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改めて今、楽しく演奏したい 芳垣安洋インタビュー

改めて今、楽しく演奏したい 芳垣安洋インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2012/08/20

ROVO、ONJQ、デートコース…様々な参加バンドへの想い

ミニマルに絡まるサイケやエキゾチカなアンサンブルを志向したVINCENT ATMICUS、大友良英を中心とするジャズコンボのONJQ、菊地成孔を中心とするエレクトリック・マイルス的なビッグバンドのDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN。99年に始まった各バンドはそれぞれ先鋭的な音楽性を持ち、現在に至るまで語り継がれるこれらのバンドを並行して活動するということは、すなわち芳垣のドラマーとしての技量の高さをそのまま示すものだったと言える。そしてもう1組、これらのバンドに先立って95年にスタートし、現在も芳垣の主要バンドのひとつと言えるのが、勝井祐二と山本精一を中心に結成されたROVOである。

ROVOライブ写真
ROVOライブ写真

芳垣:ROVOを最初にやり出したときは、例えば、ドラムンベースであったり、そういうビートを人力でやるってことがまず面白かった。もちろん、そういうビートって時代と共に変わっていくんだけど、ツインドラムの相方の岡部(洋一)はブラジル音楽とかアラビックなものとかからインスパイアされたすごく面白いものを出してくる人間で、ふたりで駆け引きをやっていると、自然に新しいビートというか、これまでにないようなリズムが作れて。それは最初から面白かったし、今は無理に「新しいものを」とか意識せずに、自然にできてると思うな。

VINCENT ATMICUSや、03年に芳垣がスタートさせたOrquesta Nudge! Nudge!、そしてオルケスタ・リブレにも参加しているパーカッショニストの岡部洋一は、今や芳垣にとって一番のパートナーと言える存在だ。ROVO以前からジャズのセッションなどで共演はしていたが、勝井の要請によりROVOでツインドラムを組んだことが、今に至る蜜月の始まりであったとも言え、その点でもROVOは芳垣にとって大きな意味のあるバンドだったと言えるかもしれない。

芳垣:岡部とはいろんなことを一緒にやってるけど、実はリズムがどうこうっていう話はほとんどせずにやってきてて、そういう意味ではホントに楽な相手ではあるね。基本的な音楽に対する向き合い方が似てて、彼も相当幅広くいろんなものを聴いてるから、そういうところでも話が早い。もちろん、今までいろんな素晴らしいプレイヤーと共演してきたけど、同一の人と様々なリズムを自在に組もうと考えると、自分が満足するぐらいの許容量を持った人間っていうのは、岡部だったんだよね。

Orquesta Nudge! Nudge!のメンバーたち。芳垣の右隣にいるのが岡部洋一
Orquesta Nudge! Nudge!のメンバーたち。芳垣の右隣にいるのが岡部洋一

ONJQとデートコースに関しては、まず両バンドの主要人物でもある大友良英が90年に立ち上げたプロジェクトGROUND-ZEROのことから書いておく必要があるだろう。GROUND-ZEROの後期には芳垣と菊地成孔が共に参加していたが、98年に解散。翌99年にスタートしたONJQの初期には菊地が、デートコースの初期には大友が、それぞれ参加していたのである(菊地は初期のVINCENT ATMICUSにも参加)。そしてそのすべてに関わってきた芳垣だからこそ、冷静な視点でこれらのバンドを語ることができる。

芳垣:大友がやってることも、菊地がやってることも、ジョン・ゾーン(90年代には高円寺に住んでいたこともある、ニューヨーク出身の音楽プロデューサー/サックス奏者。95年にTZADIK RECORDSを設立し、GROUND-ZERO、ROVO、ONJQをはじめ、多くの日本人の作品をリリースしている)がやってることもそうだけど、根本的な考え方とか方法は、一昔前の現代音楽やフリージャズ、民族音楽などにも同じような形のものがあったりして、それを今の時代に、どういう音楽にしていくかっていうことを、彼らはそれぞれ自分の方法でやってきたんだよね。即興とコンダクション(指揮)とか、そういったさじ加減の違いが、それぞれの音楽につながってるんだと思う。だから、音楽をやる方法論としては、大きな流れで見ると昔から共通してたのかなって。

DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENのライブ
DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENのライブ

自らが率いるバンドと、誰かがリーダーを務めるバンドへの参加を、常に複数並行させながら、キャリアを重ねてきた芳垣。そこには常に自らを成長させていこうとする、音楽に対する真摯な想いがあったことは、言うまでもないだろう。

芳垣:自分が興味を持てる人に誘われた場合でも、そこで自分が普段あんまりやってない方法論とかスタイルのものをやらなくちゃいけないことはあるよね。でも、それはそれで自分にとってプラスになることなわけ。どこに行っても自分の方法でしかやらないって人ももちろんいると思うけど、その音楽にとって一番大切なものは何かを考えて、その上で自分ができること、可能性があることを提供するっていう、自分はそれをずっとやってきたつもり。それは結果的に自分自身をどんどん膨らませていくことにつながったと思うんだよね。

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Orquesta Libreライブスケジュール

『Orquesta Libreインストアライブ』

2012年8月30日(木)
会場:東京都 TOWER RECORDS 新宿店 7Fイベントスペース
ゲスト:柳原陽一郎、おおはた雄一

2012年10月29日(月)
会場:東京都 新宿 PIT INN

2012年11月26日(月)
会場:山梨県 甲府 桜座

2012年11月27日(火)
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO

2012年11月28日(水)
会場:東京都 深川江戸資料館 小劇場

芳垣安洋ライブスケジュール

『横濱 JAZZ PROMENADE 2012』

2012年10月6日(土)
出演:芳垣安洋「Duke Elington, Sound of Love」

リリース情報

Orquesta Libre<br>
『うたのかたち〜UTA NO KA・TA・TI』(2CD)
Orquesta Libre
『うたのかたち〜UTA NO KA・TA・TI』(2CD)

2012年7月4日発売
価格:3,000円(税込)
EWGL-0013/14

[DISC1]
『オルケスタ・リブレと柳原陽一郎』
1. アラバマ・ソング
2. ジゴロのバラード
3. モリタート(live ver.)
4. 「人間はどうやって生きてきたのか?」(『三文オペラ』第2のフィナーレ)
5. いつもさよならを
6. アルフィーのテーマ
7. スマイル
[DISC2]
『オルケスタ・リブレとおおはた雄一』
1. いとしのセシリア
2. ゴロワーズを吸ったことがあるかい
3. リリー・マルレーン〜青い旅団
4. オー・シャンゼリゼ
5. パープル・ヘイズ
6. アイ・シャル・ビー・リリースト

Orquesta Libre<br>
『うたのかたち〜UTA NO KA・TA・TI』[MP3]
Orquesta Libre
『うたのかたち〜UTA NO KA・TA・TI』[MP3]

価格:1,950円(税込)
こんなに楽しくてスリリングなジミヘンやバカラック聴いたことないっ!

Orquesta Libre<br>
『Can't Help Falling In Love〜好きにならずにいられない』(CD)
Orquesta Libre
『Can't Help Falling In Love〜好きにならずにいられない』(CD)

2012年7月4日発売
価格:2,500円(税込)
EWGL-0015

1. 首の差
2. ハッシュ
3. パープル・ヘイズ
4. 小さな願い
5. 遥かなる影
6. ハロー・ドーリー
7. シシリアンのテーマ
8. 砂の岬
9. 好きにならずにいられない

Orquesta Libre<br>
『Can't Help Falling In Love〜好きにならずにいられない』[MP3]
Orquesta Libre
『Can't Help Falling In Love〜好きにならずにいられない』[MP3]

価格:1,800円(税込)
緻密にアヴァンギャルド!コミカルでドラマチック!

プロフィール

芳垣安洋

1959年生まれ。関西のジャズエリアでキャリアをスタートさせ、モダン・チョキチョキズ、ベツニ・ナンモ・クレズマー・オーケストラ、渋さ知らズなどに参加後上京。山下洋輔、坂田明、梅津和時、巻上公一、菊地成孔、オオヤユウスケ、高田漣、小島真由実、浜田真理子、カヒミ・カリィ、UA、原田郁子、Jhon Zorn、Bill Laswellなど様々なミュージシャンと共演。現在、ROVO、大友良英ニュー・ジャズ・オーケストラ、南博GO THERE、アルタード・ステイツや自己のバンドVincent Atmicus、Emergency!、Orquesta Nudge!Nudge!等のライブ活動の他、蜷川幸雄や文学座などの演劇や、映画の音楽制作も手掛ける。メールスジャズフェスを始めとする欧米のジャズや現代音楽のフェスティバルへの出演や、来日するミュージシャンとの共演も多く、海外ではインプロヴァイザーとしての評価も高い。レーベル「Glamorous」を主宰する。

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