは、一体どんなアーティストなのか? メールインタビューから見えてきたのは、努力を惜しまず、学び続ける、という実直な姿だった。本人の言葉を交えながら、リュウ・ユーシンという「新世代のスター」を紹介する。

人気オーディション番組で最多得票数の1位デビュー。現在15のブランドのアンバサダーを務める

2021年5月、厳しいロックダウンや移動規制などの対策によって「コロナ後」の雰囲気に包まれる中国各地では、同時多発的に音楽フェスが開催された。上海の郊外で4日間にわたって開催された『国潮音乐节』もそのうちの一つだ。2日目トリのステージでは、一人の女性アイドルを前に止まない歓声と「雨」「昕」の文字が書かれた薄い青色の電光プレートで会場が染まった。

客席から歓声と熱い眼差しを向けているのは、ほとんどが女性ファン。舞台に立つその女性アイドルの一言一行を真剣に見つめるファンたちとアイドルのあいだには、強いつながりがあることを感じさせる。多数の女性を魅了するその女性アイドルのカリスマ性を感じた瞬間だった。

その女性アイドルとは、現在、中国でもっとも多忙を極める芸能人の一人、リュウ・ユーシン(刘雨昕)だ。2020年にアイドルオーディション番組『青春有你2(Youth With You 2)』からデビューした9人組ガールズグループTHE9のメンバーでもある。番組では投票数トップでデビューしたあと、THE9としての活動だけでなく、個人でも精力的に活動している。

リュウ・ユーシン。ターコイズブルーのような緑がかった青色はオリジナルの応援カラー。この日、衣装もマイクもこの色で統一されていた 写真:国潮音乐节オフィシャルWeiboより
リュウ・ユーシン。ターコイズブルーのような緑がかった青色はオリジナルの応援カラー。この日、衣装もマイクもこの色で統一されていた 写真:国潮音乐节オフィシャルWeiboより
応援カラーの電光プレートとともに声援を送るファン 写真:国潮音乐节オフィシャルWeiboより
応援カラーの電光プレートとともに声援を送るファン 写真:国潮音乐节オフィシャルWeiboより

中国版Twitter「微博(Weibo)」のフォロワー数は、2021年6月の原稿執筆時で1,650万以上。4月20日の誕生日には3曲入りのEP『EPSILON』をリリースすると、24時間も経たずに中国の音楽配信サイト「QQ音楽」で4,200万元(約7億1,400万円、2021年6月10日現在)の売上を記録した。

また、2020年のグループデビュー以降、リュウ個人だけでも15のブランドのアンバサダーを務めている。この1年で、13のファッション誌の表紙を個人で飾ったというから、単純計算で毎月少なくとも1冊の雑誌カバーで彼女の姿を目にしていることになる。

『时装L’OFFICIEL HOMMES』2021年5月号。男性誌の表紙を飾ることも珍しくない 写真:THE9-刘雨昕オフィシャルWeiboより
『时装L’OFFICIEL HOMMES』2021年5月号。男性誌の表紙を飾ることも珍しくない 写真:THE9-刘雨昕オフィシャルWeiboより

そんな、大注目を集める女性アイドル、リュウ・ユーシンがメールインタビューに応じてくれた。THE9としてデビュー後、海外メディアの単独取材を受けるのはこれが初だという。本稿では、彼女の言葉を交えながらそのキャリアを振り返り、リュウ・ユーシンというアイドルの実像に迫ってみたい。

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