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割礼インタビュー

割礼インタビュー

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
2010/05/19

―87年に出された最初のアルバム『Paradise κ』は、パンクやニューウェーブ色が強かったですけど、89年にメジャーでリリースした『ネイルフラン』からは、同じバンドとは思えないくらいテンポが遅くなりましたよね。何があったんですか?

宍戸:そんな変わった自覚はないんやけどね。家で弾いてるテンポをそのままバンドに持っていったというか。こっちのほうが落ち着くと思ったんだろうね。

―例えば遅いほうが歌詞が伝わりやすくなるとか。

宍戸:いや。そういうのは考えてないな。

―リスナーにこういう感情を与えたいとかは?

宍戸:それがね、ないんだよね。ずっと。特に考えてないんだと思う(笑)。

―そうなんですね(苦笑)。音楽をやる原動力みたいなものは、なんだったんですか?

宍戸:なんだったんだろうね。これも、よくわかんないな。たぶんね、メンバーと一緒にツアー行ったりするのが楽しくてね。まぁ、呑気に遊びに行ってるような感じだよね。

割礼インタビュー

―そうですか…。でも、メジャー・デビューもしたわけですよね。音楽でメシ食っていこうとか、そういう感じはなかったんですか?

宍戸:メジャーとか、懐かしいなぁ(笑)。でも、そういうふうにはならなかったなぁ。

―そのときも楽しいの延長で?

宍戸:そうだね。そこだけはずっと一緒かな。ツアーよりも打ち上げが楽しみだったりとか、そういう感じで(笑)。

ずっとフラれてるからねー。そこは大きいよな。いまの嫁さんにフラれたらキツいなー。

―89年に『ネイルフラン』、90年に『ゆれつづける』とメジャーで2枚リリースして、そこから00年の『空中のチョコレート工場』までアルバムのリリースが10年もなかったわけですけど、この間っていうのは?

宍戸:まぁ、メンバーが辞めたり。一回ね、休止して、ラジオバンドっていうのをやってたときもあるから。でも、『ゆれつづける』を出した以降は、やっぱ曲を作るペースも遅くなってね。

―なんで曲ができなくなったんですか?

宍戸:なんかね、ついつい家で飲んじゃったり(笑)。

―ええっ! そんな…。曲はどういう感じで作るんですか? 勝手な想像なんですけど、何かストーリーがあって、それのサウンドトラック的な感じに作ってるのかなと思ったんですけど。

宍戸:そういう感じでもないんだよなー。どうなんだろう。夜、ひとりで起きてるのも寂しいし、みたいな感じでギターを弾き始めてるんだけどね。夜にひとりで起きてるの、怖いんだわ。それで、なんか適当に弾いて、いちおうリフとかフレーズは、自分のなかで貯めておくんだよね。

―それがだんだん曲になっていくんですね?

宍戸:そうだねぇ。それに乗せて歌ってみないとね。

―歌を乗せるときっていうのは?

宍戸:歌うのはね、恥ずかしいんだ。

―えっ?

宍戸:ほんとね、恥ずかしいんだよね、歌。ある程度練習してからだったら歌えるんだけど。音程とかもめちゃくちゃだし、リズム感も悪いし。好きなんだけどね、厳しいよ。

―……で、でも、それがハンデにならない音楽をやってますよね? 歌い上げるようなタイプの人だったら、こういう音楽は生まれないわけじゃないですか。

宍戸:あー、そうだよね。

―歌詞の世界観も意味深ですごい気になるんですけど。

宍戸:あ、ほんと? でも、何も歌ってないんだよね。

―えーっ!

宍戸:何かを歌おうとはしてるんだろうけど。どうできてるのか本当に覚えてないんだよね。

―インパクトのある言葉を入れようとか、そういうのは?

宍戸:なんとなく引っかかってる言葉を集めてはいるんだよね。

―恋愛的な内容も多いですよね?

宍戸:うん。大きいよね、恋愛は。

―それは実体験をもとに?

宍戸:ずっとフラれてるからねー。そこは大きいよな。いまの嫁さんにフラれたらキツいなー。そうなったらやだなー。

―ははは。潜在的な気持ちが音楽に現れてるんですね?

宍戸:うん、そういう部分もあるかもね。

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リリース情報

>割礼<br>
『星を見る』
割礼
『星を見る』

2010年6月2日
価格:2,800円(税込)
P-VINE PCD-18626

1.リボンの騎士(B song judge)
2.マリブ
3.INスト
4.星を見る
5.ルシアル
6.革命

プロフィール

割礼

83年、名古屋にて「割礼ペニスケース日曜日の青年たち」結成。当初は性急なパンク/ニューウェイヴ寄りのサウンドだったが、80年代後半から徐々に曲のテンポが落ち、ギターのフィードバックノイズや幽玄な歌をより重視したサイケデリックなサウンドに変わっていく。当時のポジティヴ・パンクやゴスバンドとの邂逅もありながらも、あくまで割礼独自のサイケデリックソングナンバーを奏で続け、アルバム『ネイルフラン』(89年)でメジャーに進出。現在は宍戸幸司(Vo/G)山際英樹(g)鎌田ひろゆき(b)松橋道伸(dr)で活動中。

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