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『クリエイターのヒミツ基地』Volume26 奥下和彦(映像作家)

奥下さんの作品作りをご紹介!
あの一筆書きアニメーション制作の秘密を大公開

奥下さんによる、リアルな動きの一筆描きアニメーション作品はオリジナリティー溢れる作風だけに、どのように制作しているのか気になるところです。今回は、その独自の作品が生まれる過程を教えて頂きました。

絵コンテ

作業工程1:絵コンテ

奥下:例えば大学院修了制作で作った『わたくしりとり』なら、言葉をどのようにつなげて展開していくかという基本的なアイデアを固める作業を、絵コンテを作成する際に行いました。『赤い糸』のときには、それぞれの場面を想像しながら描いた絵を切り貼りして、絵コンテを制作したことを覚えています。絵の下に書かれた状況説明や補足情報は、音楽制作を依頼する際に、作曲家が場面を理解しやすいようにするためです。

撮影、デモ映像作り

作業工程2:撮影、デモ映像作り

絵コンテをもとに撮影した映像素材からデモ映像を作り、次工程のトレースへとつなげていきます。

奥下:ビデオカメラで撮影した映像やフリー素材などを、After Effectsで編集してデモ映像を作っていきます。デモ映像のクオリティーは作品全体の完成度に影響してくるので、構図やストーリーの流れなどはできるだけこの段階で作り込んでいきます。

実写映像を一筆書きでトレース

作業工程3:実写映像を一筆書きでトレース

ロトスコープで一筆書きのアニメーションを作り込んでいくことが、奥下さんのクリエイティブの特徴。「真似しようと思ってもなかなかできない」と自信をのぞかせます。

奥下:実写映像を下敷きにして、一筆書きのイラストを描いていく工程です。ロトスコープといっても、この段階で書き足している部分もあるので、「ロトスコープと手書きのハイブリット」と言ったほうが正しいかもしれませんね。一筆書きは「一本の線でなくてはいけない」「全ての形を表現しなければいけない」という2つのルールを守りながら描かなければいけません。ここでは、「視覚情報として必要ではない部分を捨てる」ということが重要で、その取捨選択は自分の経験に基づいて行っています。人間の視覚が一度で受け取ることのできる情報量には限界があるんです。だから、なるべく不必要な線を削ぎ落とし、視線誘導を意識しながら最小限の線で描いていきます。この工程はペンタブレットを使用して、「MacBook Pro」で作業しています。

After Effectsでのアニメーション映像編集

作業工程4:After Effectsでのアニメーション映像編集

最後にロトスコープで描きだした1コマ1コマの絵をつなぎ、After Effectsで編集していきます。仕上げでもあるこの工程では、どのような作業を行っているのでしょうか?

奥下:映像作品であっても、結局は音楽が主導権を握っていると考えているので、映像と音楽の同期が上手くできているのかにはこだわります。デモ映像の段階で音楽との親和性を100%にしているため、ここでの作業は微調整程度が多いのですが、『わたくしりとり』では、文字と音の同期が絶妙なタイミングになっているかを、かなり綿密にチェックしました。この最後の工程で、どのような効果や技法を入れ込んでいけるかはこれからの課題で、まだまだ研究の余地があると思っています。

一度見れば、「どのように作っているんだろう?」と誰もが気になる奥下さんの作品。実写映像から必要最小限の線だけを一筆書きでとらえていく作業は、芸術家の感性と職人の技能が一緒になった、奥下さんならではの技法だといえそうです。奥下さんが次に目指す、「高揚感」と「受け入れやすさ」を融合したアニメーション作品のために、今後どのようにこの技法が進化していくのか、興味深いですね。

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