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日本で2番目に汚い沼のほとりから ハグレヤギインタビュー

日本で2番目に汚い沼のほとりから ハグレヤギインタビュー

インタビュー・テキスト
柴那典
2012/06/21

初の全国流通盤EP『ハグレヤギ EP』をリリースした4人組バンド、ハグレヤギ。彼らの鳴らす音には、不思議なほど胸を揺さぶる力が宿っている。美大出身のメンバーが並ぶ編成だが、決してスタイリッシュなセンスで勝負するようなタイプではない。むしろ骨太なアンサンブルと起伏に富んだ曲調、美しいメロディで、内面の熱っぽい感情をリアルに伝えてくるバンドだ。

中心人物の山脇紘資(Vo,Gt)は、バンドと並行して画家としても活動している。国内や海外のギャラリーで個展を開催するなど、その道でも評価を集めている彼の作品の多くは、こちらを真っ直ぐに見つめてくる動物の顔をモチーフにしたもの。そこには、胸がざわつくような、不穏な熱が伝わってくるような、そんな独特の美しさがある。そして、それはハグレヤギの音世界が持つ魅力にも繋がっている。そんな山脇の美意識の原点には、4年間の大学浪人や、日本で2番目に汚い沼など、彼にとってかけがえの無い時間と風景が存在していた。

浪人していた4年間が、表現をする上で土台になった(山脇)

―ハグレヤギの音楽と、山脇さんの絵は、同じ根っ子から生まれている表現だと感じます。ご自身としても、そういう感覚はあります?

山脇:そう言っていただけるのは嬉しいですね。あまり僕のこと知らない人は「結局どっちをやりたいの?」ってよく訊くんですよ。絵描きになりたいのか、バンドをやりたいのかって。でも僕としては、それは絵筆を握るか、ギターを握るかの違いだけしかないと思っています。フォーマットではなくて、「何を伝えるのか」ってことが一番重要だと思う。

―バンドと絵はどちらを先に始めたんですか?

山脇:それは10代の頃に遡る話ですね。大学に行こうとは思ったけど、勉強も嫌いだし何のとりえもなくて。何をしようかなって悩んでいる時に、美術の先生に「絵が向いてるんじゃない?」って言われたんですよ。

キス/ Kiss 2273×1818 oil on canvas
キス/ Kiss 2273×1818 oil on canvas

―その頃すでに絵を描くのが好きだったんですか?

山脇:いや、興味もなかったし、むしろ嫌いだったんです。その当時って、何のカルチャーにも触れていない、カラオケで遊んでるようなどこにでもいるロクでもない高校生だったから(笑)。でも、絵が描けたら芸大っていう有名な大学にいけるんだろうと思って描き始めて、気付いたら4浪してました。

―芸大はなかなか入れないですもんね…。

山脇:でも僕にとって、浪人していた4年間はすごく重要な期間だったんです。それまでは自分のバックグラウンドとか、身近にある物事に興味を示さなかったんですけど、それをイチからきちんと見るようになった。その時期に初めて「見る」っていうことを知ったんだと思います。だから、その4年間の経験が、表現をする上で土台になってるんですよね。

―「見る」ということに関して、特に思い出深い逸話はありますか?

山脇:家の近くに手賀沼という沼があって、18から22という人生の一番華やかなときに、1人で手賀沼にテントを持って泊り込んで、絵を描いたり、詩を書いたりしてました。はたから見りゃ廃人のような感じですけど(笑)。

―ひたすら自分を見つめていた時間だったわけですね。

山脇:そうですね。もう、ひたすら自分を形成する4年間だったと思います。ただ、よく「苦労したね」って言われるんですけど、今振り返れば、苦しかった感覚はないんです。いい感覚しか思い浮かばない。それに、あの4年がなければこの場にも立っていないし。

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イベント情報

ハグレヤギ EP リリースパーティ
『風がふく』

2012年7月15日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 下北沢 GARAGE
出演:
ハグレヤギ
o'valencia!
indigo la End
それ以染に
料金:前売2,000円 当日2,300円

『ASR RECORDS presents Crimson Ballroom』

2012年7月3日(火)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:大阪府 大阪 天王寺 Fireloop
出演:
ハグレヤギ
the crickets
Ain Figremin
Koila
Lambda
タヲロヲトロ
and more
料金:前売1,800円 当日2,300円

壊れかけのテープレコーダーズ 3rd Album『ハレルヤ』レコ発自主企画『摩天楼の下、叫べ、ハレルヤ』

2012年7月23日(月)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 新宿LOFT
出演:
ハグレヤギ(オープニングアクト)
壊れかけのテープレコーダーズ
ズボンズ
おとぎ話
料金:前売2,300円 当日2,800円

リリース情報

ハグレヤギ<br>
『ハグレヤギ EP』
ハグレヤギ
『ハグレヤギ EP』

2012年6月13日発売
価格:1,600円(税込)
PORTRAIT / PONYCANYON ARTISTS / PORT2001

1. 風がふく
2. 海がくる
3. おいぼれ鬼
4. 飛行船
5. ピクニック
6. デンデラノ

プロフィール

ハグレヤギ

山脇紘資(Vo,G)と小泉慶太(G)が、高校時代に、千葉・手賀沼のほとりにある山脇宅ベッドルームで音楽制作をスタートする。2008年、山脇は美大に進学、飯塚拓野と出会い前身のバンド、チキンホテルを結成。2009年、小泉を手賀沼から呼び出しハグレヤギを結成。都内ライブハウスを中心に活動をつづける。ドラマー脱退に伴い、 2011年に小杉侑以(Dr)が加入。2012年、ポニーキャニオンアーティスツ内に自らのレーベル「ポートレイト」を設立。レーベル設立第1弾『ハグレヤギ EP』を6月にリリースする。ハグレヤギの詞曲はすべて山脇のペンによるもの。山脇はハグレヤギの音楽活動と並行して、国内や海外のギャラリーで展覧会を行っている。

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