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あの人の音楽が生まれる部屋 vol.26:フジファブリック

ASIAN KUNG-FU GENERATIONには
今でも感謝をしている

KORG

2010年7月には、バンド主催の『フジフジ富士Q』を富士急ハイランドにて開催。彼らと交流のあった15組のアーティストが志村さんに変わってボーカルをとる形で、イベントは大成功を収めました。翌月には5thアルバム『MUSIC』をリリースし、フジファブリックは山内さん、金澤さん、加藤さんの3人体制で続行することを発表します。その後しばらくは、それぞれが別バンドのサポートメンバーとして精力的に活動を行い、金澤さんはASIAN KUNG-FU GENERATIONの全国ツアーに帯同しました。

金澤:アジカンと一緒にツアーを回ってみて、「バンドっていいな」と改めて思いました。一緒に演奏していると、僕の出す音は「フジファブリックの音」なんだなということを否が応でも分かるんですよ。そこで改めて、自分の中にあるフジファブリックとしての個性と向き合えたのもよかったと思います。だから、今でもアジカンのメンバーたちには感謝しているんです。

変わらないフジファブリックの音

フジファブリックとASIAN KUNG-FU GENERATIONのステッカー

3人体制になってからも、メンバー全員がコンポーザーであり、セッションプレイヤーとしても一流の腕を持つミュージシャンであることを強味に、フジファブリックは快進撃を続けます。『STAR』(2011年)、『VOYAGER』(2013年)、そして『LIFE』(2015年)と、すでに3枚のアルバムを三人だけで作り上げたことも自信につながりました。

金澤:曲作りに関しては、志村がいた頃からメンバー全員書いてはいましたけど、中心人物がいなくなったことで、「みんなで作ろう」というふうに変わりました。3枚アルバムを作った中で、僕ら三人とも実はすごく個性的なんだということが見えてきましたね。加藤くんの歌詞の世界もそうだし、山内くんのボーカリストとしての表現力もそう。特に山内くんは、作品を出すごとに本物のボーカリストになっていきましたよね。『STAR』の頃は、「フジファブリックらしさ」を意識しながら曲を作っていたところもあったのですが、それぞれが自由に曲を作ったら、結果それがフジファブリックの音になると思えるようになりました。考えてみれば、“若者のすべて”も“銀河”も“陽炎”も、リリースした直後は「フジファブリックらしくない」「こんな曲やるの?」って言われてたなぁって。それらの曲が、今は僕らのスタンダードになっているわけですからね。

今年は、2枚連動企画ミニアルバム『BOYS』『GIRLS』をリリース。プロデューサーは、agehaspringsの百田留衣さん。今までのフジファブリックにしては珍しく、割とストレートな恋愛を取り上げているのも新鮮です。また金澤さんは、『GIRLS』に収録された“裸足のバレリーナ”で作詞作曲はもちろん、プログラミングからミックスまで手がけました。

金澤:ミニアルバム2枚ということは、アルバム1枚以上のボリュームなので大変でした(笑)。歌詞も、『BOYS』では男心をそのまま歌えばよかったんですけど、『GIRLS』では女心を書くのか、男から見た女子について書くのか、あるいは女子目線でのモノローグにするのか、いろんなことを試行錯誤しました。結果、曲ごとに様々な視点で描かれています。ただ、『BOYS』では曲の主人公が失恋しまくっているので、『GIRLS』はもっと暖かい気持ちにさせようってことで意見が一致しましたね。「もう、振られるのはやめようよ」って(笑)。初回限定盤にブランケットを付けたのは、身も心も温かくなって欲しいからです。

9年ぶりの野音ワンマンを機に振り返る
「常に壁を乗り越えてきた9年間だった」

フジファブリックの機材

現在はツアー中のフジファブリック。10月25日には、9年ぶりに日比谷野外音楽堂でのライブが行われました。本番前には、9年前の映像を久しぶりに見返したという金澤さん。バンドとしての成長をどのように感じたのでしょうか。

金澤:常に壁に向かって挑戦し、それを乗り越えてきた9年間でした。9年前は、まだまだ自分をうまく出せてなかった気がします。出し方が分からなかったというか……。でも今は、自分が思っていることとか、イメージしているサウンドとか、前よりもストレートに表現できるようになってきたと思います。昔はかっこつけてましたからね。それは自信のなさの裏返しだったと思うんですけど。今は自信もついてきましたし、自分をさらけだせるようになってきたのかなと。まだまだやっていないことも、これからやりたいこともたくさんあるので、次の壁に向かって挑戦していきたいですね。

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