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曽我部恵一と行く世田谷美術館『駒井哲郎1920-1976』展

曽我部恵一と行く世田谷美術館『駒井哲郎1920-1976』展

内田伸一
撮影:菱沼勇夫

そして歴史の1ページに――表現者の軌跡

展覧会をじっくり観てまわった約1時間。その余韻と共に、美術館の中庭にあるオープンカフェ・ボーシャンに移動し、曽我部さんに展覧会全体を振り返ってもらいました。

曽我部恵一

曽我部:今日の展示の中で一番僕が惹かれたのは、実は最初に登場した少年のころの作品群です。評価が高まった後の試行錯誤や苦心とは無縁で、ただ銅版画をつくる喜びに満ちているのが良かった。でも駒井さんは、その少年の心を持ち続けてもいたんでしょうね。他の表現手段を選んでも器用にこなせそうなのに、銅版画にこだわり続けたのは、そんな、男の子的な美学もあったのかと思います。


しかし同時に、曽我部さんは駒井哲郎にはいわゆる典型的な天才ともまた違うものを感じるともいいます。

曽我部:たとえばこれがパウル・クレーの生涯を追った展示とかなら、どんどん進化していって到達点を見て、ある意味、気持ちよく終わる気もするんです。でも駒井さんの場合は――まだ第2部を見てないから断言できないけれど――少し違う気がする。そういうタイプの天才ではない人がアートを志して、銅版画に人生のすべてを注ぎ込もうとする熱量。その壮絶さを観ることができて良かったと、僕は思いました。

作品集とは違い、美術館という場所で実物にふれる体験については、こんなふうに語ってくれました。

曽我部恵一

曽我部:今回の展覧会の図録作品集も、すごく素敵でした。でも僕はふだん、あまりアートの作品集って見ないんです。だって作品と写真は全然違うものだから。今日見た駒井さんの作品、1枚1枚がこの人の魂なんですよね。駒井さんの作品も、例えば1枚だけどこかに載っているのを見ても、今日みたいな体験にはなり得ない。そういう意味でも、本物に触れるのは大切だと思いました。


本物といえば、サニーデイ・サービス、ソロ、そして曽我部恵一ランデヴーバンドや、現在全国ツアー中の曽我部恵一BANDと、演奏のかたちは違えど「本物の音楽」にこだわり続けてきた曽我部さん。表現者として共感するところはあるのでしょうか?

曽我部:僕はここまで器用じゃないし、自分とは違う人という気はしますけれどね。それと、僕はまだ生きているから。今回、駒井さんの生涯を作品で追えるこの展示を見て、言い方は変なんですが「亡くなった人っていうのはすごいな」というのはすごく感じました。その作品を通して、その人がどんな人生を送ったのか、観る人がそれぞれの気持ちで考えられる。それも人生をまっとうして、完結していることゆえのすごさですかね。

曽我部恵一

最後に、音楽の世界では駒井さんのような人っていますか? と質問すると、こう答えてくれました。

曽我部:まだチャック・ベリーも生きてるくらいだから(笑)、これからでしょうね。それと、音楽でいうとアルバムの売上とかとは別のかたちで、しっかりした評価をしようという動きが美術の世界にはあるのかなと思うと、少し羨ましい気もする。その意味でも僕らのやってるようなロックは、これからですね。100年後あたりに……ロックはどうなってるのかな(笑)。

駒井哲郎の作品に何を見て、そこから何を得るか。変幻自在の技法から生まれる表現の豊かさ、また銅版画をやるために生まれてきたかのような彼の人生は、時代を超えて、観る者それぞれに感銘と気付きを与えてくれそうです。

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イベント情報

『福原コレクション 駒井哲郎1920-1976』

2012年4月28日(土)〜7月1日(日)※前期・後期で作品総入替

第I部:若き日のエッチャーの夢(1935-1960)
2012年4月28日(土)〜5月27日(日)
第II部:夢をいざなう版の迷宮(1961-1976)
2012年5月30日(水)〜7月1日(日)

会場:東京都 世田谷美術館
時間:10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日 ※5月29日(火)は展示替えのため休室
料金:一般1,000円 65歳以上・大学・高校生800円 中学・小学生500円
(入場券半券のご提示で、2回目のチケットご購入時に、ご観覧料が2割引となります)

世田谷美術館

講演会
『わが師 駒井哲郎を語る』

2012年6月2日(土)
会場:東京都 世田谷美術館 講堂
時間:14:00〜(当日、整理券を配布します)
講演者:中林忠良(版画家・東京藝術大学名誉教授)、渡辺達正(版画家・多摩美術大学教授)

『100円ワークショップ』

小さなお子様から大人の方まで、どなたでもその場で気軽に参加できる版画体験。
2012年4月28日〜6月30日の期間中、毎土曜日(随時受付)
会場:東京都 世田谷美術館 地下創作室C
時間:13:00〜15:00
参加費:100円

カフェ・ボーシャン CAFÉ BAUCHANT

世田谷美術館のリオープンに合わせて、美術館地下にカフェが新たにオープン。テイクアウトもでき、緑溢れる砧公園に立地する美術館カフェとして、公園利用者にも開放されています。
営業時間:10:00〜18:00(ラストオーダーは17:30)
休業日:毎週月曜日(その日が祝日の場合はその翌日)、年末年始


同時開催『世田谷アーティスト・コロニー「白と黒の会」の仲間たち』

2012年3月31日(土)〜6月17日(日)
会場:東京都 世田谷美術館 2階展示室
時間:10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日(ただし4月30日は開館)
料金:一般200円 大学・高校生150円 65歳以上・中学・小学生100円

『曽我部恵一BAND TOUR 2012』

2012年6月2日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:北海道 札幌 BESSIE HALL
料金:前売3,000円 当日3,300円(ドリンク別)

2012年6月3日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:北海道 函館 club COCOA
スペシャルゲスト:スモゥルフィッシュ
料金:前売3,000円 当日3,300円(ドリンク別)

2012年6月7日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:山梨 甲府 桜座
料金:前売3,000円 当日3,300円(ドリンク別)

2012年6月8日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:静岡県 静岡 Sunash
料金:前売3,000円 当日3,300円(ドリンク別)

2012年6月9日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:静岡県 浜松 窓枠
料金:前売3,000円 当日3,300円(ドリンク別)

2012年6月10日(日)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
スペシャルゲスト:前野健太
料金:前売¥3,000 当日¥3,300(ドリンク別)

2012年6月15日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:岩手県 盛岡 CLUB CHANGE
料金:前売3,000円 当日3,300円(ドリンク別)

2012年6月16日(土)
会場:秋田県 LIVE SPOT 2000

2012年6月17日(日)
会場:宮城県 仙台 CLUB JUNK BOX

2012年6月22日(金)
会場:新潟県 Live Spot WOODY

2012年6月23日(土)
会場:長野県 LIVE HOUSE J

2012年6月24日(日)
会場:神奈川県 横浜 club Lizard

2012年6月29日(金)
会場:大阪府 梅田CLUB QUATTRO

2012年7月1日(日)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

『曽我部恵一 presents "shimokitazawa concert" 』

第十八夜:2012年6月21日(木)
第十九夜:2012年7月19日(木)
第二十夜:2012年8月16日(木)
第二十一夜:2012年9月20日(木)
第二十二夜:2012年10月18日(木)
第二十三夜:2012年11月15日(木)
第二十四夜:2012年12月20日(木)
会場:東京都 下北沢 440 (four forty)

リリース情報

曽我部恵一BAND<br>
『曽我部恵一BAND』
曽我部恵一BAND
『曽我部恵一BAND』

2012年4月4日発売
価格:2,500円(税込)
ROSE RECORDS / ROSE 129

1. ソング・フォー・シェルター
2. 恋をするなら
3. 兵士の歌
4. クリムゾン
5. ロックンロール
6. 街の冬
7. 月夜のメロディ
8. 誕生
9. サマーフェスティバル
10. 胸いっぱいの愛
11. 夜の行進
12. サーカス
13. たんぽぽ
14. ポエジー
15. 満員電車は走る
※紙ジャケット仕様
※ROSE RECORDS ONLINE SHOP&ライブ会場でお買い上げの商品に限り、アルバム全曲の弾き語りバージョンをおさめたボーナスディスク付き2枚組仕様(限定生産)

プロフィール

曽我部恵一

1971年生まれ。1995年サニーデイ・サービスでデビュー。2001年よりソロ活動をスタート。デビュー曲「ギター」を、小西康陽主宰のレーベルからリリース。2004年メジャーレコード会社から独立し、東京・下北沢に「ローズ・レコーズ」を設立。以降独自のインディペンデント活動を展開している。現在は2006年に結成された「曽我部恵一BAND」を活動の主体とし、2012年4月に待望の3rdアルバム『曽我部恵一BAND』を発表。その他、アコースティック編成での「曽我部恵一ランデヴーバンド」や、2008年に再結成を果たした「サニーデイ・サービス」などで活躍。プロデュースでは、小泉今日子、TOKIO、中村雅俊から豊田道倫までを手掛け、中でも鈴木慶一のソロ作『ヘイト船長とラヴ航海士』は、2008年度レコード大賞優秀アルバム賞を受賞。下北沢のカフェ兼レコード店「CITY COUNTRY CITY」のオーナーでもある。

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