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「希望に負けた」という気持ちで 『ヒミズ』園子温インタビュー

「希望に負けた」という気持ちで 『ヒミズ』園子温インタビュー

インタビュー・テキスト・撮影
CINRA編集部

監督が尊敬に値する地位に戻らないとまずい

―神楽坂さんは、『冷たい熱帯魚』『恋の罪』に続き、『ヒミズ』と3作連続で出演されていますが、他の女優さんとは違うところがあるのでしょうか?

:彼女には大女優になりたいという野心がなく、そのあたりに興味が湧きました。『愛のむきだし』に出演した満島ひかりや、『ヒミズ』の二階堂ふみには野心があるし、どんどん伸びていくのはわかっていますが、彼女はその逆ですね。先日、彼女がヨコハマ映画祭で主演女優賞を取ったと聞いたときは「よしよし」と手応えを感じました(笑)。今の日本映画界は有名なタレントを持ってくればいいと思っていて、役者を育てる気がまったくないですから。僕は育てるタイプの監督なので、そういった方向性で今後も役者を探してみたいですね。

『ヒミズ』 ©2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ
『ヒミズ』 ©2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ

―園監督は、映画監督が少ない現代の中でも、映画監督らしい監督ですよね。

:昔は映画監督って尊敬されていたんですよ。でも最近のオーディションでは、受けに来る俳優たちが監督を知らずにやってくることも多いんです。映画監督に対してあまり敬意を持っていないことがある。それはやはりまずいことなので、監督が尊敬に値する地位に戻らないといけないと思います。

『ヒミズ』を撮ったから終わり、ではない

―震災以降、邦画はどうなっていくのでしょうか?

:一部の人が変わるだけで、ほとんどの人は変わらずこれまで通りだと思いますよ。『ヒミズ』をどうして原作通りに撮らないんだという声もありますし、観客側も意識して変わろうとする人は少ないですからね。『ヒミズ』の撮影のために福島を取材して感じたのは、原発事故に対して忘れたふりをしたい人が意外に多い、ということです。原発のことを考えてしまうと、やりきれない気持ちになってしまうので。これも日本人の特質でしょうから、仕方ないことだとは思いますけれども。

『ヒミズ』 ©2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ
『ヒミズ』 ©2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ

―園監督自身の、今後の方向性についてお聞かせください。

:『ヒミズ』を被災地で撮影したことによって、映画監督として3月11日をテーマにした作品を何本か撮らないとダメだな、という気持ちが強くなりました。『ヒミズ』を撮ったから終わり、ということではいけない気がしているんです。また、日本だけではなく世界を舞台に映画を撮っていきたいですね。海外にも積極的に出ていかないと、これまで一生懸命していた英会話通いは一体何だったの、っていう話になっちゃいますから(笑)。

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作品情報

『ヒミズ』

2012年1月14日から新宿バルト9、シネクイントほか全国公開
監督・脚本:園子温
原作:古谷実『ヒミズ』(講談社『ヤングマガジン』KCスペシャル所載) 出演:
染谷将太
二階堂ふみ
渡辺哲
吹越満
神楽坂恵
光石研
渡辺真起子
黒沢あすか
でんでん
村上淳
窪塚洋介
吉高由里子
西島隆弘(AAA)
鈴木杏
製作・配給:ギャガ

プロフィール

園子温

1987年の『男の花道』でPFFグランプリを受賞。ぴあスカラシップ作品として『自転車吐息』を製作し、ベルリン映画祭に正式招待されるほか、30以上もの映画祭で上映される。1990年代は『部屋 THE ROOM』『桂子ですけど』など実験的な作品を手掛け、2000年代に入っても、『自殺サークル』『紀子の食卓』『エクステ』とコンスタントに発表。近年では『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』で熱狂的な支持と高い評価を得る。『恋の罪』では東電OL殺人事件をベースに女の性を暴力的に描き、話題となった。2006年からテレビドラマ演出にも挑戦し、テレビ朝日系『時効警察』シリーズの数話を演出している。

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