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巨大なシステムの中で OKIインタビュー

巨大なシステムの中で OKIインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:木下夕希
2012/03/15

アイヌ音楽の可能性を広げ続けるミュージシャン・プロデューサーのOKIと、沖縄民謡界の女王として知られる大城美佐子。この距離的にも、音楽性においても、大きく隔たりのある2人の音楽家が、お互いへのリスペクトと理解によって作り上げた『北と南』。この作品はOKIにとって、沖縄音楽へのチャレンジであっただけでなく、「3月11日以降、初めて発表される作品」という点において、非常に重要な作品となった。

我々は社会に属している以上、巨大な経済のシステムに関わらざるを得ない。原発事故の問題も、アイヌの先住民族の問題も、その根本にあるのはこのシステムの問題であることを、OKIは語気を強くして語ってくれた。そして、恐怖に屈せず、意識を高く持つことが重要であると。もちろん、このシステムの問題は、とてもとてもすぐに解決できるような問題ではない。しかし、『北と南』という作品が示している「相互理解」と、OKIがアイヌ音楽を自らに取り戻すために行った「自らのシステムを作る」ということは、現状のシステムの中でよりよく生きるために、非常に重要なことなのではないだろうか。

今回費やした時間の半分以上は、曲を理解することに使いましたね。沖縄マナーっていうものが、すごく新鮮だったので。

―これまでOKIさんと沖縄の接点はどの程度あったのですか?

OKI:前から結構行ってはいて、しばらくブランクがあったんだけど、一昨年ぐらいからまた少しずつ縁ができてて。

―ライブをしに行ってたんですか?

OKI:いや、友達に会いに行ったりとか、そういうプライベートなことなんだけど、それでまた沖縄が近くなってきたなって思ってたときに今回の作品の話が来たんです。

―じゃあ、タイミング的にはちょうどよかったと。実際、レコーディングも沖縄で行われたんですよね?

OKI:沖縄には行ったんですけど、そのときは大城さんが風邪をひいちゃって、1曲も録れなかったんですよ。そのとき録ったやつで行くっていう考えもあったんだけど、「仕切り直して、録り直そうよ」って話をして。結局、その後で大城さんが別でスタジオに入って、もう一度録音したんです。

―段階を踏んだ、大変な作業だったんですね。

OKI:まあCD1枚作るのなんて、どっちにしろ大変なんで、どうってことないんですけどね。そういうのが全部あって、今の結果があるんで、無駄にはなってないんです。

―制作にあたって、大城さんとはどんな話をされたのですか?

OKI:特にしてないです。今回は「どうアプローチしよう」とかも全然なくて、それ以前に曲を僕が理解しなきゃいけなくて、今回費やした時間の半分以上は、曲を理解することに使いましたね。沖縄マナーっていうものが、すごく新鮮だったので。

OKI
OKI

―OKIさんは今回に限らず様々な文化の音楽と接していらっしゃると思いますが、まずは「理解する」ということが何より重要になるわけですよね。

OKI:そうですね。それをどう作品に発展させていくかっていうのは、感覚とか感情だと思うんです。今回一番大事だったのは、大城さんをどれだけ生かせるかなので、それを目標にやりました。

―本作の主役は、あくまで大城さんだと。

OKI:そう、“北と南”っていう僕の曲はオマケ(笑)。僕は大城さんのアルバムを1枚プロデュースしたっていうつもりなんですけど、しゃしゃり出てしまってるんです(笑)。

2/3ページ:一番の問題は金持ちが作ったシステム、俺たちが単なるATMみたいになっちゃってるってことなんですよ。

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リリース情報

OKI meets 大城美佐子『北と南』
OKI meets 大城美佐子
『北と南』

2012年3月14日発売
価格:2,800円(税込)
Tuff Beats / UBCA-1026

1. 固み節
2. 恋語れ
3. 北と南
4. 南洋浜千鳥
5. ヨー加那よー
6. レッドおじさん
7. ランク節
8. ヒンスー尾類小
9. ヤッチャー小〜泊高橋
10. 南と北

プロフィール

OKI

アサンカラ(旭川)アイヌの血を引く、カラフト・アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」の奏者。アイヌの伝統を軸足に斬新なサウンド作りで独自の音楽スタイルを切り拓き、知られざるアイヌ音楽の魅力を国内外に知らしめてきたミュージシャン/プロデューサー。ここ数年オキが取り組んでいるプロジェクトの一つ「オキ ダブ アイヌ バンド」では2005年以降、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各地をツアーし、世界最大規模のワールドミュージック・フェスとして知られる WOMADや、日本国内でも数多くの夏フェスに出演。2012年には、OKIのドキュメンタリー映画『DUB AINU』(仮題/企画・製作 シネグリーオ)が公開される予定。

大城美佐子

大阪市大正区生まれ、名護市辺野古育ち。知名定男の父、知名定繁に弟子入りして民謡の道に進む。1962年シングル「片思い」でデビュー。やがて三線1本を抱えて東京、神奈川、大阪など内地を長らく彷徨の後、沖縄に戻り、民謡界の至宝、嘉手苅林昌とデュオを組む。林昌をして「コンビ唄はミサーに限る」と言わしめたほどの名コンビとして活躍。数々のライブやレコーディングに伝説を残す。2007年に芸能生活50周年を迎えるもなお、変わらず多方面での活動を続けている。

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