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2012年の菊地成孔

2012年の菊地成孔

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2012/08/14

今の世の中って、かつてポストモダンと呼ばれたような、「この人の隣に全然違う人がいる」っていうのが受け入れられ難い、保守的な世の中になってて。

―今まで交わらなかったものを交わらせて、実際参加した人の反応はどうだったのでしょう?

菊地:これまで交わらなかったのにはそれなりの理由があるので、それを強引に交わらせて、「なかなかいいヴァイブスだ」と言ったところで、根本的な問題が残るんですね。それはドレスアップをするべきかどうかってことで、リンディホッパーの人たちは言ってしまえばコスプレの人たちなので、1930〜40年代の格好をして踊る人たちなんですけど、ビーバップのソロダンサーはコスプレはしないんですよ。なぜかと言うと、もっとブレイクダンス寄りの激しいダンスをするので、ガチガチなコスプレをしちゃうと重くなっちゃう。パーティーカルチャーはそこが重要で、重装なのか軽装なのかの統一をオーガナイザーである僕らがまず打ち出さなきゃいけないんですけど、それに関してはまだ完全にははっきりしてなくて。

―YouTubeの映像とかを見ると、ドレスアップをしてる人が多いですけど、ドレスコードがあるわけではないんですよね?

菊地:そうそう、何か1個のカルチャーに染めちゃえば自然に決まるんですけど、レイヴに来るような人でも踊りたかったら来るってこともあるだろうし、でもそのすぐ隣には40年代の格好をした人がいるっていうのが僕の理想なんです。ただ今の世の中って、かつてポストモダンと呼ばれたような、「この人の隣に全然違う人がいる」っていうのが受け入れられ難い、保守的な世の中になってて。

―確かに、そうかもしれないですね。

菊地:ビーバップを演奏して、何らかの形で踊ることができるっていうのはレコードの段階で立証されていることで、それが生になればなおさら良いっていうのも火を見るより明らかなんだけど、勝手に「ドレスコードありだから俺は行かない」って思ってる人も大勢いる。アナウンスのコントロールが難しいパーティーだなっていうのはありますね。まあ、「混ぜるな危険」と言いますが、混ぜてみて凶と出たらやめよう、吉と出たら続けるんだっていうことで始めてみて、非常にいい感じだったので、このパーティーは日本を出て、アジア全域でもできるんじゃないかっていう見込みで続けてます。

―「アジア全域でも」っていうのは、どういう部分によるところが大きいですか?

菊地:パーティーのアティテュードがアジア向けかなって。実際、香港に行ったり、ソウルに旅行に行ったりする中で、これはすごくアジア向きだと思って、特にソウルは比較的イージーかなって思ってます。ソウルには米軍の基地があって、アメリカの軍のカルチャーがあると、ダンスカルチャーも発達するんですね。なので、ソウルはリンディホッパーが多い都市で、日本の中でも沖縄はやっぱり強いみたいです。ヨーロッパは、日本人がパーティー持ってきましたって言ったら、ニコニコ動画とか『JAPAN EXPO』みたいなのじゃないと、認知もされないような感じでしょうからね(笑)。

菊地成孔

(ダブ・セプテットは)僕がやってる中で、一番JAPAN COOL的になると思うんです。「中年の男達のジャズバンド中で、クールな女子大生が1人いて、普通にやっている」っていうね。

―9月13にはブルーノートでダブセクステット改めダブ・セプテットのデビューライブがあります。なぜバンドの形態を変えたのでしょうか?

菊地:これも2010年ぐらいから考えてたことで、今までは二管、いわゆるハードバップスタイルの、テナーサックスとトランペットで、マイルスの65〜66年の音楽にダブがかかって、ポリリズムが入ってるというような、非常にわかりやすい形だったわけです。それもそれなりにご好評いただいていたのですが、単純に飽きてきたので、もうちょっと違うことを、ホーンが多くて、アンサンブルが聴かせられるもので、今あんまり巷で掘られてないものをやろうと。

―それは具体的にどういったものですか?

菊地:例えば、DJがサン・ラをかければ、今の若い人は「かっこいいね」っていうひとつのカルチャーが、ロンダリングみたいのがあって、だからサン・ラはいいし、デューク・エリントンもかっこいい、マイルスの70年代もヤバいと。でも、誰もジョージ・ラッセルとか、ギル・エヴァンスがヤバいとは言わないんですよ。今度のライブを聴いていただければわかるんですけど、半分くらいはカバーなんです。今までは僕の曲ばっかりだったんですけど、今度は比較的完コピに近いカバーで、あんまり実演されなかったものをやります。ジャズ喫茶では聴けるけど、クラブDJがかけないという理由で、ユースがあまり聴かないようなやつですね。

―女性のメンバーが加入するっていうのも大きな変化ですよね。

菊地:ダブセクステットはとにかくホストクラブみたいな、みんなイケてる上に楽器が上手くて、揃いのスーツをバシッと着てっていうスタイルだったんですが、その中に非常に若い女子が入る、もしくは非常に年を取った女性が入って、他のメンバーがそれを取り囲むっていうアイデアがずっとあったんです。それがちょっと東京っぽいというか、マンガっぽくて日本人の喜びそうな感じじゃないかと。僕がやってる中で、一番JAPAN COOL的になると思うんです。「中年の男達のジャズバンド中で、クールな女子大生が1人いて、普通にやっている」っていうね。


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イベント情報

『具象の時代』

2012年9月29日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 すみだトリフォニーホール
出演:菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
ゲスト:林正子
料金:前売5,500円

チケット情報

Ron Zacapa presents『DCPRG YAON 2012』

2012年10月8日(月・祝)OPEN 15:30 / START 16:30
会場:東京都 日比谷野外大音楽堂
出演:DCPRG
ゲスト:SIMI LAB、toe
料金:前売5,500円

菊地成孔ダブセプテット ブルーノート東京公演

2012年9月13日(木)
[1st]OPEN17:30 / START 19:00
[2nd]OPEN 20:45 / START 21:30
会場:東京都 ブルーノート東京
出演:菊地成孔ダブセプテット
料金:前売6,500円

『菊地成孔プレゼンツ“HOT HOUSE”』

2012年8月23日(木)
会場:兵庫県 神戸 Live Hall クラブ月世界

2012年8月24日(金)
会場 : 愛知県 名古屋 Live & Lounge

TBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』 Presents 『キラー・スメルズ復活祭!渚のハードコアラテン』

2012年9月1日(土)
会場:神奈川県 逗子海岸 海の家PILEQUINHO(ピレキーニョ)
出演:KILLER SMELLS

CINRA.STOREで取扱中の商品

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール<br>
『皆殺しの天使/El Angel Exterminador 2012年7月23日 東京グローブ座公演』[MP3]
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価格:400円(税込)
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール、CINRA.STORE独占のライブ音源!

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『闘争のエチカ(上巻)』[USB]
菊地成孔
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価格:10,500円(税込)
菊地成孔の過去の作品などをまとめた初のベストワークス

『菊地成孔のポップアナリーゼ 少女時代“GENIE”は何故いい曲なのか?』[MP3]
『菊地成孔のポップアナリーゼ 少女時代“GENIE”は何故いい曲なのか?』[MP3]

価格:630円(税込)
菊地成孔が少女時代を語り尽くす!

プロフィール

菊地成孔

1963年6月14日、千葉県出身。音楽家、文筆家、音楽講師。 アバンギャルド・ジャズからクラブシーンを熱狂させるダンス・ミュージックまでをカバーする鬼才。1984 年プロデビュー後、山下洋輔グループなどを経て、「デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン」「スパンクハッピー」といったプロジェクトを立ち上げるも、2004 年にジャズ回帰宣言をし、ソロ・アルバム『デギュスタシオン・ア・ジャズ』、『南米のエリザベス・テイラー』を発表。2006 年7月にUA×菊地成孔名義で発表したスタンダード・ジャズ・アルバム『cure jazz』が大ヒット。2007年12月には初のBunkamuraオーチャードホール公演を成功させ、2008 年からは菊地成孔ダブ・セクステット、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールで活動中。2010年10月にはDCPRG(DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN)を再始動させた。

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突然少年“火ヲ灯ス”

教室でも放課後でも負け続けたこと、弱さ故に大事な友達も傷つけてきたことーー振り返るほど情けなさでズタズタになってきた自分達の青春を全部吐き出しながら、だからこそ今まで裏切らず側にいてくれた人を離さず抱き締めて生きていきたいのだと表明する1stアルバムが『サンキュー・マイ・フレンド・アンド・マイ・ファミリー』だ。ブッチャーズ、eastern youth、NUMBER GIRLを抱き締めて離さない号泣ファズは変わらぬまま、アルバムタイトルの通り「誰に何を歌いたいのか」に重心を置いた結果としてバンドサウンドが撚られ、歌がグッと前に出た。汗と唾を撒き散らす激情の成分はやや減ったが、あなたと友達になりたい、友達との絆を目一杯歌いたい、だからまずは自分達が素っ裸になってあなたと向き合いたいという意志がスウィートなメロディに乗って突き抜けている。「たったそれだけ」をたったひとりに伝えるためにもんどり打つ、バンドの核心がそのまま映し出されたMV。端からライブの中核を担ってきた名曲がさらに躍動している。(矢島大地)

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