草野なつか『王国(あるいはその家について)』が3週間限定劇場公開。濱口竜介がコメント寄せる

2023. 10.06

草野なつか監督の映画『王国(あるいはその家について)』が、12月9日より東京・東中野のポレポレ東中野にて3週間限定で劇場公開される。

同作は、草野監督による2作目の長編作品。脚本を務めるのは、『螺旋銀河』で共同脚本として参加し、『ハッピーアワー』などでも知られる高橋知由。出演者には澁谷麻美、笠島智、足立智充、龍健太が名を連ねている。

これまで『第11回恵比寿映像祭』や新文芸坐、三鷹SCOOLなどや、映画配信サービスMUBIでの限定配信のみだった150分版の『王国(あるいはその家について)』。今回、監督の最新作『夢の涯てまで』が『第24回東京フィルメックス』メイド・イン・ジャパン部門へ選出されたことを記念し、劇場公開される。

川添彩の手がけた予告編がYouTubeにて公開中。

【草野なつか監督のコメント】
『王国(あるいはその家について)』を撮影したのは2017年の年明けだった。初日にフィクション部分を撮影し、いよいよ作品の肝となるリハーサル撮影、という2日目、自分の見通しの甘さが原因で身動きの取れない状態になった。このとき、作品の本質を理解し打開策を講じたのは私ではなくスタッフであり、駆動し始めた撮影で大きな、広い景色を見せてくれたのは役者たちだった。翌年完成し2019年に映画祭を周ったのち、映画配信サイトMUBIでの配信が始まったまさにそのとき、世界中でロックダウンが起きた。
コロナ前に撮影した本作がコロナを経た今どう観られるかは想像もつかないが、作品がまた大きな景色を見せてくれること、そして今度は観客の皆さんに遠くまで連れて行ってもらえるであろうことを私は楽しみにしています。

【濱口竜介のコメント】
俳優たちはテイクを重ね、やがて「これしかない」という声に辿り着く。この特権的な声が本来「OK」テイクとなるものだ。しかし、このたった一つの声は、実のところすでに為された無数の発声がその裏に張り付いた複層的なものなのだ。『王国』ではその声は示されるとともに解体されて、あらゆる声が「OK」として響く。自分が夢見たことを先んじてやられてしまったような、そんな感覚を持った。草野なつか監督の勇気と知性に敬意を表したい。

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