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肩書きは名乗らない 坂本慎太郎インタビュー

肩書きは名乗らない 坂本慎太郎インタビュー

インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:木下夕希
2011/12/20

自分が1番グッとくる作品を作れば、他にもグッとくる人はいるんじゃないかって。

―楽曲を聴いて、今年の震災以降の時代感や空気感とのリンクを大きく感じたのですが、坂本さんとしてはそういう意識はありました?

坂本:それはありました。ただ、アルバムの全体的な質感やイメージは、震災の全然前からあって。それは震災をまたぐことによっても変わらないし、むしろ、震災前に考えていたことがより確信を持てるようになった。震災前にこういうものが聴きたいと思っていたのが、もっとそういう気持ちが強まりましたね。歌詞は震災後に書いたものが多いんですけど、それは最初に思っていたサウンドの上で今自分が歌ってしっくりくる歌詞にしたということなんです。

坂本慎太郎

―僕はとても直接的な歌詞だと思いました。

坂本:そうですか。

―リアルな言葉だなと思ったんです。正直な言葉というか。実際、そういう意識はありました?

坂本:そうですね。ぽろっと出ちゃったものはそのまま使ったりもしたし。どういう風にしようかを最初に考えて作ったというより、自然にこうなったという感じです。

―『空洞です』の時にも、あの当時の時代感を反映した歌詞になっているという話をしていたと思います。でも、今はあそこで歌った言葉がリアルじゃないというか、すでに過去のものになっているという感覚があったりします?

坂本:そう思います。というか、今はあまり聴きたくないって感じですね。自分では。

―“幻とのつきあい方”の「幻を扱う仕事には 気をつけよう」という歌詞の言葉には、どきっとさせられる人も多いのではないかと思いました。そういう風に自分の音楽や言葉がどう作用するか、ということも考えます?

坂本:それはあんまりないかな。自分が聴きたいものを作っていく、ということだけですね。人がどういうのを聴きたいだろうとか、どういうものが伝わりやすいかというよりは、自分が1番グッとくる作品を作れば、他にもグッとくる人はいるんじゃないかって。

―アルバムは『幻とのつき合い方』、英語では『How To Live With A Phantom』というアルバムタイトルになっていますよね。この「幻」、「Phantom」という言葉には、どういうイメージを込めているんでしょうか。

坂本:1曲目の“幽霊の気分で”(In A Phantom Mood)というのが、今回のアルバムの制作の最初に出来た曲なんです。そこからアルバム全体のイメージが出てきたところもあって、1番今回のアルバムを象徴している曲なんですよね。だから、これを本当はアルバムのタイトルにしてもいいくらいの言葉だったんです。でも、“幻とのつきあい方”もいいなと思って、そっちにした。そこで「Phantom」という同じ言葉を使うのが格好いいかな、って。それくらいです。

4/4ページ:1人のギタリストとしても、自分の曲しかできないというのもあるんで。肩書きを名乗るのが恥ずかしいんですよ。

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リリース情報

坂本慎太郎『幻とのつきあい方』
坂本慎太郎
『幻とのつきあい方』

2011年11月18日発売
価格:2,625円(税込)
zel-002

1. 幽霊の気分で(Album Version)/In A Phantom Mood
2. 君はそう決めた / You Just Decided
3. 思い出が消えてゆく / My Memories Fade
4. 仮面をはずさないで / Mask On Mask
5. ずぼんとぼう / A Stick And Slacks
6. かすかな希望 / A Gleam Of Hope
7. 傷とともに踊る / Dancing With Pain
8. 何かが違う(Album Version)/ Something's Different
9. 幻とのつきあい方 / How To Live With A Phantom
10. 小さいけど一人前 / Small But Enough

プロフィール

坂本慎太郎

1967年9月9日大阪生まれ。1989年:ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。2006年:アートワーク集「SHINTARO SAKAMOTO ARTWORKS 1994-2006」発表。2010年:ゆらゆら帝国解散。解散後、2編のDVDBOXを発表。2011年:salyu×salyu「s(o)un(d)beams」に3曲作詞で参加。自身のレーベル、zelone recordsにてソロ活動をスタート。

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