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21世紀の女子解放論 もっともっと、気持ちいい毎日を

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エリイ
(Chim↑Pom)

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クリエイションに対して
「人生をかけている」という意識

エリイ(Chim↑Pom)

Chim↑Pomは時代を映し出して、そこに呼応するように作品を作っている。

Chim↑Pomって、社会風刺やカウンター精神で語られるところも多いですけど、じつは「人間らしい営みとは何か?」「人間らしく生きるとは何か?」って問いがとても大きい気がします。

エリイ:そうですね。私は、カンボジアでマンゴーでも食べながらダラダラ暮らしたいんですよ。芸術家じゃない人生がもう1個あったらね。

エリイさんくらい活動的だと、ダラダラ暮らそうとしても3日くらいで飽きるのでは?

エリイ:それが全然飽きないんですよね。これって私の特技だと思うんですけど、人って働いたりしてないと不安になるじゃないですか。それが私には一切なくて。お酒さえあればカンボジアでもいいし、東京でもいい。私にとっての地獄はお酒が呑めなくなることだと思う(笑)。

でもChim↑Pomにとっては、都市部で生きていることもクリエーションの大きなポイントである気もします。

エリイ: Chim↑Pomは時代を映し出して、そこに呼応するように作品を作っているので、カンボジアやインドネシアでマンゴー食べながらでも、何かは作っちゃう。でも、私がそこに行く意味はないかもしれないとも思っちゃうんですよね。そこに人生をかける意味が見つかるならいいんですけどね。

エリイのすさまじい根気と行動力
東京電力福島第一原発周辺の帰還困難区域内に
展覧会をオープン

エリイ(Chim↑Pom)

原発事故を体験した人たちは、信じていたものが一気に崩壊した。「自分の考えていること、見ていることがすべてではない」。

Chim↑Pomが最近発表した新プロジェクトがありますよね。東京電力福島第一原発周辺の帰還困難区域内に作品を展示するという。

エリイ:『Don't follow the wind』ですね。

当然立ち入りが禁止あるいは制限されているエリアだから、直接作品を見られる保証はない。だから会期も「2015年3月11日~」となっていて、終了時期は明言されてない。というか明言しようがない。いわば「観に行くことができない展覧会」というコンセプトです。

エリイ:2年半くらい前からずっと進めていたんですよね。Chim↑Pomは、震災直後から福島に行って原発のすぐ横で作品を作ってきた。事故前まではそこで普通の暮らしをしてきた人たちが、区域内で暮らせなくなった状態を間近で見聞きしてきたんですよ。それで「観に行けない展覧会」というプランを考えました。

Chim↑Pom以外にも、アイ・ウェイウェイや宮永愛子など国内外の人気作家の作品が展示されているのに観ることができないっていうのは、「表に現わす」という表現行為に対して、意図的に矛盾を突きつけてますよね。それは福島第一原発周辺の理不尽な状況にも通じる。

エリイ:そこに住んでいたおじさんとかに、実行委員会のメンバーと共に「展示場所として家貸してください」ってお願いしたり、市役所の人に交渉に行ったり。OKしてくれる人もいれば、ダメだって言う人もいて、そういうのを繰り返して進めました。

じゃあ2年半は、ネゴシエーションに大半の時間をかけた?

エリイ:そうですね。もともと住んでいた人ですら、1年間のあいだに帰還困難区域内に入れる回数が制限されてるから。その数少ない権利をChim↑Pomに渡してくれて、私たちはそのおかげで区域内に入れて展覧会を作ることができた。

その人たちは、限られたチャンスを『Don’t follow the wind』に渡しているわけじゃないですか。その信頼関係はすごいですね。

エリイ:避難を余儀なくされている人たちの多くは、もともと原発事業を安全なものと思い、補助金ももらっていたのに、事故以降その神話が完全に反転してしまった。つまり、信じていたものが一気に崩壊したという暗い体験をしているんです。その体験が、アートの起源である「自分の考えていること、見ていることがすべてではない」ということの理解にもつながったんだと思います。

なるほど。

エリイ:それまでは現代アートへの理解はかなり薄かっただろうけど、原発事故を体験して、思考を超えた先に存在するものがあるということに気が向いたんだと思います。交渉の過程で一番心に刺さったのが、あるおじさんが言ってた言葉。「100年後でも200年後でも、この市の名前がどっかの片隅に残って、土を掘り返した時に出てきたらいいな」って。普通の人たちが数百年後のことなんて絶対に考えないですよ。私たちの行為に賛同しても、自分には何の得にもならない、むしろ非難されるリスクだってあるのに。よっぽどそれまでの考え方を揺るがす影響があったんだなって。

芸術が関わる長大な歴史や、目指そうとしているものが、図らずも原発の事故を体験してしまった人たちとつながってしまったんですね。その中でChim↑Pomが今回のプロジェクトで目的地にしているものはなんでしょう?

エリイ:「しばらく観に行けない展覧会」ではあるけれど、意外と早く行ける会場もあるかもしれないですよ。除染も進んでいるし、2020年の東京オリンピックや帰還事業の推進など目標を決めて、段階的に開放しようとしているところもあるんですよね。でも、自分たちではわからないですから。もしかしたら長期間公開されない会場もあるかもしれない。

点在する展示地域の中で、見られるものと見られないものが混在する状況が現れた時、福島のみならず日本の置かれた社会状況や政治性も露わになるかもしれません。また、それはある意味でランドアート的なものでもあって、これからもずっと地表に残り続ける作品とも言える。エリイさんは、Chim↑Pomとして、歴史に関わる大きな仕事を引き受けたんだなと思います。

エリイ:残るかもしれないし、また震災が起こってぐちゃぐちゃになって、何にもなくなってしまうかもしれないですよね。そうやってアート作品は淘汰されていくんです。

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