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pair×益子樹 対談 「いい音」って、果たしてどんな音なのか?

pair×益子樹 対談 「いい音」って、果たしてどんな音なのか?

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2012/08/30

「これってどういうことなん?」って聞くのって、野暮かなって(笑)。(吉岡)

―実際の曲作りはスムーズに進みましたか?

吉岡哲志

吉岡:意外にスムーズだったよね。

山田:ぶつかることとかも特にないんだよね。

吉岡:バンドのときは1人で作って、「うーん、これいいのか悪いのかわからん」っていうのをスタジオに持ってって、「どう思う?」って聞いても、「わからん」って返ってくるんですよ(笑)。でも、pairだと交互に詞を書き合って、自分の書いたものに「いいね!」って返ってくる、それが僕にとってすごく新鮮だったんです。作っていく流れの中で、「いい」っていう判断をしてくれるっていう。

―歌詞は最初にある程度テーマを決めて書き始めるんですか?

吉岡:最初に書き始めた方は何らかの思いがあって書いてると思うんですけど、それは伝えてないんですよ。なので、勘違いというか、別の受け取り方をして続きを書いてることも普通にあって、やり取りをしていく中で、「あれ? そういえばここのこれ何のこと言ってるの?」っていう風に、辻褄が合わなくなってきたところで修正するって感じでした。

益子:それってあえて説明しないでおこうってしてたの?

吉岡:僕個人で言えば、「これってどういうことなん?」って聞くのって、野暮かなって(笑)。いろんなことを考えて書いてくれてるんやろうし、作品に理由を聞くのって野暮じゃないですか?

益子:自分なりに解釈して続きを書くのが礼儀というか、そういうことだ。杏奈ちゃんは?

山田:私は何も考えてなかったな(笑)。「あ、こういう詞なんだねー」って。

益子:この何とも言えない隙間がある感じがいいよね(笑)。

―じゃあ具体的に聞くと、1曲目の“なまえ”はどうやって書いていったんですか?

吉岡:これは<君の名前を決めるとき〜>っていう最初の一節を杏奈ちゃんが書いてくれて、何に対して言ってるかわからないんですけど、それを飲み込んで続きを書いて行ってたら、その流れの中で「これはピンちゃんのことを歌ってるんだよ」って言い出して。

山田:私が飼ってるトカゲの名前です(笑)。

吉岡:ペットの名前を決めるときの歌やったんかって(笑)。それで僕も実家で犬を飼ってるんで、そっちに置き換えて(笑)。

山田:結果的には、聴いた人が何かを感じてくれればそれでいいんですけどね。

益子:余談なんですけど、この曲のドラムを叩いてくれたPOP鈴木さんが、レコーディングの後に2人に、「あの…お子様生まれたんですか?」って聞いてて、それぞれの解釈があるなって思いましたね(笑)。

型にはめて弾いてもらうってことに対する興味があんまりないから、キャラクターを含めての演奏依頼ができる人にしか関わってもらってないんです。(益子)

―吉岡くんも杏奈さんもボーカリストとして十分魅力があると思うんですけど、でも基本的には歌の人というよりは、音・サウンドの人だと思うんです。そういう2人が歌に比重を置いたユニットをやってるのがまた面白いところなんですけど、アレンジに関してはどう進めたんですか?

吉岡:アレンジに関しては、やるとしたらどっちかがやらないと終わらなかったと思うんですよ。「リズムパターン考えてね、僕上もの考えるわ」みたいに分離して考えるのは、この2人は無理だなって。なので、pairではアレンジに関しては2人とも最後の最後までノータッチで、詞とメロディーとコード進行だけ作って、あとは曲ごとに参加してもらったミュージシャンに演奏してもらいました。

益子:いわゆるアレンジャーはいないんですが、pairの2人はもちろんスタッフサイドも各曲に対するイメージを持ってるから、編成や曲の温度感みたいなものの共通確認をみんなで取った上で、「この人だったらこの楽曲を生かすアプローチをしてくれるよね」っていう人をお呼びして、演奏してもらうというやり方。

―そういう風に演奏を完全に委ねちゃうっていうのも初めての経験ですよね?

吉岡:初めてですね。LLamaのレコーディングのときは、自分が演奏したり歌ったりする以外のときも、常にブースにいてジャッジしてっていうのをしてたんで、今回はすごく気楽で、楽しかったです(笑)。

―例えば、僕“DRIVE”がすごく好きで、歌詞のテーマからしてシティポップっぽい感じがありつつ、でもペダルスティールが入って土臭い感じになってて、そのバランスが面白いなって思ったんですね。この曲はどうやってできたんですか?

山田:あれだけ詞からじゃないんだよね? pair合宿なるものを奈良でしたときに、ギターで新しい曲をもう1曲作ろうってなって、それを持ち帰って、家で歌詞をつけたから。

山田杏奈

―言葉も音のイメージから出てきた?

山田:いろんな思いが混ざってるよね。私はオープンカーに乗りたいっていう気持ちがあったし、あと(吉岡に)彼女ができてウキウキの感じだったから、それで私も初々しい気持ちになって、自然と私が女の子の目線で、(吉岡が)迎えに来る男の子の気持ちでって。

益子:つまり、シティポップは意識してないと(笑)。何か型のあるものにはめて、「ああいう感じで」っていう会話はあんまりなかったね。元々俺は型にはめてそれに沿ったものを弾いてもらうってことに対する興味があんまりなくて、どっちかっていうと人ありきで、「この人だったらこういうことをしてくれるだろう」っていう、キャラクターを含めての演奏依頼ができる人にしか今回関わってもらってないんです。だから、“DRIVE”がああいうサウンドになったのも、元々のコードと詞とメロディーが呼んでたっていう感じが強いですね。

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リリース情報

pair<br 『pair!』" class="lazyload">
pair
『pair!』

2012年8月29日発売
価格:2,625円(税込)
Bright Yellow Bright Orange / WRCD-61

1. なまえ
2. peco
3. 鋼鉄の街
4. まだこない
5. Drive
6. キセキ
7. ツノ
8. 今は…
9. You've got a friend

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pair<br>
『pair!』[MP3]
pair
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プロフィール

pair

京都を拠点に活動する楽団バンド、LLamaのVo.Gt.にして首謀者・吉岡哲志と、2011年12月にHEADZよりソロアルバムもリリースした女性アーティスト山田杏奈の男女ユニット。ROVOの益子樹がプロデュース、またゲストには勝井祐二(ROVO)、岡部洋一(ROVO)や鬼怒無月ら一流ミュージシャンがゲスト参加した。

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