『Tribe Called West: Vol.3: Osaka Dub Revirth』から見える関西のダンス・ミュージックシーン

1月よりスタートした『HMV×CINRA 今月のイチオシ』 。2月にピックアップする一枚は、『Tribe Called West: Vol.3: Osaka Dub Revirth』です! 2月11日にひっそりとリリースされたこのコンピレーションアルバム、関西の熱いダンスミュージックシーンを切り取った、びっくりするくらいカッチョイイ一枚でした。正直、関西のダンスシーンは詳しくなかったけれど、この一枚との出会いによってものすごく興味がわきました。ということで今回は、関西のDUBシーンに造詣が深いMTR 氏(WESTribe)に、関西ダンスミュージックシーンの重要人物を取材して頂きました。ものすごく濃くて熱い原稿です!

『Tribe Called West: Vol.3: Osaka Dub Revirth』

Tribe Called West: Vol.3: Osaka Dub Revirth
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トライブコールドウエスト、大阪DUB三部作の完結編!西の現場濃縮ドキュメント・レーベル、ウエストライブが放つトラシリーズ第3弾は、大阪DUB三部作の最終章として、世界的な独自性を誇るその魅力を要素ごとに解体し、レゲエ/DUBのフィールドを越えた斬新な手法で既存の枠に収まらない全方位型ダンスミュージックとして再構築。

sound-channel、ALTZなど西のあらゆるシーンの潮流を網羅し、融合・拡張・進化する瞬間を音源化。限定1,000枚のレア・プレス!

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「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー

『Tribe Called West: Vol.3: Osaka Dub Revirth』は関西DUBの源流的存在である「SOUL FIRE」の中心人物、HAVの主催するレーベル「SF Recordings」と、味園ビルの週末限定営業クラブ「鶴の間」の運営を機に東京から大阪へと活動拠点を移すことになったTAIYOの主催するレーベル「sound-channel」の2つが密接に絡んで産み出された作品。奇しくもSF Recordingsがレーベル発祥となる12インチアナログ『ROOTS KICKS/THE OFFING BASS』をリリースした99年は、同じく都内でsound-channelがレーベル第1弾作の10インチアナログ、『Daze/3 Balls』をリリースした年でもあり、今年は両レーベルともに発祥から10年目の節目を迎える。

西と東の全く異なるシーン背景から誕生した2つのレーベルが10年の時を経て共鳴するには、あまりにも多くの偶然と必然を孕んでいる。気がついたら繋がっている、そんな時代の不思議な流れを読み解くべく、参加アーティスト達に色々な話を聞いてみた。

まずはSFとSCを繋いだキーマンであるAKIO NAGASEと、Clubとしてのサウンドチャンネルの現場で店長を務めるKEN2 a.k.a.REVの二人にサウンドチャンネル初期から現在のアメリカ村のサウンドチャンネルに至るまでの話を聞いた。
(以下、AKIO NAGASE=AN KEN2 a.k.a.REV=K2)

曲作っては人に聴かしてアドバイスをもらったり、クラブでDJに聴いてもらったりしてた。

―大阪で活動していたアキオ・ナガセとサウンドチャンネルの最初の接点はどういう形だったんですか?

AN:実を言うと僕は、サウンドチャンネルの中では唯一のデモテープ組なんですよ。当時大阪で将来的には音楽やりたいと思って専門学校に通ったりしてたけど、ある時『エレキング』って雑誌に塚本トモキ(以下、tomoki )っていう「w-moon」名義でレコードを出してた人のインタビューが載ってて。その中で今のsound-channelの原型である「MetroJuiceRecords」の事も言ってたんですけど、tomokiはdol-lopと二人でまだ20代前半の大学生だった時に既にメトロジュースを立ち上げて、ドイツのノイトンっていうテクノのディストリビューターで流通して、レコード出してヨーロッパでライブもやってたんです。

―まずはその記事に受けた衝撃が最初にあったんですね。

「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー
AKIO NAGASE

AN:そう、僕らがやりたいことを既にやってる人がいて、しかも成功してる。日本に居ながら海外流通をやって。だから自分達もやっぱりレーベルがやりたいと思って、tomokiの事を周りに聞いてみたら、 COMPUFUNK RECORDSをやってるナオ君(LOVEGOD)が知り合いだと分かって連絡先を教えてもらって。当時は携帯とかメールとか無いからFAXを6枚くらいガーって送って(笑)。

―熱い気持ちをFAXに託してコンタクトしてみたと。

AN:最初はなかなか返事がなくてあきらめかけてたんですけど、暫くしたらちゃんと返事をくれて。やり方を教えてもいいけど、その前に音を聞かせてほしいって言われて。

―なるほど、音を聴いたら相手のことが分かるって感じですね。

AN:それでデモーテープを送ったら、「結構いいじゃん」って反応が返ってきて。「参加しないか?」みたいな感じの事を言ってくれて。

―それは時期的にいつ頃ですか?

AN:98年頃で、僕が21歳くらいの時ですね。それまで曲作っては人に聴かして、その反応を聞いて自分の曲とリリースされてるレコードとどう違うのか突き詰めて、ベースが違うとかアドバイスをもらったり、当時CDとか焼ける機械も無いし、DATで録り溜め続けて、それをクラブでDJに聴いてもらったりして。その頃打ち込みの曲を家で作ってレーベルに送りまくってた若い人は結構いたと思うし、 僕も当時海外のレーベルとかに作品を送りまくってて。たまにもうちょっと送ってほしいとか、ちょっとでも返事が返ってくるとめっちゃ舞い上がって。

でも実際に何かが始まることはなかったんです。でもメトロジュースから返事が来た時はそれまでに比べて明らかに反応が良くて。僕からすると最初に向こうの事を知ったのが雑誌やったからファン目線みたいなのもあったし、MOOCHYとかKENSEIなんかは雑誌の中の有名人って感じやったけど、ひょっとしたら東京の一線でそこと繋がってる所に自分が行って表現ができる可能性があるかも知れないと思って。

「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー
AKIO NAGASE

「アキオはテクノなんかよりダブの方が全然いいよ」って言われて(笑)

―なるほど。当時メトロジュースを主催していたdol-lopとtomokiにはどういうタイミグで実際に会ったんですか?

AN:一回遊びに来ない?って感じで呼ばれてアっちゃん(現在サウンドチャンネルのクルーである女性DJのマスモトアツコ)と一緒に東京に遊びに行ったんですよ。当時tomokiとヨシオ(dol-lop)が高田馬場で一緒に住んでた家があって、そこに夜着いたら「大阪から来てくれたから」みたいな感じでパーティーをやってくれて、そこでケンケン(KEN2 a.k.a.REV)やコウちゃん(TAIYO)にも初めて会ったんです。

―なるほど、その時に今のサウンドチャンネルのクルーが勢揃いしたわけですね。

AN:で、その時に今度このメトロジュースを一旦リセットして、もっと幅広い音楽性でMOOCHYとかにも参加してもらってレコードを出していこうと思うって話を聞かされて。MOOCHYなんかはその頃LIFEFORCEっていうドラムンベースのパーティーとかでも凄い勢いでシーンに知られてた頃で。

―なるほど、ちょうどメトロジュースを母体にTAIYOさんが加わって新しいコンセプトとしてsound-channelがスタートする時期だったんですね。当時送ったデモ音源はどんな感じだったんですか?

AN:もともとはテクノがやりたかったからテクノの音を送ってましたね。でもダブもかっこいいと思ってちょっと作ってみたらコウちゃんに「アキオはテクノなんかよりダブの方が全然いいよ」って言われて(笑)、 「テクノなんか、やりたければ後からいくらでもやらしてやる」って。

「後から絶対分かるから、まず最初にDUBをやるっていうプロデュースを俺がお前にする」って言われて。俺、その時はちょっと腑に落ちない感じだったんですけど、今となってはそのことをすごく感謝してて。

ソウルファイアのライブを初めて見た時、俺は正しかったんやって思った。

―そうだったんですか、じゃあそのTAIYOさんのプロデュースが結構アーティストとして転機になってるんですね。

AN:その時は、なんで俺テクノやりたいのにダブやねん、ダブなんか1曲くらいしか無いのにって思ったけど。でも今思えばテクノは若干作り慣れてきてた分、誰かの模倣みたいな感じになりかけてた部分があって。でもダブはそれこそ初期衝動だったから、やっぱりそこを感じ取ってくれたのかな。結局、MOOCHYとのカップリングっていう最高の特等席を与えてもらったんですよね。

―なるほど、それが2000年にsound-channelの第3弾としてリリースされた10インチアナログ『Vreth / Make Dub』ですね。

AN:実はあの曲(“Makedub”)のベースはソウルファイアの” SHOOT THE RIVIERA”をサンプリングしてて(笑)。その少し前にアっちゃん(マスモトアツコ)がヤバいレコード見つけたって聴かせてくれて、ソウルファイアの事を知ったのは後からなんですけど、その時は知らずにサンプリングしてて。2002年にソウルファイアのアルバムが出た時、その内容が良すぎて東京に持っていって掛けたりしてたら「これ誰?紹介してよ」って、コウちゃんもすごい反応してくれてたし。

K2:そういうソウルファイアとかグリーン・グリーンをうちらと繋げてくれたのがアキオとアっちゃんだね。

―その後、アキオナガセはSF Recordingsの作品にも参加してますね。03年の『BLUE FLAME DUB vol.3』にはどういう経緯で参加することになったのですか?

「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー
BUN BUN the MC

AN:やっぱりソウルファイアのライブを初めて見た時、俺は正しかったんやって思ったことがあって。BUN BUNさんもソウルファイアを見た時に自分のやってきたことが間違いじゃなかったと確信できたって言ってたし。HAVさんの作る音は大好きやから、僕も自分の作品が出る度に聞いて下さいって渡したり、現場でも色々協力してたっていうのもあって、その時はHAVさんの方から声を掛けてくれて。嬉しかったからそれは二つ返事でやりますって感じで。

結局ダンスミュージックっていうのはひとつで、踊らせる躍動感の根源は全部繋がってると思ったんですよ。

―アキオナガセが相方の女性DJ、マスモトアツコと共に展開していたパーティー『Makedub』はどんな感じでしたか?

AN:99年に初めて『Makedub』を開催した時は、テクノとDUBをミックスしようっていうコンセプトがあって。ニュールーツのステッパーを初めて聴いた時に、これはもう4つ打ちのダンスミュージックと同じだと思って。だから自分達もBasic ChannelとDisciplesをミックスしてしまおうと。そこにアシッドハウスも混ぜてしまおうと思って。テクノから派生しているものとDUBから派生してるものを何で違うものとして捉える必要があるのか、と。レゲエのワン・ドロップのリズムだって倍速にしたら4つ打ちのビートになるし、全部一緒だと思ったんですよ。

ニュールーツはDUBのもので、Basic Channelはテクノのものみたいに言うけど、それは関係ないと。2000年をすぎた頃にDUB HOUSEが一気に爆発したけど、その下地は90年代後半に既にできてたと思うからそれに対して全然違和感を感じなかったし、ジョー・クラウゼルとかフランソワーズ・ケヴォーキアンがステッパーズの曲を自分のテックハウスに混ぜてプレイしたりするって話を後から人に聞いた時、これはハウスも掘り下げてみようと思って。

それでハウスも色々と聴いてみたらフランソワーズ・ケヴォーキアンのDEEPSPACEとかむちゃくちゃDUBの要素が強かったり、デヴィッド・マンキューソのプレイリストの中にDUBのキングジャミーとか入ってるのを知って、結局ダンスミュージックっていうのはひとつで、踊らせる躍動感の根源は全部繋がってると思ったんですよ。

「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー
ソウルファイア

―なるほど、パーティーとしてのMakedubはそれを立証する手法でもあったんですね。

AN:2002年にMOOCHYのNXSのリリース・パーティーを大阪でやった時「Makedub」でソウルファイアとやったり。

―NXSとソウルファイア!!それ凄く観たいですね。

AN:その時最初はMOOCHYからBUSH OF GHOSTSとやりたいって言われたけど、icchieさんに聞いてみたらちょうど同じ日にブッキングが入ってて実現しなかったんです。最初は「ソウルファイアってどんな人達なの?」って感じだったけど、僕の予想通りMOOCHYも実際に観たら「ヤバいね」って反応してくれて。

―普段のシーンの流れだと中々接点もなさそうですしね。大阪のアキオナガセが東京のサウンドチャンネルと繋がって初めて実現したラインナップですよね。

AN:僕らはそこを混ぜていくべきだと思ってて。2004年のクリスマスには鶴の間でソウルファイアとDJ KENSEIでやったし。

K2:ケンセイとソウルファイアは面白そうだね。

―ソウルファイアはシーンとしてはレゲエ/DUBだけど、JAZZの危ない感じのムードもあるし、手法としては完全にクラブミュージックですしね。

AN:うん。ソウルファイアは余分なモノを削ぎ落として尚且つ痒いところに手が届く感じがするし、ビートも凄くシンプルでメロディーも結構シンプルやねんけど、何ていうか日本人の中に脈々と流れてるワビサビとか、昔の侍の映画みたいな、あれはおっさんにしか出せない味わい深さやと思いますね。

オーガナイザーの力がオーディエンスの力であり、オーディエンスの力がまたオーガナイザーの力になるからこそ、『Brilliant』は他のテクノのパーティーとは決して一緒にならないんじゃないかな。

―今回アキオナガセがREMIXしたGREEN GREENは同じ大阪DUBでもその魅力はソウルファイアとは違うものですよね。

「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー
EQUALIZER

AN:ソウルファイアもダンスミュージックではあるけど、力強い躍動感とかそういう部分ではやっぱりGREEN GREENこそ本来のダンスミュージックだと思うし、あのアップリフティングな踊れる、踊らす感じを活かすようなREMIXをしたいと思って、作る前の段階でヒロ君(EQUALIZER)に聞いてみたことがあって。 その時、「いや、とにかくダンスや。ダンスミュージックにしてよ」って言われて。

あ、この人結構俺と考えてること一緒やなと思ったんですけど、僕は辿ってきた道が違うから、レゲエの人が絶対しないような、なおかつレゲエの人も納得させる音にしたかったんです。 当初はBPM的にはジャングルにしようかとも思ったけど、もっと自分にしかできない感じがいいと思って。最終的にはGREEN GREENをアシッドにしたらどうなるだろうと思ってできたのがあの曲ですね。

―ジャングルはTAIYOさんがソウルファイアの曲でガッツリやってますしね。このGROOVEの ACID MIXは、以前GREEN GREENの『TIME CROSS』を出した「RUDIMENTS」から、HAMATAIをフィーチャーした曲とのカップリングでヴァイナル・カットされる企画があると聞きましたが、アナログが出るとまた現場が盛り上がりますね。今後に向けた音源企画として他に何か動きはありますか?

AN:BUN BUNさんがひとつREMIXの話をくれてて、「産業DUB」をジャングル・ミックスしてほいっていうオーダーの話が来てるのと、これはまだどこからってワケじゃないけど、ひとつ考えてる新しいコンセプトがあって。

―「産業DUB」のジャングル・ミックス!!!それはまた強烈ですね。いやー楽しみです。今考えてるその新しいコンセプトっていうのは?

AN:ダンスホールのスレンテンみたいに、ひとつのリディム(ドラムと特徴的なベースラインで演奏されるレゲエのリズムの基本形のこと)なりに色んなシンガーが歌をのせたりするような感じで、自分のトラックで1MC、2MCとのっけたり、大阪のシンガーに1曲づつ歌ってもらったり、 もちろん名前のある人だけじゃなくて若い子らも色々フィーチャーしながら最終的にはアルバムにしてみたいなって思ってて。今回GREEN GREENをやらせてもらって、次BUN BUNさんのREMIXまでできたら、そういう事もできる状態になるんじゃないかなって思ってるんですけど。

―なるほど、アキオナガセ・リディムで色んなシンガーの個性を引き出していく感じの企画ですか。そりゃまた今まで無かったようなキラーリディムが生まれそうですね。でもアキオナガセのアッパーなチューンに対して、ソウルファイアのケンケンのREMIXはインストの段階で胸のすくような透明感溢れる浮遊感というか、これまたレゲエの人からは絶対出てこないようなチューンに仕上がってましたね。レゲエ色の強い原曲をああいう風に仕上げるに至って、どんなイメージがあったんですか?

「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー
ORIGINAL KOSE

K2:店行く時とか自転車であの原曲をウォークマンで聴いてたら、あのゆる~い感じのままもう少し踊れる感じにしたいと思って。それでパーカッションが合いそうだな、と思って知り合いにパーカッションを叩いてもらって。原曲は本当にシンプルなんだけど、カモンさんのサックスの音が凄いヤバくて、ウーチャンのギターの気持ちよさも活かしたかったし。で、最終的にコーセが歌をのせることになって、あの「気持ちいい感じ」って歌詞とかが曲調に上手くハマって。結局、大正のサウンドチャンネルでのイメージが強かった!実際REMIXの作業はあの7Fでやっていたので。

―最終的にはこれまでに無い、レゲエシンガーの新しいスタイルの歌モノに仕上がりましたね。あれはORIGINAL KOSEのスキルの凄さだと思うんですけど、インストとして仕上がった時点では音楽的な影響としてどんなイメージがあったのですか?

K2:実際そんなに音楽的影響無いですよ(笑)。記憶と感覚だけですわ!

―クラブとしてのサウンドチャンネルは、週末限定営業だった「鶴の間」から大正に移り、通常営業のクラブとして展開したことでBUN BUNさんの名物パーティー『じゃぱるね』や 大阪の色んなシーンのパーティーが開催されて、今のアメ村に至った背景がありますが、鶴の間の頃から今も続いているレギュラー・パーティーはありますか?

K2:鶴の間からだと、今はもう『Brilliant』っていうアサイ君のテクノのパーティーだけですね。

AN:それはもう、彼が何にも流されず自分の信念に基づいてやってるからっていうだけの話で、そこに皆リスペクトして人も集まってくるし、人をケアしたりサポートしていこうっていうアサイ君の人間性や、自分の好きな音楽を自分で守っていこうっていう熱い気持ちがあるからこそ皆が共鳴できるし、今も唯一続いてると思うんですよ。

―なるほど。オーガナイザーの求心力ですね。

AN:オーガナイザーの力がオーディエンスの力であり、オーディエンスの力がまたオーガナイザーの力になるからこそ、『Brilliant』は他のテクノのパーティーとは決して一緒にならないんじゃないかな。

東京からこっち来た時はそれを凄い感じたと思う。大阪のテクノはディープでかっこいいなって。

―その『Brilliant』にはアキオナガセも別名義の「SOUND ON SOUND」として出演してますよね。

AN:アサイ君とはもう15年くらい付き合いがあって、今でもやっぱり彼と同じ音楽を共有したいって気持ちがあるし。『Brilliant』のメンバーとして今後もSOUND ON SOUNDでテクノのトラックも作っていきたいですからね。

―大阪はレゲエと同じようにテクノのシーンも根強いですよね。僕はあまりテクノの現場には関われてないので逆に教えてほしいんですが、大阪のテクノのシーンの特徴はどういう部分ですか?

K2:東京に比べたら音はディープめな感じが多いかな。

AN:やっぱりその辺はフミヤさん(田中フミヤ)の影響が強いと思う。フミヤさんがROCKETSの『CHAOS』とかで作った土台に影響されてる人間は凄く多いと思うし。

K2:それは確かにでかいね。

AN:だから大阪のテクノのDJはやっぱBasic Channnelに傾倒してる部分とか、ディープでダビーで、音数少なめって感じ。

K2:そう、渋めな感じが多いな。俺も昔、東京からこっち来た時はそれを凄い感じたと思う。大阪のテクノはディープでかっこいいなって。

実際どういうことが起こってるかは言葉で伝えるのは凄く難しいけど、色んな流れが繋がって仲間の枠がここでどんどん広がってると思う。

「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー
KEN2 a.k.a.REV

―『Brilliant』の他には今のアメ村のサウンド・チャンネルではどんなパーティーがレギュラーで展開されてるんですか?

K2:今やってるレギュラーはあと、BUN BUNさんの『JAPANESE RENAISSANCE』があるけど、「じゃぱるね」は最近『RAGGA CHANNEL』に名前が変わって内容も新しく展開してる感じですね。他にはスーパーBがオーガナイズしてる『サウンドテロリスト』っていうのがあって、それはDJのHIP HOPというよりも、ラッパーがMCで引っ張っていく感じで。

一回BUN BUNさんもたまたま来ててステージあがってました(笑)。あとは、水曜日に『LIVING ROOM』っていうKENSAWさんがやってるHIP HOPとかブレイクビーツのパーティーがあって、木曜はNOONで『PUBLIC CAFE』とかをやってる「PANDA PANDA」ってレコード屋さんの『ROCK'2'ROCK』っていうロックのパーティー。金曜はROCK DESIREのKURIRINがやってる『STRONG SURVIVE』ですね。

―遂にROCK DESIREがサウンドチャンネルでダンスを始めたんですね。どんな感じですか?

K2:最初にやった時は、ゲストとか呼んでワン・オン・ワンっていうスタイルをやってて。最近の若い子達はサウンドクラッシュの意味が全然わかってないから、じゃあそれを作り上げていく、みたいな感じで。

―クルーとしてのサウンドが出てきて対決みたいな感じですか?

K2:ま、バック・トゥ・バックじゃないんですけど、歌詞で意味を繋げてレコードを掛け合うみたいな。『STRONG SURVIVE』はそういう色んな企画を打ち出してくれてて。

―ラバダブ(歌のない音をバックに、DJたちがしゃべりをリズムに乗せていくもの)対決とはまた違う感じですか?

K2:ラバダブとは違ってサウンドの方ですね。対決のポイントはHAMATAIからそれを聞いたんですけど、例えばクリリン君が曲を掛けて、もう一人のゲストが曲掛ける時に歌詞の意味をちゃんと分かってて、例えばその歌詞の意味が「ここはおれらの縄張りだ」みたいな感じだったら、もう一方が「何言ってんだ俺たちは殺し屋だぜ」みたいな意味の曲をかけて繋げる遊び。仲間だから出来る音遊びを粋にやっている感じ。そういう遊びをやったり、HISTORY SOUNDのOKINOさんとマンツーマンでレゲエ100選っていう、昔から今に至るレゲエのセレクションみたいな、そういう意味のあることを色々とやってくれてて。あとレギュラーとしては、HAMATAIがやってる『Bang A Rang』とかボンちゃん(DUBBY-BON)の『RebelCulture』がありますね。

「sound-channel」 AKIO NAGASE / KEN2 a.k.a.REV インタビュー

―『Bang A Rang』は枯葉タケヒロとか大阪アンダーグラウンドのブレイクコア勢のアーティスト達も絡んでレゲエに限らず独自のハードコア色を打ち出してますよね。ああいうのを見てると色んなパーティーを通じて独自のシーン融合が起きてるのが分かりますね。

K2:あとは俺らがやってる『TIGER WEST』とか、DRUM&BASS RECORDSのパーティーがありますね。

AN:実際どういうことが起こってるかは言葉で伝えるのは凄く難しいけど、東京のPART2STYLEと大阪DUBとかにしても、色んな流れが繋がって仲間の枠がここでどんどん広がってると思うし。僕の一番最初のルーツであるフミヤさん(田中フミヤ)もここでプレイするし、YAKKOさんもプレイするし、KENSEIさんもプレイしてくれるし。

K2:MOOCHYもやるし、GREEN GREENもSOUL FIREもやるしね。

AN:だからここにいたら俺は困ることがないんですよ(笑)。

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イベント情報
3月1日(日)に『Tribe Called West』のリリース・パーティー開催

場所はもちろんsound-channel(大阪)。今回のインタビュー中に登場した「AKIO NAGASE」や「SOUL FIRE」、「GREEN GREEN」なども出演します。
→イベントの詳細

リリース情報
『Tribe Called West: Vol.3: Osaka Dub Revirth』

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