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『この人に、この人生あり!』 第2回:新たな「街写真」の探訪者 本城直季(写真家)

初めてその写真を見た人は、2度驚くでしょう。最初は、そのミニチュアのような景色の精巧さに。続いて、それがミニチュアではなく現実世界を撮影したものだという事実に。空を舞う鳥のような視点で撮られた景色の数々は、まるでジオラマのような不思議な佇まいです。見慣れた風景にも驚きをくれるこれらの写真作品で、ジャンルを超えて活躍中なのが本城直季さん。しかし、写真を学ぶために進んだ大学では遊んでばかりの時期もあり、制作に本腰を入れてからも順風満帆とはいかなかったそうです。そこから現在の活躍ぶりに至る日々は、どんなものだったのでしょう? そこで今回は最新個展『diorama』の会場を訪ね、これまでの道のりや、代表的シリーズ「small planet」や「LIGHT HOUSE」誕生の経緯をうかがいました。また、最新の活動のひとつ、ローソンのカフェサービス「MACHI café」とのコラボによる特製タンブラーのお話も聞かせてもらいました!

本城直季 プロフィール

1978年、東京都出身。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業、同大学院芸術研究科メディアアート修了。実在の風景を独特のジオラマ写真のように撮影した写真集『small planet』で2006年度木村伊兵衛賞を受賞し、一躍注目を集める。メトロポリタン美術館、ヒューストン美術館に作品が所蔵されているだけでなく、雑誌や広告など幅広い分野で活躍している。
http://honjonaoki.com/

本城直季

落ち着きのない子ども時代、バスケと映画に夢中の少年時代

もの静かで穏やかな印象のある本城さん。そのことを伝えると、「以前テレビに出たときは、僕があまりにもしゃべらなかったようで、あわや放送事故かっていう語り草になってしまいました(苦笑)」とちょっと照れながら語り始めてくれました。

本城直季

本城:小さいころは今の自分と全然違って、落ち着きがなく、よく「じっとしてなさい!」と怒られるような子どもだったようです。豊島区のふつうの街で育って、塀と塀の間を走り回ったり、よその家の垣根を通り抜けたりして遊んでいました。

実はお祖父さんが一時期、写真の現像店を営んでいたという気になる事実も。しかし当時の記憶はおぼろげで、そこが何をする場所なのかさえわからなかったといいます。むしろ、少年時代に夢中になったのはスポーツ。中学生でひとり遊び的に始めたバスケットへの熱意は、「ほとんどバスケ部に入るため進学したようなもの」だという高校で本格化。またこの時期は、テレビで映画を見まくる日々でもありました。

本城:えぇ、『スラムダンク』世代です(笑)。映画は、家で加入したWOWOWが放送するものを片っ端から録画して観ていました。それもあって大学受験の際には映像を学べるところを志望したんですが、最終的には同じ大学の写真学科のほうに受かったのでそこへ、というのが本当のところです。

こうして、東京工芸大の写真学科に進学。ここから一気に写真にのめり込んで……と想像してしまいますが、最初の2年間は、つい遊んでばかりの日々を過ごしていたそうです。

本城:何かというとクラスの友だち同士で、誰かの家に集って……それも熱い写真論をするとかではなく、バカ話ばかりというか(笑)。さすがに「撮らなきゃ」と焦り始めたのは3年生になってからです。そこからともかく毎日カメラを持って出かけることを自分に課してみて……大学のある中野周辺を歩き回って撮影する日々になりました。当時はPENTAXの6×7cm版カメラと、ポラロイドを使っていました。毎日同じカメラだと飽きちゃうなと思って(笑)。

本城直季

どこまでもマイペース(?)な感じもする本城さんですが、いっぽうで時間があれば図書館や書店にも通い、内外の写真集を熱心に見るようにもなります。時代が21世紀に移り変わる当時、日本の先輩世代ではホンマタカシさんや、キヤノンの公募展『写真新世紀』で受賞した蜷川実花さんや佐内正史さんの活躍も印象的だったそうです。特にホンマさんの写真は、『東京郊外 TOKYO SUBURBIA』での街や住宅街の写真が刺激になったとのこと。やがて本城さんもホンマさんとは異なるかたちで「街」を多く撮ることになるのを考えると、興味深いですね。

本城:街や住宅という身近な存在への関心は、そのころからありました。今回の個展『diorama』で見せる2つのシリーズも、そこから生まれたものです。街をジオラマのように撮った「small planet」も、夜の住宅街をとらえた「LIGHT HOUSE」も、学生時代が終わりに近づくころ始まったんです。

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