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2012年の菊地成孔

2012年の菊地成孔

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2012/08/14

『ルパン三世』の音楽担当の話がきたとき、僕がやってるバンドの中では、ほぼ自動的にペペかなっていう。

―9月にはペペ・トルメント・アスカラールのライブもありますが、菊地さんがアニメ『ルパン三世』の音楽を担当されて、オープニングがペペの“新・嵐が丘”だったことはかなり話題になりましたよね。

菊地:最初に番組全体のコンセプトを聞いた段階で、僕がやってるバンドの中では、ほぼ自動的にペペかなっていう。渡辺(信一郎/音楽プロデュース)さんからも、通常あるようなやり取りは何もなく、好きにやっていいっていう感じだったので、比較的スムーズな流れでしたね。

―7月にひさびさのライブもありましたが、ルパンからペペに興味を持って入ってきた人とかってやっぱり多いですか?

菊地:分析はまだできてないんです。ペペは去年のブルーノートの後1年休んじゃったんで…それもスケジュールの都合だけで、他に何の理由もないんですけど(笑)、その間にルパンがあったんですよね。おかげさまで7月のライブは満員になったんですけど、1年休んでその間はDCPRGとかをやってたので、昔ながらのペペひいきの人がみんな来てくれたとも言えますし、ルパンがあったからたくさん来てくれたっていう分析もできますし、そこは微妙ですね。露骨にルパンだなっていうのが目に見えてわかればいいんですけど、最近の東京の人ってすごいペールフェイスで、わかんないんですよ。

菊地成孔

―見るからに、「ルパン好きです」みたいな人がいればわかりやすいですけどね(笑)。

菊地:ルパンの格好してる人とかでしょう。それさすがにいなかったですね。ひとつはっきり読めるのは、初めて来た人が多かったと思うんです。それはまあ、ラジオだと思うんですよ。ラジオ(『菊地成孔の粋な夜電波』)を始めて1年数か月で、これまでも「ラジオを聴いて来ました」っていうのはあったから、そういう初めての人の評判ツイートを見て、「次行ってみようかな」っていうのはあるんじゃないかなって。AMのリスナーね。

―なるほど。それにしても、ペペを抜きにしたとしても、菊地さんがルパンの音楽を手掛けたっていうことに対するリアクションはかなり大きかったでしょうね。

菊地:それはでかいです。今回のルパンが異様な怪物番組みたいにならなかったおかげで助かりましたけどね。エヴァンゲリオンみたいにはならなかったんで(笑)。でも、始まったときは大騒ぎで、行った先行った先でルパンルパン言われて、やっぱり国民的なコンテンツだなって思いましたね。

 

慢性的に「もっと演奏したい」っていう欲求を持ったまま、いろんなことをやってるっていうのが僕の内面の状態ですね。

―さらには10月にDCPRGの野音公演があります。前回の取材が4月の新木場スタジオコーストでのライブ前でしたが、コーストでのライブはいかがでしたか?

菊地:一応満員になって、出てくれたアクトもよくて、KILLER SMELLSはそれこそラジオコンテンツですけど受けましたし、SIMI LABもすごくよくて…まあ、ああいう形(6月にメンバーのQNが脱退した)になっちゃったんで、全員揃ってあの人数の前でやるっていうのは最後だったかもしれないですね。

―10月の野音にはSIMI LABはゲスト出演するんですよね?

菊地:そうですね。未確認情報ですけど、QNも一緒に参加する可能性があるみたいです。それはオファーした段階でまだQNがメンバーだったからっていう、彼らなりの筋の通し方みたいなんですけど(笑)。

―どうなるのか楽しみではありますね(笑)。「10月8日@野音」というのは、2010年のDCPRG復活ライブと同じ時期、同じ場所なんですよね。あの日は台風が直撃して大雨の中で行われましたが…

菊地:あれはホント参ったんで、今度は晴れてほしいですね。前はいわくつき(当初は、マイルス・デイヴィス・リユニオン・レジェンドというユニットで来日予定だったマイケル・ヘンダーソンの前座という予定だったが、来日の話が消滅し、野音のスケジュールだけが残った結果、DCPRG単独の復活ライブとなったという)で、無理くりやらされたところもあったので、それが天に届いたのかも(笑)。今度はやりたくてやるんで、大丈夫だと思います(笑)。

菊地成孔

―今年の後半は地方公演の予定もあるとか?

菊地:ちょっとサーキットを考えているところです。ロックバンドみたいに「北海道から九州まで小さい小屋でも回るんだ」ってやるには収支が合わないバンドにしてしまったので…メンバーを学生ばっかりにしてしまえばいいと思ったりもするんですけど(笑)、まあそうもいかず。

―現実的に実現可能かどうかを抜きにすれば、全国を回りたい欲ってありますか?

菊地:それはありますよ。回りたいですけど、メンバーが大人数で高給取りとか、基本的なところであらかじめ諦めてるだけですから。前のデートコースはある意味友情関係っていうか、全員ギャラ度外視で動いてくれてたんで、ガンガンツアーもやってましたし。活動再開後は友情がなくなったとは言いませんけど(笑)、普通にギャラは払ってるので、それだと身動きが取れない。そういう意味では、前のデートコースは青春のバンドですよね。スケジュール管理も、プロフェッショナルなスタッフじゃなくて、アマチュアのファンの子が1人でやってくれて、あんな忙しい人たちで年に3回もツアーやってましたから。今はプロの手が入って動けなくなっちゃうっていうよくある情けない話で…有志の方がすごいと人々が思う根拠の方に完全に寄っちゃってますけど(笑)。

―じゃあ、やはり実現可能かどうかは一切抜きにして、好きなようにスケジューリングができて、ライブイベントやツアーができるとすれば、どんなことをやりたいですか?

菊地:ラジオも学校もやめて、365日ツアーしたいですね。いろんな街や国で演奏がしたいから、デートコースとペペとダブ・セプテットで1年中ツアーでも全く問題ないです。これは本当に。もちろん、体力的な問題はあるかもしれないけど、精神的にはそれでいい。慢性的に「もっと演奏したい」っていう欲求を持ったまま、いろんなことをやってるっていうのが僕の内面の状態ですね。

―365日ライブができない分、1回のライブに向ける熱量が高まるっていう言い方もできるかもしれないですね。

菊地:そうそう、そういうこともありますし、あとは単純に、やりたいことやっちゃえばいいってもんでもないし(笑)。多少我慢したり、できないことがあってタメが効いてる方が、深みやエレガントってものがあるので、現状には満足してます。夢想っていうレベルでね、毎日ツアーできたらどんなにいいだろうとは思うけど。

―すぐにではなくとも、いつかそういう日が来るかもしれないですね。

菊地:若手の育成には力を入れたいですね。タダでこき使えて、車で移動してくれる、すごい上手い若手が20人もいたらやると思いますよ(笑)。マイルスの晩年ですよ。あの人は若手を連れてす長いサーキットしましたから。それはやってみたいことではありますね。

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イベント情報

『具象の時代』

2012年9月29日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 すみだトリフォニーホール
出演:菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
ゲスト:林正子
料金:前売5,500円

チケット情報

Ron Zacapa presents『DCPRG YAON 2012』

2012年10月8日(月・祝)OPEN 15:30 / START 16:30
会場:東京都 日比谷野外大音楽堂
出演:DCPRG
ゲスト:SIMI LAB、toe
料金:前売5,500円

菊地成孔ダブセプテット ブルーノート東京公演

2012年9月13日(木)
[1st]OPEN17:30 / START 19:00
[2nd]OPEN 20:45 / START 21:30
会場:東京都 ブルーノート東京
出演:菊地成孔ダブセプテット
料金:前売6,500円

『菊地成孔プレゼンツ“HOT HOUSE”』

2012年8月23日(木)
会場:兵庫県 神戸 Live Hall クラブ月世界

2012年8月24日(金)
会場 : 愛知県 名古屋 Live & Lounge

TBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』 Presents 『キラー・スメルズ復活祭!渚のハードコアラテン』

2012年9月1日(土)
会場:神奈川県 逗子海岸 海の家PILEQUINHO(ピレキーニョ)
出演:KILLER SMELLS

CINRA.STOREで取扱中の商品

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール<br>
『皆殺しの天使/El Angel Exterminador 2012年7月23日 東京グローブ座公演』[MP3]
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
『皆殺しの天使/El Angel Exterminador 2012年7月23日 東京グローブ座公演』[MP3]

価格:400円(税込)
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『闘争のエチカ(上巻)』[USB]
菊地成孔
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価格:10,500円(税込)
菊地成孔の過去の作品などをまとめた初のベストワークス

『菊地成孔のポップアナリーゼ 少女時代“GENIE”は何故いい曲なのか?』[MP3]
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価格:630円(税込)
菊地成孔が少女時代を語り尽くす!

プロフィール

菊地成孔

1963年6月14日、千葉県出身。音楽家、文筆家、音楽講師。 アバンギャルド・ジャズからクラブシーンを熱狂させるダンス・ミュージックまでをカバーする鬼才。1984 年プロデビュー後、山下洋輔グループなどを経て、「デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン」「スパンクハッピー」といったプロジェクトを立ち上げるも、2004 年にジャズ回帰宣言をし、ソロ・アルバム『デギュスタシオン・ア・ジャズ』、『南米のエリザベス・テイラー』を発表。2006 年7月にUA×菊地成孔名義で発表したスタンダード・ジャズ・アルバム『cure jazz』が大ヒット。2007年12月には初のBunkamuraオーチャードホール公演を成功させ、2008 年からは菊地成孔ダブ・セクステット、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールで活動中。2010年10月にはDCPRG(DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN)を再始動させた。

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