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モーニングはみだし3兄弟@CINRA出張所

みんな何でそんなに真面目なのかなぁ? 写真家・ホンマタカシが伝えるへうげ心

写真家・ホンマタカシと漫画『へうげもの』(山田芳裕作)!? 一見そっけなく、「撮り手の事情」を封じたようなクールな写真で新表現を切り拓くホンマさんと、登場人物の性格も表現もアクの強い『へうげもの』は、水と油のごとき関係にも思えます。しかし、意外にもホンマさんがこの作品を愛読しているとの噂を小耳にピシッとはさんだ編集部。思い切ってご本人に取材を打診したところ、めでたく実現と相成りました。雑誌・広告界でのお仕事から美術館での展覧会まで、誰にも似ていない独自のスタイルで写真を追求するホンマさん。『へうげもの』の主人公・古田織部が茶の湯を型にはまった「道(どう)」へ陥るのを避けたように、ホンマさんもまた写真を通してこの世のオルタナティブな視点を探り続ける「写真術」のへうげた使い手なのでした。漫画と写真はもちろん、映画、野球、ブラジリアン柔術まで、話題が変幻自在に広がる中、その核心は「へうげ」の重要性へ。『へうげもの』担当編集者さんも参戦して、現代を代表する、稀代の写真家の、ちょっと珍しく、そして乙なインタビューとなりました。

インタビュー・テキスト:内田伸一

ホンマタカシ
写真家。1962年東京生まれ。2011年から2012年にかけて、自身初の美術館での個展「ニュー・ドキュメンタリー」を日本国内三ヵ所の美術館で開催。写真集多数、著書に『たのしい写真 よい子のための写真教室』がある。2014年1月25日に『たのしい写真 3 ワークショップ篇』が発売されたばかり。3月8日からは青山ブックセンター本店にてワークショップを再び開講予定。現在、東京造形大学大学院 客員教授。
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変わり続けることのほうが絶対的にリアル。「自分らしさ」を過度に守ろうとするのは、保守的すぎると思うんです。

―ホンマさんと『へうげもの』って意外な組み合わせ? という気もしますが、between the books(ホンマさんの運営するブックレーベル&写真情報サイト)のTwitterでこの漫画についてのつぶやきを見つけ、今回取材をお願いした次第です。

ホンマ:そのツイートって、どういうのでしたっけ? 今日取材の前に確かめようと思ったけど、見つからなくて(苦笑)。

―作中の台詞「私は反骨なぞどうでもいい……それよりもこの器が語っておるのは……ひょうげ……そこはかとのう滲み出る素っ頓狂なおかしみだ」(第百六十六席より)を、引用されてました。

ホンマタカシさんお気に入りの1コマ
ホンマタカシさんお気に入りの1コマ

ホンマ:あ、そうか。漫画は好きなんですよ、なぜかよく驚かれるけど。『へうげもの』は数年前に知り合いが教えてくれて、コミックスで10巻くらいまとめ読みしたんです。これは面白いと思って、海外の友達とかにも勧めてました。その後しばらくご無沙汰してたんですが、最近また読み始めて、それであの台詞はいいなって思って。

―ふだん漫画や本を読んでいて、気になった言葉をメモしたりする習慣があるんですか?

ホンマ:ときどき週刊漫画誌を買って、気になる台詞があると、忘れないようにそのページだけ切り取ったりします。ちょうど今日も……(お洒落なバッグの中からおもむろに1枚のページを取り出し)ホラ。

―おぉ、楠みちはる先生の『8(エイト)』(『ヤングマガジン』で連載中)ですね!

ホンマ:あ、『ヤンマガ』って別の出版社さんでしたっけ?

『へうげもの』担当編集(以下、担当):いえ、『モーニング』と同じ講談社です(笑)。ありがとうございます。

ホンマ:「1万時間の法則」っていうものがあって、「1つのことをあるレベルまで身につけるためにかかる時間」についてのやりとりが描かれているんです。「1日10時間、1年フルに働けば3千時間を超えて、3年だと1万時間。そこまでいけば何かわかるし、いかない人はわからずじまい」っていう。

―確かに、内容を知らなくてもちょっと気になる台詞ですね。ホンマさんは、漫画の「ことば」に惹かれることが多いんでしょうか?

ホンマ:好きになる要素も、いろいろあると思いますけどね。でも、『へうげもの』にはほかにも気になるシーンがありますよ。たとえばアレ。儒官の林道春が古田織部に、茶の湯を「完成された型」にするために「茶道」にしては? って進言する。でも織部は、「変幻自在 融通無碍、かような茶の湯でよいのでござる」って笑って答える。つまり、「茶の世界は時と共にうつろいゆくもので、それを型にしたら後世の人が面白さを感じる余地がなくなる」ってことを言ってるんですけど、こういうのは素晴らしいなあって。

こちらもホンマさんお気に入りの1コマ
こちらもホンマさんお気に入りの1コマ

担当:実はこの漫画自体、「現代の茶道ってつまんないよね」って与太話から企画が始まってるんです。千利休や織部の時代って、おそらく茶の湯はマニュアル化されてなかっただろうに、後にそうなっていくことへの疑問みたいなものがありまして。

―何事もうつろいゆくもの、という前提で「へうげ」を楽しむ気概。そこにホンマさんも共感したんでしょうか?

ホンマ:人は「ブレちゃいけない」とかよく言うけど、実際は誰しもブレるものなんですよ。生物学者の福岡伸一さんによると、人間の細胞なんて3か月で入れ替わっちゃうらしいし。だとしたら、変わり続けることのほうが絶対的にリアルなのに、なんとか変わらないようにしている。そうやって「自分らしさ」みたいなものを過度に守ろうとするのは、むしろ保守的すぎると思うんです。もちろん「自分は絶えず変わり続けてる」なんて認めるのは不安でしょうがないけど(苦笑)、僕はけっこうそういう状態が好きなんです。

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書籍情報

『へうげもの』十服 (講談社文庫版)

2014年1月15日発売
著者:山田芳裕
価格:735円(税込)
発行:講談社
解説:みうらじゅん

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書籍情報

『へうげもの』九服 (講談社文庫版)

2014年1月15日発売
著者:山田芳裕
価格:788円(税込)
発行:講談社
解説:山田五郎

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イベント情報

ホンマタカシ参加展覧会
『拡張するファッション』

2014年2月22日(土)~5月18日(日)
会場:茨城県 水戸芸術館現代美術ギャラリー
時間:9:30~18:00(入場時間は17:30まで)
出展作家:
ホンマタカシ
ミランダ・ジュライ
青木陵子
長島有里枝
スーザン・チャンチオロ
COSMIC WONDER
BLESS/小金沢健人
横尾香央留
神田恵介×浅田政志
パスカル・ガテン
FORM ON WORDS
休館日:月曜(ただし5月5日は開館)
料金:一般800円
※中学生以下、65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は無料

書籍情報

『たのしい写真3 ワークショップ篇』

2014年1月27日発売
著者:ホンマタカシ
価格:1,680円(税込)
発行:平凡社

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山田芳裕
Hyouge Mono メッシュキャップ 銘「HM」

価格:6,300円(税込)
作者・山田芳裕が監修したこだわりのメッシュキャップ

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山田芳裕 , シマダヒデアキ
『へうげもの』Tシャツ 銘「820296(やぶれぶくろ)」(M)

価格:3,990円(税込)
『へうげもの』Tシャツが復刻版で登場!

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