
大橋トリオ インタビュー
- インタビュー・テキスト
- 早川加奈子
ジャズ、フォーク、ポップス、クラシック、トラッド、ソウル……etc。さまざまな音楽が心地よく溶け合ったシンプルなアコースティック・サウンドと、ふわりとした柔らかな歌声で、今や洋楽ファンをも虜にしている大橋トリオ。インディーズ時代からDJやモード関係者の間で評判となり、クチコミで人気が高まっていった音楽性の高さに加え、老若男女を問わず魅了する、極上のポップセンスも大橋トリオの大きな魅力。そんな大橋トリオが新たに挑んだ“ダンス”とは?
(インタビュー・テキスト:早川加奈子)
心と身体をスウィングさせる“ダンス”
―メジャー1stアルバム『I GOT RHYTHM』、すごくいいアルバムですね。実際、すでに何度も聞いてますし、しかも何度聞いても全く飽きずに聞ける貴重な一枚になっているというか。
大橋:それは嬉しいですねー。
―そんな今回のアルバムのテーマは“ダンス”。
大橋:でも“ダンス”にしばられるつもりはまったくなくて。自分への戒めというか、ちょっとはそういう意識を持って作ってもいいんじゃない? っていう程度のものというか。
―そうやって制作する際の意識が少し変化した背景として、メジャーになったことでリスナーの数も層も確実に広がった、という事実も影響していますか?
大橋:それもなくはないんですけど、僕の場合はライブのお客さん、ですね。僕のライブは、結構お客さんがみんな黙って聴いてるイメージがあって。そういう方に向けて、(ライブで披露するなら)アゲ目の曲が多い方が親切かな、と(笑)。実際はそれぞれの自由というか、じっと見ててもらっても別にいいわけなんですけどね。あと、大橋トリオっていう人と「ダンス」っていうテーマが僕の中では対極のイメージというか。そういう意味でも、「ダンス」を意識して作ったらどんなものが出来るかなっていう、言葉的なギャップも面白いかなって思ってましたね。
―大橋さんにはもともとジャズというバックグラウンドがあるわけですよね。そのジャズのスウィング感は大橋さんの音楽の基盤でもあるわけだから、大橋トリオ=スウィング=ダンスと考えれば、それほど驚くテーマでもないというか。
大橋:そうなんですよね。でもスウィングっていうか、ジャズっぽいって意味で言えば、前回の『A BIRD』は、「ジャズっぽくないですね」って、いろんな人に言われたんですよ。それまでの作品にはかなりジャズっぽい曲調のものがあったからだと思うけど。でも自分の中では(ジャズの要素は)入れてたつもりだったんですけどね。まぁ、ジャズっていってもいろいろあるし、その辺りのニュアンスがわかる人も、そういう感じじゃない人もいるだろうし。
―そういう気負わない感覚で制作したからこそ、「ダンス=ダンス・ミュージック」の概念から逸脱した、幅広い意味での「ダンス」なアルバムになったのかもしれないですね。
大橋:聞いた後に、「どこがダンスやねん!?」って思われてもいいし(笑)。僕自身は、デモが出来て、その曲を作ってる最中にもう、すべての曲で踊ってますけどね(笑)。ヘッドフォンをしながら、もしくはスピーカーで大きな音を出しながら。
リリース情報

- 大橋トリオ
『I Got Rhythm?』 -
2009年11月11日発売
価格:2,940円(税込)
RZCD-463541. I could be
2. Winter Land
3. sing sing
4. Here To Stay
5. Voodoo
6. 君は雨
7. Emerald
8. Everyday
9. 誇り高き花のように
10. ここにあるから
11. 僕と月のワルツ
12. Lady
プロフィール
- 大橋トリオ
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音楽大学でジャズ・ピアノを学んだ後、阪本順治監督の映画『この世の外へ 〜クラブ進駐軍〜』にピアノ演奏とビッグバンド・アレンジで参加。以降、本名の大橋好規として、『ジャージの二人』や『余命1ケ月の花嫁』などの映画音楽やCM曲の制作、小泉今日子や持田香織らへの楽曲提供やプロデュースを行なう。07年、シンガー・ソングライター・プロジェクト「大橋トリオ」としての活動を開始。08年にミニアルバム『A BIRD』でメジャーデビュー。09年11月にメジャー1stアルバム『I Got Rhythm?』を発表。2010年1月からホールツアーがスタートする。